異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝

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七色豚

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 昨日はお昼にみんなで内臓の味を確かめて、夜はリリとねねと三人で今度は焼肉形式でもつを味わった。 
 
 リリとねねは狐人族で鼻もいいから、ちょっとでも臭みがあると鼻に皺が寄るのだが、一度ボイルしてあく抜きや臭みとりをしたのがよかったのか、美味しく食べれたみたいでよかった。 
 
 そのまま家の風呂を使って、布団に入っていった。 
 
 これから暑くなってくるし、寝苦しい日も出てくるから、家の使えばいいと言った。 
 
 リリとねねの家はしっかりした見た目だが、やはり異世界なんだなって作りでちょっと古い、冬は隙間風に悩まされるし、夏は風通しがいいけどそれでも暑いだろう、布団も家に比べたらぺったんこで堅い、家ならクーラーもあるし、布団も快適だし、何よりこんな子供達が隣の家で無防備に寝てるのも考えたら怖い、変態がでたり、盗人がでたり、何がおこるかわからないし、そんな子供達をほっといてこの家で一人快適に生活しているという、罪悪感なんかも感じてしまう、つまりは俺の精神衛生上遠慮なく使ってもらった方が気が楽なのだ。 
 
 朝食を食べて、俺は仕事を始めたのだが、二時間ほどしてお客さんが現れた。 
 
 冒険者ギルドのニーアさんだ、ニーアさんこう見えても冒険者ギルドのマスターで元S級冒険者でかなりの有名人なのだとか、クリスタさんも聖女の異名があり、教会の教皇に並ぶほど偉い人らしくて、知った時には驚いた。 
 
 フィガロさんにルーカスさんギムレッドさんも、肉屋、魚屋、としても有名だけど、元冒険者としても有名なのだとか、ギムレッドさんはこの街の商業ギルドマスターで魔術師として有名なんだとか。 
 
 そんなニーアさんが何の用で来たのかと言うと。 
 
 「いい肉が手に入ったんだ!これでなんか作ってくれよぅ!斗真!」 
 
 ニーアさんがデカいブロック肉を紙に包んでもってきた、見ると表面が七色に輝いてる肉だ、しかも豚バラ肉の様に、脂と肉の層が5段連なっている、見るからに美味そうな肉だ。 
 
 「うちの冒険者に七色豚仕留めた奴がいてなぁ、フィガロの所に持ってく前に、美味い所切り分けてもってきたんだ!七色シリーズの肉は美味いからなぁ!」 
 
 七色シリーズ、肉の中でも最高峰と言われている他にも、宝石シリーズなどもあるのだとか。 
 
 こいつは確かに異世界の肉っぽいな!現代にはない見た目してる、それに凄いいい香りがする、それにしても量もかなり多いな、四人前以上は確実にある。 
 
 そう思っていると、外からまた人の気配がした。 
 
 「やっぱり!抜け駆けすると思っていましたよ!ニーア!」 
 
 「なんだかんだで斗真さんの料理気に入ってたみたいでしたからね」 
 
 「クリスタさんにギムレッドさん」 
 
 「冒険者ギルドを勢いよく飛び出ていったと、情報屋から連絡がきたんですよ、これはと思ってきてみれば、やっぱり美味い食材を手に入れましたか」 
 
 「神はなんでもお見通しです。ニーアが飛び出ていくくらいの食材ですからね、見ればやはり七色豚ですね!」 
 
 「この七色豚はあたしが買ったんだ!誰に料理してもらったっていいだろ!それに最近面白い記事を見てさぁ~どうしても食いたかったんだ!なんでも遠い大陸のダンジョン王国で主催されたパーティーでとんでもなく美味い七色豚の煮込み料理が出たらしいぞ!参加した各国の王族達は歓喜に喜び神の料理だと絶賛したと書いてあった!」 
 
 そんな遠い国の、しかも異世界の料理を再現しろと?流石にそれは無理じゃないかな? 
 
 「それなら私も見ましたよ。七色豚の角・・なんとか煮とか?」 
 
 「え?角煮?」 
 
 俺が反応したのを、ニーアもクリスタもギムレッドさんも見逃さなかった。 
 
 「「「知ってるのか!?」」」 
 
 「うわぁ!角煮なら知ってますけど!!そんな神様の料理になるとは思えないんですけど!?料理人の腕が相当凄いんじゃなかと!!」 
 
 三人に体を揺さぶられる、あああああやめてください!!!! 
 
 「七色豚の角煮!ねねもたべたぁ~い!」 
 
 「こらねね!いまそれどころじゃないでしょ!みなさんも落ち着いてください!斗真さん困ってます!」 
 
 「うぬっ私としたことが失礼しました」 
 
 「まさか知ってるとは思わず」 
 
 「でも作り方も知ってるんだろ!?作ってくれよぉ~とうま~!頼むよ~!!」 
 
 「作ってもいいけど、俺が作れるかなぁ~本物とは程遠いものになるかもしれませんよ」 
 
 こんなんじゃない!なんて言われても、逆になんかがっかりされても困るんだけどなぁ。 
 
 「それにこの量角煮を作るんですか?こんなにあるなら別の物も作れますよ」 
 
 「あたしは美味ければなんでもいいよ!角煮って奴も斗真オリジナルって事でいいから、気楽についでに作っておくれよ」 
 
 「そうですね、新聞には神の料理人とかいわれていた人物が作ったと書いてありました。流石に我々もそこまで求めていませんよ、ただ知ってるなら斗真さんなりに作っていただければ」 
 
 「そうですね、みんなで美味しくいただきましょう。折角の七色豚なのですから」 
 
 角煮かぁ、角煮にも色々作り方があって、どれを参考にしたらいいのか、有名な料理人のレシピと動画しっかり見て、その通り作ろう。 
 
 他には何かあるかって?俺はこの豚の脂と赤身の層をみてぜひ作りたいと思ったのがあるんだよなぁ、多分これで作ったら滅茶苦茶美味いと思う、角煮も美味いけどアレもきっと美味いんだとうなぁ。 
 
 作る前から一人肉を見て、にやにやとした顔をしていた。
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