80 / 132
第七章 魔王の暴政と小さき恋の華
第八十話 旅立ち
しおりを挟む赤い夕陽が稜線の向こう側へ隠れ、空が紫紺に染まり始めた頃、邑外れの小さな池に佇む亭へ足を運んだ伯斗は、そこで鈴星の姿を見付け、肩を震わせて泣いているその背中に声を掛けた。
「こんな所に居たのか…寒いだろう?もう行こう。」
冷たい頬を流れ落ちる泪を拭いながら、鈴星は黙ったまま小さく首を横に振る。
「わらわと麗蘭は、姉妹の様な存在だった…麗蘭の事を…ずっと、ずっと信じておったのに…!」
声を震わせ、何処か遠くへ眼差しを送る鈴星に歩み寄ると、伯斗は彼女の両肩にそっと手を乗せ、優しく彼女の体を抱き寄せた。
「お前の気持ちは良く分かる。だが、もう許して挙げなさい。彼は悪い人間では無い筈だ。“娘”と偽っていたのも、きっと深い訳があったに違い無い…」
「………」
伯斗の胸に顔を埋める鈴星は、それでもまだ肩を震わせ泣いている。
「孟徳の事が、好きなのであろう?」
そう言われると、鈴星は泪に濡れる大きな瞳を上げ、驚きの表情で伯斗を見上げた。
鈴星の瞳は、空に瞬き始めた星の光の様に、きらきらと輝き美しかった。
伯斗は愛おしい眼差しでそれを見詰めると、彼女の柔らかい髪を撫で下ろす。
「私は、何処に居ようとお前の幸せを祈っている。意地を張っては成らぬ、彼に付いて行きなさい。」
「兄様…!」
再び溢れ出した泪が頬を零れ落ち、鈴星は彼の胸に顔を埋めて泣いた。
声を震わせながら、鈴星は問い掛ける。
「でも、わらわが居なくなったら…兄様はどうするの…?」
「私は、故郷に許嫁を残して来た…彼女の元へ、帰ろうと思う。」
そう答えると、伯斗は彼女の頭を優しく撫でる。
そして鈴星の手に唐紅の纓を握らせ、柔らかく微笑みながら伯斗が言った。
「さあ、今彼を追わなければ、お前はきっと一生後悔するだろう…!」
濡れた頬を上げ、手の中の纓をじっと見詰めれば、孟徳の笑顔が浮かんで来る。
その唐紅の纓は、きっと孟徳の美しい黒髪に似合うに違い無いと思い、僅かな金しか残っていなかったのに、どうしても彼に贈りたくて買ってしまった物である。
鈴星は、目を瞑ってそれを強く握り締め、自分の胸に押し当てると、意を決した様に再び瞼を開いて伯斗を見上げた。
「有り難う、兄様…!わらわは、兄様の事が大好きだ。一生忘れない…!」
そう言って、頬を紅潮させたまま満面の笑みを浮かべると、鈴星は途端に着物の長い裾を翻して亭から走り出た。
肩に掛かる長い髪を揺らして走る彼女の後ろ姿を、亭の中に佇む伯斗は何処か寂しげな眼差しで見送り、
「鈴星…私も、お前の事が大好きだよ…」
そう小さく呟くと、少し悲しげに微笑した。
鈴星は、城邑の広い通りへ出て孟徳と虎淵を探したが、既に邑を出てしまったのか、彼らの姿は何処にも見当たらなかった。
不安な面持ちで立ち止まると、鈴星は辺りを見回した。
「何処へ行ってしまったの…もう、邑を出てしまったのであろうか…?」
夕闇が迫り、通りの店先には提灯の灯りが燈され始める。
このまま完全に夜になれば、もう彼らの姿を見つけ出す事は出来ぬであろう。
鈴星は唐紅の纓を胸に握り締め、想いがどうか孟徳の元へ届くよう強く祈った。
そして再び顔を上げると、東の城門の方へ向かって走り出す。
胸が苦しくなるのを堪え、息を切らせながら暫く通りを走ると、前方に城門が見えて来た。
「…あっ!」
突然、履いていた靴の片方の紐が切れ、石に躓いて勢い良くその場に転倒した。
「うっ…」
倒れた鈴星は直ぐに体を起こしたが、痛みに顔を歪めた。
見ると、手や膝を擦り剥き酷く出血している。
途端に泪が溢れたが、鈴星はその泪を拭いながら切れた紐を結び直し、痛む足を引き摺って立ち上がると、再び懸命に走った。
聳える城門の上に大きく広がる紫紺の空を見上げた時、煌めく一筋の流星が見えた。
その流星が落ちて消えていった先を見下すと、城門の丁度その真下辺りに、此方へ向かってやって来る人影が見えたので、鈴星は、はっとして立ち止まりそちらをじっと凝視した。
「……!!」
黄昏時の夕闇の中、次第にその人物の姿が鮮明に見えて来ると、堪えていた泪が鈴星の赤い頬を流れ落ちる。
「鈴星……!!」
孟徳は驚いた顔で一瞬立ち止まったが、彼女の姿を認めると直ぐに此方へ向かって走り出した。
息を切らせて鈴星の目の前までやって来ると、頬を紅潮させたまま、にっこりと微笑みを浮かべる。
「お前を…探していたんだ。どうしても、伝えたい事があって…」
「わらわも、お前を探していた…」
濡れた瞳のまま孟徳の顔を見上げた鈴星は、彼に微笑み返してそう言った。
転んだ拍子に跳ねた泥が顔に付いていたが、鈴星はそれに気づかなかったのであろう。
孟徳は彼女の傷付いた掌を優しく握り、指で頬に付いた泥をそっと落とした。
「今まで、何度もお前の事を諦めようと思ったが…このまま想いを伝えられず別れれば、きっと後悔する。」
頬を紅くしながら語り掛ける孟徳のその艷やかな口元を見詰めながら、鈴星はただ黙って赤い瞳を潤ませている。
「俺は、幼い頃からずっとお前の事が好きだった。もし…俺の事を許してくれるなら、一緒に行かないか、鈴星?」
孟徳が照れた様子でそう問い掛けると、頬を紅潮させながら鈴星は少し俯いたが、やがて瞳を上げて孟徳を見上げた。
「孟徳…わらわを、連れて行ってくれるのか…?」
「ああ、勿論だ。俺と一緒に行こう…!」
再び孟徳が微笑むと、次の瞬間には泪に噎びながら、鈴星は彼の胸の中へ飛び込んだ。
「嬉しい、孟徳…!わらわも、お前の事が好き…!」
そう言って彼の背中に回した腕に力を込めて、ぎゅっと強く抱き着く。
鈴星の手には、唐紅の纓がしっかりと握り締められていた。
泣きながら震わせるその肩を優しく強く抱き締め、孟徳は微笑を浮かべて彼女の柔らかい髪にそっと頬を寄せる。
二人が寄り添う影は、夕闇の中燈された邑の灯りの下に鮮やかに映し出され、既に漆黒となった上空には、彼らを温かく包み込む様な、満天の星空が何処までも広がっていた。
「何?絶世の美少女だと…?!」
胡軫、文才は眉を顰め、訝しげに彼の幕舎を訪れた人物を見上げたが、無類の女好きである彼は、“美少女”という言葉に頬を緩めた。
その様子を見逃さず、
「ああ、そりゃあもう兄貴好みの美少女だ!成長すれば、天下一の美女になるに違い無い…!」
更にそう言って、卓を挟んで向かい合って座る牛毅は、文才の好奇心を煽る。
「だが、ちょっと問題が起こってしまって…」
急に言い出し難そうな態度を見せる牛毅に、怪訝な表情を浮かべて文才が問い掛けた。
「何だ?申してみよ…!」
「実は、その娘を呂奉先に奪われてしまったのだ…わしが兄貴の為に捕まえたのに、あの餓鬼が横取りしやがった…!」
「何だと!?」
それを聞いた文才は途端に目を瞋らせ、目の前の卓に握り締めた拳を思い切り叩き付けた。
その怒鳴り声と、卓が真っ二つにへし折れる音が幕舎の外にまで響き渡り、驚いた兵士たちが皆幕舎の方を振り返る。
真っ二つになった卓を前に、戦いた牛毅は思わずその場に仰け反った。
文才の奉先に対する怒りは、牛毅の想像を遥かに超えている。
先の戦で、二人は共に董仲穎の命を受け、連合軍を率いて北上する孫文台を迎撃に向かい陽人で激突した。
その時、奉先は文才に偽の書簡を送って彼の軍を大いに掻き乱し、挙げ句に副将の華雄を文台に討ち取られるなど大打撃を与えられ、敗走を余儀なくされてしまったのである。
あの餓鬼が余計な事をしなければ、孫文台に負ける事などあり得なかった…!!
文才の胸中にある思いはそれであり、呂奉先に対する怒りが収まる事は無かった。
「ま、まあまあ、落ち着いてくれよ兄貴…!娘を取り戻す策を考えてあるんだ…」
こめかみに浮いた青筋を引き攣らせ、怒りに震える文才を宥めようと、牛毅は慌てて持参した酒を取り出し、酒器に移して彼に差し出した。
幾らか落ち着きを取り戻した文才は、酒を一気に煽り大きく一息を入れる。
それから牛毅が彼に耳打ちをすると、軽く頷きながら聞いていた文才は、やがて口の両端を上げてにやりと笑った。
雒陽から住民たちを引き連れて進む董卓軍の行軍は、長安まで残り二日程度の距離にまで近付いていた。
途中の邑で小さな車を手に入れ、それに貂蝉を乗せる事にしたのだが、その邑で出会った、俊と言う名の少年を一緒に連れて行く事になった。
俊は家族と逸れ、迷子になっていたらしい所を仲間の兵士に発見され、奉先の元へと連れて来られた。
歳は十歳前後であろうが、体格の良い少年で背も高かった。しかし非常に無口で、殆どと言っていい程言葉を話さない。
唯一、自分の名だけは答えたが、その他の事に関しては何を聞いても答えなかった。
二人を乗せた車を馬に引かせ、奉先はその車を先導する様に飛焔を寄せて歩いた。
そこからは暫く続く道幅の狭い、切り立った崖の上を行かねばならない。
右手の崖を見下ろせば、足が竦む程の高さであり、民たちの進む速度は自然と遅くなる。
彼らは慎重に民たちを誘導しながら、崖沿いの道を進んで行った。
「それにしても、奉先殿は殆子供と縁が有りますね。」
高士恭が飛焔に馬首を並べ、笑いながらそう言うと、奉先は苦笑を浮かべて貂蝉と俊の乗った車を顧みた。
「ふっ…確かに。正直、俺は子供が苦手なのだがな…」
奉先が呟く様に言うと、士恭はちらりと車を横目に見てから彼の耳に小声で話し掛ける。
「しかし…あの貂蝉と言う娘には、気を付けた方が良ろしいですよ。“貂蝉”と言う名も、きっと本当の名では無いでしょうし…」
士恭は眉間に深く皺を寄せ、怪訝な顔付きで彼に忠告を送る。
“貂蝉”とは、貂の尾と蝉の羽を用いた飾りの事であり、高位高官が好んで着用する冠を差す言葉である。
それらは“貂蝉冠”などと呼ばれ、それを管理する職も存在していた。
そもそも、貂蝉は奉先を殺そうとした娘である。それを奉先が連れて歩いている事に、士恭は少なからず良い感情を抱いてはいなかった。
「ああ、そうだな…」
心配する士恭に微笑を向け、彼を安心させようと小さく頷いて見せたが、奉先は複雑な感情を懐きつつ、貂蝉の乗った車に憂いの眼差しを送った。
暫く険しい登り坂を進むと、少し緩やかな曲がり道に差し掛かる。
そこから来た道を振り返って見ると、霞む山並みに、美しい滝が流れ落ちている幻想的な光景が広がっていた。
「貂蝉、俊、見てみろ、綺麗だぞ。」
車蓋に掛けた簾越しに奉先が呼びかけると、貂蝉が簾を上げて顔を覗かせる。
「わあ!本当、綺麗っ!ねえ、俊も見て…!」
貂蝉は嬉しそうに感嘆の声を上げ、振り返って俊に手招きをした。
「………」
彼も簾の隙間から外を眺めたが、彼は特に感情を見せず黙ったままである。
「俊ったら…少しは笑ってみなさいよ!」
貂蝉は少し怒った様に頬を膨らませ、両手の指先で俊の頬を摘んで引っ張った。
「………」
二人の様子を目を細めて見詰めていた奉先だったが、ふと顔を上げ、辺りを見回した。
その辺りには少し開けた林があり、冷たい風が吹き抜け、草木がざわざわと音を立てて揺れている。
このような場所で敵と遭遇すれば一溜まりもないであろう。
兵を伏せるには丁度良い場所ではあるが、連合軍が先回りをしてそこへ兵を伏せているとは考え難い。
だが、何かが可怪しい…
本能でそれを感じている。
飛焔の背に括り付けてある方天戟に手を伸ばし、奉先はそれをゆっくりと解きながら飛焔の足を進めた。
その時、突然林の中から武装した兵士たちが現れ前方を塞ぐと、驚いた民たちは悲鳴を上げ、彼らの部隊は一瞬にして混乱に陥ってしまった。
「慌てるな!皆落ち着け!」
奉先は馬上から、崖の上を逃げ惑う人々に向かって怒鳴り声を上げる。
だが、彼らの恐怖心は一気に全体へと伝わり、その場から逃げ出そうと慌てた民が押し合い、足を踏み外して崖から転落する者もあった。
「奉先…!!」
叫び声に振り返ると、貂蝉と俊の乗った車にも人波が押し寄せ、崖の方へと押されている。
貂蝉は車から身を乗り出して、必死に助けを求めていた。
最早、収拾がつかぬ…!
奉先は飛焔から飛び降り、人々を掻き分けて車の方へと向かった。
車を引いていた馬は興奮し、激しく嘶きを上げている。
奉先は馬の手綱を引いて落ち着かせると、何とか車を崖の反対側へと誘導した。
突然現れた兵たちを顧みると、それは董卓の配下、胡文才の兵であり、敵ではなかった。
「がっはっはっ!!お前の部隊は良く統率が取れているな!感心したぞ…!」
文才は皮肉を言いながら大声で笑い、奉先の部隊の行く手を阻む。
「胡将軍…!一体、何の真似だ?!」
奉先は怒りを露わに彼を怒鳴り付けた。
「何だと?!それは此方の台詞だ!貴様がわしの女を奪ったのであろう!」
文才は怒気を発して奉先に怒鳴り返す。
「何の話だ…?!」
彼の言っている事が理解出来ず、奉先は眉を顰めた。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原
糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。
慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。
しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。
目指すは徳川家康の首級ただ一つ。
しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。
その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
妖刀 益荒男
地辻夜行
歴史・時代
東西南北老若男女
お集まりいただきました皆様に
本日お聞きいただきますのは
一人の男の人生を狂わせた妖刀の話か
はたまた一本の妖刀の剣生を狂わせた男の話か
蓋をあけて見なけりゃわからない
妖気に魅入られた少女にのっぺらぼう
からかい上手の女に皮肉な忍び
個性豊かな面子に振り回され
妖刀は己の求める鞘に会えるのか
男は己の尊厳を取り戻せるのか
一人と一刀の冒険活劇
いまここに開幕、か~い~ま~く~
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
黄昏の芙蓉
翔子
歴史・時代
本作のあらすじ:
平安の昔、六条町にある呉服問屋の女主として切り盛りしていた・有子は、四人の子供と共に、何不自由なく暮らしていた。
ある日、織物の生地を御所へ献上した折に、時の帝・冷徳天皇に誘拐されてしまい、愛しい子供たちと離れ離れになってしまった。幾度となく抗議をするも聞き届けられず、朝廷側から、店と子供たちを御所が保護する事を条件に出され、有子は泣く泣く後宮に入り帝の妻・更衣となる事を決意した。
御所では、信頼出来る御付きの女官・勾当内侍、帝の中宮・藤壺の宮と出会い、次第に、女性だらけの後宮生活に慣れて行った。ところがそのうち、中宮付きの乳母・藤小路から様々な嫌がらせを受けるなど、徐々に波乱な後宮生活を迎える事になって行く。
※ずいぶん前に書いた小説です。稚拙な文章で申し訳ございませんが、初心の頃を忘れないために修正を加えるつもりも無いことをご了承ください。
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
烏孫の王妃
東郷しのぶ
歴史・時代
紀元前2世紀の中国。漢帝国の若き公主(皇女)は皇帝から、はるか西方――烏孫(うそん)の王のもとへ嫁ぐように命じられる。烏孫は騎馬を巧みに操る、草原の民。言葉も通じない異境の地で生きることとなった、公主の運命は――?
※「小説家になろう」様など、他サイトにも投稿しています。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
鉾の雫~平手政秀と津島御師~
黒坂 わかな
歴史・時代
舞台は1500年頃、尾張津島。
吉法師(のちの織田信定)と五棒(のちの平手政秀)は幼い頃から津島の天王社(津島神社)に通い、神職の子である次郎とよく遊び、夏に行われる天王祭を楽しみにしていた。
天王祭にて吉法師と五棒はさる人物に出会い、憧れを抱く。御師となった次郎を介してその人物と触れ合い、志を共にするが・・・。
織田信長の先祖の織田弾正忠家が、勢力拡大の足掛かりをどのようにして掴んだかを描きました。
挿絵は渡辺カヨ様です。
※この物語は史実を元にしたフィクションです。実在する施設や人物等には一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる