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第2章 正義と悪、そして忘却

第26話

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目が覚めると俺は地面の上に仰向けで寝ていた。先ほどまで、何か夢のようなものを見ていた気がする。あれは一体…

「お、起きたか。マスタァ。いきなり光に包まれたと思ったらぱたっと倒れやがって、心配しとったんやぞ?」
目の前には心配そうな顔をしたロビンがいた。

「すまん。なんか…夢を…見てた。」

「夢か。どんな夢やったんや?」
ロビンは俺を気遣ってか、いつもより口調が優しい感じがした。

「思い出せそうにはないな…けど、なんか安心感だけは残ってる感じだな」

「そいつはよかったやんか。それ以外に何か変化はあるんか?」

「いや、特には…」
そう言って手をついて立ち上がろうとした瞬間地面が凹んだ。

「な、何をしとるんや!マスタァ!」

「すまん!俺にも何がなんだか…」
急なことに頭が回らず、どうなっているかを考えていると、俺らの頭の中にふと、声が響いた

『それに関しては私から説明させていただきます。』

「!?」

「落ち着けロビン。この声はヘルメスだよ。」

「ヘルメスさんか…それでなんの用や?」

「さしづめ俺の体の状態の説明だよな?」

『はい。』

「そうか。なら頼む。俺の体は今どうなっている?」

『あなた様は先ほど、女神の使徒を撃退しました。そして倒された彼が作り出した光の球を吸収した。ここまではわかりますね?』

「ああ、そうだ。ただ、女神の使徒を倒したからってここまでいくとはおもえないんだが?」

『確かにそうです。しかし、今回は彼の残した光球を吸収した。この一点が原因していると考えます。』

「あの光の球は何やったんや?ただのエネルギーの塊にしか思えへんかったけど。」

『エネルギーの塊であることは確かです。ただ、その光球にもう一つ、吸収者の体をより強いものへ作り替える効果があったのです。』

「具体的にはどれほどのレベルまでいったんだ。ヘルメス?」

『以前のマスターの出力は全開時の6分の1程でしたが、先ほどの変化で全開時の3分の1以上、つまり以前の2倍の出力で戦えるようになったということです。』

「倍か…なかなかのパワーアップだな。」

『はい。そしてそれに伴うロビンさんの出力上昇を今より行います。マスター、離れてください。』

「どんとこいやぁ!ヌッ…ウォォォ!!!あぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
一気に流れ込む力の濁流に苦しむロビン

「あれ大丈夫か?」

『問題ありません。




たぶん』

「そっか…たぶんか…がんばれロビン。お前がいなくなっても俺、忘れないよ。」

「あぁ!!はっ…はぁ…はぁ、死なんわ!死ぬかと思ったけどな!」
力を取り戻したロビンは大量の汗を垂れ流し、息を切らしていた。

「残念だ。」

「あ?やるんか?いや、やろうぜ!なぁ!マスタァ!」
ロビンは両手に爆弾を生成した。

「へぇ…力を取り戻したのはお前だけじゃねぇぞ?やってやんよ!おらぁ!来いよ!」
俺は先程とは比にならない魔力密度の弾丸を作り上げ、相手に向け発射準備を整えた

「「行くぞ!」」
互いが顔を見合わせ今ぶつかり合う

「あんたたち!やめなさい!」
その瞬間、互いの頬に強烈な一撃が叩き込まれた

「「ヌッガァ!!!いってぇ!!誰だ(誰や)!!」」

「あんたたちがバカなのは変わらないようね。声でわからない?ワタシよ。ワタシ。」
なぐりとばした者は頭に薔薇の装飾を身につけた金髪の男だった。

「あんさんまさか…」

「ヴァネッサか!?」

「そうよ。あなたの美しい召喚人。
ヴァネッサ・エルミワーズ。ここに推参!久しぶりね。マスターちゃん。」
この男の名はヴァネッサ・エルミワーズ。俺の召喚術によって召喚できるエルフ。執事服を着ており、ネクタイではなくリボンをつけていて、上着は脱いだ格好をしている。

「なんでお前がここにいるんだよ…?」

「何言ってるの?マスターちゃんがさっき呼んだんじゃないの?」

「呼んでないよ。」

『私がやりました。』
予想外の声に驚いた

「え?」

『私がやりました』

「いや、繰り返さなくてもわかったけど。なんで?」

『マスターの召喚可能な者が増えたのでとっとと召喚してしまおうかなと思い。召喚いたしました。』

「うん。まぁいいか。それより久しぶりだな。ヴァネッサ。」

「それにしても生のマスターちゃんに会えるなんて!やっぱりあなた可愛い顔してるじゃない!」
走り寄ってきたヴァネッサに抱きしめられた。

「くる…しい…わ!」
俺はヴァネッサを力づくで引き剥がした

「あら、つれないわね。」
無理矢理引き剥がされたからか、ヴァネッサは残念そうな顔をした

「なぁヴァネッサ?」

「どうしたの?マスターちゃん?」

「なんで呼ばれたのか聞かないのか?」

「あ…忘れてたわ。そこら辺を含めてじっくり話をしたいわ。ロビンを隠れてないで来なさい。楽しく、おしゃべりしましょ?」




3人は久しぶりの出会いを喜び、これからのことを話し合った。





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