75 / 302
禁断の恋?
6-5
しおりを挟む
「だから、色々と…さ、相談に乗って貰っていたんだ。清香先生は、食事のこととかも気に掛けてくれてて…。栄養相談とかも…、少し…?」
雅耶があまりにも驚いた顔をして固まってしまっているので、冬樹は語尾に不安さが出てしまった。
(でも、実際…嘘は付いてないし…)
だが、そんな冬樹の心情とは裏腹に、雅耶はショックを隠し切れない様子だった。
「なん…で…?」
「……えっ?」
「お前…あの後、親戚の家に…引き取られて行ったんだろ?何でっ…今になって…お前一人を放り出すんだよっ?それって…あまりにもー…」
雅耶は驚きと怒りが混ざり合ったような、そんな複雑な様子だった。ふるふる…と、握りしめた拳に怒りを込めている雅耶の様子に、冬樹は慌てて訂正をする。
「違うんだ、雅耶。誤解だよ。別に伯父さん達が悪い訳じゃないんだ」
「そんなこと言ったってっ…お前…まだ高校生なのにっ。普通ひとり暮らしなんてさせないだろっ?」
雅耶は、怒りを抑えられない様子で、信じられないという顔をした。
「違うんだっ。オレがっ…。オレが勝手に逃げただけで…」
自分でもよくわからない内に、涙が頬を伝っていた。
「…冬樹…?」
それは、自分への不甲斐なさ故なのか。
自分なんかの為に本気で怒りを見せる、心優しい幼馴染を思っての涙なのか。
正直、分からなかったけれど…。
「ちょっ…何で泣くんだよっ。冬樹っ…」
雅耶が慌てた様子で顔を覗き込んでくる。オロオロして、既に先程の怒りは何処かへ行ってしまったようだ。
一方、冬樹自身にとってもこれは予想外の涙で、冬樹は慌てて涙を拭った。
「ごっ…ごめんっ。ホント…オレ何で泣いてんだろっ。…格好悪ィな…」
高ぶってしまった気持ちを誤魔化すように明るく言ってみたつもりだったが、雅耶は複雑な表情を浮かべていた。
「…ごめんな。俺がお前の気持ちも考えずに強く言ったから…。無神経だったよな。色んな事情があるんだろうし、俺がとやかく言えることなんかじゃないんだよな」
すっかり意気消沈してしまっている雅耶に。
(お前は本当に優しい奴だよな…)
冬樹は小さく笑うと、
「違うよ。お前は何も悪くない。…オレなんかの為に心配して怒ってくれて…サンキュな」
そう言って、冬樹は笑った。
「――――!!」
初めて見せる、照れたような…その冬樹の優しい笑顔に。
雅耶は思わず目を奪われてしまうのだった。
雅耶があまりにも驚いた顔をして固まってしまっているので、冬樹は語尾に不安さが出てしまった。
(でも、実際…嘘は付いてないし…)
だが、そんな冬樹の心情とは裏腹に、雅耶はショックを隠し切れない様子だった。
「なん…で…?」
「……えっ?」
「お前…あの後、親戚の家に…引き取られて行ったんだろ?何でっ…今になって…お前一人を放り出すんだよっ?それって…あまりにもー…」
雅耶は驚きと怒りが混ざり合ったような、そんな複雑な様子だった。ふるふる…と、握りしめた拳に怒りを込めている雅耶の様子に、冬樹は慌てて訂正をする。
「違うんだ、雅耶。誤解だよ。別に伯父さん達が悪い訳じゃないんだ」
「そんなこと言ったってっ…お前…まだ高校生なのにっ。普通ひとり暮らしなんてさせないだろっ?」
雅耶は、怒りを抑えられない様子で、信じられないという顔をした。
「違うんだっ。オレがっ…。オレが勝手に逃げただけで…」
自分でもよくわからない内に、涙が頬を伝っていた。
「…冬樹…?」
それは、自分への不甲斐なさ故なのか。
自分なんかの為に本気で怒りを見せる、心優しい幼馴染を思っての涙なのか。
正直、分からなかったけれど…。
「ちょっ…何で泣くんだよっ。冬樹っ…」
雅耶が慌てた様子で顔を覗き込んでくる。オロオロして、既に先程の怒りは何処かへ行ってしまったようだ。
一方、冬樹自身にとってもこれは予想外の涙で、冬樹は慌てて涙を拭った。
「ごっ…ごめんっ。ホント…オレ何で泣いてんだろっ。…格好悪ィな…」
高ぶってしまった気持ちを誤魔化すように明るく言ってみたつもりだったが、雅耶は複雑な表情を浮かべていた。
「…ごめんな。俺がお前の気持ちも考えずに強く言ったから…。無神経だったよな。色んな事情があるんだろうし、俺がとやかく言えることなんかじゃないんだよな」
すっかり意気消沈してしまっている雅耶に。
(お前は本当に優しい奴だよな…)
冬樹は小さく笑うと、
「違うよ。お前は何も悪くない。…オレなんかの為に心配して怒ってくれて…サンキュな」
そう言って、冬樹は笑った。
「――――!!」
初めて見せる、照れたような…その冬樹の優しい笑顔に。
雅耶は思わず目を奪われてしまうのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)
京衛武百十
ファンタジー
俺の名は錬是(れんぜ)。開拓や開発に適した惑星を探す惑星ハンターだ。
だが、宇宙船の故障である未開の惑星に不時着。宇宙船の頭脳体でもあるメイトギアのエレクシアYM10と共にサバイバル生活をすることになった。
と言っても、メイトギアのエレクシアYM10がいれば身の回りの世話は完璧にしてくれるし食料だってエレクシアが確保してくれるしで、存外、快適な生活をしてる。
しかもこの惑星、どうやらかつて人間がいたらしく、その成れの果てなのか何なのか、やけに人間っぽいクリーチャーが多数生息してたんだ。
地球人以外の知的生命体、しかも人類らしいものがいた惑星となれば歴史に残る大発見なんだが、いかんせん帰る当てもない俺は、そこのクリーチャー達と仲良くなることで残りの人生を楽しむことにしたのだった。
筆者より。
なろうで連載中の「未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます」に若干の手直しを加えたVer.02として連載します。
なお、連載も長くなりましたが、第五章の「幸せ」までで錬是を主人公とした物語自体はいったん完結しています。それ以降は<錬是視点の別の物語>と捉えていただいても間違いではないでしょう。
SECOND!!
