83 / 302
禁断の恋?
6-13
しおりを挟む
「でも、清香先生って魅力的じゃない?冬樹チャンはあーいう女性…好み?」
長瀬の含んだような言い方に。冬樹は一旦箸を置くと、目の前の二人を見据えて言った。
「おい…。何か言いたいことがあるなら、ハッキリ言えよ。遠まわしに含んで言われるのは気持ち悪いんだよ」
真顔でそう言うと、雅耶が今度はやっと真っ直ぐに自分に視線を合わせてきた。でも、少し落ち込んでいるのか眉が下がっている。
長瀬は「冬樹チャン、男前ー」とか茶化しつつも、待ってましたと言わんばかりに生き生きとして、
「じゃあ、本題に入らせていただきまーすっ!冬樹チャンに突撃インタビュー♪」
そう言って、満面の笑みを浮かべた。
「今、巷で噂になってるんだけど、冬樹チャンの恋のお相手が清香先生ってホントっ?」
(た…単刀直入だな…)
雅耶は横で苦笑しながらも。それでも、動じずに簡単に本人に直接聞く事が出来る長瀬は、ある意味スゴイと思った。
嬉々として質問している長瀬に対して、冬樹は意外な内容だったのか、もともと大きな瞳をまん丸にさせた。
「…は…?」
「だーかーらー、噂になってるのよ。冬樹チャンと清香先生…」
「は…?噂に…?オレと…清香先生が…?」
冬樹は確認をするように、俺を見ながら復唱してきた。
「そう…らしいんだ。俺もさっき長瀬に聞いたんだけど…」
そう控えめに雅耶が付け足すと。
冬樹は驚いた表情のまま、雅耶と長瀬の顔を暫く交互に見ていたが、不意に「ぷっ」…と吹き出した。
「あはははははははっ!」
食堂に響き渡るような、その大きな笑い声に。周囲の学生達は皆、雅耶達のテーブルに注目した。突然笑い出した冬樹の様子に、雅耶も長瀬も思わず唖然としてしまう。
「はははははっ」
それでも、とうとうお腹を抱えて笑い続ける冬樹に、
「あ…あのー…?冬樹サン…?」
流石に心配になって、長瀬が控えめに声を掛けた。
「はははっ…は…あはっ…ごっ…ごめんっ。あんまりにも…面白いこと言うからっ…ははは…可笑し…っ」
笑い過ぎで苦しそうな冬樹に、雅耶も思わず声を掛ける。
「…冬樹…?」
「だって、そうだろっ?…ありえないよっそんな噂。あはは…」
笑い過ぎて涙まで浮かべている。
でも、その無邪気な笑顔はまるで…。
(あの、保健室の写真の笑顔と同じだ…)
否、涙までがキラキラと光ってそれ以上に眩しかった。
周囲の生徒達は皆、そんな冬樹の笑顔に釘付け状態だった。
「じゃあ…じゃあさっ、それは『禁断の恋』否定ってことでいいの?冬樹チャン」
他の生徒達と一緒になって固まってしまっていた長瀬が気を取り直して聞き返すと。
「当たり前だろっ。まったく…誰だよ、そんな下らないこと言ってるの…。はー…苦しかった…」
そうして、ようやく冬樹は笑いを収めたのだった。
笑い過ぎて疲れたのか溜息を一つ付くと、再び箸を取る冬樹を眺めながら、
(何だ…そうだったんだ…)
雅耶は何故か安心している自分がいることを、素直に認めざるを得なかった。
数日後。
雅耶のもとに、涙を浮かべながら笑っている冬樹の写真を持って再び長瀬が交渉に来たことは言うまでもない。
長瀬の含んだような言い方に。冬樹は一旦箸を置くと、目の前の二人を見据えて言った。
「おい…。何か言いたいことがあるなら、ハッキリ言えよ。遠まわしに含んで言われるのは気持ち悪いんだよ」
真顔でそう言うと、雅耶が今度はやっと真っ直ぐに自分に視線を合わせてきた。でも、少し落ち込んでいるのか眉が下がっている。
長瀬は「冬樹チャン、男前ー」とか茶化しつつも、待ってましたと言わんばかりに生き生きとして、
「じゃあ、本題に入らせていただきまーすっ!冬樹チャンに突撃インタビュー♪」
そう言って、満面の笑みを浮かべた。
「今、巷で噂になってるんだけど、冬樹チャンの恋のお相手が清香先生ってホントっ?」
(た…単刀直入だな…)
雅耶は横で苦笑しながらも。それでも、動じずに簡単に本人に直接聞く事が出来る長瀬は、ある意味スゴイと思った。
嬉々として質問している長瀬に対して、冬樹は意外な内容だったのか、もともと大きな瞳をまん丸にさせた。
「…は…?」
「だーかーらー、噂になってるのよ。冬樹チャンと清香先生…」
「は…?噂に…?オレと…清香先生が…?」
冬樹は確認をするように、俺を見ながら復唱してきた。
「そう…らしいんだ。俺もさっき長瀬に聞いたんだけど…」
そう控えめに雅耶が付け足すと。
冬樹は驚いた表情のまま、雅耶と長瀬の顔を暫く交互に見ていたが、不意に「ぷっ」…と吹き出した。
「あはははははははっ!」
食堂に響き渡るような、その大きな笑い声に。周囲の学生達は皆、雅耶達のテーブルに注目した。突然笑い出した冬樹の様子に、雅耶も長瀬も思わず唖然としてしまう。
「はははははっ」
それでも、とうとうお腹を抱えて笑い続ける冬樹に、
「あ…あのー…?冬樹サン…?」
流石に心配になって、長瀬が控えめに声を掛けた。
「はははっ…は…あはっ…ごっ…ごめんっ。あんまりにも…面白いこと言うからっ…ははは…可笑し…っ」
笑い過ぎで苦しそうな冬樹に、雅耶も思わず声を掛ける。
「…冬樹…?」
「だって、そうだろっ?…ありえないよっそんな噂。あはは…」
笑い過ぎて涙まで浮かべている。
でも、その無邪気な笑顔はまるで…。
(あの、保健室の写真の笑顔と同じだ…)
否、涙までがキラキラと光ってそれ以上に眩しかった。
周囲の生徒達は皆、そんな冬樹の笑顔に釘付け状態だった。
「じゃあ…じゃあさっ、それは『禁断の恋』否定ってことでいいの?冬樹チャン」
他の生徒達と一緒になって固まってしまっていた長瀬が気を取り直して聞き返すと。
「当たり前だろっ。まったく…誰だよ、そんな下らないこと言ってるの…。はー…苦しかった…」
そうして、ようやく冬樹は笑いを収めたのだった。
笑い過ぎて疲れたのか溜息を一つ付くと、再び箸を取る冬樹を眺めながら、
(何だ…そうだったんだ…)
雅耶は何故か安心している自分がいることを、素直に認めざるを得なかった。
数日後。
雅耶のもとに、涙を浮かべながら笑っている冬樹の写真を持って再び長瀬が交渉に来たことは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】カワイイ子猫のつくり方
龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。
無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる