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第5章 誘惑編
第23話 私が連れて行く
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今は五時限目の数学の授業中……
ちなみに教師は担任の黒田かなえ先生だ。
でも俺の頭の中は前田が言っていた『陽菜ちゃんを生徒会長にする為』という言葉が離れず授業に全然、集中できていない。
何故、前田は羽柴副会長を生徒会長にしたいんだろう?
それに前田がどうやって羽柴副会長を生徒会長にすることができるんだ?
前田の奴、ああ見えて陰で何か動いているのか?
ってか、生徒会長になったからって何が良いんだろう?
もしかして生徒会長になったら何か凄いメリットでもあるのか?
大学進学には何となく有利なのかもしれないが……
いずれにしてもこの学園は元々、偏差値の高い学園だから普通の高校に比べれば良い大学に進学できるとは思うんだが……
「颯君? どうしたの? さっきから上の空って感じだけど……」
「えっ? い、いや別に……何でもないよ……」
あれ? 今、徳川は俺のことを『颯君』って呼ばなかったか?
「ふーん……なんか怪しいなぁ……生徒会室で何かあったの?」
「ウグッ、ゴホンゴホンッ……」
俺は徳川の言葉に反応し過ぎてむせてしまった。
「大丈夫、颯君?」
「だ、大丈夫だ……」
徳川の奴、心配している様な言葉を言いながら何故、顔は笑っているんだ?
俺を困らせようとしているのか?
昼休みの間は徳川から逃げれていたけど、このままでは業間休みに生徒会室に呼ばれた理由などを執拗に聞かれそうだな?
うーん、どうしたものか……
「それでは、この計算を竹中君、前に来て解いてくれるかな?」
「えっ?」
「えっ? じゃないわよ、竹中君? 今、私が説明した通りの方法で計算をすれば簡単に解ける問題だから早く前に来て解いてくれないかなぁ?」
「い、いや……そのぉぉ……」
全然、黒田先生の話を聞いていませんでしたなんて言えないぞ……
これで『副委員長』をクビにしてくれるんなら正直に言うけども……
「ああ、もしかして竹中君? 先生の美貌に気を取られて授業を全然、聞いていなかったってことかなぁぁ?」
「なっ!?」
ザワザワ……
なんて事を言い出すんだ、この教師は!?
みんながザワついているじゃないか!!
それに黒田先生はやはり自分の顔やスタイルに自信があるからいつもあんなにピチッとしているセクシーな服装なんだな!?
べ、別にその服装が嫌いという訳じゃないけども……
でも今は黒田先生の服装なんて眼中にも無かったからなぁ……
「黒田先生?」
「はい、何ですか徳川さん?」
え? 徳川が急にどうしたんだ?
「あのぉぉ、さっきから竹中君、とても調子が悪そうで咳き込んでいましたので先生の話をちゃんと聞けていないと思うんですよぉぉ……ねっ? 竹中君?」
徳川が俺にウインクしているぞ。ってことは……
おーっ!! 徳川の助け船か!?
「そ、そうなんです……昼休みに入ってから少し体調が悪くて……ゴホゴホ……」
「えーっ!? そうなのか颯!?」
うるさい、前田!! お前は気にするな!!
「あら、そうなのね? それじゃぁ授業に集中出来なくて当たり前よねぇ……でも残念だわ。てっきり私の美貌にくぎ付けになって授業に集中出来ていないのかと思っていたから……」
あんた、よくもまぁそんな事を生徒達の前で堂々と言えるよな!?
ある意味、凄い人だよ!!
「それじゃぁ竹中君どうする? 今から保健室に行って休む?」
えーっ!? 保健室には昼休みに行ったばかりで保険の蒲生先生にも顔を見られているからちょっとバツが悪いしなぁ……
ってか、俺は体調が悪くなんて無いんだよ。
「黒田先生!!」
「はい? 本多さん、何かしら?」
「た、颯さんを『風紀委員』として保健室に連れて行く許可をください!!」
別に『風紀委員』は関係ないだろ!?
ってか、俺が保健室に行くのが確定している言い方だな!!
「太鳳ちゃん? それはおかしいわよ。颯君を保健室に連れて行く役目は『クラス委員長』の私が適任だと思うのだけど……」
いや、『クラス委員長』ってのも関係無いし、保健室には一人で行けるし……
マジで保健室に行かないといけない流れになっているじゃねぇか!?
「い、伊緒奈さんにお手間を取らす訳にはいきませんので、ここは『風紀委員』の私が颯さんを保健室に連れて行くのがベストだと思われます!!」
本多の奴、珍しく徳川に逆らっているぞ。
だ、大丈夫なのか? 陰で消されたりしないだろうな?
そ、それは考えすぎか……
「太鳳ちゃんの言っている意味が分からないわ……あっ、もしかして太鳳ちゃん『あれ』を飲んだんじゃないでしょうね!?」
ん、あれ?
「伊緒奈さん、『あれ』って何ですか?」
「べ、別に何でもないわよ......」
徳川の奴、本多に少し怒ってないか?
それにやけに焦っている様な……訳のわからないことも言っているし……
「それじゃぁ、間を取って俺が連れて行こうか?」
「 「前田君は黙っていてちょうだい!!」 」
「はい!!」シュン……
うわぁぁ、二人に怒鳴られて前田の奴、シュンとしているぞ……
やっぱ、女子って怖えぇぇぇ……
「はいはいはい、二人共落ち着いてくれないかしら? 今は授業中なのよぉぉ。よしっ、分かったわ! 私が竹中君を保健室に連れて行くので今から『自習』にします。以上!!」
えっ、え―――――――――――――っ!!??
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
前田の言葉が気になり授業に集中できない颯だったが、そんな時に限って黒田先生に当てられる。しかし伊緒奈が機転を利かして颯は体調不良ということになった。
でも誰が颯を保健室に連れて行くかで揉めてしまい最終的には黒田先生が連れて行く事に……
ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆
ちなみに教師は担任の黒田かなえ先生だ。
でも俺の頭の中は前田が言っていた『陽菜ちゃんを生徒会長にする為』という言葉が離れず授業に全然、集中できていない。
何故、前田は羽柴副会長を生徒会長にしたいんだろう?
それに前田がどうやって羽柴副会長を生徒会長にすることができるんだ?
前田の奴、ああ見えて陰で何か動いているのか?
ってか、生徒会長になったからって何が良いんだろう?
もしかして生徒会長になったら何か凄いメリットでもあるのか?
大学進学には何となく有利なのかもしれないが……
いずれにしてもこの学園は元々、偏差値の高い学園だから普通の高校に比べれば良い大学に進学できるとは思うんだが……
「颯君? どうしたの? さっきから上の空って感じだけど……」
「えっ? い、いや別に……何でもないよ……」
あれ? 今、徳川は俺のことを『颯君』って呼ばなかったか?
「ふーん……なんか怪しいなぁ……生徒会室で何かあったの?」
「ウグッ、ゴホンゴホンッ……」
俺は徳川の言葉に反応し過ぎてむせてしまった。
「大丈夫、颯君?」
「だ、大丈夫だ……」
徳川の奴、心配している様な言葉を言いながら何故、顔は笑っているんだ?
俺を困らせようとしているのか?
昼休みの間は徳川から逃げれていたけど、このままでは業間休みに生徒会室に呼ばれた理由などを執拗に聞かれそうだな?
うーん、どうしたものか……
「それでは、この計算を竹中君、前に来て解いてくれるかな?」
「えっ?」
「えっ? じゃないわよ、竹中君? 今、私が説明した通りの方法で計算をすれば簡単に解ける問題だから早く前に来て解いてくれないかなぁ?」
「い、いや……そのぉぉ……」
全然、黒田先生の話を聞いていませんでしたなんて言えないぞ……
これで『副委員長』をクビにしてくれるんなら正直に言うけども……
「ああ、もしかして竹中君? 先生の美貌に気を取られて授業を全然、聞いていなかったってことかなぁぁ?」
「なっ!?」
ザワザワ……
なんて事を言い出すんだ、この教師は!?
みんながザワついているじゃないか!!
それに黒田先生はやはり自分の顔やスタイルに自信があるからいつもあんなにピチッとしているセクシーな服装なんだな!?
べ、別にその服装が嫌いという訳じゃないけども……
でも今は黒田先生の服装なんて眼中にも無かったからなぁ……
「黒田先生?」
「はい、何ですか徳川さん?」
え? 徳川が急にどうしたんだ?
「あのぉぉ、さっきから竹中君、とても調子が悪そうで咳き込んでいましたので先生の話をちゃんと聞けていないと思うんですよぉぉ……ねっ? 竹中君?」
徳川が俺にウインクしているぞ。ってことは……
おーっ!! 徳川の助け船か!?
「そ、そうなんです……昼休みに入ってから少し体調が悪くて……ゴホゴホ……」
「えーっ!? そうなのか颯!?」
うるさい、前田!! お前は気にするな!!
「あら、そうなのね? それじゃぁ授業に集中出来なくて当たり前よねぇ……でも残念だわ。てっきり私の美貌にくぎ付けになって授業に集中出来ていないのかと思っていたから……」
あんた、よくもまぁそんな事を生徒達の前で堂々と言えるよな!?
ある意味、凄い人だよ!!
「それじゃぁ竹中君どうする? 今から保健室に行って休む?」
えーっ!? 保健室には昼休みに行ったばかりで保険の蒲生先生にも顔を見られているからちょっとバツが悪いしなぁ……
ってか、俺は体調が悪くなんて無いんだよ。
「黒田先生!!」
「はい? 本多さん、何かしら?」
「た、颯さんを『風紀委員』として保健室に連れて行く許可をください!!」
別に『風紀委員』は関係ないだろ!?
ってか、俺が保健室に行くのが確定している言い方だな!!
「太鳳ちゃん? それはおかしいわよ。颯君を保健室に連れて行く役目は『クラス委員長』の私が適任だと思うのだけど……」
いや、『クラス委員長』ってのも関係無いし、保健室には一人で行けるし……
マジで保健室に行かないといけない流れになっているじゃねぇか!?
「い、伊緒奈さんにお手間を取らす訳にはいきませんので、ここは『風紀委員』の私が颯さんを保健室に連れて行くのがベストだと思われます!!」
本多の奴、珍しく徳川に逆らっているぞ。
だ、大丈夫なのか? 陰で消されたりしないだろうな?
そ、それは考えすぎか……
「太鳳ちゃんの言っている意味が分からないわ……あっ、もしかして太鳳ちゃん『あれ』を飲んだんじゃないでしょうね!?」
ん、あれ?
「伊緒奈さん、『あれ』って何ですか?」
「べ、別に何でもないわよ......」
徳川の奴、本多に少し怒ってないか?
それにやけに焦っている様な……訳のわからないことも言っているし……
「それじゃぁ、間を取って俺が連れて行こうか?」
「 「前田君は黙っていてちょうだい!!」 」
「はい!!」シュン……
うわぁぁ、二人に怒鳴られて前田の奴、シュンとしているぞ……
やっぱ、女子って怖えぇぇぇ……
「はいはいはい、二人共落ち着いてくれないかしら? 今は授業中なのよぉぉ。よしっ、分かったわ! 私が竹中君を保健室に連れて行くので今から『自習』にします。以上!!」
えっ、え―――――――――――――っ!!??
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
前田の言葉が気になり授業に集中できない颯だったが、そんな時に限って黒田先生に当てられる。しかし伊緒奈が機転を利かして颯は体調不良ということになった。
でも誰が颯を保健室に連れて行くかで揉めてしまい最終的には黒田先生が連れて行く事に……
ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆
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