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システィーナ・フォン・ファウスト 八百万 餃子の日
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八百万
餃子、言わずと知れた餡を皮に包んで焼いたものを、焼き餃子、煮た物は水餃子、蒸し餃子など種類はあれど、日本では焼き餃子が主流である。
一口に餃子といっても包む皮と中身の餡、そして焼き上げ具合によって味は変わり、餃子を扱う店は独自の店の味を確立して出している。
まず餃子の皮といっても一つだけとは限らない、ほうれんそう、にんじん、カボチャなどが練りこまれた皮なんかもあり、またこれが予想以上に美味い。
ワンタン、シュウマイの皮を餃子に使う事も可能で、叔母に作ってもらった黄色い皮の餃子、中身はシーチキンとタマネギがぎっしり詰まった餡は私の大好物だった。
あまりにも美味しくて何度も何度も作ってほしいと懇願したのを覚えている。
家庭によって皮はそれぞれ、自家製から春巻きの皮を使ってみたり、ライスペーパーを餃子になんて変わり種もあるかもしれない。
それだけ店はもちろん家庭でも味に違いがでるのが、餃子なのである。
ラーメンに白飯に餃子のセットもいいかもしれないが、大人になって思う。
餃子を!餃子だけを!餃子だけで腹をいっぱいに満たしたい!!!
そんな八百万 餃子の日の一幕。
八百万で餃子の日をやると言った時、あまり客はこないかなと思っていたが、予想大外れ、いつも以上にきつい並びが道にびっしりと出来ていた。
餃子の日はまず一人前の餃子が5個、カボチャ、ニンジン、ほうれん草の三食餃子が6個注文によってはシーチキンの揚げ餃子と野菜餡だけの餃子など選べるようになっていて、一人前からお替わり自由である。
デザートには餡子と黒蜜の混ざった、水餃子が、他にも変わり種のぷりぷりのエビ餃子、手羽先餃子、鶏皮餃子なんかも追加注文できる。
システィーナ・フォン・ファウスト
大病を患っていた、ファウスト家のご令嬢で七色鳥の北京ダック風料理によって病が治り、それ以来八百万の大ファンである。
今では八百万高級宿の超常連、ほぼ住み着いている住人といっていい程である。
父のメフィストはウェールズにあるファウスト家の工房を使っている。
八百万の食事ですっかり病の影などなく、非常に美しい令嬢なのだが、八百万の食事で完治して以来食事に対してかなりの激情で劇場な感じのお嬢様になっている。
すっかり孤児や冒険者、ねね達とも仲良くなった常連の一人である。
そして今日は餃子の日にかなり気合をいれての入店だった。
餃子、中華の日に食べた事のある「あの」餃子、それを今日は餃子だけが只管!ただ只管出てくる日だと言われ、席に座ると早速餃子が一人前運ばれてくる。
オーソドックス、恐らくは一番ノーマルな餃子、タレには醬油とラー油と酢を少々かけた物と味噌ダレ!そして酢胡椒なるものでもいいと言われている。
お好みでタレにニンニクを足すのもいいだろうと。
じゅわじゅわの焼き立てを少し冷まし、適温になったらまずはタレなど使わずにそのままパクリ・・・・・あぁん!ザクザクの皮!みっちりとしてねっとりぎゅっと詰まった餡!一口で完結している完成体の料理が口の中に広がる!
餃子!かなりの完成度の高さ!料理一つの完成度を考えた時、これほど出来上がっているものが食べられることがあるだろうか?
タレを使わずに既にハイクオリティな味わいが口に広がり、また一つまた一つと手が伸びる!
