28 / 302
波瀾の再会
2-10
しおりを挟む
「とうとうマー坊も高校生かー。改めて入学おめでとうね!」
「ちょっと、清香姉…。その『マー坊』はやめてよ…」
雅耶は照れくさそうに笑みを浮かべると「でも、ありがとう」と言った。
「すっかり大きくなっちゃって…。そんなに、上から見下ろされたら何だか調子狂っちゃうわね」
20センチ以上も差がある雅耶を見上げて、清香は優しく笑った。
「で…何組になったの?学校はどう?男子校だとまた全然雰囲気違うでしょう?友達は出来そう?」
矢継ぎ早に出てくる質問に雅耶は苦笑すると、
「確かに男ばっかりで不思議な感じはするかな…。でも、すぐ慣れると思うよ。俺のクラスはA組。この学校には何人か中学一緒だった奴らもいるし気持ち楽かな。仲良い奴も丁度おんなじクラスになって、ラッキーだなって言ってたんだ」
そう律儀に答えた。
「そうなんだ?それは心強いね。いいなぁー、これから楽しい高校生活が待ってるってことかぁ」
清香は、伸びをしながら笑って言った。
「うん。清香姉にお世話になることもあるかも知れないけど、これからよろしくね!」
「馬鹿ね。世話にならない方が良いに決まってるでしょ?保健室なんだから。それに、ココでは『先生』って呼ばなくちゃダメよっ」
そう言って、人差し指をピッ…っと立てた。
「あー…そうだった。『浅木先生』?」
「『清香先生』でもいいわよ。みんな結構そう呼んでくれてるし。こう見えて、私はこの男子校のマドンナ的存在なのよ♪」
そう笑った清香に。
「へぇー…」
と、相槌を打ちながらも。
(そういうの、自分で言っちゃダメっしょ…)
と、頭の中に浮かんだツッコミは、自分の内に留めておくことにした。
「そういえば、清香姉…じゃなくて、清香先生…」
律儀に呼び直している雅耶に、清香はふふ…と笑った。
「なあに?」
「冬樹って覚えてる?ウチの隣に住んでた…」
「ふゆき…くん…?隣って…野崎さん?」
「そうそう、そこの双子の…」
考える様な素振りをしていた清香だったが、そこまで聞いて思い出したようでポンッ…と、手を打った。
「ああ。覚えてるわよ。何度か雅耶と一緒に遊びに来てた可愛い双子ちゃんでしょ?でも、野崎さんの家…大変だったのよね…。その子一人だけ残されちゃったんだっけ…?」
「うん。あいつさ、あの後…親戚の家に引き取られたんだ…」
雅耶は昔を思い出しているのか、少し辛そうな顔をした。
「それからずっと会ってなかったんだけど、あいつ…こっち戻って来たみたいで…。偶然、あいつもこの学校だったんだ」
「そうなんだ?すごい偶然だね」
懐かしい友人の話をしているわりに、雅耶が浮かない顔をしているので、清香は不思議そうに話の続きに耳を傾けていた。
「うん。それもさ、同じクラスだったんだよ。本当スゴイ偶然でしょ?」
「へぇー。この学校クラス多いのに、それは凄いね」
「うん」…と笑顔を見せながらも、それはどこか元気のないもので。
清香は疑問に思い、それを口に出した。
「ちょっと、清香姉…。その『マー坊』はやめてよ…」
雅耶は照れくさそうに笑みを浮かべると「でも、ありがとう」と言った。
「すっかり大きくなっちゃって…。そんなに、上から見下ろされたら何だか調子狂っちゃうわね」
20センチ以上も差がある雅耶を見上げて、清香は優しく笑った。
「で…何組になったの?学校はどう?男子校だとまた全然雰囲気違うでしょう?友達は出来そう?」
矢継ぎ早に出てくる質問に雅耶は苦笑すると、
「確かに男ばっかりで不思議な感じはするかな…。でも、すぐ慣れると思うよ。俺のクラスはA組。この学校には何人か中学一緒だった奴らもいるし気持ち楽かな。仲良い奴も丁度おんなじクラスになって、ラッキーだなって言ってたんだ」
そう律儀に答えた。
「そうなんだ?それは心強いね。いいなぁー、これから楽しい高校生活が待ってるってことかぁ」
清香は、伸びをしながら笑って言った。
「うん。清香姉にお世話になることもあるかも知れないけど、これからよろしくね!」
「馬鹿ね。世話にならない方が良いに決まってるでしょ?保健室なんだから。それに、ココでは『先生』って呼ばなくちゃダメよっ」
