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いらだち
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(夜のことも…。もう、これ以上迷惑なんか掛けたくない…)
先日の夜…。
私は夢うつつだった。
気付いたら目の前には圭ちゃんがいて。「大丈夫?紅葉…」いつもの心配げな優しい瞳がこちらを覗き込んでいた。
すぐには状況が把握出来なかった。
夢を見ていた気がするのに…。何だかとっても温かな夢を。
でも、気付けば周囲は暗くて、冷たい風が吹いていて。夜なんだと気づいた。
…覚えてない。記憶がない。
夜に外に出た記憶なんかない。
当たり前だ。自分は普通に自室のベッドに寝ていた筈なのだから。
そこで、すぐに状況を理解した。
また、やってしまったのだと…。
私は、何故か圭ちゃんの自転車の後ろに座っていて。
知らない内に、また圭ちゃんに迷惑を掛けてしまったのだと瞬時に悟った。
それは、今までにも何度かあったことだった。
私の夢遊病が酷く、町内で噂になってしまったり、やたらと追われることが多くなった時。周囲の噂話によってそれが発覚して、圭ちゃんはそんな私をフォローしようと動いてくれていた。大抵は、私自身の知らないところで…だけれど。
私は眠って行動している時でも、何故か圭ちゃんの声にだけは素直に応じるらしくて。通常は追われれば追われる程、何故か逃げるらしいのだが、圭ちゃんだけは、そんな私の行動を止めることが出来るらしい。
それは自分的には、すごく嬉しいことだと思っていた。圭ちゃんは特別なんだって…。自分で意識していない所でも、それは変わらないのだということが証明出来ているようで。
でも、それは違う。
これは、ただの甘えだ。
圭ちゃんは家族でも何でもない。ただ、小さな頃から偶然近くにいた分、そんな状況を嫌でも知ってしまっただけなのだ。
そして、優しい圭ちゃんは、そんな私を放っておけなかっただけ。
…イライラする。
自分の行動。その甘さに。
そして、こんな状況になっても自分が夜な夜な外に出て何をしているのか把握することも出来ず、その理由は勿論のこと、実感さえも湧かないなんて。
(実際、ヤバイ。今更だけど私、かなりヤバイ人だ…)
普通に精神状態を疑うレベルだと思う。本当に今更だけれど。
(でも、もう終わりにしなくちゃ。圭ちゃんの手を煩わせない為にも…)
自分では、どうすることも出来ない無意識下の行動。
でも、それでも…。そこに向き合って自分でどうにか制御していくしか道はないのだ。
もう、子どもではないのだから。自分で自分の行動には責任を持たなくては…。
(でも、どうしたら良いんだろ?どうすれば治るのかな…?)
独り思いを巡らせながら校門を後にすると、前から差し込む西日に思わず足を止めた。
周囲には同じ制服を着た生徒たちが未だちらほらと見え、そんな中、一組のカップルが仲睦まじく腕を組んで歩いている後ろ姿が目に入った。
(圭ちゃんたちも、あんな風に並んで歩いて帰ったのかな…)
仲良さそうに腕を組んでいた二人。
磯山さんは圭ちゃんに『猛アピール』してるって以前タカちゃんが言っていた。そして、今現在付き合ってるってことは、見事に圭ちゃんのハートを射止めたことになる。
(すごいなぁ…)
嬉しそうに笑っていた彼女の姿が頭を過ぎる。
知らず目が潤んできて、紅葉は右手の甲で目頭を押さえた。
「西日が眩しい、な…」
先日の夜…。
私は夢うつつだった。
気付いたら目の前には圭ちゃんがいて。「大丈夫?紅葉…」いつもの心配げな優しい瞳がこちらを覗き込んでいた。
すぐには状況が把握出来なかった。
夢を見ていた気がするのに…。何だかとっても温かな夢を。
でも、気付けば周囲は暗くて、冷たい風が吹いていて。夜なんだと気づいた。
…覚えてない。記憶がない。
夜に外に出た記憶なんかない。
当たり前だ。自分は普通に自室のベッドに寝ていた筈なのだから。
そこで、すぐに状況を理解した。
また、やってしまったのだと…。
私は、何故か圭ちゃんの自転車の後ろに座っていて。
知らない内に、また圭ちゃんに迷惑を掛けてしまったのだと瞬時に悟った。
それは、今までにも何度かあったことだった。
私の夢遊病が酷く、町内で噂になってしまったり、やたらと追われることが多くなった時。周囲の噂話によってそれが発覚して、圭ちゃんはそんな私をフォローしようと動いてくれていた。大抵は、私自身の知らないところで…だけれど。
私は眠って行動している時でも、何故か圭ちゃんの声にだけは素直に応じるらしくて。通常は追われれば追われる程、何故か逃げるらしいのだが、圭ちゃんだけは、そんな私の行動を止めることが出来るらしい。
それは自分的には、すごく嬉しいことだと思っていた。圭ちゃんは特別なんだって…。自分で意識していない所でも、それは変わらないのだということが証明出来ているようで。
でも、それは違う。
これは、ただの甘えだ。
圭ちゃんは家族でも何でもない。ただ、小さな頃から偶然近くにいた分、そんな状況を嫌でも知ってしまっただけなのだ。
そして、優しい圭ちゃんは、そんな私を放っておけなかっただけ。
…イライラする。
自分の行動。その甘さに。
そして、こんな状況になっても自分が夜な夜な外に出て何をしているのか把握することも出来ず、その理由は勿論のこと、実感さえも湧かないなんて。
(実際、ヤバイ。今更だけど私、かなりヤバイ人だ…)
普通に精神状態を疑うレベルだと思う。本当に今更だけれど。
(でも、もう終わりにしなくちゃ。圭ちゃんの手を煩わせない為にも…)
自分では、どうすることも出来ない無意識下の行動。
でも、それでも…。そこに向き合って自分でどうにか制御していくしか道はないのだ。
もう、子どもではないのだから。自分で自分の行動には責任を持たなくては…。
(でも、どうしたら良いんだろ?どうすれば治るのかな…?)
独り思いを巡らせながら校門を後にすると、前から差し込む西日に思わず足を止めた。
周囲には同じ制服を着た生徒たちが未だちらほらと見え、そんな中、一組のカップルが仲睦まじく腕を組んで歩いている後ろ姿が目に入った。
(圭ちゃんたちも、あんな風に並んで歩いて帰ったのかな…)
仲良さそうに腕を組んでいた二人。
磯山さんは圭ちゃんに『猛アピール』してるって以前タカちゃんが言っていた。そして、今現在付き合ってるってことは、見事に圭ちゃんのハートを射止めたことになる。
(すごいなぁ…)
嬉しそうに笑っていた彼女の姿が頭を過ぎる。
知らず目が潤んできて、紅葉は右手の甲で目頭を押さえた。
「西日が眩しい、な…」
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