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第9章 運命の選択編
第56話 衝撃
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買い物の次の日の月曜日……
久子は元気がなかった。
つねちゃん達と別れた後、作戦通りに私と高山君、そして久子と彼とがペアになってお店の中を周り、途中から久子と彼との会話もはずんでいるようにも見えた。
少しだけ私が嫉妬するくらいに……
それに帰りは久子と彼が途中から二人きりで帰っていったし……
もしかして、その帰りに何かあったのかな?
もしかして帰りに久子は彼に……
「久子、大丈夫? 何だか元気が無いみたいだけど……」
「えっ? そ、そんなこと無いよ……」
「そ、そんなことあるよ。もしかして昨日の帰りに五十鈴君と何かあったの?」
「バ、バカなこと言わないでよ、浩美!! な、何も無いわよ!!」
久子は顔を赤くしながら否定する。
でも、この様子はきっと何かあったに違いないわ。
彼の様子も何だかおかしいし……
でも、これ以上聞くのは良く無いわね。
とりあえず、しばらくはソッとしておこう。
そして『七夕祭り』当日……
彼と高山君の会話が聞こえてくる。
「おーい、隆? 最近なんか元気が無いよなぁ? 今日が『七夕祭り』だっていうのに大丈夫なのか?」
高山君が最近元気の無かった彼の事を心配してくれている。
「あっ、ああ……別に何も無いよ。ちょっと風邪気味なのかもしれないけど……」
「えーっ、風邪ひいているのか!?」
「だから、『風邪気味』なだけで風邪を引いている訳じゃ無いから、あまり大きな声で言うなよな!!」
そんな二人の会話が聞こえていた私はまず二人の会話が同じように聞こえていたはずの久子を見たけど何の反応も無い。
だから私がわざとらしい言い方で二人の会話に入っていった。
「えっ、五十鈴君、風邪気味なの? こないだの買い物の次の日から何だか元気が無かったから何かあったんじゃないかって凄く気にしていたのよ……」
私がそう言うと彼は何故か驚いたというよりも感心しているような表情をしている。
えっ、何でそんな感心した様な表情をするの?
何でかな?
「石田も心配してくれて有難う。俺は大丈夫だから。それに買い物に行って風邪を引いた訳じゃ無いからさ……」
「だったら良いんだけどね……なんか久子もあの次の日から元気が無い様な感じだったからさ……」
「えっ!?」
さすがに久子の名前を出すと彼は驚いた表情に変わった。
やっぱり何かあったんだ……
でも、このまま彼が元気の無いのも嫌だから……
「まぁ、昨日くらいから久子も元気になってきたし、もう心配はしていないんだけどね。それに今日は私達、『演劇』の裏方をやらないといけないんだから、気合い入れて頑張らないとでしょ!?」
「そ、そうだな……俺も風邪気味なんて気にせずに今日は裏方を頑張るよ」
彼は少し安心した表情に変わり前向きな言葉を言っている。
それにしても今日の彼は喜怒哀楽が激しいなぁ……
本当に大丈夫なのかしら?
そして私達が『七夕祭り』のメイン会場となる体育館に向かっている道中、聞き覚えのある声が私達を呼んでいる。
「おーい、隆君達~っ!!」
その声の主は先日、商店街で会った志保さんだった。その時に言っていた通り、園児達を連れてうちの学校にやって来たのだ。
そして園児達が歩いている列の一番後ろにはつねちゃんもいた。
つねちゃんは私達に気付き、ニコッと微笑んでいる。
そのつねちゃんが彼に声をかけてきた。
「隆君、チョットいいかな?」
つねちゃんが彼をそう言って呼び止めたけど一体、彼に何の用なんだろう?
私がそう思っていると彼が『みんなに先に行ってて』と言ったので私達は体育館に向かう専用通路を歩き体育館へと向かうのだった。
その場に残っている二人の様子を久子はジッと見つめながら歩いているのが何故か印象的だった。
数メートル歩いたところで久子が私に声をかける。
「浩美、お願いがあるんだけど……」
「え、何かな?」
「やっぱり五十鈴君も裏方だしさ、早く体育館に行って準備をしないといけないと思うの。だからなるべく急ぐように言ってくれないかな?」
何で私にそんなことをお願いするのよ? 自分で言いに行けばいいじゃないと私は内心思ったけど、彼と久子の間に何か気まずいことがあって話しにくいのかなと思った私は『うん、分かったわ』とだけ言い残し彼達のいる所まで早歩きで向かうのだった。
そして私は何故か直ぐには二人の前に現れず専用通路にある大きな柱の後ろからそーっと様子を伺った。
あの二人の会話を私が聞いてはいけないような内容なんて無いとは思ったけど、一応気を遣ってのことだったんだけど……会話の内容はあまりにも衝撃過ぎた……
「隆君、こないだはちゃんとお買い物はできたかな?」
「えっ? うん……ちゃんと買えたよ……」
「そうなんだ、良かったわ。先生、本当は隆君達と一緒にお買い物が出来なくて少し心配だったというか、残念だったわ……」
「お、俺も本当はつねちゃんと買い物がしたかったんだけどさ……でも寿が……」
「分かってる……寿さんからすれば先生は『お邪魔虫』だもんね。寿さんは隆君の事がとても大好きみたいだし……」
「そっ、そんな事は……」
えっ? つねちゃんは久子が彼を好きだってことを知っているの!?
それにつねちゃんは久子からすれば『お邪魔虫』ってどういうこと??
「隆君、前に遊園地で言ったけど、もし隆君に好きな子が出来たら先生の事なんて気にしないで無理せずに、その子の事を好きになって良いんだからね……」
遊園地?
彼はつねちゃんと一緒に遊園地に行ったことがあるってこと!?
すると彼が突然、叫び出した。
「おっ、俺はつねちゃんが好きなんだ!! つねちゃんしか好きにならないって決めたんだ!!」
彼は大きな声を出し過ぎて息遣いが荒くなっている。
つねちゃんは頬を少し赤く染め、瞳は潤んでいる様に見える。
そして私は彼の叫び声の内容に衝撃を受け柱の後ろで茫然と立っていた。
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
七夕祭り開催の日、志保とつねちゃんが園児達を連れてやって来た。
するとつねちゃんは隆と二人で話をすることに……
久子に頼まれて隆を呼び戻そうと二人のところへ向かう浩美
しかし浩美が聞いた二人の会話はあまりにも衝撃だった……
遂にこの作品の『本題』に突入します。
どうぞ次回もお楽しみ……
久子は元気がなかった。
つねちゃん達と別れた後、作戦通りに私と高山君、そして久子と彼とがペアになってお店の中を周り、途中から久子と彼との会話もはずんでいるようにも見えた。
少しだけ私が嫉妬するくらいに……
それに帰りは久子と彼が途中から二人きりで帰っていったし……
もしかして、その帰りに何かあったのかな?
もしかして帰りに久子は彼に……
「久子、大丈夫? 何だか元気が無いみたいだけど……」
「えっ? そ、そんなこと無いよ……」
「そ、そんなことあるよ。もしかして昨日の帰りに五十鈴君と何かあったの?」
「バ、バカなこと言わないでよ、浩美!! な、何も無いわよ!!」
久子は顔を赤くしながら否定する。
でも、この様子はきっと何かあったに違いないわ。
彼の様子も何だかおかしいし……
でも、これ以上聞くのは良く無いわね。
とりあえず、しばらくはソッとしておこう。
そして『七夕祭り』当日……
彼と高山君の会話が聞こえてくる。
「おーい、隆? 最近なんか元気が無いよなぁ? 今日が『七夕祭り』だっていうのに大丈夫なのか?」
高山君が最近元気の無かった彼の事を心配してくれている。
「あっ、ああ……別に何も無いよ。ちょっと風邪気味なのかもしれないけど……」
「えーっ、風邪ひいているのか!?」
「だから、『風邪気味』なだけで風邪を引いている訳じゃ無いから、あまり大きな声で言うなよな!!」
そんな二人の会話が聞こえていた私はまず二人の会話が同じように聞こえていたはずの久子を見たけど何の反応も無い。
だから私がわざとらしい言い方で二人の会話に入っていった。
「えっ、五十鈴君、風邪気味なの? こないだの買い物の次の日から何だか元気が無かったから何かあったんじゃないかって凄く気にしていたのよ……」
私がそう言うと彼は何故か驚いたというよりも感心しているような表情をしている。
えっ、何でそんな感心した様な表情をするの?
何でかな?
「石田も心配してくれて有難う。俺は大丈夫だから。それに買い物に行って風邪を引いた訳じゃ無いからさ……」
「だったら良いんだけどね……なんか久子もあの次の日から元気が無い様な感じだったからさ……」
「えっ!?」
さすがに久子の名前を出すと彼は驚いた表情に変わった。
やっぱり何かあったんだ……
でも、このまま彼が元気の無いのも嫌だから……
「まぁ、昨日くらいから久子も元気になってきたし、もう心配はしていないんだけどね。それに今日は私達、『演劇』の裏方をやらないといけないんだから、気合い入れて頑張らないとでしょ!?」
「そ、そうだな……俺も風邪気味なんて気にせずに今日は裏方を頑張るよ」
彼は少し安心した表情に変わり前向きな言葉を言っている。
それにしても今日の彼は喜怒哀楽が激しいなぁ……
本当に大丈夫なのかしら?
そして私達が『七夕祭り』のメイン会場となる体育館に向かっている道中、聞き覚えのある声が私達を呼んでいる。
「おーい、隆君達~っ!!」
その声の主は先日、商店街で会った志保さんだった。その時に言っていた通り、園児達を連れてうちの学校にやって来たのだ。
そして園児達が歩いている列の一番後ろにはつねちゃんもいた。
つねちゃんは私達に気付き、ニコッと微笑んでいる。
そのつねちゃんが彼に声をかけてきた。
「隆君、チョットいいかな?」
つねちゃんが彼をそう言って呼び止めたけど一体、彼に何の用なんだろう?
私がそう思っていると彼が『みんなに先に行ってて』と言ったので私達は体育館に向かう専用通路を歩き体育館へと向かうのだった。
その場に残っている二人の様子を久子はジッと見つめながら歩いているのが何故か印象的だった。
数メートル歩いたところで久子が私に声をかける。
「浩美、お願いがあるんだけど……」
「え、何かな?」
「やっぱり五十鈴君も裏方だしさ、早く体育館に行って準備をしないといけないと思うの。だからなるべく急ぐように言ってくれないかな?」
何で私にそんなことをお願いするのよ? 自分で言いに行けばいいじゃないと私は内心思ったけど、彼と久子の間に何か気まずいことがあって話しにくいのかなと思った私は『うん、分かったわ』とだけ言い残し彼達のいる所まで早歩きで向かうのだった。
そして私は何故か直ぐには二人の前に現れず専用通路にある大きな柱の後ろからそーっと様子を伺った。
あの二人の会話を私が聞いてはいけないような内容なんて無いとは思ったけど、一応気を遣ってのことだったんだけど……会話の内容はあまりにも衝撃過ぎた……
「隆君、こないだはちゃんとお買い物はできたかな?」
「えっ? うん……ちゃんと買えたよ……」
「そうなんだ、良かったわ。先生、本当は隆君達と一緒にお買い物が出来なくて少し心配だったというか、残念だったわ……」
「お、俺も本当はつねちゃんと買い物がしたかったんだけどさ……でも寿が……」
「分かってる……寿さんからすれば先生は『お邪魔虫』だもんね。寿さんは隆君の事がとても大好きみたいだし……」
「そっ、そんな事は……」
えっ? つねちゃんは久子が彼を好きだってことを知っているの!?
それにつねちゃんは久子からすれば『お邪魔虫』ってどういうこと??
「隆君、前に遊園地で言ったけど、もし隆君に好きな子が出来たら先生の事なんて気にしないで無理せずに、その子の事を好きになって良いんだからね……」
遊園地?
彼はつねちゃんと一緒に遊園地に行ったことがあるってこと!?
すると彼が突然、叫び出した。
「おっ、俺はつねちゃんが好きなんだ!! つねちゃんしか好きにならないって決めたんだ!!」
彼は大きな声を出し過ぎて息遣いが荒くなっている。
つねちゃんは頬を少し赤く染め、瞳は潤んでいる様に見える。
そして私は彼の叫び声の内容に衝撃を受け柱の後ろで茫然と立っていた。
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
七夕祭り開催の日、志保とつねちゃんが園児達を連れてやって来た。
するとつねちゃんは隆と二人で話をすることに……
久子に頼まれて隆を呼び戻そうと二人のところへ向かう浩美
しかし浩美が聞いた二人の会話はあまりにも衝撃だった……
遂にこの作品の『本題』に突入します。
どうぞ次回もお楽しみ……
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