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奇跡の少女
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昨夜。
立花が桐生からの連絡を受けたのは、日付が変わる少し前のことだった。
『無事、掃除屋との接触を果たした』との報告に、今までの桐生の苦労を知っている身としては、それは嬉しいニュース以外の何ものでもなく。だが、何よりその正体に興味津々だった立花は、次に続いた桐生の言葉に暫く『?』を飛ばしていた。
「は?どういうことです?話が出来た訳じゃない…ということですか?」
接触を果たしたというからには、会話に持ち込むことが出来たのだと思っていたのだが。
『だから…。眠っちまって話どころじゃなかったんだって』
「…眠って……?」
いったい、どういう状況なのか。イマイチ掴めない。
『実は、アイツが現れる前に、くだらねぇ連中と余計な抗争が始まっちまってよ。奴ら勝てねぇと判ると途中から凶器を持ち出して来やがって。卑怯な手に苦戦してた所にアイツが加勢に入って来たんだ』
そう、どこか落ち着いた様子で話す桐生は、既に掃除屋という人物に心を許しているかのような話し方だ。その後、疲れ果てたのか気を失うように眠ってしまったと、まるで何でもないことのように普通に語っているのは何故なんだろう。違和感が拭えない。
「それじゃあ…彼女は…?」
『ああ、連れて帰ってウチで寝かせる』
平然と続いた言葉に。
「ええぇっ!?マジですかっ!?」
驚きで一杯になった。
(何でそんな流れにっ?幾ら話がしたいと言っても、そんな人物を家に連れて帰るなんてどうかしてる…)
それに、彼の家は『普通の家』ではないのだから。
だが、ふと立花は冷静になった。そう言えば、彼女自身の話をまだ桐生の口から聞いていない。
…その正体を。
「…大丈夫なんですか?何処の誰かも分からない人物を連れ帰ったりなんかして…」
『や、大丈夫だろ。流石に連絡先までは知らねぇけど身元は割れてるし…。実はさ、そのことでお前に電話したんだよ』
そう、平然と続ける桐生に。
「はい…?」
(連絡先って何っ!?身元は割れてるって??)
混乱してる間にも、電話の向こうで桐生は『警察沙汰になったら困る』だの『連絡』がどうだの『調べて欲しい』だのと話を進めてしまっていて立花は慌てた。
「ちょっ…ちょっと待って下さいっ!結局、掃除屋はいったい誰だったんですかっ!?」
やっと核心部分を突くことが出来て、半ば興奮気味の立花の耳に聞こえて来た名は、あまりに予想外のもので。
暫くの間、立花は言葉を発することが出来なかった。
だが、その正体さえ知ってしまえば、あとは桐生の要望に応えるべく動くのみだった。立花は、自分の持ち得るあらゆる情報網を使って紅葉の連絡先を調べたのである。
「まず要点を述べると、先程なんですが連絡は付きました。既に相手方に状況を報告済みです」
「さすが立花。仕事がはえーな」
そんな称賛の言葉に立花は笑みを見せると続けた。
「実を言うと直接家の方ではないのですが、とりあえず身内に近い人物に連絡を取れたので大きな騒動になることはないと思います」
「身内に近い…って、どういうことだ?」
「はい。実は、彼女の家は母子家庭で。母親と二人きりらしく、夜間母親はいつも仕事に行っているので家には居ないんだそうです。その為、隣に住んでいる彼女の幼馴染みである人物に連絡を取りました」
立花が桐生からの連絡を受けたのは、日付が変わる少し前のことだった。
『無事、掃除屋との接触を果たした』との報告に、今までの桐生の苦労を知っている身としては、それは嬉しいニュース以外の何ものでもなく。だが、何よりその正体に興味津々だった立花は、次に続いた桐生の言葉に暫く『?』を飛ばしていた。
「は?どういうことです?話が出来た訳じゃない…ということですか?」
接触を果たしたというからには、会話に持ち込むことが出来たのだと思っていたのだが。
『だから…。眠っちまって話どころじゃなかったんだって』
「…眠って……?」
いったい、どういう状況なのか。イマイチ掴めない。
『実は、アイツが現れる前に、くだらねぇ連中と余計な抗争が始まっちまってよ。奴ら勝てねぇと判ると途中から凶器を持ち出して来やがって。卑怯な手に苦戦してた所にアイツが加勢に入って来たんだ』
そう、どこか落ち着いた様子で話す桐生は、既に掃除屋という人物に心を許しているかのような話し方だ。その後、疲れ果てたのか気を失うように眠ってしまったと、まるで何でもないことのように普通に語っているのは何故なんだろう。違和感が拭えない。
「それじゃあ…彼女は…?」
『ああ、連れて帰ってウチで寝かせる』
平然と続いた言葉に。
「ええぇっ!?マジですかっ!?」
驚きで一杯になった。
(何でそんな流れにっ?幾ら話がしたいと言っても、そんな人物を家に連れて帰るなんてどうかしてる…)
それに、彼の家は『普通の家』ではないのだから。
だが、ふと立花は冷静になった。そう言えば、彼女自身の話をまだ桐生の口から聞いていない。
…その正体を。
「…大丈夫なんですか?何処の誰かも分からない人物を連れ帰ったりなんかして…」
『や、大丈夫だろ。流石に連絡先までは知らねぇけど身元は割れてるし…。実はさ、そのことでお前に電話したんだよ』
そう、平然と続ける桐生に。
「はい…?」
(連絡先って何っ!?身元は割れてるって??)
混乱してる間にも、電話の向こうで桐生は『警察沙汰になったら困る』だの『連絡』がどうだの『調べて欲しい』だのと話を進めてしまっていて立花は慌てた。
「ちょっ…ちょっと待って下さいっ!結局、掃除屋はいったい誰だったんですかっ!?」
やっと核心部分を突くことが出来て、半ば興奮気味の立花の耳に聞こえて来た名は、あまりに予想外のもので。
暫くの間、立花は言葉を発することが出来なかった。
だが、その正体さえ知ってしまえば、あとは桐生の要望に応えるべく動くのみだった。立花は、自分の持ち得るあらゆる情報網を使って紅葉の連絡先を調べたのである。
「まず要点を述べると、先程なんですが連絡は付きました。既に相手方に状況を報告済みです」
「さすが立花。仕事がはえーな」
そんな称賛の言葉に立花は笑みを見せると続けた。
「実を言うと直接家の方ではないのですが、とりあえず身内に近い人物に連絡を取れたので大きな騒動になることはないと思います」
「身内に近い…って、どういうことだ?」
「はい。実は、彼女の家は母子家庭で。母親と二人きりらしく、夜間母親はいつも仕事に行っているので家には居ないんだそうです。その為、隣に住んでいる彼女の幼馴染みである人物に連絡を取りました」
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