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一章 〜異世界と旅立ち〜
21話 『常識破壊』
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「うーん、それじゃあ実際にやってみよっか!」
彼女が長いこと考えてだした答えはそれだった。
「ここで中級魔法を?」
「いやいや、まずは初級魔法をやるよ。もうさっきの話しはいったん無かった事にして、基礎から勉強してもらおうと思って。最初から中級魔法が使えるなんてのも信じ難いけど、どの道魔力操作が出来ない状態でやられると怖いからね」
「そっか、それもそうだね。早速やってみるか!」
「うん、最初は火属性の初級魔法『フレイル』だよ! 小さい火の玉が出てくるからさ」
ルナにそう言われ、僕は精神を胸に集中させる。
「いくよ! 『フレイル』!」
そう唱えると共に僕の右手の前に小さな魔法陣が現れる。昨日と同じ魔法陣だ。それはだんだんと輝きを増し、パッと強く光ると、その光の前に小さな……と言うにはちょっと大きめの火の玉が浮かんでいた。
いかにもゲームの初期の魔法って感じで、少し懐かしさを感じる。
「そうそう! そのまま身体の内側から魔力を放出するような感覚で魔法を発射するんだ!」
「いやいやそんなこと言われても……魔力の操作なんて出来ないよ!」
「全部イメージだよ! 頭の中で想像して! 自分には見えない羽があって、それで羽ばたこうとするような感じに、君の中の魔力を感じ取るんだ!」
なるほど、そういう事か!
何かを掴んだ僕は、もう一度全神経を集中させ、身体の中央にある魔力を感じる。
これを動かせばいいんだよな! 動く……動くイメージ、遠くへ発射させるイメージ…………出来た!
いける!
次の瞬間だった。僕の右腕をもの凄い量の魔力が通過して、そのまま外部に放出されていったのだ。
その魔力によって火の玉は勢いよく放たれ、業火の爆弾となって着弾する。ドゴオォォンと言う爆発音はさっきと同じ、いやそれ以上かもしれない。
大きく上がった煙を見て、またルナは硬直状態になってしまったのだった。
「…………ナニコレ……初級魔法?」
ざっとこんなもんよ!
そう言えば魔力操作が出来るならあれが出来るかもしれないな。ちょっとやってみるか。
僕はまた精神を集中させて魔力操作を試みる。そのまま頭の中でフレイルをイメージし、両手の手のひらの前に魔法陣を発生させた。
「いっけえぇぇぇ!!」
僕の叫び声と共に両魔法陣が強く輝き『フレイル』が発射される。思った通り、ずっと頭の中で『フレイル』の連射を想像しているため、両魔法陣の中から次々と火の玉が飛んでいくのだった。
「やった、出来たぞ! 無詠唱魔法!」
そう、僕がやっているのは無詠唱で魔法を発動させると言う、アニメの世界での常套手段だ。そしてそれは僕の想像した通りに成功している。
喜ぶ僕とは逆に、ルナは何かに恐怖して震えているようだ。
「き、君はいったい何者なの? 中級魔法を使えると言ってみたり魔法を無詠唱で連発したり……そもそもあの威力はなんなんだい?」
「と言われましても……僕はこの世か……魔法の事なんてほとんど知らないし……。これってそんなにおかしいのかな?」
「おかしいよ‼︎ それぐらい気づけ! 初心者が魔力を操作出来ちゃうところからどうかしてるんだよ!」
「あーえっと……なんかごめんなさい……」
うーん……なんとなく謝ったけど、僕がした事ってそこまで凄い事じゃないような気がするんだけどな。やっぱりアニメの世界とこの世界じゃ大きなレベルの差があるのかな? ていうか僕がアニメの世界の技を普通に使えてるとこがおかしいのか……。
まったく、自分でやっときながら意味不明だな。
まぁ強いに越したことはないか。
僕の夢の中の魔法練習はまだまだ続く。
彼女が長いこと考えてだした答えはそれだった。
「ここで中級魔法を?」
「いやいや、まずは初級魔法をやるよ。もうさっきの話しはいったん無かった事にして、基礎から勉強してもらおうと思って。最初から中級魔法が使えるなんてのも信じ難いけど、どの道魔力操作が出来ない状態でやられると怖いからね」
「そっか、それもそうだね。早速やってみるか!」
「うん、最初は火属性の初級魔法『フレイル』だよ! 小さい火の玉が出てくるからさ」
ルナにそう言われ、僕は精神を胸に集中させる。
「いくよ! 『フレイル』!」
そう唱えると共に僕の右手の前に小さな魔法陣が現れる。昨日と同じ魔法陣だ。それはだんだんと輝きを増し、パッと強く光ると、その光の前に小さな……と言うにはちょっと大きめの火の玉が浮かんでいた。
いかにもゲームの初期の魔法って感じで、少し懐かしさを感じる。
「そうそう! そのまま身体の内側から魔力を放出するような感覚で魔法を発射するんだ!」
「いやいやそんなこと言われても……魔力の操作なんて出来ないよ!」
「全部イメージだよ! 頭の中で想像して! 自分には見えない羽があって、それで羽ばたこうとするような感じに、君の中の魔力を感じ取るんだ!」
なるほど、そういう事か!
何かを掴んだ僕は、もう一度全神経を集中させ、身体の中央にある魔力を感じる。
これを動かせばいいんだよな! 動く……動くイメージ、遠くへ発射させるイメージ…………出来た!
いける!
次の瞬間だった。僕の右腕をもの凄い量の魔力が通過して、そのまま外部に放出されていったのだ。
その魔力によって火の玉は勢いよく放たれ、業火の爆弾となって着弾する。ドゴオォォンと言う爆発音はさっきと同じ、いやそれ以上かもしれない。
大きく上がった煙を見て、またルナは硬直状態になってしまったのだった。
「…………ナニコレ……初級魔法?」
ざっとこんなもんよ!
そう言えば魔力操作が出来るならあれが出来るかもしれないな。ちょっとやってみるか。
僕はまた精神を集中させて魔力操作を試みる。そのまま頭の中でフレイルをイメージし、両手の手のひらの前に魔法陣を発生させた。
「いっけえぇぇぇ!!」
僕の叫び声と共に両魔法陣が強く輝き『フレイル』が発射される。思った通り、ずっと頭の中で『フレイル』の連射を想像しているため、両魔法陣の中から次々と火の玉が飛んでいくのだった。
「やった、出来たぞ! 無詠唱魔法!」
そう、僕がやっているのは無詠唱で魔法を発動させると言う、アニメの世界での常套手段だ。そしてそれは僕の想像した通りに成功している。
喜ぶ僕とは逆に、ルナは何かに恐怖して震えているようだ。
「き、君はいったい何者なの? 中級魔法を使えると言ってみたり魔法を無詠唱で連発したり……そもそもあの威力はなんなんだい?」
「と言われましても……僕はこの世か……魔法の事なんてほとんど知らないし……。これってそんなにおかしいのかな?」
「おかしいよ‼︎ それぐらい気づけ! 初心者が魔力を操作出来ちゃうところからどうかしてるんだよ!」
「あーえっと……なんかごめんなさい……」
うーん……なんとなく謝ったけど、僕がした事ってそこまで凄い事じゃないような気がするんだけどな。やっぱりアニメの世界とこの世界じゃ大きなレベルの差があるのかな? ていうか僕がアニメの世界の技を普通に使えてるとこがおかしいのか……。
まったく、自分でやっときながら意味不明だな。
まぁ強いに越したことはないか。
僕の夢の中の魔法練習はまだまだ続く。
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