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おじさんはリアルでも奇跡を起こす
第042話 新しい家族
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「いやいや、来ちゃった、ってどういうことだよ」
「私も今日からここに住むから」
亜理紗は拠点に来るなり意味不明なことを言い出した。
「学校はどうするんだよ」
「レベル沢山上がったからこっから学校に行くくらい簡単だから大丈夫」
「ここにはテントは一つしかないんだぞ」
「買ってきてるから問題なし!!」
「電気がないからエアコンとかパソコンとか使えないぞ!!」
「バッテリーとか発電機とか買ってきたからしばらくはなんとかなるよ!!」
「お風呂もトイレもないぞ」
「川で水浴びしたり、近くの店まで走ったりすればイケるイケる」
亜理紗は俺の疑問に全て答える。
「はぁ……なんでそんなにここいたいんだ?」
全部受け入れられてしまった以上、後は本人と親である兄貴の判断次第だろう。
「そりゃあ、お、おじさんが……ごにょごにょ」
「俺が?」
「お、おじさんが召喚したマヒルちゃんとヨルちゃんとワラビモチと会いたいからに決まってるでしょ!! それにカシワモチだけ仲間外れっていうのも可哀そうだし」
「それはまぁ確かにな」
亜理紗の言う通り、その気持ちは分かる。マヒルたちと一日でも会えなくなるのは辛いからな。亜理紗がもしマヒルたちを召喚していたら、俺も思わず来てしまったかもしれない。
それに、カシワモチもテイムしたモンスターが近くにいないのなら遊ぶ相手がいない。でも、ここなら少なくともマヒルたちと一緒に遊ぶことができる。
「それに、パパから許可貰って来たから大丈夫」
「本当か?」
「ホントホント」
亜理紗は軽く言うが、きちんと確認はしておくべきだろう。
兄貴に電話するためにポケットからスマホを取り出した。
――ツー、ツー、ツー
その矢先に俺の携帯電話が鳴る。画面を見ると掛けてきたのは兄貴だった。
「もしもし、兄貴か?」
『おう。そろそろ亜理紗がそっちに着いた頃か?』
電話に出ると、兄貴が状況を理解しているように尋ねてくる。
そう言うってことは亜理紗の言っていたことは本当みたいだな。
「ああ。ついさっき来たところだ。どういうつもりだ? 年頃の娘をこんな所に来させるなんて」
『ん? いや別にお前と一緒なら安全だろうし。何も問題ないだろ?』
俺は責めるように問い詰めると、兄貴はきょとんとした声色で返事をした。
「大ありだよ。中年の男と女子高生が一緒に暮らすなんて駄目に決まってるだろ?」
『なんだ? 巫光は亜理紗をそういう目で見ているのか?』
反論すると、兄貴が揶揄うような声色で俺に尋ねる。
「そんなわけないだろ。叔父と姪だぞ? でも、外から見たから分からないし、外聞が悪すぎるだろ」
『周りは気にすんな。勝手に言わせておけばいい』
「そんなわけにもいかないだろ。亜理紗の将来が掛かってる」
兄貴はそう言うが、こんなおじさんと二人で一緒に暮らしているなんて世間に知られれば、亜理紗に厳しい目が向けられるだろう。
それはよろしくない。
『問題ない。お前に貰ってもらえばいいからな』
「だから、それは無理だろ」
突然おかしな話をされて、思わずツッコミを知れてしまう。電話口の向こうで兄貴がニヤリと笑ってサムズアップしている姿が思い浮かんだ。
『まぁ、その辺りは大丈夫だ』
「全然大丈夫じゃないだろ!!」
なんで自分の娘を俺に押し付けようとするのか。
『んじゃ、そういうことで、亜理紗は任せたぞ? じゃあな!!』
「おい、兄貴待て!!」
――プー、プー、プー
「待てって言ってるだろ!! 切りやがった……」
そんなことを考えている間に兄貴は電話を切ってしまった。
「ね、大丈夫だったでしょ?」
「はぁ……まぁな」
にっこりと笑って俺に問いかける亜理紗に、俺は困惑しながら返事をする。
「それじゃあ、これからよろしくね、おじさん」
そう言って手を差し出す亜理紗。
「……分かったよ。よろしくな、亜理紗」
俺はこれ以上何を言っても仕方ないと諦めて手を握った。
こうして俺は新たな家族を加えることになった。
「私も今日からここに住むから」
亜理紗は拠点に来るなり意味不明なことを言い出した。
「学校はどうするんだよ」
「レベル沢山上がったからこっから学校に行くくらい簡単だから大丈夫」
「ここにはテントは一つしかないんだぞ」
「買ってきてるから問題なし!!」
「電気がないからエアコンとかパソコンとか使えないぞ!!」
「バッテリーとか発電機とか買ってきたからしばらくはなんとかなるよ!!」
「お風呂もトイレもないぞ」
「川で水浴びしたり、近くの店まで走ったりすればイケるイケる」
亜理紗は俺の疑問に全て答える。
「はぁ……なんでそんなにここいたいんだ?」
全部受け入れられてしまった以上、後は本人と親である兄貴の判断次第だろう。
「そりゃあ、お、おじさんが……ごにょごにょ」
「俺が?」
「お、おじさんが召喚したマヒルちゃんとヨルちゃんとワラビモチと会いたいからに決まってるでしょ!! それにカシワモチだけ仲間外れっていうのも可哀そうだし」
「それはまぁ確かにな」
亜理紗の言う通り、その気持ちは分かる。マヒルたちと一日でも会えなくなるのは辛いからな。亜理紗がもしマヒルたちを召喚していたら、俺も思わず来てしまったかもしれない。
それに、カシワモチもテイムしたモンスターが近くにいないのなら遊ぶ相手がいない。でも、ここなら少なくともマヒルたちと一緒に遊ぶことができる。
「それに、パパから許可貰って来たから大丈夫」
「本当か?」
「ホントホント」
亜理紗は軽く言うが、きちんと確認はしておくべきだろう。
兄貴に電話するためにポケットからスマホを取り出した。
――ツー、ツー、ツー
その矢先に俺の携帯電話が鳴る。画面を見ると掛けてきたのは兄貴だった。
「もしもし、兄貴か?」
『おう。そろそろ亜理紗がそっちに着いた頃か?』
電話に出ると、兄貴が状況を理解しているように尋ねてくる。
そう言うってことは亜理紗の言っていたことは本当みたいだな。
「ああ。ついさっき来たところだ。どういうつもりだ? 年頃の娘をこんな所に来させるなんて」
『ん? いや別にお前と一緒なら安全だろうし。何も問題ないだろ?』
俺は責めるように問い詰めると、兄貴はきょとんとした声色で返事をした。
「大ありだよ。中年の男と女子高生が一緒に暮らすなんて駄目に決まってるだろ?」
『なんだ? 巫光は亜理紗をそういう目で見ているのか?』
反論すると、兄貴が揶揄うような声色で俺に尋ねる。
「そんなわけないだろ。叔父と姪だぞ? でも、外から見たから分からないし、外聞が悪すぎるだろ」
『周りは気にすんな。勝手に言わせておけばいい』
「そんなわけにもいかないだろ。亜理紗の将来が掛かってる」
兄貴はそう言うが、こんなおじさんと二人で一緒に暮らしているなんて世間に知られれば、亜理紗に厳しい目が向けられるだろう。
それはよろしくない。
『問題ない。お前に貰ってもらえばいいからな』
「だから、それは無理だろ」
突然おかしな話をされて、思わずツッコミを知れてしまう。電話口の向こうで兄貴がニヤリと笑ってサムズアップしている姿が思い浮かんだ。
『まぁ、その辺りは大丈夫だ』
「全然大丈夫じゃないだろ!!」
なんで自分の娘を俺に押し付けようとするのか。
『んじゃ、そういうことで、亜理紗は任せたぞ? じゃあな!!』
「おい、兄貴待て!!」
――プー、プー、プー
「待てって言ってるだろ!! 切りやがった……」
そんなことを考えている間に兄貴は電話を切ってしまった。
「ね、大丈夫だったでしょ?」
「はぁ……まぁな」
にっこりと笑って俺に問いかける亜理紗に、俺は困惑しながら返事をする。
「それじゃあ、これからよろしくね、おじさん」
そう言って手を差し出す亜理紗。
「……分かったよ。よろしくな、亜理紗」
俺はこれ以上何を言っても仕方ないと諦めて手を握った。
こうして俺は新たな家族を加えることになった。
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