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序章 龍神の呪いと永遠の友情
第一話 鬼神
しおりを挟むその広い屋敷の庭には、桃の花が舞い散り、麗らかな春の日差しが降り注いでいる。
「お嬢様!いけません、そのような事をなさっては…!」
屋敷の庭先へ、血相を変えた侍女の一人が走り出て来た。
小鳥たちのさえずりに紛れ、童子のかけ声と、打ち鳴らす木刀の音が聞こえている。
「心配するな、自分の身は自分で護れる!」
屈託の無い笑顔を侍女に見せるその娘は、まだ幼いが、既に美貌の片鱗を見せはじめている。
侍女は呆れた表情をするが、きっと向き直って、剣術の相手をしている少年を睨みつけた。
「先!お前は一体、何のためにお嬢様のお側にいるのです?!」
「…麗蘭様を…お護りするためです…」
"先"と呼ばれたその少年は、ニ、三歳年長であろうか。体格も良く長身で、精悍さを漂わせている。
先は、苦笑を浮かべながら頭を掻いた。
「ああ…奥様がご覧になったら…きっと卒倒なさるわ……!」
侍女は天を仰ぎ見ると、嘆息を漏らした。
「麗蘭様。」
先は、そっと麗蘭の側へ来ると、耳元に囁いた。
「秘密の場所を、探しておきます。」
「本当か?!」
麗蘭は瞳を輝かせて、先を仰ぎ見た。
-七年後-
小さな城邑の大通りでは、邑の人々が集まり、皆ひそひそと語り合っていた。
「可愛そうになあ…遂に邑一番の美女、大華様が行く事になるとは…」
やがて、通りの向こうから、一台の牛車がゆっくりとやって来る。
「しかし大蛇様は、全く強欲よ…!毎月のように供物を捧げておるのに…若い娘まで要求するとは…!」
「しっ!声が高いぞ…!」
「大蛇様の祟りを鎮めるためじゃ…仕方がない…」
牛車が、憂い顔を寄せる邑人たちの前を、ゆっくりと通過して行く。
牛車の側面には窓が付いているが、簾が下がっているため、中の様子を知る事は出来ない。
その簾の隙間から、細い指が伸び、中から白い少女の顔が覗いた。
美しいその少女は、不安気な表情で、近付く邑の城壁の上を見上げた。
城壁の上には、どんよりとした雲が立ち込めている。
やがて、黒い二つの人影が城壁の上に現れた。
牛車が門を通り過ぎる時、その人影も消えていた。
牛車は邑から離れ、深い山の中へと入って行く。
しばらく進むと、辺りから日の光は消え失せ、昼間とは思えぬ暗がりが広がっている。
その湿った暗がりの中に、ぼんやりと浮かんで見えるのは、古く朽ち果てた社であった。
「大蛇様…!約束通り、お嬢様をお連れしました…どうか、わしらの邑や民に災いがありませんよう…!」
社の中へ、少女の手を引いて入った邑の男は、少女を床に座らせ、震える両手を合わせた。
少女には、頭部を覆い隠す薄い絹布がかけられている。布は両肩までを覆い隠しており、少女は黙って俯き、男と同じように静かに手を合わせていた。
突如、社の堂内に冷たい風が吹き込み、傍らに置かれた灯籠の火を掻き消した。
「ひい……!」
男が震え上がる。
『心配はいらぬ…!!早う立ち去れ…!!』
闇に包まれた堂内に、恐ろしい声が響き渡った。
「で…出たーーーー!!」
男は腰を抜かさんばかりに驚き、地面を這うようにして、社から転がり出た。
そのまま後ろを振り向く事もせず、牛車に飛び乗り、飛ぶように走り去った。
しんと静まり返った社の中に、少女が一人取り残された。
堂内には、開け放たれた扉から差し込む、細い光だけが少女の姿を照らしている。
やがて、扉の陰から、ぬっと大きな黒い影が姿を現し、ずるずると堂内に忍び込んで来た。
少女の周りをぐるりと取り囲んだのは、体長ニ十尺はある大蛇であった。
大蛇は少女の肩越しに頭をもたげ、口から長い舌を伸ばすと、少女の顔を覆う布をひらりと持ち上げた。
隙間から、少女の白い頬と、紅をひいた唇がちらりと覗く。
「へっへっ…こいつは上玉だな…」
笑いを押し殺したような声が、大蛇の口から漏れる。
「全く…下衆な大蛇だ…!」
「何…!!」
少女は唇を歪めて、笑いを浮かべた。
次の瞬間、大蛇の顎から脳天にかけて、剣が貫いた。
「ぎゃ…!!」
大蛇が悲鳴がを上げる。
大蛇の口の中にいた男は、鼻先を剣に切られ、思わずのけ反った。
「兄貴!どうした!?」
大蛇の中には、他にもまだ男が入っている。
更に、剣は大蛇の胴体部分を、真っ二つに絶ち斬った。
「うわ!!」
中からは、三人の男たちが転がり出て来た。
「てめぇ…!よっよくもわしの鼻を…!!」
