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キミに会いたくて
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何故か力に捕まって未だに話し込んでいる雅耶を横目に、冬樹は小さく溜息を吐くと、ガードレールに寄り掛かりながら聞こえてくる二人の会話を何気なく聞き流していた。
『話し込んでる』というよりは、一方的に話しているのは力の方で、雅耶は聞かされているという感じだ。
(雅耶はお人好しなんだよ。そんな奴の相手しなくたっていいのに…)
雅耶に対して妙に偉そうな態度の力にムカムカしながらも、あまり関わりたくないので静かに傍観を決め込んでいる冬樹だった。
「俺はさ、毎年この日は欠かさずこうして此処に来てるんだぜ。アイツが少しでも安らかに眠れるように…ってな」
「…あいつ?」
雅耶が聞き返すと、力は威張って言った。
「夏樹のことに決まってんだろ?俺は…俺はなぁっ、絶対にアイツを嫁に貰うって決めてたんだっ!!それなのに…っ」
そこまで聞いて、冬樹は思わず吹き出した。
(何言っちゃってんだっ!?あいつッ!!)
そのまま、独りむせて咳込んでいる冬樹の方に雅耶がゆっくり近付いて来る。
「…大丈夫か?」
「ゴホ…。ん…へーき…」
向こうで、力が感極まったのか海に向かって何か叫んでいる。
「…何ていうか、変わってる奴…だな?」
雅耶は苦笑を浮かべて、それを眺めている。
冬樹はやっと呼吸を落ち着けると、そっと雅耶に耳打ちした。
「なぁ…雅耶、もう行こうぜ?オレ、あいつ苦手でさ…」
「…え?」
冬樹の顔を見ると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
その顔を見た雅耶はクスッ…と、思わず笑みをこぼすと。
「OK。じゃあそろそろ、おいとましよう」
小声で返すと、冬樹は素直に頷いた。
(そういえば、昔聞いたことあったな。おじさんの知り合いの子で夏樹に猛アタックしてる子がいるって…)
確か冬樹から聞いたのだと思う。
その頃、俺も夏樹が好きで冬樹には色々と相談していたから、その話を聞いた時は、ライバルの出現にドキッとしたものだ。
だが、冬樹は笑って言った。
『なっちゃん、すっごい引いててさ。あんなに何かから逃げ回ってるなっちゃんなんて、なかなか見れないと思うよ。…もしかして、何かされたりしたのかな?』
なんて首を傾げていたっけ。
(…っていうか、『何かされた』って何だっ!?)
今更ながらにそんなことを思って、目の前の『冬樹』をまじまじと見ていたら不思議そうな顔をされた。
『話し込んでる』というよりは、一方的に話しているのは力の方で、雅耶は聞かされているという感じだ。
(雅耶はお人好しなんだよ。そんな奴の相手しなくたっていいのに…)
雅耶に対して妙に偉そうな態度の力にムカムカしながらも、あまり関わりたくないので静かに傍観を決め込んでいる冬樹だった。
「俺はさ、毎年この日は欠かさずこうして此処に来てるんだぜ。アイツが少しでも安らかに眠れるように…ってな」
「…あいつ?」
雅耶が聞き返すと、力は威張って言った。
「夏樹のことに決まってんだろ?俺は…俺はなぁっ、絶対にアイツを嫁に貰うって決めてたんだっ!!それなのに…っ」
そこまで聞いて、冬樹は思わず吹き出した。
(何言っちゃってんだっ!?あいつッ!!)
そのまま、独りむせて咳込んでいる冬樹の方に雅耶がゆっくり近付いて来る。
「…大丈夫か?」
「ゴホ…。ん…へーき…」
向こうで、力が感極まったのか海に向かって何か叫んでいる。
「…何ていうか、変わってる奴…だな?」
雅耶は苦笑を浮かべて、それを眺めている。
冬樹はやっと呼吸を落ち着けると、そっと雅耶に耳打ちした。
「なぁ…雅耶、もう行こうぜ?オレ、あいつ苦手でさ…」
「…え?」
冬樹の顔を見ると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
その顔を見た雅耶はクスッ…と、思わず笑みをこぼすと。
「OK。じゃあそろそろ、おいとましよう」
小声で返すと、冬樹は素直に頷いた。
(そういえば、昔聞いたことあったな。おじさんの知り合いの子で夏樹に猛アタックしてる子がいるって…)
確か冬樹から聞いたのだと思う。
その頃、俺も夏樹が好きで冬樹には色々と相談していたから、その話を聞いた時は、ライバルの出現にドキッとしたものだ。
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『なっちゃん、すっごい引いててさ。あんなに何かから逃げ回ってるなっちゃんなんて、なかなか見れないと思うよ。…もしかして、何かされたりしたのかな?』
なんて首を傾げていたっけ。
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