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第3章 神と悪魔、そして正義
第37話
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俺とバロムが握手をしていると、周りを覆っていた黒い泥のようなものが、先ほどの魔道具に吸収されていった
「はぁ、契約できてよかったですね。団長。私はもうダメかと」
フルーメはため息まじりにそう言った
「それはあんたらのやり方が悪い」
俺がフルーメの方を見てそう言うと
「ナッハッハッ!そりゃすまんな!こっちも焦っているからな」
バロムはそう言って笑っていた
「あ、俺の名前はヴェールで通してくれ。一応な」
「わかっとるわ。わざわざ偽名を使うなんてやましいことがある奴がやることだからな。そんなやましい奴の協力者になったんだ。そんぐらい守ってやるよ」
バロムはニヤリと笑いながらそう言った
「情報は定期的に俺の仲間に渡させますす。そいつの名前はロビンです。じゃ、俺は戻ります。」
そう言って外向けの対応に戻った俺はその場を去った
「よかったですね。団長。これで計画が一歩前進しましたよ」
バロムの方を向いてそう言った
「おう。それとあいつの教育係はお前さんがついてやれ。」
バロムは先程より、どこか真面目な顔でそう言った
「はいはい。わかりましたよ。」
フルーメはそれに対し、呆れ口調でそう返した
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2人との話し合いの後、宿に戻った俺は今日の話し合いの内容をロビンとヴァネッサに話した
「あら、いい契約してきたじゃない。これでだいぶ、マスターちゃんのやりたいことがやりやすくなったわね!」
ヴァネッサは手を叩いて喜んでいた
「マスタァにしちゃ上等やな。」
ロビンはいつも通り茶化すようにそう言った
「うるせぇよ。お前はもっとヴァネッサみたいに素直に褒められねぇのか。」
「うーん。無理やな。」
ロビンはわざとらしく頭を傾げながらそう言った
「チッ。まぁいいや。とりあえず、内容から分かってもらえると思うけど、ロビンにはフロスト王国にスパイに行ってもらう感じになるけど大丈夫か?」
「ん?まぁええけど、マスタァとの連絡はどうするんや?こんな長距離での通信は流石の俺でも無理やで?」
「ああ、それに関してはこれ使いな。」
そう言って俺は杭のような黒と白の棒をそれぞれ一本ずつ渡した
「なんやこれ?」
それを受け取ったロビンは首を傾げてそう聞いてきた
「ワープゲート用のポータルみたいなもんだ。そいつを地面に刺して起動させると、大地の魔力を吸って、それを燃料としてワープゲートを出現させる。」
「片方を魔皇国の近くのどこかに、もう片方をフロスト王国側にブッ刺して起動させれば、簡単に行き来できんだよ。」
「そいつぁ便利やな。こいつがありゃ連絡も楽やな。」
「ただ気をつけろよ。その杭は簡単に破壊できる。もし仮に片方が壊されたら起動できなくなるからな。」
俺はロビンの目を見てそう注意した
「わかったよ。任せとけ。必ずマスタァの役に立つような情報を持ってきてやるよ」
ロビンの目からは先ほどまでとは違う、気迫のようなものを感じた
「了解、任せた。ヴァネッサは引き続き俺と行動を共にしてもらう。目的はこの国での生徒が暮らせる安全地帯の確保。
そして、アレクサンドラ・メルキスの解放の補助だ。後者に関してはロビンにも手伝ってもらう可能性があるから、それだけは理解しておいて欲しい。」
「了解したぜ」
「わかったわ」
「何かあれば知らせろ。以上だ」
俺がそう言った瞬間、ロビンは一瞬でその場から去った
「明日から、俺は訓練に加わる。ヴァネッサはその間は自由に動いてもらって構わない。」
「あら、私結構、簡単な立ち回りなのね。よかったわ。それじゃあまた明日会いましょうね」
ヴァネッサは手を振りながら、自分の部屋へ帰っていった
残った俺は、自分の部屋で明日からの訓練について少し考えてから、眠りについた
******************
朝、俺が第三騎士団の訓練所に行くと、フルーメがいつも通りニコニコしながら立っていた
