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3:朝霧くんの観察日記1

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皮肉ってどんなにキツイ言葉を返してみようとも。

辻原の場合、その時々に膨れたり怒りを露わにはするものの、また次の時には普通に声を掛けてくる。

その為、俺の中では『懲りない奴』だという認識が成されていた。

実際は、ただ学習能力が足りないだけなのかも知れないが。

それでも、その時々でコロコロと素直に表情を変える様子は、見ていて退屈しない存在ではあった。


(だからと言って…。校内で木登りは流石にないだろ)


思わずため息を吐いて、再び倒れたままの辻原に何気なく目をやった、その時。

ふと、小さな生き物が辻原の傍でごそごそやっているのが目に入った。

それは、とても小さな子猫だった。


(そう言えばコイツ、さっきも…)

倒れている辻原の上に乗っていなかったか?


(あまり気にしていなかったが…。いったい、コイツは何をやっているんだ?)

丁度スカートの裾辺りでごそごそ何かやってるので「エロ猫」と掴みあげたら、その小さな存在は一丁前に怒っているのか暫く「にゃーにゃー」言いながら暴れていた。

だが、そんな子猫の様子を見ていて、ふと…ある答えに辿り着く。


「もしかして、お前を助ける為にコイツは木に登ったのか?」


それならば、木に登ったことも頷ける。

(コイツは困っている者を放って置けないお人好し…だからな)

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