ハッピーおじさん~不幸のどん底に落ちた男、幸運値が限界突破して姪っ子の配信でバズるも、気づかないままモフモフ幼女達とスローライフ~

ミポリオン

文字の大きさ
上 下
49 / 50
ハッピーおじさんと新しい生活

第049話 あーんっ(亜理紗視点)

しおりを挟む
「それじゃあ、配信始めるね」

 野外料理はカメラ映えするし、おじさんとマヒルたちの様子を見せられる。これは配信しない手はない。そう思った私はおじさんに許可を取って生配信を始めた。

 おじさんが私のお願いを断る訳ないけど、親しき中にも礼儀あり。きちんと確認するのは大切だと思う。

「おう、こっちはいつでもいいぞ」

 料理の準備が終わったおじさんが手を挙げて合図をする。

 人型のマヒルとヨルは既に料理に釘付けになって涎を垂らしている。ワラビモチとカシワモチも体をびよーんと伸ばして料理を見つめていた。

 そして、今日は見回りをしながら基本的に森の中で生活をしているシルクシープたちがおじさんの後ろに勢ぞろいしている。

 幼女、プニプニ、モフモフの群れ、そしてそれを愛でるおじさん。

 これだけで癒し動画として成り立つくらいに破壊力がある絵面になっている。私も見ているだけで表情が緩むを抑えるのに必死なくらいだ。

 そんなことを考えながら配信を始めた。

「はーい、みなさん、こんにちは。リサチャンネルへようこそ!!」

"おっ、始まった"
"アリサ、はろはろ"
"こんな時間に珍しいね"
"しかも、外っぽい"
"それに街中って感じでもないな"

「うんうん、皆が言っているように、今日は郊外にキャンプに来てるの!!」

"キャンプかぁ、楽しそう"
"外で泊まるのっていいよね"
"自分は暑いからパスかなぁ"
"私も虫が多いからキツイかも"

 反応は半々。確かに暑さの厳しいこの季節にキャンプをやるのはなら人によっては嫌厭されてしまうのは間違いない。

 でも、おじさんとその仲間たちは普通じゃない。

「ふっふっふっ。私が居るところは涼しい上に、虫も全くいないんだよねぇ」

"えぇ~、なにそれ"
"ずるーい!!"
"それなら俺も行きてぇなぁ"
"これはハピおじが絡んでるな?"

 ふふふっ、案の定皆羨ましがってるね。

「気づいている人もいるけど、これはおじさんの召喚獣の力だよ。マヒルちゃんの天候操作スキルを使えば、気温や湿度まで変えられちゃうんだよねぇ。そして、マヒルちゃんとヨルちゃんが雷で結界みたいなのを作って侵入してくる虫を殺してくれるの」

 マヒルちゃんとヨルちゃんは最高ランクを超える幻の召喚獣。見た目は幼く見えるけど、その力はすでに規格外。周りの環境まで操れてしまう。

"あのスキルってそんなことまでできんのか!?"
"やっぱ幻ランクだけある"
"羨ましい!!"
"可愛いだけじゃなくて有能"

「まぁ、今日はそんな自慢をするために配信したわけじゃなくて、夕食でおじさんたちとバーベキューをするから、その様子を見せて癒らされてもらおうと思ったんだよね」

 私はそう言ってドローンカメラにおじさんたちを映す。

 すでにバーベキューを食べ始めていた。

"あ、ハピおじだ"
"マヒルとヨルもいる。かわええ"
"ホントだ。クソかわ"
"え、後ろにいるのってオリハルコンシルクシープじゃね?"
"ミスリルシルクシープの群れも居る"
"シャイニングミーもだけど出現報告がないモンスターじゃん"
"モフモフ癒される~"

 そう。実はおじさんが仲間にした羊たちは、レア種のミスリルシルクシープと、そのさらに上のオリハルコンシルクシープだ。

 おじさんは心配していたけど、群れになった彼らは物凄く強い。そんじょそこらの相手に負けたりしない。少なくともこの辺りでポップする他のモンスター単体にやられることはまずないと言っていい。

「ヨルはどれがいいんだ?」
「しょれ」
「分かった」

 ヨル以外にはすでに料理がいきわたっており、皆必死になって食べている。おじさんはヨルが指さした肉串をとって皿に盛ってヨルに差し出した。

「あーん」

 しかし、ヨルは自分で食べようとせずに口を大きく開ける。

「全く仕方ないなぁ」

 おじさんはその様子を見て少し呆れたような笑みを浮かべながら肉をヨルの口の中に運んでやった。

「もぐもぐ……おいし」

 無表情のヨルたんが頬を緩ませる姿、尊い……。

「パパっ!! わたしも!! あーんっ」
「ははははっ。分かった分かった。あーんっ」

 見ていたマヒルも参戦する。

 二人とも可愛すぎる。勿論二人だけでなく、ワラビモチとカシワモチも参戦。

 あれ? カシワモチは私の従魔じゃなかったっけ?

"あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……"
"心臓が痛い"
"こ、これが、恋か……"

 リスナーさんたちも私と同じように皆の可愛らしさにやられていた。

 ……って眺めている場合じゃなかった。叔父さんにあーんしてもらえるなんて羨ましすぎる。

「あはははっ。それじゃあ、私も混ざろうと思います!! 暫くそのままにしておくので皆は存分に癒されてってね!!」

 私も急いでおじさんの許に移動する。

「ど、どうしたんだ、そんなに急いで……」
「おじさん、私も!! あーんっ」

 困惑するおじさんの言葉も無視して私もひな鳥のように口を開ける。

「はぁ……もうそんな歳じゃないだろうに。仕方ないな。ほら、あーんっ」
「!!」

 おじさんは私に呆れつつも、私にもヨルたんと同じように肉を口に運んでくれた。

 やっぱりおじさんは優しいな。それにこのお肉めっちゃ美味しい。多分お祝いするために買ってアイテムボックスに入れてくれたんだと思う。

 私は思わず頬から力が抜けてしまった。

 バーベキューが終わるまで配信しっぱなしにしておいた結果、コメントを見る限り皆癒されて満足してくれたみたいだった。

 マヒルちゃんとヨルちゃんやワラビモチとカシワモチ、そして羊たちをメインに映していたおかげだね。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ? コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。 (あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw) 台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。 読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。 (カクヨムにも投稿しております)

十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。 十分以上に勝算がある。と思っていたが、 「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」 と完膚なきまでに振られた俺。 失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。 彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。 そして、 「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」 と、告白をされ、抱きしめられる。 突然の出来事に困惑する俺。 そんな俺を追撃するように、 「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」 「………………凛音、なんでここに」 その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...