「おはようございます。副団長。本日は何用ですか?」
俺は第三騎士団の団員たちの前だったので、営業スマイルと丁寧な口調でフルーメに話しかけた
「うん。おはよう。ヴェール君。実はね、団長から君の訓練を僕が持つように言われてね。」
フルーメのその言葉に、訓練していた団員たちは手を止め、かなり驚いた様子で俺の方を見ていた
「わかりました。それで、ここでやるんですか?」
「いや、僕がいつも使っているところでやろうと思ってね。それじゃあ、行こうか」
フルーメはそう言った後、訓練所の奥の方にある第三騎士団の隊舎の方に向かって歩き出した
「はい。行きましょうか。」
俺は素直にそれに従って、フルーメの後をついて行った
フルーメは隊舎の中に入ると、第三騎士団の一階にある受付エリアの奥の方に進んでいき、そこにある鉄製の扉をこじ開けて中に入った。その部屋には、何もなく、あるのは中心にあるハッチだけであった。フルーメはランタンを取り出し、ハッチを開けた。
ハッチの中は下に続く階段になっており、フルーメの持つランタンなしには先が見えなかった。
「うん、ここまで来れば大丈夫だね。口調、戻してもいいよ」
「そりゃどうも。それより、ここばどこだ?明らかに普通の部屋ではないけど」
「ああ、ここは第三騎士団の団長、副団長クラスじゃないと知り得ない場所でね。どんな部屋かは下に着けばわかるよ」
フルーメの発言に怪しさを感じた俺は、探知スキルを地下全体に向けて発動した
「なんだ…これ…!?」
俺のスキルは恐ろしいものを探知してしまった
「おや、気付いてしまいましたか。まぁ地下につけばわかったことですし、問題はないでしょう。うん、もう地下に着いたようですね」
地下に着いた俺たちの目の前には、全長数百メートルにも及ぶであろう"龍"が威風堂々と鎮座していた
「彼の龍は我ら人型の生命が誕生する前より、我らの世界を守護していたといわれる原初の龍種の1人、[雨神龍ティトリ]様です。」
雨神龍と呼ばれたそれは、全身を深い青色の鱗で包んでおり、緑色に輝く眼には何か神秘的なものを感じる。そんな見た目をしていた。
その龍を目の前にした俺はなぜかわからないが、今まで感じたことのないほどの安心感を感じていた
「はぁ、契約できてよかったですね。団長。私はもうダメかと」
フルーメはため息まじりにそう言った
「それはあんたらのやり方が悪い」
俺がフルーメの方を見てそう言うと
「ナッハッハッ!そりゃすまんな!こっちも焦っているからな」
バロムはそう言って笑っていた
「あ、俺の名前はヴェールで通してくれ。一応な」
「わかっとるわ。わざわざ偽名を使うなんてやましいことがある奴がやることだからな。そんなやましい奴の協力者になったんだ。そんぐらい守ってやるよ」
バロムはニヤリと笑いながらそう言った
「情報は定期的に俺の仲間に渡させますす。そいつの名前はロビンです。じゃ、俺は戻ります。」
そう言って外向けの対応に戻った俺はその場を去った
「よかったですね。団長。これで計画が一歩前進しましたよ」
バロムの方を向いてそう言った
「おう。それとあいつの教育係はお前さんがついてやれ。」
バロムは先程より、どこか真面目な顔でそう言った
「はいはい。わかりましたよ。」
フルーメはそれに対し、呆れ口調でそう返した
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2人との話し合いの後、宿に戻った俺は今日の話し合いの内容をロビンとヴァネッサに話した
「あら、いい契約してきたじゃない。これでだいぶ、マスターちゃんのやりたいことがやりやすくなったわね!」
ヴァネッサは手を叩いて喜んでいた
「マスタァにしちゃ上等やな。」
ロビンはいつも通り茶化すようにそう言った
「うるせぇよ。お前はもっとヴァネッサみたいに素直に褒められねぇのか。」
「うーん。無理やな。」
ロビンはわざとらしく頭を傾げながらそう言った
「チッ。まぁいいや。とりあえず、内容から分かってもらえると思うけど、ロビンにはフロスト王国にスパイに行ってもらう感じになるけど大丈夫か?」
「ん?まぁええけど、マスタァとの連絡はどうするんや?こんな長距離での通信は流石の俺でも無理やで?」
「ああ、それに関してはこれ使いな。」
そう言って俺は杭のような黒と白の棒をそれぞれ一本ずつ渡した
「なんやこれ?」
それを受け取ったロビンは首を傾げてそう聞いてきた
「ワープゲート用のポータルみたいなもんだ。そいつを地面に刺して起動させると、大地の魔力を吸って、それを燃料としてワープゲートを出現させる。」
「片方を魔皇国の近くのどこかに、もう片方をフロスト王国側にブッ刺して起動させれば、簡単に行き来できんだよ。」
「そいつぁ便利やな。こいつがありゃ連絡も楽やな。」
「ただ気をつけろよ。その杭は簡単に破壊できる。もし仮に片方が壊されたら起動できなくなるからな。」
俺はロビンの目を見てそう注意した
「わかったよ。任せとけ。必ずマスタァの役に立つような情報を持ってきてやるよ」
ロビンの目からは先ほどまでとは違う、気迫のようなものを感じた
「了解、任せた。ヴァネッサは引き続き俺と行動を共にしてもらう。目的はこの国での生徒が暮らせる安全地帯の確保。
そして、アレクサンドラ・メルキスの解放の補助だ。後者に関してはロビンにも手伝ってもらう可能性があるから、それだけは理解しておいて欲しい。」
「了解したぜ」
「わかったわ」
「何かあれば知らせろ。以上だ」
俺がそう言った瞬間、ロビンは一瞬でその場から去った
「明日から、俺は訓練に加わる。ヴァネッサはその間は自由に動いてもらって構わない。」
「あら、私結構、簡単な立ち回りなのね。よかったわ。それじゃあまた明日会いましょうね」
ヴァネッサは手を振りながら、自分の部屋へ帰っていった
残った俺は、自分の部屋で明日からの訓練について少し考えてから、眠りについた
******************
朝、俺が第三騎士団の訓練所に行くと、フルーメがいつも通りニコニコしながら立っていた
「おはようございます。副団長。本日は何用ですか?」
俺は第三騎士団の団員たちの前だったので、営業スマイルと丁寧な口調でフルーメに話しかけた
「うん。おはよう。ヴェール君。実はね、団長から君の訓練を僕が持つように言われてね。」
フルーメのその言葉に、訓練していた団員たちは手を止め、かなり驚いた様子で俺の方を見ていた
「わかりました。それで、ここでやるんですか?」
「いや、僕がいつも使っているところでやろうと思ってね。それじゃあ、行こうか」
フルーメはそう言った後、訓練所の奥の方にある第三騎士団の隊舎の方に向かって歩き出した
「はい。行きましょうか。」
俺は素直にそれに従って、フルーメの後をついて行った
フルーメは隊舎の中に入ると、第三騎士団の一階にある受付エリアの奥の方に進んでいき、そこにある鉄製の扉をこじ開けて中に入った。その部屋には、何もなく、あるのは中心にあるハッチだけであった。フルーメはランタンを取り出し、ハッチを開けた。
ハッチの中は下に続く階段になっており、フルーメの持つランタンなしには先が見えなかった。
「うん、ここまで来れば大丈夫だね。口調、戻してもいいよ」
「そりゃどうも。それより、ここばどこだ?明らかに普通の部屋ではないけど」
「ああ、ここは第三騎士団の団長、副団長クラスじゃないと知り得ない場所でね。どんな部屋かは下に着けばわかるよ」
フルーメの発言に怪しさを感じた俺は、探知スキルを地下全体に向けて発動した
「なんだ…これ…!?」
俺のスキルは恐ろしいものを探知してしまった
「おや、気付いてしまいましたか。まぁ地下につけばわかったことですし、問題はないでしょう。うん、もう地下に着いたようですね」
地下に着いた俺たちの目の前には、全長数百メートルにも及ぶであろう"龍"が威風堂々と鎮座していた
「彼の龍は我ら人型の生命が誕生する前より、我らの世界を守護していたといわれる原初の龍種の1人、[雨神龍ティトリ]様です。」
雨神龍と呼ばれたそれは、全身を深い青色の鱗で包んでおり、緑色に輝く眼には何か神秘的なものを感じる。そんな見た目をしていた。
その龍を目の前にした俺はなぜかわからないが、今まで感じたことのないほどの安心感を感じていた
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