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キミの幻影
12-9
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真剣な雅耶の視線に正面から射られて。
冬樹は迷うように暫く瞳を揺らしていたが、視線を落とすと謝罪の言葉を口にした。
「ご…めん…」
「謝るのは却下って言っただろ?お前、実は自分が狙われてるの…分かってたんじゃないのか?」
責める風でも問い詰める風でもなく、静かに雅耶は言った。
その言葉に冬樹は再び視線を上げると、雅耶の顔を見た。
「前に、首を絞められた時…去り際に『逃げられると思うな』って…言われたんだ…」
「…やっぱり…」
雅耶は、胸の前で組んでいた腕を解くと、小さく息を吐いた。
「でも、バイト帰りにオレが走ってたのは、何となく気配を感じただけで…。実際には誰の姿も見ていないから、どうだかは判らない」
「…ふーん。でも、その気配に気付いたってことは、それだけ普段から気を張っていたんじゃないのか?」
雅耶は、あの夜の冬樹を思い出しながら言った。
あの時の冬樹の警戒している様子は半端では無かった。
(顔色も悪かったし、かなり怯えている感じだった…)
冬樹自身、確信は無いと言うだけで、実際は分かっているのだろう。
だが、冬樹はそんな雅耶の言葉を否定した。
「そうでもないよ。オレ、昨日は思い切り油断してたし…」
そう言うと、自嘲気味に小さく笑った。
「アイツのことは声しか知らなかったから…昨日、目の前に車が停まって、アイツが降りてきた時も全然気にも留めていなくて。気付いた時には遅かった…。まさか、あんな所に堂々と現れるなんて思ってなかったんだ。…完全に油断してた…」
悔いているのか、冬樹が目を伏せながら言った。
「でも、そればっかりは仕方ないんじゃないのか?アイツらだってそれを狙って来てるんだからさ」
「…そう…だな…」
「それよりも…」
雅耶は一旦言葉を区切ると、核心を突いて言った。
「結局、何が原因でお前が狙われたんだ?」
「……っ…」
「さっきお前が居たあの部屋…。それに昨日の会社…。やっぱり、おじさんのことが関係してるんだろ?」
「………」
流石にこの話の流れで、雅耶を誤魔化す事なんて出来ない…と、冬樹は思っていた。
(だけど…何処まで話したらいいっ?『冬樹』の鍵のことはオレには何も解らないし…。下手な事は言えない…。でも、それじゃあオレが狙われた意味もあやふやになる…)
冬樹が心の中で迷っていると、雅耶の瞳が一瞬哀しげな色を見せた。
「俺には…言えない?」
「雅耶…」
冬樹は迷うように暫く瞳を揺らしていたが、視線を落とすと謝罪の言葉を口にした。
「ご…めん…」
「謝るのは却下って言っただろ?お前、実は自分が狙われてるの…分かってたんじゃないのか?」
責める風でも問い詰める風でもなく、静かに雅耶は言った。
その言葉に冬樹は再び視線を上げると、雅耶の顔を見た。
「前に、首を絞められた時…去り際に『逃げられると思うな』って…言われたんだ…」
「…やっぱり…」
雅耶は、胸の前で組んでいた腕を解くと、小さく息を吐いた。
「でも、バイト帰りにオレが走ってたのは、何となく気配を感じただけで…。実際には誰の姿も見ていないから、どうだかは判らない」
「…ふーん。でも、その気配に気付いたってことは、それだけ普段から気を張っていたんじゃないのか?」
雅耶は、あの夜の冬樹を思い出しながら言った。
あの時の冬樹の警戒している様子は半端では無かった。
(顔色も悪かったし、かなり怯えている感じだった…)
冬樹自身、確信は無いと言うだけで、実際は分かっているのだろう。
だが、冬樹はそんな雅耶の言葉を否定した。
「そうでもないよ。オレ、昨日は思い切り油断してたし…」
そう言うと、自嘲気味に小さく笑った。
「アイツのことは声しか知らなかったから…昨日、目の前に車が停まって、アイツが降りてきた時も全然気にも留めていなくて。気付いた時には遅かった…。まさか、あんな所に堂々と現れるなんて思ってなかったんだ。…完全に油断してた…」
悔いているのか、冬樹が目を伏せながら言った。
「でも、そればっかりは仕方ないんじゃないのか?アイツらだってそれを狙って来てるんだからさ」
「…そう…だな…」
「それよりも…」
雅耶は一旦言葉を区切ると、核心を突いて言った。
「結局、何が原因でお前が狙われたんだ?」
「……っ…」
「さっきお前が居たあの部屋…。それに昨日の会社…。やっぱり、おじさんのことが関係してるんだろ?」
「………」
流石にこの話の流れで、雅耶を誤魔化す事なんて出来ない…と、冬樹は思っていた。
(だけど…何処まで話したらいいっ?『冬樹』の鍵のことはオレには何も解らないし…。下手な事は言えない…。でも、それじゃあオレが狙われた意味もあやふやになる…)
冬樹が心の中で迷っていると、雅耶の瞳が一瞬哀しげな色を見せた。
「俺には…言えない?」
「雅耶…」
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