誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン

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1巻

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  第一話 転移して即どん底


「はぁ~、憂鬱ゆううつだなぁ」

 俺――福菅健吾ふくすけんごは、いつものスーツを身にまとい、職場に向かって車を走らせていた。
 今日も今日とて仕事がある。
 俺の職場はサービス残業が当たり前だし、人間関係も悲惨ひさんだった。
 自分勝手な社長に、無理難題を押し付ける上司、陰口ばかりの女性社員、かと思えば後輩は俺の指示を聞いてくれない……仕事が始まると意識するだけで本当に気が滅入めいる。
 こんな時は、自分が好きな異世界ものアニメ『無気力転生むきりょくてんせい二度目にどめ人生じんせい本気ほんきさず怠惰たいだらす~』のテーマソングを聴いてテンションを上げるに限るな!
 俺は気を取り直して、カーオーディオから流れる音声をアニソンへと変更した。

「ふふふーん♪」

 音楽に合わせて鼻歌を歌いながら道を進む。
 お気に入りの曲をかけるだけで、沈んでいた気持ちが少し復活した。
 やはり好きな音楽を聴くとテンションが上がるなぁ。
 はぁ……俺もこんなクソみたいな現実から異世界にでも転生や転移させてくれればいいのに……いや、どちらか選べるなら転生の方がいいか。
 俺は顔がいい方ではないし、学があるわけでも、一流企業に勤めているわけでもない。
 そのうえ、歳をとって腹も出ている中年男性だ。彼女も当然いない。
 こんな状態で転移してもいい生活は送れないだろう。
 それよりも、生まれ変わったら容姿だって今と違うはずだし、勉強の大切さも身に染みているからきちんと学ぶに違いない。
 そうすればもっと充実した生活が送れるはず!
 それと、もし異世界に行くことができたら、有名になって、金持ちになって、ハーレムを目指したい。
 ハーレムといってもそんなに大人数は嫌だな。三人くらいで十分だ。あまり多すぎると、みんなを守るための力もどんどん必要になるからな。
 理想は、平民の家庭に生まれて、可愛い幼馴染おさななじみ義妹いもうとがいる生活だな。王都じゃない辺境に拠点を構えて、冒険者としてコツコツSランクを目指せたら、今よりも幸せな人生なんだけどな。
 ……あぁ~、ありえない妄想もうそうだけが日々の楽しみだ。

「はぁ……」

 いい歳してこんなことばかり考えてるからモテないし、会社でもうだつが上がらないんだろうなぁ。
 俺はまたテンションが下がって、ため息をいた。
 俺が車を走らせている方の歩道には、数人の高校生らしき姿。
 笑みを浮かべて仲良さそうに会話している学生グループを見て、俺はふとこぼす。

「いいなぁ。俺もあんなふうに女の子と関わりのある人生を送りたかった……」

 せめてあの頃に戻れたらなぁ。
 そんなことを考えながら彼らのちょうど横をすれ違う瞬間――

「な、なんだ!? うわぁ!?」

 目の前が突然真っ白になった。
 ――キキーッ!
 俺は思わずブレーキを踏むが、時すでに遅し。
 そのまま光の中に呑み込まれ、それと同時に意識も失った。


 え!? 俺寝てた!? まさか事故ったか……!

「仕事に遅れる!」

 俺はハッとして目を覚ましてから、ガバリと体を起こした。
 しかし、そこは車の中ではなく、つるつるした壁や柱で造られた広めの部屋だ。
 神殿の一室と言われると納得がいくような気がする。
 辺りを見回すと、俺の他にも学生服を着ている人間が四人いた。
 彼らも俺と同じように体を起こしてキョロキョロしていた。
 四人は、先ほどまで俺が見ていた高校生たちだ。
 俺たちが部屋の中を観察していると、先ほどから目には映っていても、意識の外にいた存在が声をあげた。

