198 / 302
天敵襲来!
16-2
しおりを挟む
だが、続けられた長瀬の言葉は、冬樹が想像すらしていなかった意外なものだった。
「何か、どうやらあの二人…別れちゃったらしいんだよね」
「……えっ?」
「あの合コンでカップル成立した奴等が、逆に雅耶達が別れちゃったってんで、原因とか何だったのかなーって気にしてるんだ。冬樹チャンなら何か聞いてるかなーって思ったんだけど…。そっかー、冬樹チャンにも言わないかぁ」
長瀬は天を見上げた。
(カップル成立した奴らもちゃんといたんだ…)
それさえも初耳だった。
でも、何だか腑に落ちなくて冬樹は言った。
「でも、もともと雅耶が嫌がってるとこを皆が無理やり合コン企画させたんだろ?今更、雅耶のこと気にしてたってしょうがないじゃないか」
「んー…まぁ、確かに…そうと言えばそうなんだけど…。冬樹チャン、…何か怒ってる?」
「別に…。でも、ホントのことだろ?」
冬樹は何だか面白くなくて、思わず口を尖らせた。
「そんな風に後から気にする位なら、最初からもっとあいつの気持ちも考えてやれよなって、…ちょっとそう思っただけだよ」
「うーん…。合コンに関しては散々催促してた手前、耳が痛いにゃー…」
「別に、お前達を責めてる訳じゃないけどな。それこそ、オレが怒ってたってしょうがないし…。雅耶だって別に彼女とのことを皆のせいにしたりはしない筈だよ」
そう言って冬樹が少し笑顔を見せると、長瀬は何故だか感心したように言った。
「冬樹チャンって一見クールそうなのに、情に厚いよねー。男前だにゃー」
「…そうか?」
(実は女なのに、散々『男前』って言われてるオレって何なんだろうな…)
そう思ったら可笑しくて思わず笑ってしまった。
すると、周囲を歩いていた生徒達が一瞬冬樹達に注目して固まった。
「………?」
隣で同様に頬を染めて固まっている長瀬に、冬樹は首を傾げると。
「どうしたんだよ?早くいかないと、そろそろ予鈴鳴るぞ?」
そう言いながら、そのまま歩き出した。
長瀬はその言葉にすぐに我に返ると「待ってよー冬樹チャーン!」と、慌てて後を追い掛けて行った。
そんな生徒達の登校してくる様子を、校舎の二階の窓から眺めている一人の人物がいた。
その人物は、生徒達の中に冬樹の姿を見付けると、ニヤリと一人口元に笑みを浮かべるのだった。
「何か、どうやらあの二人…別れちゃったらしいんだよね」
「……えっ?」
「あの合コンでカップル成立した奴等が、逆に雅耶達が別れちゃったってんで、原因とか何だったのかなーって気にしてるんだ。冬樹チャンなら何か聞いてるかなーって思ったんだけど…。そっかー、冬樹チャンにも言わないかぁ」
長瀬は天を見上げた。
(カップル成立した奴らもちゃんといたんだ…)
それさえも初耳だった。
でも、何だか腑に落ちなくて冬樹は言った。
「でも、もともと雅耶が嫌がってるとこを皆が無理やり合コン企画させたんだろ?今更、雅耶のこと気にしてたってしょうがないじゃないか」
「んー…まぁ、確かに…そうと言えばそうなんだけど…。冬樹チャン、…何か怒ってる?」
「別に…。でも、ホントのことだろ?」
冬樹は何だか面白くなくて、思わず口を尖らせた。
「そんな風に後から気にする位なら、最初からもっとあいつの気持ちも考えてやれよなって、…ちょっとそう思っただけだよ」
「うーん…。合コンに関しては散々催促してた手前、耳が痛いにゃー…」
「別に、お前達を責めてる訳じゃないけどな。それこそ、オレが怒ってたってしょうがないし…。雅耶だって別に彼女とのことを皆のせいにしたりはしない筈だよ」
そう言って冬樹が少し笑顔を見せると、長瀬は何故だか感心したように言った。
「冬樹チャンって一見クールそうなのに、情に厚いよねー。男前だにゃー」
「…そうか?」
(実は女なのに、散々『男前』って言われてるオレって何なんだろうな…)
そう思ったら可笑しくて思わず笑ってしまった。
すると、周囲を歩いていた生徒達が一瞬冬樹達に注目して固まった。
「………?」
隣で同様に頬を染めて固まっている長瀬に、冬樹は首を傾げると。
「どうしたんだよ?早くいかないと、そろそろ予鈴鳴るぞ?」
そう言いながら、そのまま歩き出した。
長瀬はその言葉にすぐに我に返ると「待ってよー冬樹チャーン!」と、慌てて後を追い掛けて行った。
そんな生徒達の登校してくる様子を、校舎の二階の窓から眺めている一人の人物がいた。
その人物は、生徒達の中に冬樹の姿を見付けると、ニヤリと一人口元に笑みを浮かべるのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【R15】アリア・ルージュの妄信
皐月うしこ
ミステリー
その日、白濁の中で少女は死んだ。
異質な匂いに包まれて、全身を粘着質な白い液体に覆われて、乱れた着衣が物語る悲惨な光景を何と表現すればいいのだろう。世界は日常に溢れている。何気ない会話、変わらない秒針、規則正しく進む人波。それでもここに、雲が形を変えるように、ガラスが粉々に砕けるように、一輪の花が小さな種を産んだ。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
イケメン御曹司とは席替えで隣になっても、これ以上何も起こらないはずだった。
たかなしポン太
青春
【第7回カクヨムコンテスト中間選考通過作品】
本編完結しました!
「どうして連絡をよこさなかった?」
「……いろいろあったのよ」
「いろいろ?」
「そう。いろいろ……」
「……そうか」
◆◆◆
俺様でイメケンボッチの社長御曹司、宝生秀一。
家が貧しいけれど頭脳明晰で心優しいヒロイン、月島華恋。
同じ高校のクラスメートであるにもかかわらず、話したことすらなかった二人。
ところが……図書館での偶然の出会いから、二人の運命の歯車が回り始める。
ボッチだった秀一は華恋と時間を過ごしながら、少しずつ自分の世界が広がっていく。
そして華恋も秀一の意外な一面に心を許しながら、少しずつ彼に惹かれていった。
しかし……二人の先には、思いがけない大きな障壁が待ち受けていた。
キャラメルから始まる、素直になれない二人の身分差ラブコメディーです!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる