ハッピーおじさん~不幸のどん底に落ちた男、幸運値が限界突破して姪っ子の配信でバズるも、気づかないままモフモフ幼女達とスローライフ~

ミポリオン

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おじさんはリアルでも奇跡を起こす

第040話 思い立ったが吉日

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「ふぅ……着いた」

 数日掛けて手続きを済ませ、勢いで買った土地にやってきていた。実際に家を引き払うのは一カ月後になるが、待ちきれなかった。

「何も考えずにやってきたけど、やっぱり他人《ひと》の目がなくていいな」

 ここに来る途中もそうだったが、俺の仲間たちはとても可愛い。そう可愛いんだ。

 大事なことだから二度言わせてもらった。

 どうしても視線を集めたり、写真を撮ろうとする輩が多かったりする。

 でも、ここならそういう人たちはほぼやってこない。当然だ。モンスターは一般人にとって脅威そのものなんだから。プレイヤーにとってはなんでもない攻撃でも、一般人が受けたら大怪我したり、最悪死んだりしてしまいかねない。

 命の危険のある場所に好き込んでやってくる人間は少ない。それに、ここは初心者の狩場で、すでに三カ月以上経ってレベルが上がったプレイヤーたちも来ないだと聞いている。

 今も周りには人が見当たらなかった。

「まずは、丁度いい場所を探そう」
「キュウッ」
「キュッ」
「ピッ」

 俺の言葉にマヒルたちが返事をする。マヒルとヨルは今日は狐形態で肩に乗って、ワラビモチは頭に乗せてやってきている。

 マヒルたちはどちらか言えば、狐形態で居る方が楽みたいだ。

 俺は深く考えずに暫くキャンプするつもりでアウトドア製品やら食材やらを大量に買い込み、アイテムボックスに入れて持ってきている。

 アイテムボックスはかなり容量があるし、時間経過もしないので本当に便利だ。

 俺たちは設営に最適な場所を求めて森の中を歩いていく。

「ヴェ~ッ!!」

 忘れそうになるけど、ここはモンスターの出現区域。仲間になっていないシルクシープたちが現れた。

 しかも、前回と違って戦う気満々だ。

「木の杖だと環境への影響が大きすぎるから蹴りだな。皆も応戦してくれ」
「キュウッ!!」
「キュンッ!!」
「ピッ」

 俺は皆に指示を出して各々シルクシープに駆け出していく。

「はっ!!」

 ――Critical Hit!!

「ブェ~ッ」

 相変わらずクリティカルヒットが出やすいな。それにレベルが上がったおかげか、シルクシープも一撃で倒すことできた。

 シルクシープは毛玉と装備強化石を落とすのか。装備強化石はこの前使ってしまったからちょうどいい。武器だけじゃなく、防具の強化もしたかったし、マヒルたちの装飾品も強化しておきたいからな。

「よし、装備強化石が欲しいから、モンスターを倒しながら場所を探すぞ」
「「キュウ!!」」
「ピッ!!」

 俺の指示に三人が返事をして森の奥に進んでいった。

「お、あそこが良さそうだな」

 数時間ほど彷徨い歩き、ようやくいい感じの場所を見つけることができた。近くに水場があって開けていて、地面も平ら。キャンプをするにはもってこいだ。

 装備強化石も沢山溜まってホクホク。

「それじゃあ、早速設営を始めるか」

 俺はアイテムボックスの中からテントを取り出した。

「マヒルとヨルはこことあそこを押さえておいてくれ」
「わかたぁ」
「わた」

 俺は人型に変身したマヒルたちに指示を出しながら、テントや料理場などを設置していく。

「ヴェ~、ヴェ~!!」

 俺たちが作業を進めていると、仲間にしたシルクシープたちがやってきた。

 俺たちに気づいてやってきたらしい。俺も従魔になったシルクシープはなんとなく分かる。

「今日から俺たちはこの場所に住むことになった。これからよろしくな」
『ヴェヴェッ』

 従魔になったシルクシープたちに挨拶すると、彼らは礼儀正しく頭を下げた。

 俺はシルクシープたちに事情を説明しておく。

 彼らはステータスを出さないとなかなか見分けがつかないので、自作で装飾品を作ってやろうかな。

「お前たちには周辺の警戒を頼む。同族が出てきた場合はどうする?」

 この辺りはシルクシープの縄張り。仲間にしていないシルクシープが敵として出現する可能性がある。彼らも同族相手に闘いたくないかもしれない。

「ヴェエエッ!!」

 服従するなら仲間に、服従しないなら倒す、だそうだ。モンスター同士の関係は良く分からないが、結構ドライな感じだ。

「分かった。お前たちに任せるよ」
「ヴェ~ッ!!」

 シルクシープの対処は彼らに任せて俺たちは再びキャンプの準備を進めた。

「よし、これで完了だ」

 慣れない作業で時間が掛かったけど、ひとまず設営を終えた。
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