そう言って、人差し指をピッ…っと立てた。
「あー…そうだった。『浅木先生』?」
「『清香先生』でもいいわよ。みんな結構そう呼んでくれてるし。こう見えて、私はこの男子校のマドンナ的存在なのよ♪」
そう笑った清香に。
「へぇー…」
と、相槌を打ちながらも。
(そういうの、自分で言っちゃダメっしょ…)
と、頭の中に浮かんだツッコミは、自分の内に留めておくことにした。
「そういえば、清香姉…じゃなくて、清香先生…」
律儀に呼び直している雅耶に、清香はふふ…と笑った。
「なあに?」
「冬樹って覚えてる?ウチの隣に住んでた…」
「ふゆき…くん…?隣って…野崎さん?」
「そうそう、そこの双子の…」
考える様な素振りをしていた清香だったが、そこまで聞いて思い出したようでポンッ…と、手を打った。
「ああ。覚えてるわよ。何度か雅耶と一緒に遊びに来てた可愛い双子ちゃんでしょ?でも、野崎さんの家…大変だったのよね…。その子一人だけ残されちゃったんだっけ…?」
「うん。あいつさ、あの後…親戚の家に引き取られたんだ…」
雅耶は昔を思い出しているのか、少し辛そうな顔をした。
「それからずっと会ってなかったんだけど、あいつ…こっち戻って来たみたいで…。偶然、あいつもこの学校だったんだ」
「そうなんだ?すごい偶然だね」
懐かしい友人の話をしているわりに、雅耶が浮かない顔をしているので、清香は不思議そうに話の続きに耳を傾けていた。
「うん。それもさ、同じクラスだったんだよ。本当スゴイ偶然でしょ?」
「へぇー。この学校クラス多いのに、それは凄いね」
「うん」…と笑顔を見せながらも、それはどこか元気のないもので。
清香は疑問に思い、それを口に出した。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
【R15】アリア・ルージュの妄信
皐月うしこ
ミステリー
その日、白濁の中で少女は死んだ。
異質な匂いに包まれて、全身を粘着質な白い液体に覆われて、乱れた着衣が物語る悲惨な光景を何と表現すればいいのだろう。世界は日常に溢れている。何気ない会話、変わらない秒針、規則正しく進む人波。それでもここに、雲が形を変えるように、ガラスが粉々に砕けるように、一輪の花が小さな種を産んだ。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
四条雪乃は結ばれたい。〜深窓令嬢な学園で一番の美少女生徒会長様は、不良な彼に恋してる。〜
八木崎(やぎさき)
青春
「どうしようもないくらいに、私は貴方に惹かれているんですよ?」
「こんなにも私は貴方の事を愛しているのですから。貴方もきっと、私の事を愛してくれるのでしょう?」
「だからこそ、私は貴方と結ばれるべきなんです」
「貴方にとっても、そして私にとっても、お互いが傍にいてこそ、意味のある人生になりますもの」
「……なら、私がこうして行動するのは、当然の事なんですよね」
「だって、貴方を愛しているのですから」
四条雪乃は大企業のご令嬢であり、学園の生徒会長を務める才色兼備の美少女である。
華麗なる美貌と、卓越した才能を持ち、学園中の生徒達から尊敬され、また憧れの人物でもある。
一方、彼女と同じクラスの山田次郎は、彼女とは正反対の存在であり、不良生徒として周囲から浮いた存在である。
彼は学園の象徴とも言える四条雪乃の事を苦手としており、自分が不良だという自己認識と彼女の高嶺の花な存在感によって、彼女とは距離を置くようにしていた。
しかし、ある事件を切っ掛けに彼と彼女は関わりを深める様になっていく。
だが、彼女が見せる積極性、価値観の違いに次郎は呆れ、困り、怒り、そして苦悩する事になる。
「ねぇ、次郎さん。私は貴方の事、大好きですわ」
「そうか。四条、俺はお前の事が嫌いだよ」
一方的な感情を向けてくる雪乃に対して、次郎は拒絶をしたくても彼女は絶対に諦め様とはしない。
彼女の深過ぎる愛情に困惑しながら、彼は今日も身の振り方に苦悩するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる