異世界現代、ダンジョンがある世界に転生した

夜刀神一輝

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ダイエットと綾小路家

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 怪我の治癒をしながら、肉と肉に潰されてしまった経脈、気脈、魔脈をゆっくり押し広げていく。 
 
 これが痛みを伴うと同時にゆっくりなのでかなりきつい、全身運動の様に少しずつ脂肪を燃焼させながら、骨格、筋肉、内臓にも栄養を行きわたらせ鍛え上げる。 
 
 水中でぷかぷかしているだけに見えるが、これが全身を巡らせているので疲れるのと非常に痛い。 
 
 そして魔法ではないので、数時間でこんなに!?みたいな劇的にやせるわけでもない、ダイエットと同じで忍耐と我慢、そして激痛に耐えなければいけないので辛い。 
 
 水中をウォーキングしながら、この超人体質の蓄積されたエネルギーを全体に行きわたらせる。 
 
 中学最後の学年で事故にあい、数か月休まなきゃいけない重症と診断されて学校を休む事になったが、むしろチャンスだ。 
 
 プールでウォーキングすると言った時は、両親も医者ももちろん大反対したが、実は治癒の力があるんです!といって水と相性がいいから大幅に回復速度があがります!と伝えると、両親も医者もめちゃくちゃ驚いてた。 
 
 無能力者と思っていた息子に、この世界でもレアも超レアな治癒のスキルがある事がわかったのだ。 
 
 長年六条に仕えていた医者もスキル開眼なんて兆候もみせなかったので、大いに驚いていた。 
 
 俺の神仙医術は、相手の体にメスをいれなくても手術可能だ。 
 
 癌の切除から、体内のホルモンなど色々な物質の調整、血液の正常な循環から血管が詰まらない様に拡張、骨格の矯正、肌の染みや頭髪の調子など出来ない事の方を探す事の方が難しいくらいだ。 
 
 両親はちょっと治癒の力がある程度に思っているかもしれないが、治せない病気を探す事の方が難しいレベルだ。 
 
 顔面の筋肉のバランスを調整して、プチ整形なんてのも可能なのだから、医者としてやっていくのも面白いかもしれない、闇医者だがな。 
 
 俺は人の顔と名前を覚えるのが得意じゃない、いまさら中学なんかに通ってボロを出すのも面倒だし、高校入学まで家で修練したいのがなぁ 
 
 入る高校はもう決めてあった。 
 
 関東最大の武術学館、天武館。 
 
 武芸者、闘技者、異能者、能力者、探索者、冒険者、様々な呼び名があるが、武を志す者やダンジョンで生計を立てたりするもの、子供の頃から異能に目覚めた者、大人だけど途中から能力に目覚めた能力者などが集まる学園、その高等部に進学しようと思う。 
 
 東北の神武館、関東の天武館、関西の極武館、九州の人武館と四つの武館があり、小学校から大学までのエスカレーター式で、中学、高校、大学と途中から入学してくる人間も多い、特に大学部は魔窟となっており、30代40代は当たり前、50代60代でも一から習いに来る人間が多いと言われている。 
 
 ダンジョンが出来、異能力者が増え、人生100年と言われていた時代は遥か過去の話、魔物を狩り、位階が上がれば上がる程若く戦闘に優れた見た目や体形のまま年だけ取る、天武館の館長は500歳とも言われていて、多くの人が子供の頃からずーっとジジィの姿から変わってないとか。 
 
 ダンジョンで手に入った霊草、霊薬で寿命が延びたなんて話も聞いたりもする。 
 
 だが、いい事ばかりではない。 
 
 現代の医術、治癒魔術や治癒の異能でも治せない、現代難病などの発見、呪いや怨念などの具現化による、怨霊殺人事件などもあるようになり、呪病と言われる人に呪われる事で強力な病気になる琴などもあり、また誰が誰を呪ったのかなど特定する事も難しく、わかったところで解呪はできないなど人の怨念が恐ろしい事を知らしめる世になってもいる。 
 
 呪った人間も同じように酷い目に会うので、人を呪わば穴二つ、いい事は何一つない。 
 
 無意識に多くの人間の負の感情、怨念を集める体質や操る能力者もいたりする。 
 
 今日家のお客様で、綾小路家のお嬢さんが来ることになっているので、俺もそろそろプールから出て用意しなきゃいけない。 
 
 なんで家にくるかって? 
 
 家の会社の一つの、障碍者用のPCデバイスなど骨格が歪み普通の人間の様に通常の姿勢が保てず、また動くのも難しい人向けの補助の道具などを開発して使用しているのが、綾小路家のお嬢さんである。 
 
 綾小路清香は普通の子供として生まれて来た。 
 
 だが、成長と共に骨格に以上が見えてきた清香を医者に見せると、清香は呪病に侵され、成長と共に骨格が変形していく呪いにかかっている事がわかった。 
 
 父、綾小路清四郎はこの事に激怒、綾小路家の武門は全員呪病の犯人を血なまこになって捜索した。 
 
 呪病の発信源は綾小路清四郎の第三夫人、綾小路綾香による犯行と発覚、同じ年に生まれるはずだった自分の子が死産した事に狂乱し、第一夫人の子清香が育って行く事に憎しみを持ってしまった事が、原因だった。 
 
 この事により、綾小路綾香は実家の一条家に返される事になった。 
 
 綾小路家の怒りは凄まじく、同じ条を苗字に持つ一族、一条から十条家の全ての条をもつ一族にまで怒りを向けられる程だった。 
 
 六条である家も条家の一族の一つなので、相当厳しい目を向けられたが、せめて清香が何不自由なく活動できるようにと色々な道具を金をかけて開発、長い年月をかけて綾小路と六条家は根気よく、綾小路家に頭を下げ、清香の為の快適な道具開発を続けた。 
 
 最初こそ怒りが収まらなかった綾小路清四郎も、幼稚園、小学生と長い期間サポートし続ける六条家に特段の感謝をする様になっていった。 
 
 そんな綾小路清香も今では中学一年生、俺の二個下である。 
 
 今日はそんな清香のデバイス調整の日である。 
 
 
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