40 / 221
3:朝霧くんの観察日記1
3-4
しおりを挟む
皮肉ってどんなにキツイ言葉を返してみようとも。
辻原の場合、その時々に膨れたり怒りを露わにはするものの、また次の時には普通に声を掛けてくる。
その為、俺の中では『懲りない奴』だという認識が成されていた。
実際は、ただ学習能力が足りないだけなのかも知れないが。
それでも、その時々でコロコロと素直に表情を変える様子は、見ていて退屈しない存在ではあった。
(だからと言って…。校内で木登りは流石にないだろ)
思わずため息を吐いて、再び倒れたままの辻原に何気なく目をやった、その時。
ふと、小さな生き物が辻原の傍でごそごそやっているのが目に入った。
それは、とても小さな子猫だった。
(そう言えばコイツ、さっきも…)
倒れている辻原の上に乗っていなかったか?
(あまり気にしていなかったが…。いったい、コイツは何をやっているんだ?)
丁度スカートの裾辺りでごそごそ何かやってるので「エロ猫」と掴みあげたら、その小さな存在は一丁前に怒っているのか暫く「にゃーにゃー」言いながら暴れていた。
だが、そんな子猫の様子を見ていて、ふと…ある答えに辿り着く。
「もしかして、お前を助ける為にコイツは木に登ったのか?」
それならば、木に登ったことも頷ける。
(コイツは困っている者を放って置けないお人好し…だからな)
辻原の場合、その時々に膨れたり怒りを露わにはするものの、また次の時には普通に声を掛けてくる。
その為、俺の中では『懲りない奴』だという認識が成されていた。
実際は、ただ学習能力が足りないだけなのかも知れないが。
それでも、その時々でコロコロと素直に表情を変える様子は、見ていて退屈しない存在ではあった。
(だからと言って…。校内で木登りは流石にないだろ)
思わずため息を吐いて、再び倒れたままの辻原に何気なく目をやった、その時。
ふと、小さな生き物が辻原の傍でごそごそやっているのが目に入った。
それは、とても小さな子猫だった。
(そう言えばコイツ、さっきも…)
倒れている辻原の上に乗っていなかったか?
(あまり気にしていなかったが…。いったい、コイツは何をやっているんだ?)
丁度スカートの裾辺りでごそごそ何かやってるので「エロ猫」と掴みあげたら、その小さな存在は一丁前に怒っているのか暫く「にゃーにゃー」言いながら暴れていた。
だが、そんな子猫の様子を見ていて、ふと…ある答えに辿り着く。
「もしかして、お前を助ける為にコイツは木に登ったのか?」
それならば、木に登ったことも頷ける。
(コイツは困っている者を放って置けないお人好し…だからな)
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】ツインクロス
龍野ゆうき
青春
冬樹と夏樹はそっくりな双子の兄妹。入れ替わって遊ぶのも日常茶飯事。だが、ある日…入れ替わったまま両親と兄が事故に遭い行方不明に。夏樹は兄に代わり男として生きていくことになってしまう。家族を失い傷付き、己を責める日々の中、心を閉ざしていた『少年』の周囲が高校入学を機に動き出す。幼馴染みとの再会に友情と恋愛の狭間で揺れ動く心。そして陰ではある陰謀が渦を巻いていて?友情、恋愛、サスペンスありのお話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる