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譲れない想い
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雅耶はこの後どうするか、考えながら歩いていた。
冬樹には、無事なのかどうかとメールを返しておいたが、未だ連絡は入っていない。
連絡がないのは、特に何事もなく平穏無事な証拠だと思いたい所だが、やはり確認するまでは気になって落ち着かない…というのが、正直な気持ちだった。
(…電話してみるか…。心配性だと思われるかな…?いや、でも実際心配なんだから仕方ない、よな…)
自問自答を繰り返しつつ、とりあえず家に着くまで待ってみて、その間に何も連絡がなければ、こちらから一度冬樹に電話をしてみるということに落ち着いた。
ある角を曲がり、自宅まであと直線で数十メートルという所まで来た時、不意に道端に停車している車が目に入った。
(あれは…野崎の家の前、辺り…か?)
この辺りでは、あまり見掛けない車だ。
たまたま近所の家に客が来ているだけなのかも知れないが。
近くまで行くと、エンジンが掛かったまま人が乗っていることに気付く。
(…誰かを待ってるのか?それとも、道でも迷ったか…?)
あまりじろじろ見るのも失礼だと思い、さり気なく車の横を通り過ぎた。
そして、自宅の門をくぐろうとした時。
「…ちょっと、すみません」
運転席の男が、車から降りて声を掛けて来た。
「…はい?」
若干警戒の色を見せつつも、雅耶は足を止める。
男は車の横に立ったまま笑顔を見せた。
「キミ、久賀雅耶くん…だよね?」
「そう、ですけど…」
突然、見ず知らずの男の口から自分の名前が出てきて、雅耶は余計に警戒を露わにする。
「そんな怖い顔しないでよ。別に怪しい者じゃないよ。…いや、十分怪しく見えるかな…?とにかく、キミに預けたいものがあるんだ」
男は悪意のなさそうな笑顔を見せて、運転席のすぐ後ろの後部座席のドアを開けた。
(預けたいもの…?)
男は車の中に上半身を乗り入れるようにすると、何か大きなものを抱える素振りを見せた。
「…『もの』は『もの』でも、者…なんだけどね」
そう言って笑う男が、車の中から抱えて出してきた『もの』は…。
「…っ!?冬樹っ!?」
眠っているらしい、冬樹だった。
「いったいどうしてっ!?」
目の前の男への不信感はあるものの、そこに居る冬樹のことが気になって、雅耶は咄嗟にその男の傍へと駆け寄っていた。
冬樹には、無事なのかどうかとメールを返しておいたが、未だ連絡は入っていない。
連絡がないのは、特に何事もなく平穏無事な証拠だと思いたい所だが、やはり確認するまでは気になって落ち着かない…というのが、正直な気持ちだった。
(…電話してみるか…。心配性だと思われるかな…?いや、でも実際心配なんだから仕方ない、よな…)
自問自答を繰り返しつつ、とりあえず家に着くまで待ってみて、その間に何も連絡がなければ、こちらから一度冬樹に電話をしてみるということに落ち着いた。
ある角を曲がり、自宅まであと直線で数十メートルという所まで来た時、不意に道端に停車している車が目に入った。
(あれは…野崎の家の前、辺り…か?)
この辺りでは、あまり見掛けない車だ。
たまたま近所の家に客が来ているだけなのかも知れないが。
近くまで行くと、エンジンが掛かったまま人が乗っていることに気付く。
(…誰かを待ってるのか?それとも、道でも迷ったか…?)
あまりじろじろ見るのも失礼だと思い、さり気なく車の横を通り過ぎた。
そして、自宅の門をくぐろうとした時。
「…ちょっと、すみません」
運転席の男が、車から降りて声を掛けて来た。
「…はい?」
若干警戒の色を見せつつも、雅耶は足を止める。
男は車の横に立ったまま笑顔を見せた。
「キミ、久賀雅耶くん…だよね?」
「そう、ですけど…」
突然、見ず知らずの男の口から自分の名前が出てきて、雅耶は余計に警戒を露わにする。
「そんな怖い顔しないでよ。別に怪しい者じゃないよ。…いや、十分怪しく見えるかな…?とにかく、キミに預けたいものがあるんだ」
男は悪意のなさそうな笑顔を見せて、運転席のすぐ後ろの後部座席のドアを開けた。
(預けたいもの…?)
男は車の中に上半身を乗り入れるようにすると、何か大きなものを抱える素振りを見せた。
「…『もの』は『もの』でも、者…なんだけどね」
そう言って笑う男が、車の中から抱えて出してきた『もの』は…。
「…っ!?冬樹っ!?」
眠っているらしい、冬樹だった。
「いったいどうしてっ!?」
目の前の男への不信感はあるものの、そこに居る冬樹のことが気になって、雅耶は咄嗟にその男の傍へと駆け寄っていた。
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