「よく来た、異世界の勇者たちよ!」

 脳が現実を受け入れることを拒否していたが、向こうから声をかけられたら無視はできない。
 目を向けると、そこにはトランプのキングに似た、いかにも王様という人物が、王冠おうかんを頭に乗せ、きらびやかなローブを羽織はおり、その下に質の良さそうな服を着て、玉座に座っていた。
 歳は四十代後半くらいに見える。あごたるみ、肥え太っていて、なんだか親近感を覚える容姿だ。
 そのとなりには四十代ほどの美魔女という言葉がふさわしい女性が同じように椅子に座り、それぞれのそばには子供が並んで立っている。
 部屋の左右には、甲冑かっちゅうに身を包んだ数十人の騎士達が、壁に沿って等間隔で立っていた。
 いまだに状況を理解しきれていない俺たちをよそに、目の前の王様が話を始める。

「余の名はゴーマソ・ヒュマルス。ヒュマルス王国の国王である。まずは突然このような所に呼んでしまったことを深く謝罪しよう」

 ヒュマルス国王はそう言って頭を下げた。
 マジかよ……一国の王が、まだ誰とも知らない人間に謝罪することなんて、俺が読んでいたライトノベルではなかったぞ。
 俺が感心していると、国王は話を続けた。
 高校生たちは唖然あぜんとしたままだ。

「此度そなたらを呼び出したのは他でもない。この世界の危機を救ってもらうためだ。この世界では近年魔王種まおうしゅと呼ばれる強大なモンスターが生まれたり、モンスターの個体数が増えたりしている。凶暴性や強さが増したモンスターも多い。もちろん騎士団や冒険者たちにも討伐させているが、もはやそれでは追いつかず、街や村が次々襲われては滅んでいっている。我らではもう対処しきれないところまで事態は深刻化していてな。その状況を打破するために、わらにもすがる思いで異世界召喚を行ったのだ。どうか世界を救ってほしい」

 国王はそう言って、再度頭を下げた。
 ふむふむ、なるほど。
 状況を把握はあくする限り、やはり俺は異世界召喚されたのか。
 車で妄想していただけなのに、本当に異世界に来てしまうとは……願望とは違って生まれ変わることはできなかったみたいだけどな。
 それに、この召喚で呼ばれた五人のうち俺だけがおっさんで彼らとは面識がない。
 これはいわゆる巻き込まれ召喚ってやつか?
 俺が考え事をしていると、学生グループの一人がおそるおそる挙手した。

「あ、あの、いいでしょうか!?」

 さわやかで優しげな印象で、顔立ちのいいショートヘアーの少年だ。
 いかにもクラスカーストのてっぺんにいそうな雰囲気がある。

「なんだろうか?」

 国王は頭を上げて、少年に視線を向けた。

「質問の前に……私たちは身分制もない国からきたので無礼があってもご容赦ようしゃください。それから聞きたいことですが、今まで戦いなどとは無縁な生活を送っていた、しかも学生の僕たちが、そのような争い事を手伝うのは難しいと思うのですが……」

 極力失礼にならないよう前置きしながら、少年が国王に問いかけた。

「それに関しては安心せよ。召喚された勇者達は異世界からこちらに来る時にすさまじいスキルを獲得すると言われている。そなたらにも何かしらの力が宿っているだろう。時間はあまり無いが、戦闘に関しては事前にきちんと訓練を行い、できるだけ万全の状態で臨んでもらうつもりだ」

 優しげな説明だが、戦いは避けられないと暗に言っているようにも聞こえる。
 ラノベなんかだと協力をこばめば、待遇を悪くしたり、隷属れいぞくさせるような道具で強制的に従わせたり、最悪殺される展開もある。
 少なくともこの世界の情報を集め、自分の力で生活できるようになるまでは、言うことを聞いておくしかなさそうだ。

「分かりました。確かに言われてみれば、なんだか体に力がみなぎっている感じがあります! それともう一つ聞きたいのですが、僕達は元の世界に帰れるのでしょうか?」

 少年の言葉を聞いて、国王はうつむいた。

「すまない……今のところ帰る手段はない」

 その言葉を聞いた瞬間、それまで黙って聞いていた二人の少女たちがさわぎ始める。

「そんな!?」
「元の世界に返して!」

 彼女らが取り乱すのも無理はない。突然違う世界に連れて来られて帰る手段がないなんて、誰が聞いてもひどい話だ。ただの拉致らちでしかない。
 友人も家族もいて、元の世界に残したものが多い人からすれば、簡単に割り切れるものじゃないだろう。
 一方で、俺は元いた世界に未練はあまりない。むしろあの職場から解放されてうれしいとさえ思っている。心残りといえば、ゲームをしたり、ラノベを読んだりといった娯楽ごらくがなくなることぐらいだろうか。
 その代わりにこちらの世界での魔法や冒険といった、夢見た生活ができるならそれも悪くない。
 情報を集めながら、ツテを増やして、どうにか死なないように気をつけて生活すればなんとかなるだろう。

「二人とも! 混乱するのも悲しい気持ちも分かるけど、一旦静かにしてほしい!」

 少年がそう言って、戸惑とまどう彼女たちを落ち着かせる。
 そして国王の方に再び向き直った。

「……そうですか。では、これは拉致ということで認識されていますか?」
「あぁ。我々も切羽詰せっぱつまっていたとはいえ、本当にすまなかった。そこに関しては謝罪するほかない。言い訳はせぬ。だがこの世界にいる間の生活はきちんと保証するし、そなたらの世界への送還方法も全力で調べさせてもらう。約束しよう」
「分かりました。いったん皆と話す時間をもらってもいいでしょうか?」
「かまわぬ」

 少年は王との会話を区切ると、後ろを向いて他の友人を集めた。

「皆聞いてくれ。俺はこの世界を救う力があると言うのなら力を貸したいと思う。それぞれ思うところはあるだろうけれど、何を言ったところで現状帰ることはできない。だからまずはこの国で生活して、戦いが終わってもまだ帰る方法が見つかっていなければ、その時は俺たちで日本に帰る方法を全力で探したいと思う。どうか俺に付いてきてくれないか?」

 少年はそこまで言い切ってから、頭を下げた。
 すると、それまで落ち込んでいた少女たちの目には光が戻り、少年の友人らしき男が頭をかいた。

「仕方ないな。勇気ゆうきがやるって決めたなら俺ももちろん付き合うぜ」

 短髪でワイルドな雰囲気ふんいきただよわせながら、男が立ち上がった。

健次郎けんじろうありがとう! 流石さすが俺の幼馴染!」

 あの皆をまとめている青年は勇気というのか。めちゃくちゃ勇者っぽい性格してるな。
 それはそうと勇気という少年、全く俺に声をかけてくれない……完全に蚊帳かやの外だ。
 勇気と健次郎が固い握手を交わしていると、二人の少女が顔を上げる。

「はぁ……しょうがないわね、二人だけじゃ心配だし、私もやるわ」

 眼鏡めがねが似合う、黒くて長いストレートヘアーの女の子があきれた表情をしながら言うと、ボブカットくらいのウェーブのかかった茶髪でゆるふわ系の女の子がそれに続いた。

「もちろん私もやるよ!」
ひじり真美まみもありがとう」

 四人が集まったところからまぶしいオーラがあふれているような気がする。
 いわゆるリア充か……爆発すればいいのに!
 思わず心の中で呪詛じゅそを吐いてしまったが、今の俺は彼らにとっては空気扱いだ。
 特に俺の意見は聞かれぬまま、勇気と呼ばれた少年は国王を見上げて言った。

「お待たせしました。皆で話し合って、僕達はこの国に協力することに決めました」

 その言葉で国王の表情がほころぶ。

「おお、それはよかった。それではお主たちのスキルの鑑定をしたいのだが、よろしいか?」
「分かりました。よろしくお願いします」
「うむ。準備せよ!」

 話が終わるやいなや、バタバタと騎士達が準備を始めた。
 俺が何もしない内に勝手に話はまとまっていく。
 どうしたらいいか分からず動けないまま立ち尽くしていると、国王の前に何やら台座のような物が運ばれてきた。

「これより、お主たちの鑑定を行う。一人ずつ台座の前まで来るように」

 王様の指示が響くと、勇気が台座の方へ向かった。

「まず俺から行こう。その後は名前順でいいかな?」

 他の三人が勇気の提案に頷く。
 率先して壇上へと上がっていく少年を見て、若者は積極性があるなぁなどと俺はぼんやり考えた。

「それではこの台座の上に手をかざすのだ」

 台座の前に立った勇気に次の指示を与える国王。勇気は頷いて台座の上に手を翳した。
 ブンッという古いテレビの電源でも入れたような音とともに、半透明なスクリーンが空中に映し出される。


  [名前]     ユウキ・コウノ
  [種族]     普人族ふじんぞく
  [固有スキル]  勇者ゆうしゃ
  [スキル]    言語理解げんごりかい


 ユウキのステータスが表示された瞬間、国王が目を見開いた。

「おお、これは!」
「父上、この方は伝説の勇者スキルの持ち主ですね!?」

 国王の息子らしき人物も驚愕きょうがくの声を上げる。
 部屋全体がどよめいた。

「うむ。勇者スキルを持つ者は人とは思えぬほどの強大な力でモンスターをほふり、どんな逆境にも立ち向かうことができる。しかも成長すればさらなる力が覚醒かくせいすると言われておる」
「そうなんですか? お役に立てそうなら良かったです」

 戦闘経験がなく、異世界の知識にとぼしいであろう彼に実感が湧くはずもなく、勇気は国王の熱の入った説明に安堵あんどしたような笑みを返す。

「役に立つなどというレベルの話ではない。そこらのモンスターなど、すでに相手にならぬ。訓練をしたり、実戦で経験を積んだりすれば、さらに強いモンスターも簡単に倒せるようになる。伝説の聖剣技せいけんぎ光魔法ひかりまほうを使えば、向かうところ敵なしといったところだ」

 王様はいまだに興奮した様子で語っていた。

「そうですか。この力、世界のために使いたいと思います」
「うむ。頼むぞ」

 ひとまず勇気にも、持っているスキルがとにかく強いことは伝わったらしく、彼は誇らしげに胸を張る。
 国王は勇気の返事に満足げな顔で頷いた。

「流石勇気!」
「やるじゃない!」
「凄い!」

 彼の仲間達が口々に勇気に称賛を送る。
 出たよ……主人公キャラは勇者で凄いステータスを持っているっていう流れ。元いた世界で何回も見たことあるぞ。
 きっと他の三人も凄いスキルを持っているに違いない。


  [名前]     ケンジロウ・イクサバ
  [種族]     普人族
  [固有スキル]  聖騎士せいきし
  [スキル]    言語理解


  [名前]     ヒジリ・カンナギ
  [種族]     普人族
  [固有スキル]  聖女せいじょ
  [スキル]    言語理解


  [名前]     マミ・ケンジヤ
  [種族]     普人族
  [固有スキル]  賢者けんじゃ
  [スキル]    言語理解


 案の定、他の三人の鑑定結果は予想通りだった。
 聖騎士、聖女、賢者なんて完全によくある勇者パーティのメンバーじゃないか。うらやましい限りだ。
 四人で喜び合っている光景が俺の目の前に広がっていた。
 この世界の人間の多くは固有スキルを持たず、スキルを三つから五つほど習得するようだ。
 多い人だと十個近く持っている者もいるそうだが、そういうのはまれらしい。
 固有スキルはいくつものスキルを内包しているもので、それだけで通常のスキルを何十個も持っているような状態になるとのこと。

「これで全員調べたであろうか……いや、まだ一人毛色の違う者がおるようだな」

 部屋を見回した後、国王がいぶかしげな表情で俺の方を見下ろした。
 そこで部屋中の視線が俺に集まる。
 いやいや、普通ならもっと早くに気づくでしょ!
 今まで気にかけられなかったのに、急に注目されるのは勘弁してほしいわ。

「知り合いかね?」

 王様が困った表情で勇気に問いかける。

「いえ、全く知らない人です」

 彼は首を振って端的に答えた。
 そりゃそうだ。俺は彼らを見ていたとはいえ、彼らの視界には俺のことは映っていないはずだしな。

「ふむ。召喚対象になるのは若者のはずなのだがな……」

 戸惑う王様に勇気は自分の考えを述べる。

「近くに人はいなかったと思ったんですが、あの人は何らかの理由で僕達の召喚に巻き込まれたのかもしれません」

 車では軽くすれ違ったのだが……まぁ、気づくわけがないか。

「なるほど。そのようなこともあり得るか。ならば、お主もここに来て鑑定するがいい」

 国王はユウキの仮説を聞いて納得した後、視線を俺によこして指示を出した。
 皆からの視線を集めた俺は逃げるに逃げられず、仕方なく壇上へと上がっていく。
 この流れだと、俺が持っているのはろくでもないスキルなんだろうな……
 俺が台座に向かう間、学生グループのひそひそ声が耳に入ってきた。

「あんなおっさんが戦えるわけないよな」
「本来の召喚対象じゃないって話だし、大したスキルはなさそうだよね」
「どうなんだろうな」

 健次郎と真美が揶揄やゆするのに、困った様子で乗っかる勇気。

「皆、知らない目上の人にそんなことを言うのは失礼だよ」

 黒髪の女の子の聖だけはそれをたしなめていた。
 俺が台座の前に立つと、国王が俺に命じる。

「手を翳してみよ」

 言われた通りに手を翳した途端とたん、俺の情報が表示されていく。


  [名前]     ケンゴ・フクス
  [種族]     普人族
  [固有スキル]  言語理解
  [スキル]    なし


 読み進めると、皆が持っていた言語理解の他には何もない。明らかに一般人以下の内容だということが分かった。
 俺は項垂うなだれる。
 こういう場合、城から追い出されるか、役に立たないからとその場で殺されるかだ。
 俺の危機管理能力が警鐘けいしょうを鳴らしているが、これだけの人数に囲まれていては逃げるのも難しい。

「あははははは! 見ろよ! 一般人以下だぜ!」
「ぷぷぷっ! 異世界の言葉が分かるスキルしかないじゃん!」
「ははははっ。皆笑い過ぎ。言いたいことは分かるけどさ」

 俺のステータスを見た高校生たちから爆笑の嵐が巻き起こる。
 あぁいう奴らがいるからイジメが無くならないんだろうな。
 この場では言い返したりしないが、今後俺が普通の生活を送れて、彼らが窮地きゅうちおちいることがあった場合、絶対に助けないと心に決めた。
 小さいと言われるかもしれないが、俺だって人間。腹が立ったのだから仕方ない。

「皆やめなさいよ。おじさんは私たちに巻き込まれたんだよ? なんでそんなことが言えるの?」

 唯一、聖という少女だけはそんな風に否定してくれる。
 あの子はいい子だなぁ。
 勇気も聖の言葉で少し大人しくなったが、それ以外の二人は俺をけなすのをやめない。

「おっさんなんてかばうことないって!」
「そうだよ、キモいから関わらないようにしよ!」

 俺の鑑定が終わると、国王がボソッと何やらつぶやいた。

「ふむ。やはりただ巻き込まれただけの一般人か……使えぬやつめ……ひとまず元の場所へ戻れ」

 前半はあまり聞き取れなかったが、指示に従って悲しみをこらえながら、俺は壇上から下りる。
 そして俺が床に座ると、国王が口を開く。

「これにて鑑定を終了する。今後のことは追って伝えよう。メイドに案内させるゆえ、ひとまずそなたらは休息をとってくれ」

 国王がそう言って部屋から出ると、王族たちもそれに続いてその場から去っていく。
 俺達も後から入ってきたメイドらしき女性に案内されるまま、部屋を後にした。


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