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違和感の先にあるもの
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期末テスト一週間前。
「あーあ…、今日から部活は休みかー…」
「こうも暑いと、早く帰ったって勉強する気になんないよねぇ…」
雅耶と長瀬が隣でぼやいている。
今日からテスト前の部活動禁止期間に入る為、「一緒に帰ろうぜ」と雅耶と長瀬に声を掛けられ、珍しく三人で昇降口へと降りてきた。
「冬樹、バイトは?やっぱりテスト前とかは休み貰ってるのか?」
靴を履き替えながら雅耶が聞いて来る。
「いや…、とりあえずテスト期間中だけ…かな。本当は、テストとか関係なくバイト入ろうと思ってたんだけど、前回直純先生に怒られたんだ」
「怒られた?」
意外そうに聞き返してくる雅耶に、冬樹は笑って言った。
「そんな怒鳴られたりしたワケじゃないけどな。『お前にとっては勉強も仕事の内なんだぞ』って。だから一応テスト前日から、テスト終わるまでは休む感じかな」
「へぇー。冬樹チャン働き者ーっ。きっとイイお嫁さんになれるよーん♪」
茶化す長瀬に、「…なんでだよっ!」と、軽く蹴りを食らわせた。
そんな風にじゃれ合っている二人を横目に、雅耶は一人思いを巡らせていた。
(やっぱり直純先生は、冬樹にはすごく親身になって接しているんだな…)
彼は、もともと周囲への気配りも凄く出来る人だ。特にひとり暮らしをしながら頑張ってる冬樹のことは、傍で見ていて心配で放っておけないのだろう。
普段とは違う、冬樹に向ける時の直純先生の優しい瞳を思い出して、また少しモヤモヤして。
気が付けば、鞄を持つ手に余計な力が加わっていた。
昇降口を出て、門へと向かって並木道を歩いているところで、長瀬が伸びをしながら嬉しそうに言った。
「テストはイヤだけどっ!このテストさえ終わっちゃえば、待ちに待った星女の子達との合コンが待ってるんだー♪あー早くテスト終わんないかにゃー」
「…結局、終業式の日にやることになったんだって?合コン…」
「ああ…。あいつらに押し切られた…」
隣で浮かれてる長瀬を他所に、冬樹と雅耶は会話を続ける。
「その日、部活ないからさ。急きょ決定したんだ」
「結局、何人が参加するんだって?」
「確か、合計12人…。俺を入れて…だけど」
「…すご…」
苦笑している雅耶に合わせて、冬樹も笑顔を見せる。
特別、意識しないように努めながら。
だが、その時。
「久賀くーんっ」
門の向こうから手を振る女の子の姿が見えて、三人は自然と足を止めた。
「あーあ…、今日から部活は休みかー…」
「こうも暑いと、早く帰ったって勉強する気になんないよねぇ…」
雅耶と長瀬が隣でぼやいている。
今日からテスト前の部活動禁止期間に入る為、「一緒に帰ろうぜ」と雅耶と長瀬に声を掛けられ、珍しく三人で昇降口へと降りてきた。
「冬樹、バイトは?やっぱりテスト前とかは休み貰ってるのか?」
靴を履き替えながら雅耶が聞いて来る。
「いや…、とりあえずテスト期間中だけ…かな。本当は、テストとか関係なくバイト入ろうと思ってたんだけど、前回直純先生に怒られたんだ」
「怒られた?」
意外そうに聞き返してくる雅耶に、冬樹は笑って言った。
「そんな怒鳴られたりしたワケじゃないけどな。『お前にとっては勉強も仕事の内なんだぞ』って。だから一応テスト前日から、テスト終わるまでは休む感じかな」
「へぇー。冬樹チャン働き者ーっ。きっとイイお嫁さんになれるよーん♪」
茶化す長瀬に、「…なんでだよっ!」と、軽く蹴りを食らわせた。
そんな風にじゃれ合っている二人を横目に、雅耶は一人思いを巡らせていた。
(やっぱり直純先生は、冬樹にはすごく親身になって接しているんだな…)
彼は、もともと周囲への気配りも凄く出来る人だ。特にひとり暮らしをしながら頑張ってる冬樹のことは、傍で見ていて心配で放っておけないのだろう。
普段とは違う、冬樹に向ける時の直純先生の優しい瞳を思い出して、また少しモヤモヤして。
気が付けば、鞄を持つ手に余計な力が加わっていた。
昇降口を出て、門へと向かって並木道を歩いているところで、長瀬が伸びをしながら嬉しそうに言った。
「テストはイヤだけどっ!このテストさえ終わっちゃえば、待ちに待った星女の子達との合コンが待ってるんだー♪あー早くテスト終わんないかにゃー」
「…結局、終業式の日にやることになったんだって?合コン…」
「ああ…。あいつらに押し切られた…」
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「その日、部活ないからさ。急きょ決定したんだ」
「結局、何人が参加するんだって?」
「確か、合計12人…。俺を入れて…だけど」
「…すご…」
苦笑している雅耶に合わせて、冬樹も笑顔を見せる。
特別、意識しないように努めながら。
だが、その時。
「久賀くーんっ」
門の向こうから手を振る女の子の姿が見えて、三人は自然と足を止めた。
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