60 / 133
第11章 それぞれの思い編
第60話 初恋の人達を想う
しおりを挟む
先輩達との試合から結構な月日が流れた。
今は昭和六十年四月
俺は中学三年になった。
『この世界』にタイムリープしてから約八年になる。
あいだで一度『前の世界』に戻ってしまった事はあったが、それにしてもあっという間の八年だった。
少しだけここ数年を振り返ってみよう……
あの後の『秋の大会』の団体戦……
練習の甲斐あって先輩達のAチームは四位(三位決定戦で敗北)
そして俺達一年生がメインのBチームはベスト16となる。
両チームベスト8という目標は達成出来なかったが、俺達はとても満足していた。
それにうちの『卓球部』としては久しぶりの上位入賞という事で学校も大々的に取り上げてくれ、次回の大会ではもっと上に行けるのではという期待も持ってもらい、次の週から俺達卓球部は毎日、体育館で練習しても良いという許可が出たのだ。
『前の世界』では俺達の世代が掴んだ毎日体育館での練習であったが、『この世界』では一年早く実現する事が出来たのだ。
そしてその期待通りに次の年の『夏の大会』……羽和さん達にとっては最後の大会。
その大会で羽和さん達は団体戦で念願の三位になり、有終の美を飾る事となる。
先輩達の活躍のお陰で学校側は俺達『新チーム』に対し、新しい卓球台を数台購入してくれた。新入部員も増えて合計五十名以上もいるのだ。
ここ数年で俺達『卓球部』は凄い活気のある部活となった。
新キャプテンは『前の世界』同様に下田に、そして副キャプテンは藤木にやってもらう事になった。ちなみに当初、俺がキャプテンになるのがふさわしいと皆が言ってくれたが俺は頑なに断った。
また村瀬や森重はやはり卓球の上達が早く、あの時以降、試合をしても俺が勝っていたが、最近は俺の方が結構負けている。やはり俺のレベルはアレ止りなんだろう……
いずれにしても俺達は『青葉第三中学校始まって以来の最強卓球部』として注目されており、念願の『団体戦優勝』に向けて必死に練習をしている。
あと俺達、三年生は『受験生』でもある。
そんな中、俺は勉強も頑張り、いつの間にか『空白の一年』を克服し、『前の世界』と同じレベルにまでなっていた。
これでどうにか『前の世界』で通っていた『青葉東高校』に合格できそうだ。
まぁ、油断は禁物であるが……
一つ気になるのは同じ塾に通っていた石田が中二の秋頃に突然、塾を辞めた事だ。
実は『前の世界』でも同じ時期に塾を辞めている。ただ俺は石田に何故塾を辞めたのか理由を聞けないまま彼女は死んでしまった。
だから今回こそは理由を聞こうと思っていたんだが、クラスも違い、最近、部活も欠席する事が多くなっている石田と会話をする機会が減っていて、結局塾を辞めた理由を聞けずじまいになっている。
もう、あまり時間が無い。
俺は『この世界』で石田の命を救いたいと思っている。
前にも言ったが、『前の世界』での俺の初恋の人は『つねちゃん』ではなく、ずっと石田だと思っていた。志保さんから『つねちゃん』が死んだと聞かされた時にようやく俺が最初に好きになった人が『つねちゃん』だったと思い出せたくらいだから……
だから俺にとっては石田もとても大切な人なんだ。
彼女を死なせたくない!!
それもあんな悲惨な事故で……
ただ俺はたまに思う事がある。あの悲惨な事故で多くの人が亡くなっている。
それなのに俺の個人的な思いで石田だけを助けるなんて都合が良すぎはしないか?
石田だけを助けて他の人は見捨てて良いのか!?
でも俺には全員を助ける事なんて出来ない。
『八月某日、何時何分発の飛行機には乗らないでくれ!!』って俺が叫んだところで、おそらく誰も聞いてはくれないだろう。
逆に俺が『おかしな奴』と思われて警備員にどこかに連れて行かれるのがオチだ。
だが、一人くらいなら……石田だけなら……
俺の力で何とか助ける事が出来るかもしれない。
しかし、こんな俺がどうやって石田を助けるんだ……!?
俺は『その日』が近づくにつれて、そういった心の葛藤が増えていた。
たしか石田が死んでしまってから一週間も経たないうちに俺達の『最後の大会』が開催されたんだよなぁ……
あの時はとても辛かった……
どうしても頭から石田が離れなくて、全然試合に集中出来ずに自分の実力を出し切れないままに負けてしまったんだよなぁ……
おそらく俺だけが落ち込んでいた訳じゃ無いはずだ。
高山や他の小学生から付き合いのあった奴は皆、なんらかの影響を受けていたはずだ。
ただ俺は石田が死んでから彼女の事が『大好き』だった事に気付いてしまった為に落ち込み方が尋常で無かったのは間違いないのだが……
『死んでから大好きだった事に気付いた』と言えば『つねちゃん』も同じだ。
正しくは大好きだったけど、その頃は幼稚園児という事もあり、また卒園後、『つねちゃん』に全然会えていなかった為、俺の記憶からドンドン薄れていってしまっていたんだ。
まぁ、普通の幼稚園児だったらそんなものだろう……
成長していく過程で好きな人が次々現れていく内に記憶は上書きされていってしまうものだ。
まさに俺はそれだった。
しかし志保さんから『つねちゃんの死』を聞かされた時、俺は今までにない衝撃を受けてしまった。
何か心の中の『封印』が解かれた様な感覚だった。石田が死んでから好きだった事に気が付いたのと同じ、いや、それ以上に俺は『つねちゃん』の事を『心の底から愛している』事に気付いたんだ。そして昔の……あの楽しかった『つねちゃん』との思い出が次々と甦って来た……
それに数ヶ月続いていた『あの頭痛』とも重なって、いつの間にか『この世界』に俺は飛ばされてしまい……
何故、俺は『この世界』にタイムリープしたんだろうか……?
俺はやり直しが出来て非常に喜んではいるが、俺だけの思いでこんな現象が起こるものなのか?
それとも、一度戻った『前の世界』で分かった事だが、『つねちゃん』も俺にずっと会いたがってくれていた事も関係するのだろうか……
『お互いの思いが一つになった時に』……みたいな……
さぁ、どうだろう……?
いずれにしても考えたって答えは見つからない。
俺は『この世界』で精一杯、頑張るしか無いんだ。
そして三年後、俺が高校三年生……十八歳になったら……
俺は『つねちゃん』に正式に『プロポーズ』をする。
それだけは俺の中で決まっている。
さぁ、俺の決意を改めて確認もした事だし、今夜は久しぶりに『つねちゃん』に電話をしてみようかな。中三になって初めての電話だな…………
またお父さんかお母さんが先に電話に出てくるんだろうな……
べ、別に構わないけどさ……
しかし、誰でもいいから早く『携帯電話』を開発してくれないか!?
不便で仕方が無いぜ…………
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
新章『それぞれの想い編』が始まりました。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
今は昭和六十年四月
俺は中学三年になった。
『この世界』にタイムリープしてから約八年になる。
あいだで一度『前の世界』に戻ってしまった事はあったが、それにしてもあっという間の八年だった。
少しだけここ数年を振り返ってみよう……
あの後の『秋の大会』の団体戦……
練習の甲斐あって先輩達のAチームは四位(三位決定戦で敗北)
そして俺達一年生がメインのBチームはベスト16となる。
両チームベスト8という目標は達成出来なかったが、俺達はとても満足していた。
それにうちの『卓球部』としては久しぶりの上位入賞という事で学校も大々的に取り上げてくれ、次回の大会ではもっと上に行けるのではという期待も持ってもらい、次の週から俺達卓球部は毎日、体育館で練習しても良いという許可が出たのだ。
『前の世界』では俺達の世代が掴んだ毎日体育館での練習であったが、『この世界』では一年早く実現する事が出来たのだ。
そしてその期待通りに次の年の『夏の大会』……羽和さん達にとっては最後の大会。
その大会で羽和さん達は団体戦で念願の三位になり、有終の美を飾る事となる。
先輩達の活躍のお陰で学校側は俺達『新チーム』に対し、新しい卓球台を数台購入してくれた。新入部員も増えて合計五十名以上もいるのだ。
ここ数年で俺達『卓球部』は凄い活気のある部活となった。
新キャプテンは『前の世界』同様に下田に、そして副キャプテンは藤木にやってもらう事になった。ちなみに当初、俺がキャプテンになるのがふさわしいと皆が言ってくれたが俺は頑なに断った。
また村瀬や森重はやはり卓球の上達が早く、あの時以降、試合をしても俺が勝っていたが、最近は俺の方が結構負けている。やはり俺のレベルはアレ止りなんだろう……
いずれにしても俺達は『青葉第三中学校始まって以来の最強卓球部』として注目されており、念願の『団体戦優勝』に向けて必死に練習をしている。
あと俺達、三年生は『受験生』でもある。
そんな中、俺は勉強も頑張り、いつの間にか『空白の一年』を克服し、『前の世界』と同じレベルにまでなっていた。
これでどうにか『前の世界』で通っていた『青葉東高校』に合格できそうだ。
まぁ、油断は禁物であるが……
一つ気になるのは同じ塾に通っていた石田が中二の秋頃に突然、塾を辞めた事だ。
実は『前の世界』でも同じ時期に塾を辞めている。ただ俺は石田に何故塾を辞めたのか理由を聞けないまま彼女は死んでしまった。
だから今回こそは理由を聞こうと思っていたんだが、クラスも違い、最近、部活も欠席する事が多くなっている石田と会話をする機会が減っていて、結局塾を辞めた理由を聞けずじまいになっている。
もう、あまり時間が無い。
俺は『この世界』で石田の命を救いたいと思っている。
前にも言ったが、『前の世界』での俺の初恋の人は『つねちゃん』ではなく、ずっと石田だと思っていた。志保さんから『つねちゃん』が死んだと聞かされた時にようやく俺が最初に好きになった人が『つねちゃん』だったと思い出せたくらいだから……
だから俺にとっては石田もとても大切な人なんだ。
彼女を死なせたくない!!
