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一章 〜異世界と旅立ち〜
13話 『お風呂騒動』
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あの後もいろんなところをまわって、夕方になりリッタの家へと……宿ミナヅキへと帰った。
今の時間は向こうの世界でいうと大体5時をまわったぐらいだろう。空はだいぶ赤に染まりつつあった。
こっちでも夕焼けが見れるんだな。とても綺麗だ。こうやって夕焼けを眺めながめていると、今日一日が全部嘘みたいだ。
ぼんやりと夕焼けを眺めていると、後ろからリッタの声が聞こえてくる。
「心葉ー、ご飯の前にお風呂を済ませてね。うちのお風呂は家族用とお客さん用とで別だからさ。心葉は家族用の方に入ってね」
「うん、りょーかい。ありがとね」
そっか、ミナヅキじゃあお客さんのお風呂は大浴場だったな。なんだかもう懐かしく感じるなぁ、家の近くにあった銭湯。まだ一日も経ってないのに。
あそこの浴場はとても綺麗だった。ピカピカのタイル張りに、大きな赤富士の絵が描いてあって、大きい浴槽と他に数種類のお風呂があったっけ。特にその中の電気風呂はすごかったな。普通の電気風呂ならそんなに痺れないと思うんだけど、あそこのは格が違う。ほんとにすごい。入った途端に身体がブルブル震えて、10秒も浸かっていられなかった。
また入れる日は来るのかな?
もしかしたらこっちにもそういうのはあるかもしれないし、探してみようかな。
とりあえずミナヅキにはないようだったけど。
ん? そういえば……僕がお風呂に入ったらリッタはどうするのかな? 確かリッタも入ってなかったはずだけど。それにお風呂は一つしかなかったしな。彼女のことだから僕に先を譲ってくれたんだろう。ありがたい。けど、やっぱり聞いといた方がいいかな。
「あのさ、リッタはお風呂まだだよね? 僕は後でもいいけど、それじゃあリッタが嫌かな?」
「ううん、そんなことないけど。やっぱりお客様だし、先に入ってもらった方がいいかなって。
あ、もしかして私の入った後の残り湯を……」
「 違う ‼︎ 」
「じゃあ心葉、私と一緒に入りたい……とか?」
「それも違うよ‼︎ 」
ああもうまったく……。リッタの思考回路はどうなってるんだよ! どう考えてもそこにたどり着かない。じゃなくてたどり着きたくない!
僕は女子に対する免疫がほんとに弱いんだからそういう冗談はよしてほしい。今のだけで寿命が縮まった気がする。
そんなリッタの一言に僕は凍りついていた。
だが御構い無しに更に追い打ちだ。
「た、確かに裸のおつきあいは親睦を深めるって言うし……その………入る? 一緒に」
「いやいや、違うから。絶対に違うから。だいたい何をどうしたらそうなる⁉︎ それにその裸のおつきあいってのは普通は同性どうしでするもんでしょ? いやそれもほとんどしないけど! 異性で裸のおつきあいって意味が全然違うよ?」
「べべべ、べつにそんなつもりじゃなくて、ただ心葉と一緒にお風呂っていうのもないわけじゃないんだけどなぁ~って。ママだって一緒に入りなって言ってたし、そ、そんな変なことは考えてないよ?」
「ミレナさんか……。それは絶対ふざけてるだけだから気にしなくていいよ! むしろ気にしないで欲しい! それと僕が言おうとしてたのは、リッタが先にお風呂入っていいよっていうことで一緒に入りたいとかじゃないからね。疚しいことは何もないよ!」
「むぅ、冗談だったんだ……けっこうちゃんと考えてたのに」
「冗談なんかじゃないですよ?」
うぉ、いつからそこにいたんだ ⁉︎
僕の丁度真後ろに立っていたのは、ミレナさんだった。この家の人はいつ現れるか分からないな。特にこの人は。ほんとに怖いよ。この家にいる時はもっと周りに気を配らなきゃいけなさそうだな。
ってそうじゃなくて、冗談じゃない?そこは冗談って言って笑ってほしかったな。と、それどころじゃないよ。
このままじゃリッタと一緒にお風呂コースになっちゃう。なんとかしないと。
あれっ?
こんな感じのやりとりをさっきもしたような気がするなぁ。なんだか不吉な予感がする。
けどなんとか反抗しないとな。
「それこそ冗談じゃないですよ!だいたい親なら娘を見ず知らずの男と一緒にお風呂に入れません!」
「うーんそうかなー?リッタが男の子をうちに連れてきたの初めてだし、そういうのを望んでるんじゃないかなって。それなら私は応援しなきゃね! でしょ?」
「でしょ? じゃないですよ! 」
このふわふわした感じが本当に親子だと感じさせる。せめてグリアさんはまともであってほしいな……。さっきのを見る限りだとなんとも言えないし。こればかりはどうしようもないか……。
とりあえずこれはなんとか断るしかない。
1日目にして僕の精神死にかけたり。これで数日間体と精神がもつかどうか……。あぁ、身体が急に重くなってきた。早く風呂に入りたい。
「そういうのはまた今度にして下さい。今日は別々にちゃんと入りますから。今日はじゃなくてこれからもですが! じゃあ僕は先にお風呂に入りますね」
「ふふ、分かりました。 ゆっくり浸かって下さいね、心葉さん」
一瞬ニヤッとしたミレナさんを僕は見逃さなかった。背中に悪寒が走るこの感覚、今日何回目だろ?
絶対なにか起こるな。もう対応する気になれないよ……。
この後僕はお風呂に浸かって今日の疲れを癒した。どこの世界でもお風呂は気持ちいい。
が、ミレナさんがリッタに何か言ったらしく、僕が身体を洗い終わったあと、湯船に浸かっている時にリッタが突入してきた。
ミレナさんのあの顔はこれだったか……ぬかったな、僕。
もちろんちゃんとタオルは巻いていたのだが……僕には刺激が強すぎた。目を固く瞑ってすぐにお風呂場から出て着替えてしまった。
出て行くときにリッタが少し膨れていたが、気にしない。頼むからこれからずっとこうなるのはやめてほしいな。寿命がどんどん縮んでく。
少し時間が経って、リッタもお風呂から出てきた。まだ少し膨れていたけど、気がつかないふりをしていたら、「いじわる」って言われた。
乙女心というのかなんなのか、難しいものだな。
この場合の乙女心なんてあまり理解したくないけども。
そのままリッタと居間に向かうと、料理の準備はもう済んでいて、ミレナさんとグリアさんが待っていた。
二人ともどことなくニヤついていたのが少し引っかかる。……この人もグルか。完全に消え去る希望も気にせず食事を済ませてしまった。
ちなみに夕食は、狼の肉のシチューと見たことない野菜のサラダだ。びっくりはしたがとても美味しかった。
なんだかいろんな事があったけど、これで僕の異世界初日が終わったのだった。
今の時間は向こうの世界でいうと大体5時をまわったぐらいだろう。空はだいぶ赤に染まりつつあった。
こっちでも夕焼けが見れるんだな。とても綺麗だ。こうやって夕焼けを眺めながめていると、今日一日が全部嘘みたいだ。
ぼんやりと夕焼けを眺めていると、後ろからリッタの声が聞こえてくる。
「心葉ー、ご飯の前にお風呂を済ませてね。うちのお風呂は家族用とお客さん用とで別だからさ。心葉は家族用の方に入ってね」
「うん、りょーかい。ありがとね」
そっか、ミナヅキじゃあお客さんのお風呂は大浴場だったな。なんだかもう懐かしく感じるなぁ、家の近くにあった銭湯。まだ一日も経ってないのに。
あそこの浴場はとても綺麗だった。ピカピカのタイル張りに、大きな赤富士の絵が描いてあって、大きい浴槽と他に数種類のお風呂があったっけ。特にその中の電気風呂はすごかったな。普通の電気風呂ならそんなに痺れないと思うんだけど、あそこのは格が違う。ほんとにすごい。入った途端に身体がブルブル震えて、10秒も浸かっていられなかった。
また入れる日は来るのかな?
もしかしたらこっちにもそういうのはあるかもしれないし、探してみようかな。
とりあえずミナヅキにはないようだったけど。
ん? そういえば……僕がお風呂に入ったらリッタはどうするのかな? 確かリッタも入ってなかったはずだけど。それにお風呂は一つしかなかったしな。彼女のことだから僕に先を譲ってくれたんだろう。ありがたい。けど、やっぱり聞いといた方がいいかな。
「あのさ、リッタはお風呂まだだよね? 僕は後でもいいけど、それじゃあリッタが嫌かな?」
「ううん、そんなことないけど。やっぱりお客様だし、先に入ってもらった方がいいかなって。
あ、もしかして私の入った後の残り湯を……」
「 違う ‼︎ 」
「じゃあ心葉、私と一緒に入りたい……とか?」
「それも違うよ‼︎ 」
ああもうまったく……。リッタの思考回路はどうなってるんだよ! どう考えてもそこにたどり着かない。じゃなくてたどり着きたくない!
