2 / 76
一章 〜異世界と旅立ち〜
1話 『一通の手紙』
しおりを挟む今日もまたいつもと同じ部活を終えて、愛するアニメの待つ我が家に帰る。普通はこういう時って愛する家族とか何とか言うのだろうけど、僕の場合のそれはアニメだ。
実を言うと僕はオカルト系統や異世界と言ったものは信じていない。あんなものある訳ない。頭では理解している。ないものだと思うが、あっては欲しいとも思う。
いや、違うな。心からそれを望んでいる。
異世界に行くこと、それが僕の夢だからだ。
信じていないのにその夢を見るなんて、なんだか不思議な話だ。
もしも行けたのなら、僕は何をするのかな?
きっと、魔法を使って、剣を振って、毎日に楽しさを感じるんだろう。
そしていつかまた、他の世界を夢見るんだ。
だって、この世界から他の世界に行けたのだからと言って。
そうやって夢を追い続ける先で誰かと出会って、幸せな日々を送っていく。
そう考えるだけなら……妄想するだけなら……。
まぁ異世界に行ける希望自体が薄いからな。
薄すぎて希望を見失うまである。
いつかそんな日が来ないかと、来たらどうしようかな、と妄想しながら帰るのが僕の日課になった。1日の中で2番目に楽しい時間だ。
その時間もそろそろ終わる。
ああ、やっと家に着いた。今日は少し帰るのが遅くなってしまった。部活が長引いたからな。
僕は某運動に所属している。ただただ走ったり筋トレをするだけ。
正直なところ続ける理由がないけど、強制的に1つ入らされる。厄介な事極まりない。
しょうがないから続けはするけどね。
もう辺りは暗くなっている。そんな暗い中で、優しく明かりの灯る我が家に帰還だ。
「ただいまー」
「おかえり、心葉。今日はなんだか遅かったわねぇ。ご飯、置いといたからね。
それと、あんたに手紙がきてたわよ」
「 手紙? 誰から?」
「そんなの知らないわよ。あんたの方がわかるんじゃないの? ご飯食べてからにしてよ。片付けちゃいたいから」
「うん、そんじゃあそうするよ」
今どき手紙を書いて送ってくるなんてどんなやつだろう? 携帯ってもんがあるだろうに。
あ、だめだわ。僕の携帯には友達なんて2.3人しか入っていなかったっけ……。
それにしても手紙ってな……。
ハッ、もしかしてラブレター ⁉︎ いやぁまさかね。
だいたい僕は人とあまり関わってないし目立たないように過ごしてるからな。関わっているのもごく少数、アニメオタクと言われてるような人たちだけだ。僕もそうなのかな……。ま、僕が誰かに好かれるなんて万が一にもないだろう。
くだらない事考えてないでさっさとご飯食べよ。
おっ、今日の晩御飯はハンバーグか。大好物だ。
子供ってだいたいこういう料理が好きだよね。
ハンバーグとかカレーとか。カレーなんて辛いのに。でも僕も好きなんだよな。なんでだろ?
ふぅー、ご飯も食べたしお風呂も済ませた。
歯も磨いたし、もうすることもないだろ。
見てないアニメを消化したいけど、件の手紙があるしな。今日はおあずけか。
そんじゃ、さっそくその手紙というのを読んでみるかな。
僕は机の上に置いてある手紙を手に取りベッドに寝転ぶ。
……うーん……白い封筒、名前はない。
周りを全部見ても何も書いてない。なんなんだろう?
お母さんはよくこれで僕宛の手紙だって思ったな……。まさか中を見られたか? そんなことないよね、多分……。
なんかの呪いの手紙とかじゃないといいけど。
信じてないのに気にしてしまうところがまだ子供というか小心というか……とりあえずあけてみるか。
『とびらを開けろ』
そこにはたった7文字しか書かれていなかった。
こんだけか? いやいくらなんでもそれは酷いな。せめて何言ってんのかわかるように書いてよ……。それにとびら? なんのことだ?
なんも理解できないぞ……。あと何で平仮名?
困ったもんだ。きっといたずらなんだろうな。
まったくだれが送ってきたんだか。学校の奴らかな? 明日注意深く探してみよ。見つけたらとっちめてやるか!
……とっちめるなんて久しぶりに使ったな。
だいたい僕はそういうのはあまり好きじゃないんだ。安全が一番。でもやられたまま黙ってるつもりはないかな。
昔からよく言われてたっけ。
『やられて黙ってるなんて男じゃないぞ!心葉、人には優しく、時に厳しくだ。そうして自分の道を貫いていけ! でも決して人の道からは外れるな‼︎ 』
今思うとけっこうすごい事を言ってると思う。
……まぁ、探す程度にしておくか。
ふわぁあ、さすがに眠くなって来た。
もう11時か、そろそろ寝よう。
今日はほんとにアニメとかは止しておこうかな。明日に響くしね。
……明日か。どんな1日になるのやら……。
つまらない日になるのは確実かな。
そうやっていろいろなことを考えて、僕はそのまま眠りについてしまった。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
エトランゼ・シュヴァル
hikumamikan
ファンタジー
涼香はアヤカゼと共にオークス制覇を目指していた。
フローラステークス2着と成って何とかオークスに出走。
涼カゼコンビは逃げた、オークスで逃げるのは鬼門だ。
絶対不利のオークスを20馬身離して逃げる涼カゼコンビ。
勝てるならこれしか無いと涼香の進言に、人の言葉が判るかの様に走るアヤカゼ。
府中の直線は後続馬に詰め寄られる。
粘る、粘るアヤカゼ。
わずか半馬身駆け抜けた涼カゼコンビに待っていたのは非情な運命。
ゴール直後涼香は宙を舞った。
アヤカゼが開放骨折で前のめりに転倒したのだ。
アヤカゼは祈った、涼香だけは助けてと。
翌朝の新聞には、アヤカゼの予後不良と、涼香の頸椎骨折による死亡が載っていた。
それから5年後。
リックス王国はルースン帝国に王都近くまで侵攻されていたが、突如現れた女騎士スズカが、ルースン帝国軍の横腹を突き破り、総司令官の皇帝を討ち取った。
唖然とする両軍を尻目に彼女は何処へとも無く去って行く。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる