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第二章 飛躍の刻と絶望の間

第二十九話 牢からの脱出《二章 最終話》

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むしろを掛けた小さなしゃに馬を繋ぎ、冷たい雨が降りしきる中、陵牙は屋敷の東門の近くで、管狼の姿が現れるのを待っていた。

「今…何刻であろうか…?」

本当に、管狼が現れるのかさえ定かでは無い。
陵牙は不安感にさいなまれつつ、門の方を眺めていた。
 
その時、突然車が大きく揺れ、何かが積み込まれる。

「!?」
陵牙は驚いて馬から飛び降りると、車の荷台へ走り寄った。

いつの間にか現れた管狼が、車の中へ誰かを連れ込んでいる様である。
陵牙は首を伸ばして、中を覗き込んだ。

「奉先…!!一体、何があったのだ…!?」

車の中に倒れ込んだ奉先の姿に、陵牙は狼狽ろうばいした。
衣服は血で汚れ、手足は傷だらけで、裸足のままである。

「今は、説明をしている暇は無い…!直ぐに此処から、立ち去らねばならぬ…!お前、誰にもこの事を知られておらぬだろうな…!?」

管狼は鋭く振り返り、陵牙を睨み付けた。

「…あ、ああ、多分…大丈夫だ…」
「知られたのか!?」

曖昧に答える陵牙の胸ぐらを、管狼は素早く掴んだ。

「し、仕方が無いだろう…!俺は、字が読めないんだ…!」
「何故、早く言わぬ…!?」
「言う時が無かった…!」

嗚呼ああ…!
管狼は雨が落ちる、暗い天を仰いだ。

だが、今更、陵牙を怒鳴り付けた所で仕方が無い。
管狼は懐から、城門を通過する為の手形を取り出し、陵牙の手に握らせた。

「良いか、これで城門は通過出来る…!事は、既に露呈ろていしているであろう…!最早、時間の問題である…!」

そう言うと、自身も馬を隠しておいた管狼は、急いで陵牙に車をぎょさせ、その後を追って馬を走らせた。

既に感付かれ、将軍に城門へ先回りされていては終わりである。
管狼はそれだけを懸念し、馬を飛ばしながら、そうならぬ事をひたすら天に祈った。


城門へ辿り着くと、そこにはまだ将軍や配下たちの姿は無かった。

「良し、間に合った様だ…!」
管狼は、車を御す陵牙に馬を寄せる。

「急いでこの城を出て、ひた走りに走れ!決して引き返しては成らぬ! 」
「あなたは、一緒に行かぬのか…!?」
陵牙は不安な顔で、管狼を見上げる。

管狼は、車の中に倒れた奉先を振り返った。
幸い、奉先は車まで来た所で、気を失い倒れてしまっている。
暫しその姿を見詰めた後、再び陵牙に向き直った。

「わしは、ここで龍昇りゅうしょう様を食い止める…!お前たちだけで行け…!」

そう言い残し、管狼は城門から離れた場所まで馬で引き返し、二人の乗った車が門を通過するのを、そこから見守った。
いつの間にか、雨と風は激しくなり、稲妻の閃光が辺りを照らし出している。

やがて城門が開かれ、彼らの乗った車が、門を通過して行くのが見えた。

その時、遠い闇の奥から、雷鳴のとどろきと共に、無数の馬蹄ばていの音が不気味に鳴り響いて来る。
それは恐らく、将軍と引き連れた配下たちであろう。 

来たか…!

管狼は馬を降り、腰から剣を引き抜くと、前方へ向けて構えた。
振り返ると、城門はゆっくりとだが、閉まり始めている。

急げ…早く閉じよ…!

歯噛はがみをしながら、管狼はそれを見詰めた。
暗闇から、将軍たちの姿が浮かび上がる頃、遂に城門は閉じられた。

馬蹄の集団はやがて、はっきりとその姿が捕らえられる距離にまで迫った。

「管狼…!貴様、どういう積もりだ…!?」

先頭に立つのは、呂興将軍である。

雷光の元、照らし出された将軍は怒りを押し殺し、冷ややかな目で問い掛けた。
その隣には、李月が馬を並べている。

「わしが、あれ程言ってやったのに…何故、こんな馬鹿な事を…!」
李月は憮然ぶぜんとしながら、管狼を見詰めた。

「わしには…こうする以外、道は無かった…!」

管狼は、馬上の将軍と李月を見上げ、何処どこか悲しげな眼差しを投げ掛ける。

「…陵牙に、協力をさせたな…お前の所為せいで、関係の無い者まで死なせる事になった…一度だけ、機を与えてやる…逃がした奴らを、今直ぐに此処へ連れ戻せば、お前の命は助けてやる…!」

「龍昇様…わしが、自分の命惜しさに、仲間を売る様な人間では無い事を…知らぬ筈はありますまい…?」

管狼は目元に微笑を浮かべ、不敵にそう言い返した。

「お前を殺すのは惜しいが…仕方が無い。斬り捨てよ…!」

将軍が冷たく命令を下すと、馬を降りた配下たちが剣を構え、管狼を取り囲む。
李月も馬を降り、前へ出て同じ様に剣を管狼へ向けた。

「この先へは、何人なんぴとであろうと通す訳には行かぬ…!!」

凄みのある大声たいせいを放つと、管狼は向かって来る配下たちに斬り掛かった。

管狼は次々に、襲って来る敵を斬り伏せ、倒して行く。
流石に将軍が選んだ側近であるだけに、管狼の剣捌けんさばきは冴えている。
将軍の配下たちが、束になって掛かっても、物ともしなかった。

まるで鬼神きしんが乗り移ったかの如く戦う管狼に、李月が挑み掛かった。

李月が振り下ろした剣刃を、管狼は素早く受け止め、剣を押し返す。

その時、横から部下の一人が、管狼へ鋭くやいばを突き出したが、管狼は一瞬にして身をひるがえし、その攻撃をかわすと、着地と同時にその者を斬り伏せた。

異様な程青白い鼻息を吐き出し、興奮気味に首を振る馬の首筋を撫で、馬上で黒龍こくりゅうなだめながら、将軍は管狼の姿を見詰めていたが、やがて将軍は馬から降り、静かに前へ歩み寄った。

「見事だ、管狼…わしの右腕だけの事は有る…!お前たち、下がっていろ…」

そう言うと、将軍は腰にいた長い宝剣を構え、管狼に向ける。

「わしが相手になろう…全力で掛かって来い…!」

「………!!」

管狼は一度身を引いて、黙って将軍を睨み据えていたが、辺りに閃光が走った瞬間、やいばを翻して将軍の懐へ剣を突き出した。

将軍は素早くその攻撃をかわし、管狼の剣刃けんじんを跳ね上げたのち、再び鋭く振り下ろされる刃を、右へ左へと、巧にかわして行く。

取り囲んだ配下たちは皆、固唾かたずんでその様子を見守っていた。

そして数合すうごう打ち合った後、管狼の刃を弾き返すと同時に、将軍は素早く宝剣を一閃いっせんさせた。
管狼は後方へ飛び退すさったが、胸元を真一文まいちもんに斬られ、切れた着物から血がにじみ出る。

「くっ…!」
管狼は左手で胸を押さえた。

将軍は表情を変える事は無く、鋭い眼光で管狼を見据えている。
管狼は顔を上げ、その目を睨み返すと、再び将軍に斬り掛かる。

ほぼ同時に、将軍も長い宝剣を翻し、素早く管狼へ向けて走り寄った。

管狼の剣刃が将軍の右肩を斬り裂き、鮮血が飛び散る。
次の瞬間には、二人は互いにその身を交差させていた。

将軍が、いつ剣を振ったのかは分からなかった。

しかし、将軍が振り上げた剣刃には、おびただしい血がまとわり付いている。

管狼には、一瞬何の物音も聴こえなくなった。
降り落ちる雨粒の一つ一つが、ゆっくりと落ちて来る様に見える。

管狼は振り返り、自分の右腕が斬り落とされている事に、ようやく気付いた。

「うっ…!ぐあぁぁ…!!」

斬り落とされた右腕の傷口を押さえ、管狼はその場に崩れ落ちる。
将軍は、血が流れ出る右肩を押さえながら立ち上がり、管狼の前に歩み寄った。

「これで、お前はもう剣を振る事さえ出来ぬ…お払い箱と言う事だ…」

将軍の言葉は、冷ややかに、雨と共に上から落ちて来る様である。
管狼は泥に塗れ、それでも必死に立ち上がろうとした。

「だが、簡単には死なさぬぞ…!存分に苦しんでから、死ぬが良い…!牢で拷問に掛けろ。処刑は明日の朝だ…!」

そう言うと、将軍は李月に命令し、管狼を取り押さえさせると、縄を掛けて連れて行かせた。



奉先は突然、目を開いた。
気付くと、冷たく狭い車の床にうつぶせに倒れている。
その車は、酷い悪路あくろを走っているらしく、上下左右に激しく揺れていた。

重い体を引きずりながら、奉先は車の前方へ這い寄り、荷台から身を乗り出すと、馬をぎょしている者の肩を背後から掴んだ。

「うぎゃ…!!」

陵牙はいきなり肩を掴まれ、心臓が飛び出す程驚き、大きな悲鳴を上げた。

「何だよ!?驚かせるな!気付いたのだな、良かった…!」
陵牙は馬に鞭を呉れながら振り返り、青白い奉先の顔を見下ろす。

「陵牙、お前か…!?管狼はどうした…!?」
「あの人は…将軍たちを食い止めると言って、城に残った…!」

「何だと…!?」

奉先は瞠目し、咄嗟とっさに手綱を取る陵牙の腕を掴んだ。

「陵牙!今直ぐに、馬を止めろ…!」
「!?」

「引き返すのだ…!!」

怒鳴る奉先を、陵牙は驚きの表情で見下ろした。

「何だって?!馬鹿な事を言うな!そんな体で、将軍と戦えると思うのか?!戻れば、俺たちまで殺される…!管狼殿は決して引き返すなと言って、俺たちを逃がす為、自ら犠牲となったのだぞ…!」

「分かっている!だが、将軍は簡単には管狼を殺さぬ筈だ…!まだ間に合うかも知れぬ…!」

「駄目だ!お前が何と言おうと、俺は引き返さない…!」
陵牙は頑固に首を横に振り、そう言うと奉先から顔を背ける。

奉先は陵牙の腕を掴む手に、力を込めた。

「頼む…!城門の前で、俺を降ろすだけで良い…!」

 赤く潤ませた目を上げ、必死に訴える奉先の顔を横目に見ながら、陵牙は深い溜息と共に言葉を漏らした。

嗚呼ああ…!もう、どうなっても、俺は知らないぞ…!」

陵牙は天を仰ぎ、手綱を強く引いて馬の足をゆるめると、馬首を返して元来た道を引き返し始めた。
やがて雨風は弱まり、東の空は白々と明け始めていた。



鎖に繋がれ、傷だらけの足を引きずりながら、管狼は広場へと続く道を、馬に引かれて歩かされた。
残された左腕と、首にもかせを取り付けられ、強引に引っ張られる。

途中、何度も泥濘ぬかるみまり、足をもつらせて倒れた。
その様子を、城邑じょうゆうの人々は遠巻きにして、面白がって見る者もあれば、痛々し気に見ている者もある。

管狼の衣服は鞭で酷く打たれ、ずたぼろになり、露出した肌には無数の傷跡があった。
泥の中に倒れた管狼は、肩で激しく息をしながら顔を上げたが、その顔は無残な程殴られて醜くゆがみ、左目を潰されている。
そのおぞましさに、邑民たちは皆目を背ける程であった。

やがて広場へ辿り着くと、そこには処刑台が用意されており、台の上には、剣を握った李月と将軍が待っている。
管狼は残った右目で、うらめし気に二人を見上げた。

「わしへの裏切りは、誰であってもゆるさぬ…!それをこの場で、皆に証明して見せねば成るまい…!」

そう言うと将軍は、配下に命じて管狼を台の上へ上がらせ、自分の足元へ引き据えさせた。

将軍は暫し黙して、俯く管狼を見下ろしていたが、やがて床へ片膝を突き腕を伸ばすと、管狼の乱れた髪の上からその頭を優しく撫でた。

「どれだけ拷問を受けても、一度も命乞いのちごいをしなかったそうだな…大した奴よ…お前がわしの側近であった事、誇りに思うぞ…」

将軍はそう言って冷笑を浮かべ、静かに立ち上がると、剣を握った李月に目配せをする。
李月は一度大きく息を吐き、今度は大きく吸い込みながら、握った剣を頭上に高く振りかざした。