「黙れ悪党共!!次は鼻だけでは済まさぬ!!」
少女は剣を構えて、すっくと立ち上がり、被っていた布を取り払った。
そこに立っているのは、牛車に乗っていた少女とは別人である。
「ちっ…!」
窮した男たちは、社から外へ飛び出し、逃走を図る。
それを娘が追いかけ、外へ出ると、木の間から放たれた矢が娘を襲った。
娘は素早く、剣でその矢を払い落とす。
「わしらの正体を知った以上、生きて帰すわけにはいかん…!」
「放て!!」
鼻を斬られた"兄貴"と呼ばれた男が命令を下すと、一斉に放たれた矢が娘に迫る。
突如、一陣の風が巻き起こると、娘の前に一人の男が、頭上から舞い降りていた。
男は、片手に握った剣で素早く矢を薙ぎ払い、娘の目前にまで迫った最後の一矢を、右手で掴み取った。
「貴様…!何者だ!!」
「お前らに名乗る名は無い…それより自分たちの心配をしたらどうだ?!」
男は、鋭い眼光を盗賊たちに向ける。
「なっ何ぃ……!」
盗賊たちが辺りを見回すと、既に頭上の木々から、数人の若者たちに取り囲まれ、弩を向けられている。
逃げ場が無い事に気付き、観念した盗賊たちは、次々に武器を地面に投げ棄てた。
「うまくいったな。麗蘭殿。」
捕らえた盗賊たちに、若者たちが縄をかけている。
その傍らに立っている娘の側に、少年が近付く。
「その名で呼ぶな!それに奉先…来るのが遅いぞ!」
振り向いた娘、麗蘭は、奉先を睨みつけると、肘で奉先の脇腹を突いた。
「すまぬ、孟殿…であったな…!」
奉先は脇腹を押さえ、苦笑する。
「よくもやってくれたな…!覚えていやがれ!小娘…!!」
"兄貴"は縄に縛られながら、麗蘭に唾を吐きかけ、悪態をつく。
麗蘭は素早く剣を抜き、男の喉元に切っ先を当てた。
「いいか!悪党…よく聞け!俺は、男だ!!」
城邑の大通りは、商人や旅人で賑わっている。
店先で、旅人に酒を売っている女主人は、城邑の大門の前に佇んでいる、少女たちに気付いて、顔を上げた。
「母さま…!」
少女の一人が走り出し、女主人の前までやって来た。
「お前…!無事だったのかい?!」
女主人は、娘の体を強く抱きしめた。
「よく帰って来た!」
「私たち…盗賊たちに捕まっていたのよ…」
娘は、涙ながらに語った。
少女たちは、それぞれの家族に迎え入れられ、人々は抱き合って喜び合う。
そんな人々の姿を、不安そうな面持ちで見つめている少女がいた。
やがて、少女の見つめる先に、探していた相手の姿を見付けた時、少女の表情は一瞬で綻んだ。
「孟様…!!」
「大華殿、必ず成功すると、申したであろう。」
「はい!信じておりました!」
少女は潤んだ瞳のまま、満面の笑みを向ける。
「これが大蛇の正体よ…!!」
大華の目の前に、巨大な大蛇の首が現れる。
「きゃあ…!!」
思わず、大華は悲鳴を上げた。
大蛇の口を開くと、中から奉先が顔を出す。
「まあ…邑の人たちは、こんなものに騙されていたのですね…」
大蛇は、どう見ても精巧とは言えない、粗末な造りである。
森の暗がり、人々の恐怖心によって、有り得ないものが、本物と見紛われたのである。
「この世に、鬼神の祟りなど存在せぬ…!」
麗蘭は、力強く言い放った。
「麗蘭!どこへ行っていたの?!」
屋敷の廊下を走って来た少女は、庭先で麗蘭をつかまえ、怒声を放った。
「またそんな格好を…!お父様に知れたら大変…!」
男物の着物を身に付けている麗蘭を見ると、眉を寄せる。
「早く着替えて!大事なお客様がいらっしゃるんだから!」
「は…はい!姉上…!」
麗蘭は、まるで蛇に睨まれた蛙のように縮み上がり、いそいそと自分の部屋の方へ走って行く。
「ちょっと、奉先!!」
「はっ…はい!」
先ほどから、麗蘭の傍らにいながら、その存在を出来る限り消していた奉先は、突然声を掛けられ、肝が冷えた。
「お前が付いていながら…ちゃんと見張ってよ!」
「す…すみません…」
「あの子も、もうすぐ十五歳…約束の日限まで、あと少しなんだから…」
少女は、遠ざかる麗蘭の後ろ姿を見つめている。
「香蘭、支度はまだか?もうすぐ将軍がいらっしゃる。」
奥の部屋から、気品のある着物を身に付け、瀟洒《しょうしゃ》な冠を被った、髭の豊かな男性が姿を現した。
「お父様、すぐに参ります!」
香蘭は、慌てて父に頭を下げる。
「お客人とは、呂興将軍ですか?」
「ええそうよ、反乱軍鎮圧の帰りに、この邑へお立ち寄りになるの。」
奉先の問い掛けに、香蘭は嬉しそうに答える。
「将軍の前で、舞を披露するのよ。見初められれば、将軍の夫人になれるかも…きゃーーー!」
先ほどまでの、鬼の形相とは打って変わって、まさに華も恥じらう乙女、と言わんばかりに、体をくねらせる。
「それは…気合いが入りますね…」
奉先は、やや苦笑を浮かべつつそう言った。
「そりゃそうよ!呂興将軍は、お若くて格好良くて、それに…とってもお強い方なの!!」
広間では、華やかな宴が催されている。
「お招き頂き、感謝する。」
宴席に座した呂興将軍は、巨躯と呼べる雄大な体格をしている。壮年に差し掛かったばかりで、眉宇には精悍さが漲っている。
屋敷の主人は、将軍に酒の盛られた杯を差し出しながら、兵たちの労を労った。
「反乱軍鎮圧の任務、ご苦労でございます。皆様、大変お疲れでありましょう。どうぞごゆるりと。」
「お言葉に甘え、今宵は大いに楽しませて頂く。」
将軍は微笑を浮かべ、杯を掲げた。
「此度の反乱軍は、いわゆる宗教団体によるものであった。彼らは、死をも恐れぬ狂気さを持っておる故、なかなか厄介である…」
将軍は溜め息を交えながら、主人に語った。
「そのような芽は、小さなうちから摘んで行かねばならぬ。やがて大きな大樹となれば、この国は大いに乱れるであろう…」
そう言うと、杯の酒を飲み干す。
そして、急に思い出したように顔を上げ、主人の方へ身を乗り出した。
「そうじゃ、ここへ来る前、近隣の邑で面白い話を聞いたぞ。」
「面白い話…ですか?」
「なんでも、その邑の北に、神をまつる山があるのだが、一年程前から、その山に大蛇が住み着いたというのだ。大蛇は邑人や旅人を襲い、恐れた邑人たちは、大蛇の怒りを鎮める為と、邑の若い娘を生け贄として捧げたそうじゃ。」
「何と…酷い事を…」
主人は、嫌悪感をあらわにする。
「ところがじゃ、ある若者が邑の娘に成り代わり、その大蛇を退治したのだという…」
将軍がそこまで話した時、部屋を仕切る簾の裏から、がしゃんという、何かを激しく床に打ち付ける音がする。
「これ!何をしておる?!お客様がおいでなのだぞ!!」
主人は険しい叱声を、簾の裏にいる者に浴びせた。
「すっ…すみません…!!」
簾の裏にいる人物は、慌てて返事を返し、落とした琴を拾い上げた。
気を取り直した将軍は、再び話を続ける。
「大蛇というのが、なんと偽物!その山に住み着いた盗賊たちが、邑人たちを騙していたという訳だ!どうじゃ、その若者は勇者であろう!!」
将軍は、子供のように無邪気な表情で笑う。
「おっしゃる通りでございます!」
主人が同意を示すと、宴席に居る全員が、愉快そうに笑い合った。
宴もたけなわとなり、やがて、長女香蘭の舞が披露される事となった。
香蘭は、鮮やかな薄浅葱の着物を身に付け、しなやかな肢体を華麗に操り、まるで天女のような美しさである。
その場に居る誰もが、香蘭の舞に釘付けとなり、将軍も自分の顎髭を撫でながら、香蘭の舞いをうっとりとした表情で眺めている。
舞を踊る香蘭の後ろでは、艶やかな唐紅の着物姿の麗蘭が、琴を奏でている。
腰まである長い黒髪が、首筋から肩を流れ、美しい艶を煌めかせている。
「これは、娘の香蘭でございます。」
香蘭は、しおらしく将軍の前に平伏する。
「香蘭殿、素晴らしい舞であった。」
将軍は上機嫌である。
香蘭は頬を染めて、俯いた。
「そして…」
将軍は、更に後ろで控えている、麗蘭の方へ目を向けた。
「見事な琴であった。」
思いがけず将軍から声を掛けられ、驚いた麗蘭は、慌ててその場に平伏した。
「次女の、麗蘭でございます。琴の腕前はこの邑一番でございます。」
主人は誇らしげに、麗蘭を将軍に紹介した。
「麗蘭殿…面を上げられよ。」
麗蘭が緊張している事を見澄ました将軍は、優しげな声で呼びかける。
麗蘭は、少し躊躇いがちに、ゆっくりと頭を起こした。
将軍の胸元まで視線を上げたが、目を合わせる事が出来ず、麗蘭の黒い瞳は揺れ動いている。
将軍はその様子を、しばらく黙って見つめていたが、やがて口元に笑みを浮かべた。
「実に美しい…わしの妻としたいが、どうか?」
その言葉に、一座はざわめき、麗蘭の顔は一瞬で青ざめた。
主人は慌てて、将軍の前へ進み出ると、
「こ…これはまだほんの子供でして…!将軍の妻になど、とてもなれませぬ…!」
と、額に汗を浮かべる。
将軍は笑いながら、
「心配と申すなら、姉と妹、二人とも貰おう。」
そう言い、香蘭と麗蘭の二人を指差した。
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