僕は女子に対する免疫がほんとに弱いんだからそういう冗談はよしてほしい。今のだけで寿命が縮まった気がする。
そんなリッタの一言に僕は凍りついていた。
だが御構い無しに更に追い打ちだ。
「た、確かに裸のおつきあいは親睦を深めるって言うし……その………入る? 一緒に」
「いやいや、違うから。絶対に違うから。だいたい何をどうしたらそうなる⁉︎ それにその裸のおつきあいってのは普通は同性どうしでするもんでしょ? いやそれもほとんどしないけど! 異性で裸のおつきあいって意味が全然違うよ?」
「べべべ、べつにそんなつもりじゃなくて、ただ心葉と一緒にお風呂っていうのもないわけじゃないんだけどなぁ~って。ママだって一緒に入りなって言ってたし、そ、そんな変なことは考えてないよ?」
「ミレナさんか……。それは絶対ふざけてるだけだから気にしなくていいよ! むしろ気にしないで欲しい! それと僕が言おうとしてたのは、リッタが先にお風呂入っていいよっていうことで一緒に入りたいとかじゃないからね。疚しいことは何もないよ!」
「むぅ、冗談だったんだ……けっこうちゃんと考えてたのに」
「冗談なんかじゃないですよ?」
うぉ、いつからそこにいたんだ ⁉︎
僕の丁度真後ろに立っていたのは、ミレナさんだった。この家の人はいつ現れるか分からないな。特にこの人は。ほんとに怖いよ。この家にいる時はもっと周りに気を配らなきゃいけなさそうだな。
ってそうじゃなくて、冗談じゃない?そこは冗談って言って笑ってほしかったな。と、それどころじゃないよ。
このままじゃリッタと一緒にお風呂コースになっちゃう。なんとかしないと。
あれっ?
こんな感じのやりとりをさっきもしたような気がするなぁ。なんだか不吉な予感がする。
けどなんとか反抗しないとな。
「それこそ冗談じゃないですよ!だいたい親なら娘を見ず知らずの男と一緒にお風呂に入れません!」
「うーんそうかなー?リッタが男の子をうちに連れてきたの初めてだし、そういうのを望んでるんじゃないかなって。それなら私は応援しなきゃね! でしょ?」
「でしょ? じゃないですよ! 」
このふわふわした感じが本当に親子だと感じさせる。せめてグリアさんはまともであってほしいな……。さっきのを見る限りだとなんとも言えないし。こればかりはどうしようもないか……。
とりあえずこれはなんとか断るしかない。
1日目にして僕の精神死にかけたり。これで数日間体と精神がもつかどうか……。あぁ、身体が急に重くなってきた。早く風呂に入りたい。
「そういうのはまた今度にして下さい。今日は別々にちゃんと入りますから。今日はじゃなくてこれからもですが! じゃあ僕は先にお風呂に入りますね」
「ふふ、分かりました。 ゆっくり浸かって下さいね、心葉さん」
一瞬ニヤッとしたミレナさんを僕は見逃さなかった。背中に悪寒が走るこの感覚、今日何回目だろ?
絶対なにか起こるな。もう対応する気になれないよ……。
この後僕はお風呂に浸かって今日の疲れを癒した。どこの世界でもお風呂は気持ちいい。
が、ミレナさんがリッタに何か言ったらしく、僕が身体を洗い終わったあと、湯船に浸かっている時にリッタが突入してきた。
ミレナさんのあの顔はこれだったか……ぬかったな、僕。
もちろんちゃんとタオルは巻いていたのだが……僕には刺激が強すぎた。目を固く瞑ってすぐにお風呂場から出て着替えてしまった。
出て行くときにリッタが少し膨れていたが、気にしない。頼むからこれからずっとこうなるのはやめてほしいな。寿命がどんどん縮んでく。
少し時間が経って、リッタもお風呂から出てきた。まだ少し膨れていたけど、気がつかないふりをしていたら、「いじわる」って言われた。
乙女心というのかなんなのか、難しいものだな。
この場合の乙女心なんてあまり理解したくないけども。
そのままリッタと居間に向かうと、料理の準備はもう済んでいて、ミレナさんとグリアさんが待っていた。
二人ともどことなくニヤついていたのが少し引っかかる。……この人もグルか。完全に消え去る希望も気にせず食事を済ませてしまった。
ちなみに夕食は、狼の肉のシチューと見たことない野菜のサラダだ。びっくりはしたがとても美味しかった。
なんだかいろんな事があったけど、これで僕の異世界初日が終わったのだった。
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