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トラブルメイカー?
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途端に、溝呂木のツッコミが入る。
「おーいっ野崎っ!その蹴りは柔道では駄目だぞー」
そう言われている間にも、巨体から太い腕が伸びてきて、うっかり左襟元を掴まれてしまった。
「くそっ!!」
「よしっ!取った!!芦田っ仕留めろ!!」
すっかり勝利を確信したように、興奮気味の溝呂木に。
(うっせー!!柔道なんてっ!!)
冬樹は逆に相手の道着の左襟元を取ると、力一杯自分の方へと手繰り寄せ、前のめりになった男の眉間に、
(クソくらえだーーーーっ!!)
そう、思いっきり頭突きを食らわした。
相手は強烈な不意打ちを食らって、そのまま跪いてしまった。
「ばっ!!馬鹿なっ!!」
そんな柔道ある訳ない。
溝呂木をはじめ、誰もが驚きのあまり怯んだ瞬間、周囲を取り囲んでいる柔道部員の壁めがけてダッシュすると、そのうちの細身の一人を不意打ちで突き飛ばし、その隙間からダッシュで走り抜けて行った。
誰もがその早業に対応することが出来ず、そのまま冬樹が見えなくなるまで呆然と見送っていた。
そこに、一筋の風が吹き抜けてゆく。
周囲の木々がざわざわと揺れる音で我に返った溝呂木は、身体をわなわなと震わせると、
「のっ…野崎っ…」
そう、小さく呟くことしか出来なかった。
「ぶはっ…はははははっ!!」
思いのほか盛り上がっていたのは空手部のギャラリー達だった。
皆がその、ある意味柔道部の惨敗を目の当たりにして、想像もしていなかった結末に声を上げて笑った。その声は、下にいる柔道部にも勿論聞こえていて、溝呂木は悔しそうに唇を噛むと、部員を率いて早々にその場を後にした。
「すげーな、お前のダチ!超面白いもの見せて貰ったぜっ」
部長は雅耶の背をポンポンと叩きながら笑って言った。そして、
「よーしっ!休憩終わり!道場へ戻って練習再開するぞー」
という大きな掛け声と共に、空手部員は皆笑いながら道場へと戻って行った。
だが、雅耶だけは…。
その場から離れる中、内心複雑な想いを抱いていた。
そして、翌日。
勧誘イベント二日目は、朝から行動が可能な為、過激化が予想されていたが、前日多くの話題に上がった渦中の人物が不在ということもあり、それなりの盛り上がりを見せつつ、このイベントはもうすぐ幕を閉じようとしていた。
渦中の人物である『野崎冬樹』は、この日…学校を欠席したのだ。
「おーいっ野崎っ!その蹴りは柔道では駄目だぞー」
そう言われている間にも、巨体から太い腕が伸びてきて、うっかり左襟元を掴まれてしまった。
「くそっ!!」
「よしっ!取った!!芦田っ仕留めろ!!」
すっかり勝利を確信したように、興奮気味の溝呂木に。
(うっせー!!柔道なんてっ!!)
冬樹は逆に相手の道着の左襟元を取ると、力一杯自分の方へと手繰り寄せ、前のめりになった男の眉間に、
(クソくらえだーーーーっ!!)
そう、思いっきり頭突きを食らわした。
相手は強烈な不意打ちを食らって、そのまま跪いてしまった。
「ばっ!!馬鹿なっ!!」
そんな柔道ある訳ない。
溝呂木をはじめ、誰もが驚きのあまり怯んだ瞬間、周囲を取り囲んでいる柔道部員の壁めがけてダッシュすると、そのうちの細身の一人を不意打ちで突き飛ばし、その隙間からダッシュで走り抜けて行った。
誰もがその早業に対応することが出来ず、そのまま冬樹が見えなくなるまで呆然と見送っていた。
そこに、一筋の風が吹き抜けてゆく。
周囲の木々がざわざわと揺れる音で我に返った溝呂木は、身体をわなわなと震わせると、
「のっ…野崎っ…」
そう、小さく呟くことしか出来なかった。
「ぶはっ…はははははっ!!」
思いのほか盛り上がっていたのは空手部のギャラリー達だった。
皆がその、ある意味柔道部の惨敗を目の当たりにして、想像もしていなかった結末に声を上げて笑った。その声は、下にいる柔道部にも勿論聞こえていて、溝呂木は悔しそうに唇を噛むと、部員を率いて早々にその場を後にした。
「すげーな、お前のダチ!超面白いもの見せて貰ったぜっ」
部長は雅耶の背をポンポンと叩きながら笑って言った。そして、
「よーしっ!休憩終わり!道場へ戻って練習再開するぞー」
という大きな掛け声と共に、空手部員は皆笑いながら道場へと戻って行った。
だが、雅耶だけは…。
その場から離れる中、内心複雑な想いを抱いていた。
そして、翌日。
勧誘イベント二日目は、朝から行動が可能な為、過激化が予想されていたが、前日多くの話題に上がった渦中の人物が不在ということもあり、それなりの盛り上がりを見せつつ、このイベントはもうすぐ幕を閉じようとしていた。
渦中の人物である『野崎冬樹』は、この日…学校を欠席したのだ。
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