上 下
23 / 39

西園寺 羽衣

しおりを挟む
 西園寺 羽衣
 
 唸りながらも「ころして」という肉の塊が目の前にあった。 
 
 古いタイプの呪いによくある奴で、肉体が肉塊変化するタイプの呪い、しかも呪源が残っているので、まさに今も呪い続けていると言う奴だ。 
 
 まずはその呪いの電波を受信しない様に結界を張る。 
 
 「聖域展開、サンクチュアリ、同時結界 水鏡の陣」 
 
 結界をはり、あたりを浄化すると彼女は痛みを訴えなくなり、肉塊の顔は羽衣の顔は安心した顔になった。 
 
 「羽衣!・・・・痛くなくなったのね。おばあちゃん」 
 
 「ああ、今までの治癒師は世界的にも有名な奴らばかりなのに、どいつも羽衣の写真を見て無理だと判断した。それが今のあの子の穏やかな顔・・・・・」 
 
 「狂、呪源を出す。躊躇なく殺せ」 
 
 「御意」 
 
 呪文を唱えながら、切開し腕を中に突っ込んで呪いの源を引きずり出した。 
 
 「ぎゅあああああああああああああああああああ!!!」 
 
 「なにこれ!?ムカデ!?」 
 
 「大ムカデ!藤原秀郷が殺した山神食いの妖怪!こんなのこ羽衣についていたのかい!西園寺、鈴なりの音!」 
 
 おばあさんの技の方が早く、リーンリーンと音が鳴るたびにムカデの体が弾けるが、それでもうねりながら突進してくるのを狂が片手で受け止めた。 
 
 「虫けらが、燃えろ!」 

 ムカデの内部が爆発する様に一気に紫色の炎をムカデ内部から溢れ燃えだした。 
 
 その燃えているムカデを圧縮して紫の火の玉にすると。 
 
 「人を呪あば穴二つ、自業自得だ」 
 
 弾けて完全に消滅した。 
 
 「これで、大丈夫、呪術師は死ぬか死んだ方がましな目にあう」 
 
 「羽衣・・・・・穏やかな顔」 
 
 「これでもうこの子は苦しまなくて済むんだね。ところでどこのどいつだい、家に手をだしてきた奴らは!!」 
 
 「そこらへんが難しくてねぇ、知り合いでもなけりゃあ、どこどこの誰がやったなんて断定できないんだよ。厄介な事に」 
 
 「何はともあれ、他の奴らよりは確かにマシな仕事してくれたね。望みはなんだい?家の力が及ぶ範囲でなら協力するよ」 
 
 「そいつはありがたい、その前に羽衣さんを人間の姿に戻してあげないと」 
 
 西園寺愛は驚いた顔をして俺を見た、おばあさんも驚愕している。 
 
 「もどるの!?羽衣は元にもどるの!?」 
 
 「前とまったく同じ保証はないが、普通の女の子に戻るよ」 
 
 仙法 嫦娥の繭
 
 羽衣という名の少女の肉塊が次第に繭につつまれていく。 
 
 一時間、二時間ほどして、繭は割れて、綺麗な女の子がズルりとでて来た。 
 
 「人間としての問題はないね、見た目的に問題あるかはそっちで判断してくれ」 
 
 「羽衣!羽衣!」 
 
 「おねえ・・・ちゃん・・・もう痛くないよ。嘘みたいに穏やかなの」 
 
 六条の坊主、肉塊の状態からどうやって治すかと思ったが、見た事もない術でなおしおった。 
 
 他にも人知を超えた術の数々、こいつは本当にあの噂の六条の坊主なのか?何はともあれ孫を救ってくれた礼はせねばならん。 
 
 「羽衣・・・あんたなんか前よりも綺麗ね・・・・・?スタイルも・・・?」 
 
 「ふぇぇ?ってあたし裸!」 
 
 俺はみてない、背中を向けているので見てない。 
 
 「さて、六条の、この恩どうやって返そうか?」 
 
 「今回は愛さんとの契約なので、お代は愛さんから頂きます」 
 
 「そうだったわね、どうすればいい?お金?ぱしり?変な事だけは勘弁してね」 
 
 「今日初授業だったのに、貴方に連れられてさぼってしまいました。俺と学校に説明してくださいね」 
 
 「それだけ?」 
 
 「他におもいつかないんで、それでいいです」 
 
 「そんな訳ないじゃん!あたしがお願いして連れて来たのに、その説明しておわりって、割にあってないよ!」 
 
 金もこまってねーしな、権力で俺の学校での立場が変わる事もないとおもうし、変にねじれそう。 
 
 するとおばあさんが口を出して来た。 
 
 「西園寺は綾小路と同様に、源氏二十一流と条、または浄家からの独立を強く推すものとする。これによりかつての盟約は破棄され、六条家は貴族院に属し存続させるものとするって事でどうだい?」 
 
 「かつての盟約も何も俺は聞かされてないから知らんが、源氏も条家もくそったれだ。縁が切れるならこれ以上の事はないな。まあ宣戦布告しちゃってるから、刺客でもおくられてきそうで怖いけどね、鬼神衆に守られているから、狙われるなら宣戦布告した俺って事になるのかな?どうでもいいけどー」 
 
 「クックック、腐っても二十一流、腐っても浄家、その家柄どもに宣戦布告とは笑えるわい。一輝のボンズ、困ったら西園寺をたよりな、伊達に西の西園寺と言われていないさ、綾小路より西園寺を頼りな」 
 
 「豪気なばっちゃんだなぁ、じゃあおまけに経脈とテロメアをいじってやるよ」 
 
 俺は二本指でツボをどんどんついていった。 
 
 「ぐお!なにを!ん?体が軽く、痛みもない」 
 
 「ばばばばば、おばあちゃん!?おばあちゃんだよね!?」 

 「愛?どうした?」 

 「どうしたも何も!?見た目が!?」 
 
 鏡を見ると、しわくちゃだった時より格段に若返ってた。 
 
 「これは!?なんて力だ!若返ってるじゃないか」 
 
 「サービスって事で、ああ、でも無理しすぎるなよ。過去に戻った訳じゃないんだから」 
 
 そういって、西園寺の車に乗せられて街で降りて、狂さんと寿司食って家に帰った。 
 
 初日をさぼったと学校から連絡がきて、メタメタに起こられたがその後西園寺がとりなおしてくれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最後の黄昏

松竹梅
ファンタジー
伝説人間vs新人間の9本勝負! 1章だけ公開中。2章、3章は作成中

エデンワールド〜退屈を紛らわせるために戦っていたら、勝手に英雄視されていた件〜

ラリックマ
ファンタジー
「簡単なあらすじ」 死んだら本当に死ぬ仮想世界で戦闘狂の主人公がもてはやされる話です。 「ちゃんとしたあらすじ」 西暦2022年。科学力の進歩により、人々は新たなるステージである仮想現実の世界に身を移していた。食事も必要ない。怪我や病気にもかからない。めんどくさいことは全てAIがやってくれる。 そんな楽園のような世界に生きる人々は、いつしか働くことを放棄し、怠け者ばかりになってしまっていた。 本作の主人公である三木彼方は、そんな仮想世界に嫌気がさしていた。AIが管理してくれる世界で、ただ何もせず娯楽のみに興じる人類はなぜ生きているのだろうと、自らの生きる意味を考えるようになる。 退屈な世界、何か生きがいは見つからないものかと考えていたそんなある日のこと。楽園であったはずの仮想世界は、始めて感情と自我を手に入れたAIによって支配されてしまう。 まるでゲームのような世界に形を変えられ、クリアしなくては元に戻さないとまで言われた人類は、恐怖し、絶望した。 しかし彼方だけは違った。崩れる退屈に高揚感を抱き、AIに世界を壊してくれたことを感謝をすると、彼は自らの退屈を紛らわせるため攻略を開始する。 ーーー 評価や感想をもらえると大変嬉しいです!

導きの暗黒魔導師

根上真気
ファンタジー
【地道に3サイト計70000PV達成!】ブラック企業勤めに疲れ果て退職し、起業したはいいものの失敗。公園で一人絶望する主人公、須夜埼行路(スヤザキユキミチ)。そんな彼の前に謎の女が現れ「承諾」を求める。うっかりその言葉を口走った須夜崎は、突如謎の光に包まれ異世界に転移されてしまう。そして異世界で暗黒魔導師となった須夜埼行路。一体なぜ異世界に飛ばされたのか?元の世界には戻れるのか?暗黒魔導師とは?勇者とは?魔王とは?さらに世界を取り巻く底知れぬ陰謀......果たして彼を待つ運命や如何に!?壮大な異世界ファンタジーが今ここに幕を開ける! 本作品は、別世界を舞台にした、魔法や勇者や魔物が出てくる、長編異世界ファンタジーです。 是非とも、気長にお付き合いくだされば幸いです。 そして、読んでくださった方が少しでも楽しんでいただけたなら、作者として幸甚の極みです。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

討たれた魔王の息子は、自らの出生を知らずに、すくすく育つ

あさぼらけex
ファンタジー
魔界の存在が、人間に知られて50年が過ぎた。 平和に暮らす魔族達であったが、勇者を名乗る人間達から、迫害を受ける。 そして魔族の王、魔王が討たれる。 魔王は我が子達に、平和に暮らす事を望む

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...