雨愁軒経
青春
その偏見を蹴り飛ばせ!青春キックボクシングストーリー!
高校二年の二月。留年の危機に直面していた川樋葵は、『蹴り姫』と呼ばれる天才キックボクサー・羽付兎萌と出会う。
事故によって左足を怪我しながらも誇り高い彼女は、葵の事情を聞くと、ニヤリと笑った。
「三月までなんて、いらないわ。――どう、私にノってみない?」
留年撤回の条件は、年度内に部活で結果を出すこと。
教師の罠、立ちはだかるチャンピオンに恋敵……葵は無事、留年を蹴り飛ばすことができるのか!
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
ただ巻き芳賀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ どこーーーー
ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど
安全が確保されてたらの話だよそれは
犬のお散歩してたはずなのに
何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。
何だか10歳になったっぽいし
あらら
初めて書くので拙いですがよろしくお願いします
あと、こうだったら良いなー
だらけなので、ご都合主義でしかありません。。
【改稿版】人間不信の俺が恋なんてできるわけがない
柚希乃愁
青春
青春ボカロカップにエントリーしました!開催中は一日複数回投稿します!ご一読、お気に入り登録をぜひよろしくお願い致します。
本編完結しました。
自分のことが嫌いな風見春陽(かざみ はるひ)は高校2年になった。
黒髪で目元まで隠れた長い前髪に、黒縁眼鏡をかけた彼は、周囲から根暗な陰キャと認識されていた。
他人を信じられない春陽は、学校生活を一人で平穏に過ごすため、目立つ人物とは関わらないようにしてきた。
1年の時もそれで1年間平穏に学校生活を送れた春陽は、2年でも同じように過ごそうと決めていた。
2年のクラスでは春陽にとっての要注意人物は3人。
白月雪愛(しらつき ゆあ)
新条和樹(しんじょう かずき)
佐伯悠介(さえき ゆうすけ)
しかし、そのうち一人は同じ中学の知り合いで…。
ある日、バイト先から買い出しに出た春陽は、偶然、男達に絡まれている同じ学校の制服を着た女子生徒を助けた。
それが同じクラスの雪愛だとは気づかずに。
ここからすべては始まった―――。
バイト中の春陽は学校とは別人のような風貌で、ハルと呼ばれていた。
男性が苦手との噂の彼女は春陽とは気づかず、なぜかハルに近づいてくる。
「私はもっとハルくんと仲良くなりたい」
春陽には雪愛が何を考えているのかがわからない。
加えて、雪愛と話す陰キャな自分を想像し、周囲の反応の怖さから嫌がる春陽。
だが、雪愛の想いは止まらず―――。
五月の連休中、ついに雪愛は、同じクラスの風見春陽がハルだと知る。
そのことに驚きつつもこれまでと変わらず距離を詰めようとする雪愛。
なぜ自分のような人間にクラスの中心にいるような人が、と戸惑いを隠せない春陽だが、雪愛の真っ直ぐな言葉が春陽の心境に変化をもたらしていく。
一方、雪愛の友人達は、雪愛が男嫌いだということを知っており、学校で自分から春陽に近づく雪愛に驚きを隠せない。
そして、雪愛から話を聞いた友人達も春陽に興味を持ち始める。
どんどんと自分の理想である平穏な学校生活からかけ離れていく春陽。
その結果、彼は様々な人と関わっていくことになる。
雪愛の春陽への想いは、友情なのか恋なのか。
そして、人との関わりを避けて生きてきた春陽の想いは……。
春陽の学校生活が動き始めたとき、それぞれの想いも動き始める―――。
焦れったくてキュンキュンする、純愛系ラブコメここに開幕!
*表紙は、日華てまり様にいただきましたAIイラストです(*^^*)
*本作はカクヨムコン9で中間選考を突破した作者の処女作を一話一話再確認し、加筆修正したものとなります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる