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いらだち
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「だって…自分の行動さえ制御出来てないくせに、昔からけいちゃんを巻き込んでばかりでっ。迷惑以外の何ものでもないっ!そんなの、私にだって分かってるよ!」
「紅葉っ!それは違うっ」
僕は巻き込まれてるだなんて思ったことは一度もない。そう伝えたいのに紅葉はたたみ掛けるように言葉を続けた。
「違わないよっ!いつまでもけいちゃんが優しいからって甘えてばかりで…っ。このままじゃダメだって分かってるのにっ。それなのに…自分では、どうすることも出来なくて。…情けないよね。こんなんじゃ嫌われて当然だよね…っ…」
次第に語尾が小さくなっていく紅葉の言葉に、僕は我が耳を疑った。
「ちょっと待ってよっ。どうしてそんな話になっちゃうんだよっ?」
僕が紅葉を嫌いになるって?いったい誰がそんなこと…。
そう続けようとした言葉は。
「…もう、放っておいてくれて良い、から…っ…」
そう言って駆け出した紅葉に届くことはなかった。
結局、それ以来はずっと紅葉に避けられたままだ。逆に、今までよりもあからさまに避けているのが分かる程で、圭は苛立ちを募らせていた。
(何でこんなことになっちゃったんだろう…?そもそも、紅葉の様子がおかしくなったのは何でなんだ?そのきっかけさえも分からない…)
自分は何か、紅葉が嫌がるようなことを言ってしまったんだろうか?
知らぬうちに彼女を傷つけていたんだろうか?
(…分からない…)
紅葉は『嫌われて当然』だと言った。
でも、自分は紅葉に『嫌う』なんて言葉を一度でも口にしたことなどないのだ。
(…当たり前だ。こんなにも、彼女のことが好きなのに…)
「…もうっ、本宮くんってば」
「あっ…。ごめん、何?」
「どうしたの?急に立ち止まったりして…。皆もう行っちゃったよ?」
その言葉に周囲を見渡すと、今まで一緒に歩いていたクラスメイト達は、その子以外いなくなっていた。
「あ…」
隣にいたのは特別仲が良いという訳でもないけど、最近よく話し掛けてくるクラスメイトの女の子だ。
(よく朝も一緒になることが多いよな。確か、名前は磯山さん…って言ったっけ…)
いつも割と大きな集団になってしまっているので特に気にしてもいなかったのだが、彼女は気付けばよく隣にいることが多い。積極的に話し掛けてくるので、だいたい自分は聞き役に回っていることの方が多いのだけれど。
いつまでも立ち尽くしていると予鈴のチャイムが鳴ってしまうので、とりあえず二人一緒に歩き出した。
「待っててくれたんだね、ごめん」
「全然いいの。でも、今日は随分ぼーっとしてるね。何か悩み事でもあったりするの?」
「うーん…。悩み…っていう程でもないんだけどね」
…とか言いつつ本当は、かなり堪えているのだけれど。
(それをこの子に話しても仕方ないしな…)
彼女と話をしながら目線だけでさり気なく紅葉の姿を探していた。でも、もう校舎へと入ってしまったんだろう。一緒にいた桐生さんも周囲には見当たらなかった。
知らず小さくため息が出る。
すると、隣の彼女が首を傾げながら見上げてきた。
「本宮くんってば、まーた溜息ついてるっ。何だか悲しいなぁ」
「…悲しい?何で?」
彼女の言ってることが分からなくて聞き返すと。
「だって、私…本宮くんのこと好きだからっ」
笑顔で思わぬ言葉が返ってきて、圭は面食らってしまった。
「紅葉っ!それは違うっ」
僕は巻き込まれてるだなんて思ったことは一度もない。そう伝えたいのに紅葉はたたみ掛けるように言葉を続けた。
「違わないよっ!いつまでもけいちゃんが優しいからって甘えてばかりで…っ。このままじゃダメだって分かってるのにっ。それなのに…自分では、どうすることも出来なくて。…情けないよね。こんなんじゃ嫌われて当然だよね…っ…」
次第に語尾が小さくなっていく紅葉の言葉に、僕は我が耳を疑った。
「ちょっと待ってよっ。どうしてそんな話になっちゃうんだよっ?」
僕が紅葉を嫌いになるって?いったい誰がそんなこと…。
そう続けようとした言葉は。
「…もう、放っておいてくれて良い、から…っ…」
そう言って駆け出した紅葉に届くことはなかった。
結局、それ以来はずっと紅葉に避けられたままだ。逆に、今までよりもあからさまに避けているのが分かる程で、圭は苛立ちを募らせていた。
(何でこんなことになっちゃったんだろう…?そもそも、紅葉の様子がおかしくなったのは何でなんだ?そのきっかけさえも分からない…)
自分は何か、紅葉が嫌がるようなことを言ってしまったんだろうか?
知らぬうちに彼女を傷つけていたんだろうか?
(…分からない…)
紅葉は『嫌われて当然』だと言った。
でも、自分は紅葉に『嫌う』なんて言葉を一度でも口にしたことなどないのだ。
(…当たり前だ。こんなにも、彼女のことが好きなのに…)
「…もうっ、本宮くんってば」
「あっ…。ごめん、何?」
「どうしたの?急に立ち止まったりして…。皆もう行っちゃったよ?」
その言葉に周囲を見渡すと、今まで一緒に歩いていたクラスメイト達は、その子以外いなくなっていた。
「あ…」
隣にいたのは特別仲が良いという訳でもないけど、最近よく話し掛けてくるクラスメイトの女の子だ。
(よく朝も一緒になることが多いよな。確か、名前は磯山さん…って言ったっけ…)
いつも割と大きな集団になってしまっているので特に気にしてもいなかったのだが、彼女は気付けばよく隣にいることが多い。積極的に話し掛けてくるので、だいたい自分は聞き役に回っていることの方が多いのだけれど。
いつまでも立ち尽くしていると予鈴のチャイムが鳴ってしまうので、とりあえず二人一緒に歩き出した。
「待っててくれたんだね、ごめん」
「全然いいの。でも、今日は随分ぼーっとしてるね。何か悩み事でもあったりするの?」
「うーん…。悩み…っていう程でもないんだけどね」
…とか言いつつ本当は、かなり堪えているのだけれど。
(それをこの子に話しても仕方ないしな…)
彼女と話をしながら目線だけでさり気なく紅葉の姿を探していた。でも、もう校舎へと入ってしまったんだろう。一緒にいた桐生さんも周囲には見当たらなかった。
知らず小さくため息が出る。
すると、隣の彼女が首を傾げながら見上げてきた。
「本宮くんってば、まーた溜息ついてるっ。何だか悲しいなぁ」
「…悲しい?何で?」
彼女の言ってることが分からなくて聞き返すと。
「だって、私…本宮くんのこと好きだからっ」
笑顔で思わぬ言葉が返ってきて、圭は面食らってしまった。
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