三個いっきに食べてようやく一息、一心地ついた。
次には醬油とラー油のタレに、ちょんちょんとつけパクリ、うんうんうん!美味い!まずはやはり醬油や味噌、これらの調味料自体が美味しく非常にどんな料理とも調和する事から安易に調味料が美味いだけでは?なんて考える鈍い人間もいるだろう。
醬油は美味い!味噌は美味い!はっきりいって美味すぎる程に美味い調味料である。
下手をすれば料理を飲み込みかねない程、先ほど言った調味料が美味いだけでは?と勘違いしそうになるのも頷ける。
だが、まってほしい醬油や味噌は確かに美味いが、性質はそれだけではない。
もとある餃子、それだけでも味がして美味い餃子が、醬油ダレに浸すと混ざり合う事で倍々と一足飛びに美味さが跳ね上がる。
これは肉や皮、脂などに反応した独特の美味さであり、醬油だけで到達できる美味さのレベルではない事がしっかりとうかがえる。
そしてラー油、このちょっと添えられたように足された辛みが一気に場を、口を引き締めるのだ。
美味い!すかさず次の皿を注文すると、今度は綺麗な三食の餃子!鮮やかなオレンジ色の餃子を口に運べば、甘味と独特の風味を感じるがニンジン?これがニンジンであるかなんて微かにわかるか?わからない程度の風味だ。
人参とはこうもいつもと違う味わいを出すのか!とうんうんと頷いてしまう。
緑の綺麗な餃子!見た目も美しく翡翠の様だ!これにもほうれん草といわれて初めて気が付く程、野菜!といったニュアンスとは遠い味わい。
最後に黄色い餃子・・・・・・これはカボチャだ!甘い!これが存外悪くない!むしろちょっとしたリッチな味わいに思わず喜ぶ。
野菜だけの餃子、肉がみっちりつまったのとは対照的に軽くいくらでも食べれそうな味、ぎゅっと溢れ出る野菜からの水分がまた美味い、ジューシーだ。
斗真さんお勧めのワンタン餃子、中にはシーチキンとタマネギが詰まっていて、ポン酢タレで食べるのもいい!ああっ!これ本当に美味しい!焼くというよりザックリと揚げられた皮、玉ねぎとシーチキンの餡がまた特別に美味しい!ついつい片手で米を探したくなるが、その米を!って欲求を餃子で満たしていく。
一個、また一個と口にするのだが、時々周りをきょろきょろして二個食いなんかもする。
口いっぱいの贅沢感がたまんない!!!
エビ餃子三種盛り、一つは小さめのエビがぎちぎちに詰まったぷりぷりの餡!もう最高!皮の脂の味からも濃厚なエビの味を感じる。
もう一つは丁寧にエビを叩いて、粘りが出るまで叩き、それを皮に詰めたんだ!食感の違いが味に違いを出し、肉とは違ったねっとり感のある餡!
最後はエビと肉の合わせ餡!しっかりと香味野菜もはいって、王道!まさにど真ん中、小細工なしのストレートな味わいに夢見心地な気分になる。
ダンジョンなどがある街なんかでは、肉でも魚でもデカいものが好まれまた高級と言われている。
だから魚もエビも亀も肉類、魚類は小さすぎると雑魚と呼ばれて金にならない事が多い、実際に味の面でも巨大な獲物の方が繊細でありきめ細かかったりと、地球では巨大魚なんかは大味で味が薄いとかいわれているが、こっちの世界では真逆にデカい=美味い=正義なのである。
それ故に斗真の様に、小エビや普通サイズの魚なんか使って美味い料理を作るのは、流儀的には異端なのである。
魔力の保有量も味に直結する異世界では、デカい獲物の方が魔力保有量や体内循環魔力により、まろやかで濃厚な肉質になることも美味な一因の一つと言えよう。
国によっては家畜や畑がない世界でもあるので、また加工品などはその国特産品か友好国に好まれた場合のみ輸出するくらいなので、どの国にどんな加工品があり、それが輸入、輸出できるかも正確に定まってない為、各国特産の加工品の世界的展開も少ない。
最後には手羽先餃子と鶏皮餃子!
肉に肉を詰めると言う、まさに普通では考えつかない料理方法!小麦の皮と違った、肉を皮と見立てた餃子、骨に齧りついている感覚も楽しい。
鶏皮のパリパリ、ザクザクの皮に餡!はぅう~ん!濃厚な鳥の脂!こってりして旨味がぎっちぎち!これだけ食べて、好きにお替わりして銀貨一枚!
なんて幸せ日!なんて幸せな日々なの!?豊かな食事、未知の味の開拓!色んなものを食べたわ!口や食道が動かなくなる前に少しでも美味しいものを求めた!
八百万以外の食事だって悪いものではなかった。
美味しい物だって沢山あったはずなのに、思い出すのはどこか原始的な?単調な?一辺倒な?素材の味的な?どちらかと言えば偏った記憶、でも八百万で食べる食事はまさにびっくり箱!色んな味がして時には辛く、苦味だって感じる事があるけど、それは失敗した苦味なんかではなく、香ばしいという違う味わいなのだと初めて知った様に、いつも新たな驚きをくれる。
食事が違うだけで、毎日の彩が変わる。
幸福度が高まる。
今ウェールズは世界一幸せな場所なのかもしれない。
餃子、言わずと知れた餡を皮に包んで焼いたものを、焼き餃子、煮た物は水餃子、蒸し餃子など種類はあれど、日本では焼き餃子が主流である。
一口に餃子といっても包む皮と中身の餡、そして焼き上げ具合によって味は変わり、餃子を扱う店は独自の店の味を確立して出している。
まず餃子の皮といっても一つだけとは限らない、ほうれんそう、にんじん、カボチャなどが練りこまれた皮なんかもあり、またこれが予想以上に美味い。
ワンタン、シュウマイの皮を餃子に使う事も可能で、叔母に作ってもらった黄色い皮の餃子、中身はシーチキンとタマネギがぎっしり詰まった餡は私の大好物だった。
あまりにも美味しくて何度も何度も作ってほしいと懇願したのを覚えている。
家庭によって皮はそれぞれ、自家製から春巻きの皮を使ってみたり、ライスペーパーを餃子になんて変わり種もあるかもしれない。
それだけ店はもちろん家庭でも味に違いがでるのが、餃子なのである。
ラーメンに白飯に餃子のセットもいいかもしれないが、大人になって思う。
餃子を!餃子だけを!餃子だけで腹をいっぱいに満たしたい!!!
そんな八百万 餃子の日の一幕。
八百万で餃子の日をやると言った時、あまり客はこないかなと思っていたが、予想大外れ、いつも以上にきつい並びが道にびっしりと出来ていた。
餃子の日はまず一人前の餃子が5個、カボチャ、ニンジン、ほうれん草の三食餃子が6個注文によってはシーチキンの揚げ餃子と野菜餡だけの餃子など選べるようになっていて、一人前からお替わり自由である。
デザートには餡子と黒蜜の混ざった、水餃子が、他にも変わり種のぷりぷりのエビ餃子、手羽先餃子、鶏皮餃子なんかも追加注文できる。
システィーナ・フォン・ファウスト
大病を患っていた、ファウスト家のご令嬢で七色鳥の北京ダック風料理によって病が治り、それ以来八百万の大ファンである。
今では八百万高級宿の超常連、ほぼ住み着いている住人といっていい程である。
父のメフィストはウェールズにあるファウスト家の工房を使っている。
八百万の食事ですっかり病の影などなく、非常に美しい令嬢なのだが、八百万の食事で完治して以来食事に対してかなりの激情で劇場な感じのお嬢様になっている。
すっかり孤児や冒険者、ねね達とも仲良くなった常連の一人である。
そして今日は餃子の日にかなり気合をいれての入店だった。
餃子、中華の日に食べた事のある「あの」餃子、それを今日は餃子だけが只管!ただ只管出てくる日だと言われ、席に座ると早速餃子が一人前運ばれてくる。
オーソドックス、恐らくは一番ノーマルな餃子、タレには醬油とラー油と酢を少々かけた物と味噌ダレ!そして酢胡椒なるものでもいいと言われている。
お好みでタレにニンニクを足すのもいいだろうと。
じゅわじゅわの焼き立てを少し冷まし、適温になったらまずはタレなど使わずにそのままパクリ・・・・・あぁん!ザクザクの皮!みっちりとしてねっとりぎゅっと詰まった餡!一口で完結している完成体の料理が口の中に広がる!
餃子!かなりの完成度の高さ!料理一つの完成度を考えた時、これほど出来上がっているものが食べられることがあるだろうか?
タレを使わずに既にハイクオリティな味わいが口に広がり、また一つまた一つと手が伸びる!
三個いっきに食べてようやく一息、一心地ついた。
次には醬油とラー油のタレに、ちょんちょんとつけパクリ、うんうんうん!美味い!まずはやはり醬油や味噌、これらの調味料自体が美味しく非常にどんな料理とも調和する事から安易に調味料が美味いだけでは?なんて考える鈍い人間もいるだろう。
醬油は美味い!味噌は美味い!はっきりいって美味すぎる程に美味い調味料である。
下手をすれば料理を飲み込みかねない程、先ほど言った調味料が美味いだけでは?と勘違いしそうになるのも頷ける。
だが、まってほしい醬油や味噌は確かに美味いが、性質はそれだけではない。
もとある餃子、それだけでも味がして美味い餃子が、醬油ダレに浸すと混ざり合う事で倍々と一足飛びに美味さが跳ね上がる。
これは肉や皮、脂などに反応した独特の美味さであり、醬油だけで到達できる美味さのレベルではない事がしっかりとうかがえる。
そしてラー油、このちょっと添えられたように足された辛みが一気に場を、口を引き締めるのだ。
美味い!すかさず次の皿を注文すると、今度は綺麗な三食の餃子!鮮やかなオレンジ色の餃子を口に運べば、甘味と独特の風味を感じるがニンジン?これがニンジンであるかなんて微かにわかるか?わからない程度の風味だ。
人参とはこうもいつもと違う味わいを出すのか!とうんうんと頷いてしまう。
緑の綺麗な餃子!見た目も美しく翡翠の様だ!これにもほうれん草といわれて初めて気が付く程、野菜!といったニュアンスとは遠い味わい。
最後に黄色い餃子・・・・・・これはカボチャだ!甘い!これが存外悪くない!むしろちょっとしたリッチな味わいに思わず喜ぶ。
野菜だけの餃子、肉がみっちりつまったのとは対照的に軽くいくらでも食べれそうな味、ぎゅっと溢れ出る野菜からの水分がまた美味い、ジューシーだ。
斗真さんお勧めのワンタン餃子、中にはシーチキンとタマネギが詰まっていて、ポン酢タレで食べるのもいい!ああっ!これ本当に美味しい!焼くというよりザックリと揚げられた皮、玉ねぎとシーチキンの餡がまた特別に美味しい!ついつい片手で米を探したくなるが、その米を!って欲求を餃子で満たしていく。
一個、また一個と口にするのだが、時々周りをきょろきょろして二個食いなんかもする。
口いっぱいの贅沢感がたまんない!!!
エビ餃子三種盛り、一つは小さめのエビがぎちぎちに詰まったぷりぷりの餡!もう最高!皮の脂の味からも濃厚なエビの味を感じる。
もう一つは丁寧にエビを叩いて、粘りが出るまで叩き、それを皮に詰めたんだ!食感の違いが味に違いを出し、肉とは違ったねっとり感のある餡!
最後はエビと肉の合わせ餡!しっかりと香味野菜もはいって、王道!まさにど真ん中、小細工なしのストレートな味わいに夢見心地な気分になる。
ダンジョンなどがある街なんかでは、肉でも魚でもデカいものが好まれまた高級と言われている。
だから魚もエビも亀も肉類、魚類は小さすぎると雑魚と呼ばれて金にならない事が多い、実際に味の面でも巨大な獲物の方が繊細でありきめ細かかったりと、地球では巨大魚なんかは大味で味が薄いとかいわれているが、こっちの世界では真逆にデカい=美味い=正義なのである。
それ故に斗真の様に、小エビや普通サイズの魚なんか使って美味い料理を作るのは、流儀的には異端なのである。
魔力の保有量も味に直結する異世界では、デカい獲物の方が魔力保有量や体内循環魔力により、まろやかで濃厚な肉質になることも美味な一因の一つと言えよう。
国によっては家畜や畑がない世界でもあるので、また加工品などはその国特産品か友好国に好まれた場合のみ輸出するくらいなので、どの国にどんな加工品があり、それが輸入、輸出できるかも正確に定まってない為、各国特産の加工品の世界的展開も少ない。
最後には手羽先餃子と鶏皮餃子!
肉に肉を詰めると言う、まさに普通では考えつかない料理方法!小麦の皮と違った、肉を皮と見立てた餃子、骨に齧りついている感覚も楽しい。
鶏皮のパリパリ、ザクザクの皮に餡!はぅう~ん!濃厚な鳥の脂!こってりして旨味がぎっちぎち!これだけ食べて、好きにお替わりして銀貨一枚!
なんて幸せ日!なんて幸せな日々なの!?豊かな食事、未知の味の開拓!色んなものを食べたわ!口や食道が動かなくなる前に少しでも美味しいものを求めた!
八百万以外の食事だって悪いものではなかった。
美味しい物だって沢山あったはずなのに、思い出すのはどこか原始的な?単調な?一辺倒な?素材の味的な?どちらかと言えば偏った記憶、でも八百万で食べる食事はまさにびっくり箱!色んな味がして時には辛く、苦味だって感じる事があるけど、それは失敗した苦味なんかではなく、香ばしいという違う味わいなのだと初めて知った様に、いつも新たな驚きをくれる。
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