それもあんな悲惨な事故で……
ただ俺はたまに思う事がある。あの悲惨な事故で多くの人が亡くなっている。
それなのに俺の個人的な思いで石田だけを助けるなんて都合が良すぎはしないか?
石田だけを助けて他の人は見捨てて良いのか!?
でも俺には全員を助ける事なんて出来ない。
『八月某日、何時何分発の飛行機には乗らないでくれ!!』って俺が叫んだところで、おそらく誰も聞いてはくれないだろう。
逆に俺が『おかしな奴』と思われて警備員にどこかに連れて行かれるのがオチだ。
だが、一人くらいなら……石田だけなら……
俺の力で何とか助ける事が出来るかもしれない。
しかし、こんな俺がどうやって石田を助けるんだ……!?
俺は『その日』が近づくにつれて、そういった心の葛藤が増えていた。
たしか石田が死んでしまってから一週間も経たないうちに俺達の『最後の大会』が開催されたんだよなぁ……
あの時はとても辛かった……
どうしても頭から石田が離れなくて、全然試合に集中出来ずに自分の実力を出し切れないままに負けてしまったんだよなぁ……
おそらく俺だけが落ち込んでいた訳じゃ無いはずだ。
高山や他の小学生から付き合いのあった奴は皆、なんらかの影響を受けていたはずだ。
ただ俺は石田が死んでから彼女の事が『大好き』だった事に気付いてしまった為に落ち込み方が尋常で無かったのは間違いないのだが……
『死んでから大好きだった事に気付いた』と言えば『つねちゃん』も同じだ。
正しくは大好きだったけど、その頃は幼稚園児という事もあり、また卒園後、『つねちゃん』に全然会えていなかった為、俺の記憶からドンドン薄れていってしまっていたんだ。
まぁ、普通の幼稚園児だったらそんなものだろう……
成長していく過程で好きな人が次々現れていく内に記憶は上書きされていってしまうものだ。
まさに俺はそれだった。
しかし志保さんから『つねちゃんの死』を聞かされた時、俺は今までにない衝撃を受けてしまった。
何か心の中の『封印』が解かれた様な感覚だった。石田が死んでから好きだった事に気が付いたのと同じ、いや、それ以上に俺は『つねちゃん』の事を『心の底から愛している』事に気付いたんだ。そして昔の……あの楽しかった『つねちゃん』との思い出が次々と甦って来た……
それに数ヶ月続いていた『あの頭痛』とも重なって、いつの間にか『この世界』に俺は飛ばされてしまい……
何故、俺は『この世界』にタイムリープしたんだろうか……?
俺はやり直しが出来て非常に喜んではいるが、俺だけの思いでこんな現象が起こるものなのか?
それとも、一度戻った『前の世界』で分かった事だが、『つねちゃん』も俺にずっと会いたがってくれていた事も関係するのだろうか……
『お互いの思いが一つになった時に』……みたいな……
さぁ、どうだろう……?
いずれにしても考えたって答えは見つからない。
俺は『この世界』で精一杯、頑張るしか無いんだ。
そして三年後、俺が高校三年生……十八歳になったら……
俺は『つねちゃん』に正式に『プロポーズ』をする。
それだけは俺の中で決まっている。
さぁ、俺の決意を改めて確認もした事だし、今夜は久しぶりに『つねちゃん』に電話をしてみようかな。中三になって初めての電話だな…………
またお父さんかお母さんが先に電話に出てくるんだろうな……
べ、別に構わないけどさ……
しかし、誰でもいいから早く『携帯電話』を開発してくれないか!?
不便で仕方が無いぜ…………
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
新章『それぞれの想い編』が始まりました。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる