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三章 〜王都とクエストギルド~
46.5話 『初めての魚とお醤油のシミ』
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そんなに驚くならもっとちゃんと止めてくれればよかったのに……。
そりゃまあね、急にAランクの魔獣持って来たら驚くのは分かるよ? でもさ、僕らがBランクの任務を受けた時点で教えてくれても良かったんじゃないかな? ていうか教えて欲しかった。なんか初級の相手にしては強いなーなんて思ってたけど、強いのも当たり前だよ。……はぁ…………。
「ブレイズウルフの素材はどうされますか?こちらで全て引き取ってもよろしいでしょうか? なにせこんな大物を仕入れられることなんてそうそうありませんし……」
「素材って何に使えるんです?」
「武器や防具、その他装飾品ですね。ですが、素材を売って得たお金で揃えた方が良いと思いますよ! それでもあまるくらいです」
「うーん……ま、いっか。それじゃあ全部引き取ってください」
「ありがとうございます!」
なんだか全ての会話が馬鹿げて聞こえるなぁ……。毎度毎度思うことだけど、どことなくアニメの主人公に近づいているような気がする。なんだろうか? 僕はほんとにこの世界ではチート級なのかな? いやいや、こんなところには強い人がいないだけだな。そういう人の中に入ればそんな大したことはないだろ。
お、そうこうしているうちに査定が終了したようだ。
「それではこちらが任務達成の分、そしてこちらは素材換金の分になります。初任務達成おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
これでやっと全部終わったわけだが……任務ってなんだか疲れるな。もう今日は動きたくないや。さっさと宿に帰って寝よっと。
リッタもゆぅも疲れきって……いないのか……。
「コノハ、今夜のご飯はなんでしょう?」
「私はハンバーグがいいな!」
「わたしはきのみのスープが飲みたいです」
「2人とも疲れてないの?」
「「全然!」です!」
「はぁ……」
だめだ、更に疲れが増して行く。そういえば身体動かしてたのってほとんど僕だっけ……。剣士ってのは疲れる職業なんだな。これからは体力をもっとつけるように努力しないとか。
もうため息が止まらない。
僕はそのまま何も喋りたくなかったが、強引に2人の話に引きずり込まれながら宿へと歩き続けたのだった。
その晩、今はみんなで晩御飯だ!
今夜のメニューはなんかの魚のお刺身だった。この世界にもお刺身を食べる文化ってあるんだなぁと思いつつ、久しぶりに食べる魚に少し感動していた。味は……何というかこれは……ブリに近いような感じがする。
こう見えて、いやどう見えてるかはわからないけど魚が、特にお刺身が大好きなのだ。回転寿司ではマグロにとろサーモンにブリにタコにイカに……いろんな種類のものを1つずつ頼んでいったっけな。こっちにも回転寿司とかないのかな? いっそのこと僕が作っちゃおうかな。
それはいつかどうにかするとしよう。多分忘れると思うけどね。
僕は何も喋らず黙々とご飯にがっついていた。リッタは宿屋の娘だからか食べ慣れてるようで普通にもぐもぐと食べている。ゆぅは魚を食べたことがないらしく、さっきからずっとお刺身を見つめて不思議そうにしている。たまにリッタや僕に、ほんとにこれを食べるのか? と言ったような目線を送るのだ。
食べ始めてから会話があまりなかったけど、ようやくここで会話らしい会話が始まった。
「リッタ、魚って本当に美味しいのですか? 食べたことがないのでどうしても分からないのですが……」
「うーん……私は美味しいと思うよ。でも、お刺身ってけっこう好き嫌いとかあるからなぁ……」
「私を信じて食べてみなよ!」
そうしてやっとゆぅがお刺身に向けて箸を動かした。そのお刺身が醤油に似ている液体につけられて、ゆぅの小さな口に運ばれていく。その途中で垂れた醤油もどきがゆぅの白い服にしみを作っている。
あぁ、白い服に醤油って……僕もよくやってたなぁ。さすがにもうそんなことはないけども、ゆぅをみて昔の自分を思い出す。
「どう? 初めてのお刺身は」
「とても美味しいです! まさか魚がこんなに美味しかったなんて」
「精霊族ってみんなこういうのは食べないの? お肉食べないとかならよく聞くけど」
「わたしたちの村では木のみとか、植物が主な食料なので。でも動物のお肉ならたまに食べることはありました。魚は鑑賞用です」
「私の思ってたのと全然違うね! 心葉の言ってるみたいにお肉とかは食べないと思ってたよ!」
「うん、なかなか驚いたよ……」
まさか精霊族がお肉を食べて、魚を食べない生活をしてるだなんて……思いもしなかった。だってアニメに出てくる精霊って僕が考えてたような超草食種族だと思ってたし。
意外なところで異世界との違いを見つけてしまったみたいだ。あっちの世界にはそんな種族がいないからイメージでしかないけどね。
そんなことはさておいて、さっさと食事を済ませよう。今日はもう疲れたから早く寝たい。風呂に入って寝るだけだ。今日はきっとルナと会うことはないからすぐに明日が来るだろう。来てくれないと、魔力や特性について話せないんだけどな……。5日間もあるし……暇な時にでも考えておくか。
今夜はなかなか早い時間に布団に入ることが出来た。
今日は、今日こそは絶対に1人で寝る! と2人に告げてから、僕はすぐに眠りについたのだった。
そりゃまあね、急にAランクの魔獣持って来たら驚くのは分かるよ? でもさ、僕らがBランクの任務を受けた時点で教えてくれても良かったんじゃないかな? ていうか教えて欲しかった。なんか初級の相手にしては強いなーなんて思ってたけど、強いのも当たり前だよ。……はぁ…………。
「ブレイズウルフの素材はどうされますか?こちらで全て引き取ってもよろしいでしょうか? なにせこんな大物を仕入れられることなんてそうそうありませんし……」
「素材って何に使えるんです?」
「武器や防具、その他装飾品ですね。ですが、素材を売って得たお金で揃えた方が良いと思いますよ! それでもあまるくらいです」
「うーん……ま、いっか。それじゃあ全部引き取ってください」
「ありがとうございます!」
なんだか全ての会話が馬鹿げて聞こえるなぁ……。毎度毎度思うことだけど、どことなくアニメの主人公に近づいているような気がする。なんだろうか? 僕はほんとにこの世界ではチート級なのかな? いやいや、こんなところには強い人がいないだけだな。そういう人の中に入ればそんな大したことはないだろ。
お、そうこうしているうちに査定が終了したようだ。
「それではこちらが任務達成の分、そしてこちらは素材換金の分になります。初任務達成おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
これでやっと全部終わったわけだが……任務ってなんだか疲れるな。もう今日は動きたくないや。さっさと宿に帰って寝よっと。
リッタもゆぅも疲れきって……いないのか……。
「コノハ、今夜のご飯はなんでしょう?」
「私はハンバーグがいいな!」
「わたしはきのみのスープが飲みたいです」
「2人とも疲れてないの?」
「「全然!」です!」
「はぁ……」
だめだ、更に疲れが増して行く。そういえば身体動かしてたのってほとんど僕だっけ……。剣士ってのは疲れる職業なんだな。これからは体力をもっとつけるように努力しないとか。
もうため息が止まらない。
僕はそのまま何も喋りたくなかったが、強引に2人の話に引きずり込まれながら宿へと歩き続けたのだった。
その晩、今はみんなで晩御飯だ!
今夜のメニューはなんかの魚のお刺身だった。この世界にもお刺身を食べる文化ってあるんだなぁと思いつつ、久しぶりに食べる魚に少し感動していた。味は……何というかこれは……ブリに近いような感じがする。
こう見えて、いやどう見えてるかはわからないけど魚が、特にお刺身が大好きなのだ。回転寿司ではマグロにとろサーモンにブリにタコにイカに……いろんな種類のものを1つずつ頼んでいったっけな。こっちにも回転寿司とかないのかな? いっそのこと僕が作っちゃおうかな。
それはいつかどうにかするとしよう。多分忘れると思うけどね。
僕は何も喋らず黙々とご飯にがっついていた。リッタは宿屋の娘だからか食べ慣れてるようで普通にもぐもぐと食べている。ゆぅは魚を食べたことがないらしく、さっきからずっとお刺身を見つめて不思議そうにしている。たまにリッタや僕に、ほんとにこれを食べるのか? と言ったような目線を送るのだ。
食べ始めてから会話があまりなかったけど、ようやくここで会話らしい会話が始まった。
「リッタ、魚って本当に美味しいのですか? 食べたことがないのでどうしても分からないのですが……」
「うーん……私は美味しいと思うよ。でも、お刺身ってけっこう好き嫌いとかあるからなぁ……」
「私を信じて食べてみなよ!」
そうしてやっとゆぅがお刺身に向けて箸を動かした。そのお刺身が醤油に似ている液体につけられて、ゆぅの小さな口に運ばれていく。その途中で垂れた醤油もどきがゆぅの白い服にしみを作っている。
あぁ、白い服に醤油って……僕もよくやってたなぁ。さすがにもうそんなことはないけども、ゆぅをみて昔の自分を思い出す。
「どう? 初めてのお刺身は」
「とても美味しいです! まさか魚がこんなに美味しかったなんて」
「精霊族ってみんなこういうのは食べないの? お肉食べないとかならよく聞くけど」
「わたしたちの村では木のみとか、植物が主な食料なので。でも動物のお肉ならたまに食べることはありました。魚は鑑賞用です」
「私の思ってたのと全然違うね! 心葉の言ってるみたいにお肉とかは食べないと思ってたよ!」
「うん、なかなか驚いたよ……」
まさか精霊族がお肉を食べて、魚を食べない生活をしてるだなんて……思いもしなかった。だってアニメに出てくる精霊って僕が考えてたような超草食種族だと思ってたし。
意外なところで異世界との違いを見つけてしまったみたいだ。あっちの世界にはそんな種族がいないからイメージでしかないけどね。
そんなことはさておいて、さっさと食事を済ませよう。今日はもう疲れたから早く寝たい。風呂に入って寝るだけだ。今日はきっとルナと会うことはないからすぐに明日が来るだろう。来てくれないと、魔力や特性について話せないんだけどな……。5日間もあるし……暇な時にでも考えておくか。
今夜はなかなか早い時間に布団に入ることが出来た。
今日は、今日こそは絶対に1人で寝る! と2人に告げてから、僕はすぐに眠りについたのだった。
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