処刑台を取り巻き、見守る人々にも緊張が広がり、その場の全員が固唾を呑み沈黙する。

俯く管狼の首に狙いを定め、李月が剣を振り下ろそうとしたその時、突如人々の間からざわめきが起こった。

それに気付いた将軍は、素早く李月に近寄り、手で制する。


見ると、人々の間を覚束おぼつかない足取りで、黒い亡霊の様に歩く者の姿がある。

さざ波の様に身を引く人々は、異様な目で彼に道を開け、処刑台から真っ直ぐに一筋の道が伸びた。
項垂うなだれていた管狼はゆっくりと顔を上げ、赤く充血した右目をそちらへ向けた。

「奉先…!やはり、戻って来たな…!わしは、お前はきっと戻ると思っていた…!」

将軍は良く通る大声たいせいで、道の真ん中へ立ち尽くす、黒い亡霊に呼び掛けた。

「何故だ…何故、戻った…!?」
消え入りそうな程弱々しい声で、管狼はうなる。

奉先は黙したまま俯き、その場に立ち尽くしていたが、やがて顔を上げまぶたを開いた。

「将軍…管狼を、解放して頂きたい…!」

赤い目を上げ、処刑台の方を真っ直ぐに見据えながら、奉先は 声を振り絞った。
将軍は李月に剣を下ろさせ、奉先を睨み付ける。

「それで…?どうする積もりだ…!?管狼を斬れば、わしを殺すと言いたいか…!?」

「あなたに…ゆるしを請いに来た…」

そう言うと、奉先は再び瞼を閉じ、ゆっくりとその場に両膝を突いた。

「俺は…間違っていた…自分が、まともな人間だと自惚うぬぼれていた…」

更には、泥濘ぬかるんだ地面に両手も突き、深く首を項垂うなだれた。

「俺は、あなたの言う通り…生まれた時から、人殺しである…!二度と、あなたのめいに背いたり、盾突いたりはしないと誓う…!管狼と陵牙は、俺を哀れに思い助けようとしたに過ぎず、その罪はこの俺が負う…!管狼を、解放して頂きたい…!」

それを見た将軍は、ふんっと鼻で笑い、目を細めて奉先を見下ろした。

「わしと、取り引きをしようと申すか…!小癪こしゃくな…!」

処刑台の下にひざまづく奉先の姿を見た管狼は、やり切れぬ表情で顔を背ける。

「奉先…!」

その時、密集した人々を左右に押し分けながら、引き返して来た陵牙が、奉先の側へ走り寄った。

「陵牙…戻って来てくれたのか…」

奉先は虚ろな眼差しで、陵牙の顔を見上げる。

「ああ、俺たちは親友だろ…!何があっても、死ぬ時は一緒だ…!」

陵牙は奉先の肩を強く抱き寄せ、潤んだ瞳で笑って見せた。
その二人の姿を、暫し見詰めていた将軍は、やがて相好そうごうを崩す。

「…だが、お前がそこまで申すなら、考えぬでも無い…わしとて、長年側近として働いてくれた、管狼を斬るには忍び無い…」

そう言うと、将軍は管狼の側へ片膝を突き、彼の耳元に口を寄せると、微笑を浮かべながら囁いた。

「管狼、遂に奉先を口説き落としたな…!お前なら、やると信じておったぞ…!」

見開いた右目からこぼれる涙が頬を伝い、管狼は震える唇を強く噛み締めた。
将軍は管狼の肩をねぎらう様に叩き、再び立ち上がると、天に響く大声たいせいで高らかに言い放った。

「お前を赦そう、奉先…!これからは管狼に代わって、わしの手足となり、存分に働いて貰う…!」

そして勝ち誇った眼差しで、処刑台の下に跪く奉先を見下ろし、二人を処刑台の上へ手招いた。
奉先は陵牙に肩を支えられながら、台の上へ続く階段を上る。

台の上では、笑顔で二人を迎える将軍の姿があった。
その足元にうずくまる管狼は、涙に濡れた右目に悔しさを滲ませながら問い掛けた。

「わしは…此処で死ぬ運命であった…!何故、あのまま逃げなかった…!?」 

「いや…あんたを犠牲にしてまで、俺は、生き伸びる訳には行かぬ…」

奉先は強くかぶりを振り、管狼の前に膝を突くと、彼の傷だらけの冷たい左手を握り締め、悲しげな目で、無残な管狼の姿を見詰めた。

「もっと早く、こうすべきであった…赦してくれ…!」

そう言うと奉先は肩を震わせ、深く項垂れると、膝の上に乗せた拳の上に、大粒の涙のしずくを落とした。


-《第二章 完》-
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