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八年越しの…
21-2
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暫くの間、腕の中で泣き続けている夏樹をなぐさめていた雅耶だったが、落ち着いて来たのを見計らって、そっとベッドに寄り掛かれるように床部分に座らせた。そして、それに向かい合うように自分も膝をついて座ると、未だ瞳を潤ませて下を向いてぐすぐすいっている夏樹に優しく語り掛けた。
「本当は…さ、お前が夏樹だって気付いた時、それをお前に伝えてしまうことで、お前が冬樹として生きて来た八年間を俺が壊しちゃうんじゃないかって不安だったんだ…」
その言葉に、夏樹は僅かに顔を上げる。
「お前が何故、冬樹として生きて来なければならなかったのか、俺…ずっと考えてた。実際、俺は八年間…気付きもしなかったし、そんなこと思ってもみなかった。そんな可能性さえ疑ってもいなかったんだ」
穏やかに。だが、まっすぐに夏樹を見詰めて話すと、夏樹も涙に濡れた瞳をこちらに向けた。
「最初は、本当に判らなかったよ。前にも言ったかも知れないけど…俺は、お前と高校で再会して一緒に過ごすようになって、お前の『冬樹』の中に夏樹を見つけてさ…。二人が妙にかぶって見えて戸惑っていたんだ」
「…オレの…中に…」
大きな瞳を揺らしている夏樹に。
雅耶は目を細めると、優しく微笑みを浮かべた。
「それでも、流石に二人が入れ替わっているなんて発想には行き着かなかった。それ位、お前はしっかり『冬樹』だったよ」
「………」
「確信を持った時は…正直驚いた。本当に…。お前がずっと八年もの長い間、ひとりでその秘密を背負ってきたのかと思うと、本当に衝撃だったし…。俺は自分が許せなかった。何でもっと早く気付いてやれなかったんだって…」
「……雅耶…」
辛そうに、僅かに眉根を寄せている雅耶に。
いたたまれなくて、夏樹は再び下を向いた。
それは仕方のないことだ。
実際、自分は必死にひた隠しにしてきたのだから。
(オレは、そんな風に言って貰う資格なんかない…)
最初は、純粋に兄の居場所を守りたかった。
でも、それは名目にすぎなかった。
結局、最終的に自分は、この自分の居場所を守りたくて…。
お前に嫌われるのを恐れて、秘密を打ち明けられなかっただけだ。
「…違うよ…。雅耶は何も悪くなんかない。みんなオレが…。オレのワガママが撒いた種なんだ…。それをオレがずっと、認められなかっただけなんだよ」
「本当は…さ、お前が夏樹だって気付いた時、それをお前に伝えてしまうことで、お前が冬樹として生きて来た八年間を俺が壊しちゃうんじゃないかって不安だったんだ…」
その言葉に、夏樹は僅かに顔を上げる。
「お前が何故、冬樹として生きて来なければならなかったのか、俺…ずっと考えてた。実際、俺は八年間…気付きもしなかったし、そんなこと思ってもみなかった。そんな可能性さえ疑ってもいなかったんだ」
穏やかに。だが、まっすぐに夏樹を見詰めて話すと、夏樹も涙に濡れた瞳をこちらに向けた。
「最初は、本当に判らなかったよ。前にも言ったかも知れないけど…俺は、お前と高校で再会して一緒に過ごすようになって、お前の『冬樹』の中に夏樹を見つけてさ…。二人が妙にかぶって見えて戸惑っていたんだ」
「…オレの…中に…」
大きな瞳を揺らしている夏樹に。
雅耶は目を細めると、優しく微笑みを浮かべた。
「それでも、流石に二人が入れ替わっているなんて発想には行き着かなかった。それ位、お前はしっかり『冬樹』だったよ」
「………」
「確信を持った時は…正直驚いた。本当に…。お前がずっと八年もの長い間、ひとりでその秘密を背負ってきたのかと思うと、本当に衝撃だったし…。俺は自分が許せなかった。何でもっと早く気付いてやれなかったんだって…」
「……雅耶…」
辛そうに、僅かに眉根を寄せている雅耶に。
いたたまれなくて、夏樹は再び下を向いた。
それは仕方のないことだ。
実際、自分は必死にひた隠しにしてきたのだから。
(オレは、そんな風に言って貰う資格なんかない…)
最初は、純粋に兄の居場所を守りたかった。
でも、それは名目にすぎなかった。
結局、最終的に自分は、この自分の居場所を守りたくて…。
お前に嫌われるのを恐れて、秘密を打ち明けられなかっただけだ。
「…違うよ…。雅耶は何も悪くなんかない。みんなオレが…。オレのワガママが撒いた種なんだ…。それをオレがずっと、認められなかっただけなんだよ」
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