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恋は突然に…
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午後6時過ぎ。
(すっかり、遅くなっちゃったな…)
雅耶は、昼間行われた空手大会の打ち上げ祝勝会に出席する為、直純のお店『Cafe & Bar ROCO』を目指して走っていた。混雑している通りに入ると流石に走ることは叶わず、人を避けながら足早に歩いて行く。
店の前に到着すると、雅耶は足を止めて一度だけ深呼吸をした。入口のドアには『本日貸切』の文字が貼られている。
(もう、始まってるよな。遅れることは先生に連絡入れたし大丈夫だろうけど…)
意を決して、そっと店のドアを開けると。
「雅耶っ!遅かったじゃねーかっ!!」
雅耶に気付いた仲間の声に、皆が反応してちょっとした騒ぎになった。
「遅くなりましたー、すみません!お疲れ様ですっ」
雅耶は苦笑を浮かべて入って行くと、
直純がカウンターから「やっと主役のお出ましだな」と声を掛けてきた。
「お前、主役なのに遅いんだよっ!」
「早くこっち座れよっ」
皆に引っ張られながら、空けてあったテーブル席へと座らせられた。
そうして雅耶の優勝を祝い、二度目の乾杯が行われたのだった。
少し落ち着いた頃、雅耶は飲み物を持って直純のいるカウンターへと移動した。
「よっ。お疲れさん」
直純は笑顔で声を掛けてくる。
今日は店が休みで仁志も冬樹も居ない為、直純が一人カウンター内に入って料理を出したりしていた。普段とは違って、自分も飲んだり食べたりしながら…だが。
「…すみません。遅刻してしまって…」
雅耶が座りながら頭を下げると。
「いや、別に問題ないさ。でも…何かあったのか?何だか元気ない感じだな…?」
そう言って直純は雅耶の顔をじっと眺めた。
(直純先生には、ホント…隠し事出来ないな…)
その観察力には、いつも驚かされてしまう。
「冬樹を家に送って来たんです。それで少し遅くなって…」
そこまで口にして、雅耶は内心でハッ…とした。昼間のことは、あまり事を大きくしない方がいいと思ったからだ。
それに…。
冬樹のことで、直純先生を頼りたくはなかった。
変な意地が自分の中にあるのを自覚しながらも…。
(譲れない…。譲りたくない…)
雅耶は言葉を区切ると。
「…ただ、それだけです」
そう言って笑顔を見せるのだった。
(すっかり、遅くなっちゃったな…)
雅耶は、昼間行われた空手大会の打ち上げ祝勝会に出席する為、直純のお店『Cafe & Bar ROCO』を目指して走っていた。混雑している通りに入ると流石に走ることは叶わず、人を避けながら足早に歩いて行く。
店の前に到着すると、雅耶は足を止めて一度だけ深呼吸をした。入口のドアには『本日貸切』の文字が貼られている。
(もう、始まってるよな。遅れることは先生に連絡入れたし大丈夫だろうけど…)
意を決して、そっと店のドアを開けると。
「雅耶っ!遅かったじゃねーかっ!!」
雅耶に気付いた仲間の声に、皆が反応してちょっとした騒ぎになった。
「遅くなりましたー、すみません!お疲れ様ですっ」
雅耶は苦笑を浮かべて入って行くと、
直純がカウンターから「やっと主役のお出ましだな」と声を掛けてきた。
「お前、主役なのに遅いんだよっ!」
「早くこっち座れよっ」
皆に引っ張られながら、空けてあったテーブル席へと座らせられた。
そうして雅耶の優勝を祝い、二度目の乾杯が行われたのだった。
少し落ち着いた頃、雅耶は飲み物を持って直純のいるカウンターへと移動した。
「よっ。お疲れさん」
直純は笑顔で声を掛けてくる。
今日は店が休みで仁志も冬樹も居ない為、直純が一人カウンター内に入って料理を出したりしていた。普段とは違って、自分も飲んだり食べたりしながら…だが。
「…すみません。遅刻してしまって…」
雅耶が座りながら頭を下げると。
「いや、別に問題ないさ。でも…何かあったのか?何だか元気ない感じだな…?」
そう言って直純は雅耶の顔をじっと眺めた。
(直純先生には、ホント…隠し事出来ないな…)
その観察力には、いつも驚かされてしまう。
「冬樹を家に送って来たんです。それで少し遅くなって…」
そこまで口にして、雅耶は内心でハッ…とした。昼間のことは、あまり事を大きくしない方がいいと思ったからだ。
それに…。
冬樹のことで、直純先生を頼りたくはなかった。
変な意地が自分の中にあるのを自覚しながらも…。
(譲れない…。譲りたくない…)
雅耶は言葉を区切ると。
「…ただ、それだけです」
そう言って笑顔を見せるのだった。
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