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ハッピーおじさんと新しい生活
第047話 トイレのグミ様
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実は解決手段として仮設トイレを購入して持ってきている。ただ、それでも排泄物の処理の問題は無くならない。これをどうにか解決しなければならない。
「産廃業者にここまで来てもらうのは無理だろうから、どうしたものか……」
「そうだねぇ。川に捨てるわけにもいかないし」
俺達はお互いに腕を組んで眉をひそめる。
「ピッ」
そんな時、ワラビモチが体を変形させて手を上げた。
「どうした?」
「ピッ」
ワラビモチは「見てて」と鳴いた後、俺に神々しい光が放たれる。暖かな光が俺を徐々に包み込んでいく。
悪いものではなさそうだ。
しばらく観察していると、その驚くべき効果に目を見張る。
「これは……!?」
そのキラキラとした光が晴れると、俺の身に着けていた物が新品のように汚れが綺麗さっぱり無くなってしまった。
「ワラビモチ、これは何をしたんだ?」
「ピッ!!」
尋ねると、ワラビモチが言いたいことが伝わってくる。
ワラビモチが持っている神聖魔法の中にある、浄化という魔法を使って汚れを落としたそうだ。本来は毒や麻痺などを治す効果がある魔法だが、物を綺麗にする効果もあるらしい。
「それはどんな汚れも落とすことができるのか?」
「ピピッ」
ワラビモチはそのモチモチとした体を自信ありげに変形させて、どんな汚れも落として見せると豪語する。
「それじゃあ、これは?」
俺はその力を試すため、後で洗おうと思ってアイテムボックスに入れっぱなしだった寸胴を取り出した。
「ピッ!!」
ワラビモチから光が放たれる。そして、次の瞬間、光に包まれ、焦げとカレーのカスが一瞬にして消滅し、ツルツルピカピカになった。
「次はこれだ」
「ピッ」
次に取り出したのはそれなりに履いている靴。それもあっという間に綺麗になった。
「私も私も!!」
亜理紗も俺と一緒になってアイテムボックスから何かを取り出す。
それは可愛らしい動物のぬいぐるみだった。ただ、それなりに長い時間がたっているのか少し色がくすんでいる。
「ピッ」
それもあっという間に輝きを取り戻した。
「すごっ」
亜理紗もぬいぐるみを眺めて感心している。
その後もいくつかの落ちにくい汚れがついた物を取り出して浄化してもらったが、全ての汚れが消えてなくなってしまった。
自信があると言うだけはある。当然だが、浄化はカシワモチも使える。
「わぁ、これで毎日の洗濯や洗い物が凄い楽になるね」
「そうだな」
お風呂に入っていた時も、排水関係を二人が浄化してくれていたらしい。そこまで頭が回っていなかったので、二人には頭が上がらないな。
別のスキルも併用すれば、排泄物も処理できるとのこと。
問題はあっさり解決できてしまった。俺はワラビモチたちに出逢えた幸運に感謝した。
「ワラビモチ、カシワモチ、これから二人で交代しながら浄化してくれるか?」
「ピッ!!」
「ピィッ」
二人は体を器用に変形させて敬礼のようなポーズで「任せて」と返事をした。
よし、これで水とトイレの問題は解消された。
いや、それどころか、洗濯や排水の浄化、そしてどうしても風呂に入れない時に綺麗にしてもらうことさえ可能だ。
予想以上に快適な生活が送れそうだな。不自由な生活を覚悟していただけに凄く嬉しい。
「そういえば、召喚獣や従魔は排泄するのか?」
「「キュウンッ」」
「ピッ」
ふと思い出したように聞くと、三人は体全体を使って返事をする。
今までトイレに行く様子を見たことがないからそうだと思ってはいたが、本当に排泄しないとは。それに、なんでも、食べた食事は全て魔力に返還されて吸収とのこと。なんて都合のいい体なんだ。羨ましい。
「それって太らないってこと!? ズルいんだけど!!」
亜理紗は別のところで憤慨していた。
彼女は俺から見れば理想的なスタイルで、到底太っているようには見えないが、女性は体重や体型に非常に敏感だから口に出してはいけない。
問題が解決したところで、音漏れも考えて四つの仮設トイレをテントから離れた場所に設置した。
少し面倒だが、これだけ離れていれば音も聞こえないだろうし、四つあればかち合って間に合わないということもないはずだ。
それに、女の子がいるから、トイレ周りは建築スキルでもっとどうにかしていきたいと思う。
ここからが新しい生活の本当の始まりだ。まずはやっぱり畑が欲しい。
しかし、ここは森の中。木を伐採しないと始まらない。
「森を切り開くぞ!!」
「おおー!!」
俺たちは森の開墾作業に取り掛かった。
「産廃業者にここまで来てもらうのは無理だろうから、どうしたものか……」
「そうだねぇ。川に捨てるわけにもいかないし」
俺達はお互いに腕を組んで眉をひそめる。
「ピッ」
そんな時、ワラビモチが体を変形させて手を上げた。
「どうした?」
「ピッ」
ワラビモチは「見てて」と鳴いた後、俺に神々しい光が放たれる。暖かな光が俺を徐々に包み込んでいく。
悪いものではなさそうだ。
しばらく観察していると、その驚くべき効果に目を見張る。
「これは……!?」
そのキラキラとした光が晴れると、俺の身に着けていた物が新品のように汚れが綺麗さっぱり無くなってしまった。
「ワラビモチ、これは何をしたんだ?」
「ピッ!!」
尋ねると、ワラビモチが言いたいことが伝わってくる。
ワラビモチが持っている神聖魔法の中にある、浄化という魔法を使って汚れを落としたそうだ。本来は毒や麻痺などを治す効果がある魔法だが、物を綺麗にする効果もあるらしい。
「それはどんな汚れも落とすことができるのか?」
「ピピッ」
ワラビモチはそのモチモチとした体を自信ありげに変形させて、どんな汚れも落として見せると豪語する。
「それじゃあ、これは?」
俺はその力を試すため、後で洗おうと思ってアイテムボックスに入れっぱなしだった寸胴を取り出した。
「ピッ!!」
ワラビモチから光が放たれる。そして、次の瞬間、光に包まれ、焦げとカレーのカスが一瞬にして消滅し、ツルツルピカピカになった。
「次はこれだ」
「ピッ」
次に取り出したのはそれなりに履いている靴。それもあっという間に綺麗になった。
「私も私も!!」
亜理紗も俺と一緒になってアイテムボックスから何かを取り出す。
それは可愛らしい動物のぬいぐるみだった。ただ、それなりに長い時間がたっているのか少し色がくすんでいる。
「ピッ」
それもあっという間に輝きを取り戻した。
「すごっ」
亜理紗もぬいぐるみを眺めて感心している。
その後もいくつかの落ちにくい汚れがついた物を取り出して浄化してもらったが、全ての汚れが消えてなくなってしまった。
自信があると言うだけはある。当然だが、浄化はカシワモチも使える。
「わぁ、これで毎日の洗濯や洗い物が凄い楽になるね」
「そうだな」
お風呂に入っていた時も、排水関係を二人が浄化してくれていたらしい。そこまで頭が回っていなかったので、二人には頭が上がらないな。
別のスキルも併用すれば、排泄物も処理できるとのこと。
問題はあっさり解決できてしまった。俺はワラビモチたちに出逢えた幸運に感謝した。
「ワラビモチ、カシワモチ、これから二人で交代しながら浄化してくれるか?」
「ピッ!!」
「ピィッ」
二人は体を器用に変形させて敬礼のようなポーズで「任せて」と返事をした。
よし、これで水とトイレの問題は解消された。
いや、それどころか、洗濯や排水の浄化、そしてどうしても風呂に入れない時に綺麗にしてもらうことさえ可能だ。
予想以上に快適な生活が送れそうだな。不自由な生活を覚悟していただけに凄く嬉しい。
「そういえば、召喚獣や従魔は排泄するのか?」
「「キュウンッ」」
「ピッ」
ふと思い出したように聞くと、三人は体全体を使って返事をする。
今までトイレに行く様子を見たことがないからそうだと思ってはいたが、本当に排泄しないとは。それに、なんでも、食べた食事は全て魔力に返還されて吸収とのこと。なんて都合のいい体なんだ。羨ましい。
「それって太らないってこと!? ズルいんだけど!!」
亜理紗は別のところで憤慨していた。
彼女は俺から見れば理想的なスタイルで、到底太っているようには見えないが、女性は体重や体型に非常に敏感だから口に出してはいけない。
問題が解決したところで、音漏れも考えて四つの仮設トイレをテントから離れた場所に設置した。
少し面倒だが、これだけ離れていれば音も聞こえないだろうし、四つあればかち合って間に合わないということもないはずだ。
それに、女の子がいるから、トイレ周りは建築スキルでもっとどうにかしていきたいと思う。
ここからが新しい生活の本当の始まりだ。まずはやっぱり畑が欲しい。
しかし、ここは森の中。木を伐採しないと始まらない。
「森を切り開くぞ!!」
「おおー!!」
俺たちは森の開墾作業に取り掛かった。
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