上 下
71 / 186

ハイエルフの姫 ハイリューン・ヒルデガルド

しおりを挟む
 -ハイエルフの姫 ハイリューン・ヒルデガルド (潜伏中)- 
 
 この国に稀人が現れたと聞いて、エルフより長い時間を生きる私は胸が躍った。 
 
 きっとまたあの世界の国の方だ!だってあの世界の国の方は稀人であるのにこの世界にの為にと色々考えたりしてくれる方が多いからだ。 
 
 現に今回の稀人様も宿と料理をしている。 
 
 一国の国王よりも尊く、奇跡的な確率で訪れる稀人、その知識や考え方などはこの世界とは大きくかけ離れていて貴重で、時にななんでそんな事に気が付かなかったのだろうと思わせる発言のある人。 
 
 稀人は世界的に重要な人物である事から、争い攫う事は禁止されていると言うのに、中つ国は十二天を稀人様の迎えにと寄越したようで、国境で無限のルーファウス・ヴァレンタインと交戦、序列2位の星読みの図書館、マーリン・アンブロシウスも交戦に参加、現在は話し合いが行われているとか。 
 
 やれやれです。 
 
 それにしても稀人様の料理は凄い!とっても美味しいのです!私は初めて稀人様の料理を食べた時、この世の桃源郷をみました!。 
 
 それ以来もうファンになってずっと通っています!
 
 牛タンのステーキ!お肉の食感でサクサクとした歯触りを味わうなんて初めての事でした!そして上質な脂がさっぱりと流れるのです!。 
 
 輝き鳥の濃厚塩ラーメン!怒涛の美味さ!スープはシンプルに塩味なのに、強く感じる鳥!鳥だけでどうしたらあんなに濃厚に仕上げられるのか!とさかやしっとりのチャーシューは美味しく、パサパサなんて全然していない!麺の小麦とスープの濃厚さが絡み合い、妖艶な美味しいさでした! 
 
 生姜焼き!豚さんは何処まで進化するのか!そしてお米!改めて関心しました!パン食が多いエルフの国、ハイエルフの国でも米を作るべきです!生姜の風味に醬油のタレ、そこに交わる脂、考えるだけで涎が・・・・。 
 
 グラナダ鉄砲貝!なんと生で食べれる!むっちりしてぷるんぷるん!プツンと噛み切るの濃厚な海の香!焼きも身がしまってむちむちで美味しい!揚げにグラタン!もうたまりません!何個でも食べちゃう!そして一周まわってまた生にレモン、醬油でちゅるりと食べる!なるほど!美味い!。 
 
 七色鳥の唐揚げ!鳥肉がこんなにもジューシーで濃厚に食べれるなんて知りませんでした!ほんのりにんにくが香ってまたお米にあうんです!マヨでもチリソースでもソースでも美味しい!私は特別に出してもらったワサビマヨネーズの味が忘れられません!あのツンとして濃厚なのにまろやかで唐揚げとベストマッチ!お米のお替りお願いしますわ!! 
 
 黄金豚の家系ラーメン!これは悪魔の食べ物でした!ああっいけない!姫としてハイエルフの姫としてニンニクの香を振りまくわけには!!!でも!でも我慢できませんでした!ニンニクを乗せてすする!ああっいけませんわ!なんて刺激!なんて暴力的な美味さ!抗えない!私ニンニクにハマりつつあります!でもこの濃厚スープと麺あってこそのニンニク!ニンニクを乗せる前の美味さを知ってからこそのニンニクの劇場間!やばいですわ!美味しいですわ!あはーん!!!。  
 
 そしてサバ味噌!極上のサバ味噌!とろける旨味の脂の最高に美味しいサバ!味噌に醬油!これも急ぎ研究が必要ですわ!そしてなにより強烈だったのは、サバの押し寿司!なんて一体感なの!ちょっとやめてよ!こんなの!こんなのいくらでも食べれちゃう!炙るとまたしっとりほくほく!じゅんわり脂が出て、庶民はこんなに美味しいものを食べていたのね!?こんなの驚くに決まってるじゃない!。 
 
 そして今日!私満を持して最前線!なんと冒険者ギルドでも噂されていた、幻の天丼が今日は出るんですわ!あの時のニーアさんの自慢話に血の涙を流した冒険者は数知れず!夢にまで見た天丼・・・・・遂に私の胃に収める日がきました! 
 
 「は~い!今日は天丼!ざるそばとのセットか普通の天丼か選べるよ!量が多いから丼のライス少な目でもいいけど、私は大丈夫だと思うよ!」 
 
 「それではおそばのセットで」 
 
 「はいな~」 
 
 おそば?おそばとは?ざるそばとはなんでしょう? 
 
 そして運ばれてくる丼をはみ出る具に驚く!そして横についてるのが、そば?麺みたいですけど、ちょっと緑がいろの綺麗な麺?でもラーメンの麺ともパスタとも違う。 
 
 「おそばはね、このつゆにつけて食べるの!ネギやワサビをいれても美味しいよ!」 
 
 なるほど、このおつゆに潜らせて食べるんですね。 
 
 まずはつゆをちょっと飲んでみる。 
 
 美味い!このおつゆがもうすでに美味しい!一見ただの醬油かと思わせて、全然違う!濃厚な美味さをぎゅっと圧縮したかの様な美味しいさ!それでいてくどくなくさっぱりと口のなかでまろやかに消えていく!。 
 
 そばを掴み、潜らせすする! 
 
 なんて豊かな風味!そばの心地よい香りが鼻を抜ける!ちょっと!天丼がメインと思いきや!行き成りの伏兵ですわ!これおそば単体でも十分美味しいわ!ネギを入れるとまた香が変わる!ワサビを入れてもまた変わる!これは素晴らしい!喉を通るそばの感覚がたまらない快感に変わる!。 
 
 小麦の麺とは全然違う!ざるそば!とっても美味です!。 
 
 さて向き直り、いざ天丼に!キングサファイアエビ!サックサクのぷりぷり!これもそうだ!この衣がまず美味しい!サクサクの衣がまず美味しくてその後にエビの旨味が爆発する!二段仕掛けの様。 
 
 シュエルジュエルのむっちりした引き締まった身も表面はさくさくでまた美味い!レンコン!インゲン!大葉!鳥マイタケ!野菜達のオーケストラ!!自分達は個人なのだと!一体感を出しつつも、俺を忘れないでくれと個性が爆発する野菜達!苦みやえぐみなどなく、美味さを最大限に! 
 
 影アナゴ!ふわっふわ!じゅわじゅわ!誰ですか!この子を下魚と呼んだ人は誰ですか!?謝りなさい!さくさくと口の中に入り、ふわとろ感を演出して喉奥に消えていく。 
 
 そしてエンジェルフィッシュ、これがまた驚く程軽い!油など使っていないかのように軽い!それでいて、実は自分魚なんです!うぃっす!と身がほろほろと舌を楽しませて、それじゃあ喉にきえま~す、うっす!と軽く消えていく! 
 
 これらの具たちが、甘く旨味の強いタレで統一感を主張、まるで一つ一つの具たちが、見て?実はみんなでお揃いのタキシードなんだ!と言わんばかりの一体感!一本の芯がある様な纏まり!。 
 
 そこに米!がははははわたくし勝ちましたわ!!完全勝利ですわ!どの具もすべてを受け止める米!変幻自在に相手を受け止め、優しく米の嵐に包み込まれる、俺と一つになっちまえよ・・・・・ああんそんな強引に纏めちゃ!美味さが美味しさが倍々に膨れ上がっちゃう! 
 
 なんて完成どの高い料理!そしてお味噌汁がまた私の興奮した心を落ち着かせてくれる・・・素朴な塩漬けが口に入れば、油っぽかった口はさっぱりとして、そこにまたお茶が清々しく爽やかにさせてくれる、この一杯、このお茶の一杯がたまらないんですの! 
 
 怒涛の一時・・・・ここの料理はいつもそう、強引に迫ってきてわたくしを満足させて、ああっなんて晴れやかなんでしょう!今日もまた人にやさしく生きようと思わせる。 
 
 太陽がまぶしいけど、自分もまぶしいわ!! 
 
 今日もわたくしは輝いている!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

異世界でドラゴニュートになってのんびり異世界満喫する!

ファウスト
ファンタジー
ある日、コモドドラゴンから『メダル』を受け取った主人公「龍河 由香」は 突然剣と魔法の世界へと転移してしまった。 メダルは数多の生物が持つことを許される異世界への切符で・・・! 伝説のドラゴン達の加護と武具を受けて異世界大冒険!だけど良く見たら体が?! 『末永く可愛がる為って・・・先生、愛が重いです』 ドラゴニュートに大変身!無敵のボディを駆使して異世界を駆け巡る! 寿命が尽きたら元の世界に戻れるって一体何年?ええっ!千年以上?! ドラゴニュートに変身した少女が異世界を巡ってドラゴン達を開放したり 圧倒的な能力で無双しつつ尊敬を集めたりと異世界で自由にするお話。 ※タイトルを一部変更しました。ですがこれからの内容は変えるつもりありません。 ※現在ぱパソコンの破損により更新が止まっています

異世界でゆるゆる生活を満喫す 

葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。 もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。 家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。 ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。 社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。 頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。 オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

食の使徒 素人だけど使徒に選ばれちゃいました。癒しの食事を貴方に 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝
ファンタジー
八戸 樹 は平凡な人生に幕を閉じた。    だが樹には強い一つの願望があった。    誰かの為になりたい、人の為に生きたい、日本人として日本人の為に、そう思って生きていても人生とは、そうそううまくいく事もなく、死ぬ最後の時まで自分は誰かの?国の?国民の?為に生きれたのだろうか?と疑問が残る様な人生だった。    そのまま魂が消え終わるかと思われた時に、女神様が現れ、異世界に使徒として転生してほしいと言われる。    使徒として転生してほしい世界では、地球の様に食事や調理法が豊かではなく、また今一進化の兆しも見えない為、樹を使徒として異世界に送り込みたいと、樹は自分は料理人じゃないし、食事も自分で自炊する程度の能力しかないと伝えるが、異世界に送り込めるほど清い魂は樹しかいないので他に選択肢がないと、樹が素人なのも考慮して様々なチートを授け、加護などによるバックアップもするので、お願いだから異世界にいってほしいと女神様は言う。    こんな自分が誰かの為になれるのならと、今度こそ人の役に立つ人間、人生を歩めるように、素人神の使徒、樹は異世界の大地に立つ

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下
ファンタジー
 冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。  だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。  これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

処理中です...