異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝

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これまでの八百万

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 八百万 
 
 八百万には宿泊施設の事を呼ぶ、宿と定食屋、別館、遊戯間、賭博場、庭園、など様々な施設がある。 
 
 主には八百万=定食屋なのだが、元々は都市の端に大型の旅館の様な建物と風流な庭園がある宿の、更に端に存在する店、宿に備え付けられているかのようなに存在する店だった。 
 
 元々広く確保され、本館と別館、庭園に食堂の様に店が存在していたのだが、リリ、ねねは土地の全てを知らなかったので、定食屋の店は隣の土地に存在すると勘違いしていて、元々リリ達の親の土地である、またはそういう風に神により認知が歪んでいる。 
 
 そしてその近くにリリ達が宿完成まで仮に住んでいた仮宿があり、その隣は本当は壁だったのだが、いつの間にか斗真と食道、八百万が存在していた。 
 
 領主のアーサーの許可により、斗真の土地拡張能力や、建物の自然な建て替え能力、移動能力、整備能力により街を大幅に拡張、道や建物の修繕、電気や水道、下水などの設置に処理、を引き換えに元々あった宿、八百万の土地も拡張し更に大きな土地を確保。 
 
 ただの大型の街から、都市といわれる程まで大きくなり、道は明るく街灯が照らし、公共のトイレは現代並みに美しく快適に、飲み水で体を壊す所か、喉の渇きを潤して健康にごくごく飲める水に住人も大喜び。 
 
 街の端に雑多に素人が建てた小屋などに住んでいた人間の家も、新品同然で隙間風なく風呂にトイレ庭もついて、しっかり各家にちゃんと間隔があり。 
 
 歪だったものは全て綺麗に整えられた。 
 
 そんなこんなで八百万、最初は避けられつつも面白がって通い始める冒険者、ニーア達大物5大英雄に勧められ人が集まり始める。 
 
 いってみれば、見た事も聞いたこともない料理のオンパレードに夜には、魔物の内臓まで使った料理を出すと言う。 
 
 夜の部はまだしも、昼の飯は真っ当で美味い!新しい味!そして値段も手ごろ!これにより冒険者の内で早々と店がはやり始める中、異変が始まる。 
 
 八百万で飯を食う様になってから、異常に爆発的に体が動く、いつもの魔物狩り、一度や二度の連続戦闘でもこなせば体力がきつくなってくる。 
 
 そりゃそうだ、戦争っていっても一時間、二時間も剣を振り回して緊張してたら、それは疲れる。 
 
 そんな時は体力回復のポーションなんかを飲むのだが、どうした事か使わなくても体が疲れにくい、それ所か魔物と相対して理想の思い描いた戦闘が出来てる。 
 
 脳で思い描いた理想の戦闘、それは自身の肉体をフルに生かして敵をバッタバッタとなぎ倒すものである。 
 
 それが出来ている。 
 
 いつもだったらもっと処理に時間がかかっている魔物もなんのその、簡単に狩れてしまった。 
 
 このなんか俺調子が良くねぇ?は八百万で飯を食った人間全てに起こった事だった。 
 
 その後行われたのは冒険者による検証だった。 
 
 一度食った奴と食わなかった奴の差、一日食わなかったらどうなるか?三日なら?一週間なら?結果、斗真の旦那が作る飯には一度きりかわからないが成長促進させるバフがかかっている可能性があるって事だ。 
 
 八百万で一度でも飯を食った人間は病気にかかりずらい、もちろん限度はある。 
 
 毒にも麻痺にも魔物の呪い系のカース攻撃にも対応され、更に肉体はいつもより強靭に、それこそ付与魔法師や身体能力向上を使った時の様な否それ以上の、想像の理想の剣捌きや肉体の作り、憧れていたランクSや英雄達に明らかに近づいている感覚を得る事が出来た。 
 
 そして一度だけなのかわからないが、この成長には付与師や身体能力向上の様な一時的なものではないと言う事がわかった。 
 
 まるで潜在能力を引き出されたかのような強さを得る事が出来た、ウェールズの冒険者はほとんどの人間が死なず、一歩二歩上だったランクの狩場で稼ぐことが全員が出来た為、ウェールズ冒険者組合の稼ぎ、街の都市の稼ぎはブルタニア国のどの街よりも収入が多い都市となる。 
 
 都市で消費出来ない程のダンジョンから手に入れた魔物の肉やポーションや武器作成、宝石としても価値の高いものなど、どんどん他の街、他の国に売られていく、それでも街全員の冒険者が本気で毎日狩りをしたら、都市は素材で溢れる事になる。 
 
 商業ギルドに各商会、商人も大儲け、働く労働者達の給料もあがるあがる! 
 
 もちろん中には完全に勘違いして、深くに潜り返り討ちあう冒険者も沢山いたが、無事帰ってきているので笑い話である。 
 
 貧困者、貧民がいない都市、ウェールズ。 
 
 領主のアーサーに納められる莫大に膨れ上がった税金、資金で溢れ孤児ですらお腹いっぱいにそして教育までもしっかり受けれる孤児。 
 
 他国の人々までが、ブリタニア国にあるウェールズは桃源郷または黄金郷だと言い始める。 
 
 かと思えば、他国から八百万の話を聞いて訪れたいや~~な貴族、そしてその護衛達、そんな奴らも八百万で飯を食えば効果は得られるのか???。 
 
 答えは否だった。 
 
 斗真の旦那による料理の恩恵が受けれる人間とそうではない人間がいたのである。 
 
 この情報に都市の住人も更に笑い、歓喜の渦に包まれた。 
 
 どんな事が理由なのか?何が基準なのか?どんな構造でそうなっているかはわからない、でもきっと斗真の旦那の事を見ている神様が力を与えている人間を選別しているに違いないと思った。 
 
 まっとうな人間ほど強く!闇や陰に暮らすもの達でも道理が通っていれば恩恵は誰にでも訪れる。 
 
 そんな能力がある斗真の旦那だが、街の人間、八百万の事、リリちゃんやねねちゃんが好きな住人達にとっては些細な事だった。 
 
 斗真の旦那の料理に惚れたから通う!美味いから通う!ただそれだけなのである。 
 
 斗真の旦那は高級な食材を安値で売るから、八百万が流行っている訳でもない、それを証拠に夜には内臓なんて誰も使わない捨てられた食材が使われていて、それを食いに今では人が集まるくらいだ。 
 
 よくよく考えてみると、とんでもない店である。 
 
 魚は生で出すし、米なんて元々鳥のエサ、内臓なんて誰も食った事ないし、アレが詰まっていたと考えると怖い、卵まで生で出すし、骨は煮込むわ、大型の魚じゃなく小型の雑魚なんかも良く使う、捨てられる魚なんかも喜んでもらってきやがる。 
 
 それなのにどの料理もうめぇんだよなぁ・・・・・・・色んな国を回った奴や、貴族、果は王族までが度肝を抜いたのが、旦那の料理だ。 
 
 八百万が出来てから、この街はもちろん住人も大きくいい方向に変った。 
 
 金欲しさに無茶する冒険者も商人も一般人もいなくなり、余裕が生まれ、休みを楽しみ、好きな事をして生き、美味いものを食い、飲み、学び、他の街や国から尊敬される様な振舞い、施し、態度、教養、を持ち、幸せに溢れた毎日。 
 
 これ全部が八百万が出来て、斗真の旦那が定食屋を初めてくれたのが始まりである。 
 
 本当に、頭があがらねぇや
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