132 / 302
胸騒ぎと焦燥
10-11
しおりを挟む
雅耶は思いもよらなかった彼女の独白に、少なからず驚きつつも。
「そ…っか…。そうだね…。確かに俺が…全部悪いよね…」
そう、僅かに肩を落として呟いた。
彼女を傷つけること位、ずっと分かっていたのに。
いつまでもこの状態に甘んじて、答えを出すことから逃げていたのは自分だから。
泣き続ける唯花に、雅耶は深く頭を下げた。
「唯花ちゃん、今迄…本当にごめん…。こんな時に言うのは、本当にズルイと思うし、最低だと思うけど。やっぱり俺は…キミと付き合うことは出来ないよ」
そう言うと、唯花は顔を覆ったままビクリ…と、動いた。
「本当は、もっと早く伝えるべきだったんだ。だけど、俺はずっと逃げてた。それで余計にキミを傷つけて…。本当に最低だと思う」
雅耶の言葉に、唯花は泣きながらも僅かに顔を上げた。
「冬樹のことは…唯花ちゃんとの事とは関係ないし、あいつはそんなんじゃないけど…。でも、俺にとって特別な奴には変わりないんだ。だから、やっぱり放ってなんか置けない。もう…後悔はしたくないから…」
雅耶は今、思っている自分の気持ちを正直に口にした。
『もう、後悔はしたくない』という言葉の意味は、唯花には分からなかったが。
「だから…そんな俺の行動が唯花ちゃんを傷つけていたなら、本当にごめんね…」
雅耶はそう言うと、涙を零しながらもこちらを見詰めている唯花に、
「少しの間だったけど、楽しかったよ。ありがとう…」
そう言って、もう一度軽く頭を下げると、その場を後にした。
残された唯花は、雅耶の後ろ姿が見えなくなると、再び両手で顔を覆ってその場に泣き崩れた。
雅耶は店の外に出ると、すぐに携帯で直純に連絡を取った。
唯花が見たという状況を全て直純に報告して電話を切ると、再び冬樹の携帯に電話を掛けてみる。が、やはり呼び出し音が鳴り続けるだけだった。
「くそっ…」
雅耶は苛立ち気に電話を切ると、とりあえず駅へと向かう。
『まだ、必ずしも連れ去られたと決まった訳じゃない』
状況を話した時に、直純先生が言った言葉。
『具合が悪くて倒れた冬樹を、介抱してくれた親切な人がいたのかも知れないし、あるいは、接触事故を起こしてしまい病院へ運んだという可能性もある』
その可能性を考慮して、この周辺の病院へは先生が連絡を取って確かめてくれるという。
(悪い方にばかり考えても仕方ない…。俺はとりあえず、冬樹の家に行ってみよう…)
そう決めると、雅耶は居ても立っても居られず駆け出した。
「そ…っか…。そうだね…。確かに俺が…全部悪いよね…」
そう、僅かに肩を落として呟いた。
彼女を傷つけること位、ずっと分かっていたのに。
いつまでもこの状態に甘んじて、答えを出すことから逃げていたのは自分だから。
泣き続ける唯花に、雅耶は深く頭を下げた。
「唯花ちゃん、今迄…本当にごめん…。こんな時に言うのは、本当にズルイと思うし、最低だと思うけど。やっぱり俺は…キミと付き合うことは出来ないよ」
そう言うと、唯花は顔を覆ったままビクリ…と、動いた。
「本当は、もっと早く伝えるべきだったんだ。だけど、俺はずっと逃げてた。それで余計にキミを傷つけて…。本当に最低だと思う」
雅耶の言葉に、唯花は泣きながらも僅かに顔を上げた。
「冬樹のことは…唯花ちゃんとの事とは関係ないし、あいつはそんなんじゃないけど…。でも、俺にとって特別な奴には変わりないんだ。だから、やっぱり放ってなんか置けない。もう…後悔はしたくないから…」
雅耶は今、思っている自分の気持ちを正直に口にした。
『もう、後悔はしたくない』という言葉の意味は、唯花には分からなかったが。
「だから…そんな俺の行動が唯花ちゃんを傷つけていたなら、本当にごめんね…」
雅耶はそう言うと、涙を零しながらもこちらを見詰めている唯花に、
「少しの間だったけど、楽しかったよ。ありがとう…」
そう言って、もう一度軽く頭を下げると、その場を後にした。
残された唯花は、雅耶の後ろ姿が見えなくなると、再び両手で顔を覆ってその場に泣き崩れた。
雅耶は店の外に出ると、すぐに携帯で直純に連絡を取った。
唯花が見たという状況を全て直純に報告して電話を切ると、再び冬樹の携帯に電話を掛けてみる。が、やはり呼び出し音が鳴り続けるだけだった。
「くそっ…」
雅耶は苛立ち気に電話を切ると、とりあえず駅へと向かう。
『まだ、必ずしも連れ去られたと決まった訳じゃない』
状況を話した時に、直純先生が言った言葉。
『具合が悪くて倒れた冬樹を、介抱してくれた親切な人がいたのかも知れないし、あるいは、接触事故を起こしてしまい病院へ運んだという可能性もある』
その可能性を考慮して、この周辺の病院へは先生が連絡を取って確かめてくれるという。
(悪い方にばかり考えても仕方ない…。俺はとりあえず、冬樹の家に行ってみよう…)
そう決めると、雅耶は居ても立っても居られず駆け出した。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説


キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

四条雪乃は結ばれたい。〜深窓令嬢な学園で一番の美少女生徒会長様は、不良な彼に恋してる。〜
八木崎(やぎさき)
青春
「どうしようもないくらいに、私は貴方に惹かれているんですよ?」
「こんなにも私は貴方の事を愛しているのですから。貴方もきっと、私の事を愛してくれるのでしょう?」
「だからこそ、私は貴方と結ばれるべきなんです」
「貴方にとっても、そして私にとっても、お互いが傍にいてこそ、意味のある人生になりますもの」
「……なら、私がこうして行動するのは、当然の事なんですよね」
「だって、貴方を愛しているのですから」
四条雪乃は大企業のご令嬢であり、学園の生徒会長を務める才色兼備の美少女である。
華麗なる美貌と、卓越した才能を持ち、学園中の生徒達から尊敬され、また憧れの人物でもある。
一方、彼女と同じクラスの山田次郎は、彼女とは正反対の存在であり、不良生徒として周囲から浮いた存在である。
彼は学園の象徴とも言える四条雪乃の事を苦手としており、自分が不良だという自己認識と彼女の高嶺の花な存在感によって、彼女とは距離を置くようにしていた。
しかし、ある事件を切っ掛けに彼と彼女は関わりを深める様になっていく。
だが、彼女が見せる積極性、価値観の違いに次郎は呆れ、困り、怒り、そして苦悩する事になる。
「ねぇ、次郎さん。私は貴方の事、大好きですわ」
「そうか。四条、俺はお前の事が嫌いだよ」
一方的な感情を向けてくる雪乃に対して、次郎は拒絶をしたくても彼女は絶対に諦め様とはしない。
彼女の深過ぎる愛情に困惑しながら、彼は今日も身の振り方に苦悩するのであった。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
タカラジェンヌへの軌跡
赤井ちひろ
青春
私立桜城下高校に通う高校一年生、南條さくら
夢はでっかく宝塚!
中学時代は演劇コンクールで助演女優賞もとるほどの力を持っている。
でも彼女には決定的な欠陥が
受験期間高校三年までの残ります三年。必死にレッスンに励むさくらに運命の女神は微笑むのか。
限られた時間の中で夢を追う少女たちを書いた青春小説。
脇を囲む教師たちと高校生の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる