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第2章 正義と悪、そして忘却

閑話休題4

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sideクリストフ
「彼らはもう彼とお話出来たかな?」
クリストフは書類に半を押しながらおもむろにそう呟いた

「どうしたのですか?団長?いきなり変なこと言って」
彼の発言に反応したのは、副団長のライラだった。ライラは団長のいる部屋で優雅に紅茶をすすりながら団長と話していた

「いや、ただの独り言だよ。気にしないでくれ。それにしても転移者たちの成長は目覚しいね。僕らのとこの下っ端くらいじゃもう勝てないんじゃないかな」

「そうですね。まぁそれも当然かと」

「そうだね。彼らは召喚された当初からかなり高い身体能力と神からの愛と言わんばかりの加護があったからね。彼らがもっと力をつけて反逆でもされようものならたまったもんじゃないよ。」
彼は窓の外にいる転移者達を一瞥してそういった

「ご冗談を。まぁ、団長より強い人が出てきたら危ないでしょうけど。」

「うーん。部下からの信頼が重いよ。僕はそんなに強いわけじゃないよ?」

「謙遜は時に侮辱になりますよ?あなたはフロスト王国がある西の大陸最強の男と言われているのだから」
ライラは彼に信頼を含んだ笑みを浮かべながらそういった。

「過大評価だと思うけどね。まぁ、彼らがあと20倍は強くなってくれたら、僕はお役御免って所かな」

「そうですね。ただ、あり得るとは思いませんが」

2人が喋っていると部屋の扉がノックされた

「ん、入っていいぞ」

「失礼致します!クリストフ団長!アウステカ連邦の特殊調査員のヴェールという者から手紙が届いております!」
入ってきた騎士の手には発言通り一通の手紙があった

「へぇ、アウステカからか…うん、後で読むからそこに置いておいて貰えるかな?」

「はっ!失礼致しました!」

「お疲れ様」
彼がそういった後、騎士の男は部屋に一礼して去っていった

「なんですかそれ?っていうか団長、連邦と繋がってたんですか?」

「まぁ、おそらくは調査の協力とかでしょう。後で見ておくから騎士団に関係ある情報であれば追って伝えます。さっ、あなたは訓練に戻りなさい。僕はまだやらなきゃいけない事があるからね」

「はーい。団長もたまには訓練来てくださいよ?体が訛っちゃいますからね!」
彼女はそう言って部屋に部屋から去った

「はいはい。まぁ、あなた程度に殺られはしませんが。」
彼は彼女がいなくなったのを確認してから、おもむろに立ち上がり先程の手紙を開いた。
中に書かれていたのは彼が先程言った通りの調査協力の依頼だった。

「ふむ、面白い仕組みを使ってきたね。小鳥遊くん」
彼が手に持っている紙に魔力を流すと、調査依頼の文字が消え、違う文章が浮かび上がった

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

今から1週間後の夜、現状報告のためにあなたの元に行く。あなたが余程のことがない限り、王城内から出れないのは知っている。だから俺とあんたが出会った場所で会おう。
この文章は1度しか表示されない。
だから、バレる心配は無い。情報共有が確実に行えることを祈っている。
                                                  協力者より。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「やはり、彼が協力者にしたのは正解だった。ふふっ、それにしても集合場所をあそこと指定するなんてね。実に面白い。ああ、最高だ!」
クリストフは彼と別れてからの心配がなくなり、その彼が力をつけたことに大いに感動し、喜んだ。

「待っていてくれたまえ、小鳥遊くん。
お互いの目的の成功のために……!」




________________________________________

そして1週間後の夜、王国内の牢屋前にて、二人の協力者は再び邂逅した。


「よお、久しぶりだな。元気そうでなによりだよ。なぁ、クリストフ殿?」
私の協力者はあの時と変わらない力強さを感じる目をしていた。
ただし、決定的に違う所があった。
それは隠しきれないほどの膨大な力だった。私はそれに深く、深く感動した。

「ああ、久しぶりだ。生きていたことをとても嬉しく思うよ。小鳥遊くん。」




__________________

閑話休題はここまでです。
次回から主人公sideに戻ります。
お楽しみに。
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