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1:樹の上の子猫
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「キミ、その子のこと知ってるかい?名前とか分かるかな?」
電話を終えた主事が朝霧に声を掛けた。
朝霧は、スッとその場を立ち上がると。
「二年B組の辻原実琴。一応クラスメイトです」
無表情のままに答えた。
(一応って何よ、一応って!)
すかさず実琴は突っ込みを入れるが、実際には「みゃあ」としか声にならなかった。
(でも…フルネームでちゃんと名前覚えてくれてるんだ?)
ちょっと意外だ。
「二年B組、辻原さん…だね?担任の先生にも連絡して、この子の親御さんにも連絡入れて貰わないと。キミ、悪いけど内線連絡してくる間、ここにいてもらえるかな?じきに救急車が来るからっ」
そう言うと、主事の男は朝霧の返事を待たずにさっさと校舎の方へ走って行ってしまった。
「おい、…何で俺が…」
朝霧は不満を口にしたが、小さなそれは風の音にかき消されてしまうのだった。
少しすると救急車はやって来て、校内はちょっとした騒ぎになった。
部活動等で残っていた生徒達が集まる中、実琴が気になっていた捲れていたスカートの裾は、気付いたら綺麗に戻されていて。
本当に信じがたいことなのだが、どうやら先程朝霧が屈んだ時、さりげなく直してくれたようであった。
(意外に優しい所もあるんだ。びっくりだよ…)
本当にちょっとだけだけど、アイツを見直した瞬間だった。
電話を終えた主事が朝霧に声を掛けた。
朝霧は、スッとその場を立ち上がると。
「二年B組の辻原実琴。一応クラスメイトです」
無表情のままに答えた。
(一応って何よ、一応って!)
すかさず実琴は突っ込みを入れるが、実際には「みゃあ」としか声にならなかった。
(でも…フルネームでちゃんと名前覚えてくれてるんだ?)
ちょっと意外だ。
「二年B組、辻原さん…だね?担任の先生にも連絡して、この子の親御さんにも連絡入れて貰わないと。キミ、悪いけど内線連絡してくる間、ここにいてもらえるかな?じきに救急車が来るからっ」
そう言うと、主事の男は朝霧の返事を待たずにさっさと校舎の方へ走って行ってしまった。
「おい、…何で俺が…」
朝霧は不満を口にしたが、小さなそれは風の音にかき消されてしまうのだった。
少しすると救急車はやって来て、校内はちょっとした騒ぎになった。
部活動等で残っていた生徒達が集まる中、実琴が気になっていた捲れていたスカートの裾は、気付いたら綺麗に戻されていて。
本当に信じがたいことなのだが、どうやら先程朝霧が屈んだ時、さりげなく直してくれたようであった。
(意外に優しい所もあるんだ。びっくりだよ…)
本当にちょっとだけだけど、アイツを見直した瞬間だった。
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