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第6章 衝撃の事実編
第64話 意思を受け継ぐ/広美・亮二
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私は順子が所属している東京の事務所に入所してから約1年半が経っていた。まだエキストラでしかドラマや映画には出演していない私は正式に女優としてデビューはしていないけど、それでも毎日充実した生活をしている。
「広美ちゃん、少しお話があるんだけど構わないかしら?」
「え? あ、はい……」
私が事務所にある別室で発声練習をしていると順子がそう言ってきたので練習を止めて順子に近づく。
「ゴメンなさいね? 練習中だったのに。でも大事な話が二つもあるから……」
「二つもあるんですか?」
「フフフ……そうなのよ。それでね、一つ目の大事な話なんだけど、あなたのデビュー作が遂に決まったのよ」
「えーっ!? で、デビュー作!?」
「そう、広美ちゃんのデビュー作よ。秋にクランクインされる私が主演の映画にあなたも出演してもらうことになったの。それも私の『年の離れた妹役』としてね」
40歳を目前にした順子の妹役と聞いてそれは無理があるんじゃない? と言いたい気持ちになったけど、さすがに天下の名女優、岸本ひろみには言えなかった。
「あ? もしかして今、姉妹っていうのは無理があるんじゃないかって思ったでしょ?」
「い、いえ、そんなことは……岸本さんは年齢よりもお若く見えますし……私と姉妹でも問題は無いと思いますよ……」
「ハハ、ありがとね。でも正直、私は無理があると思っているから今日から今よりも5歳程、若く見えるように頑張るつもりよ。それと広美ちゃんは今年で20歳だけど、妹役は23歳だから逆にあなたは今よりも少し大人感を出せるような演技を求められるからしっかり頑張ってほしいの」
「は、はい!! 私、頑張ります!!」
遂に親友の順子と一緒に共演……死んだ私、石田浩美の代わりに女優になってここまで頑張ってきた順子に恩返しができる時が来たんだ。絶対に足を引っ張らないように頑張らなくては……
「それでね、もう一つの大事な話なんだけど……」
「な、何でしょうか……?」
――――――――――――――――――――――――
「ゴメン、亮二君。なんか香織が慌てた様子で呼んでいるから、電話切るね? とりあえず今、話した内容は頭の片隅に置いていてくれると嬉しいんだが……」
「分かりました。知らせてくれてありがとうございました」
ピッ
俺は隆おじさんとの電話を終え携帯電話を机の上に置き、今聞いた内容を考えていた。
山本次郎か……
隆おじさんの言う通り、直接俺達には関係の無い人物だけど、隆おじさんが心配している『反動』によって周りの人間に何らかの影響が出る可能性があるかもしれないというのは俺も気にはしている。
だから俺としては山本次郎という男が逮捕されるまでは少しは意識しておこうと思った。それに、まぁ俺以上に関係無いとは思うがカナちゃんにも注意を促しておこうかな……でも、カナちゃんにどう説明をすればいいんだ?
まさか隆おじさんが実は違う世界から来たタイムリープ者だって言ってもなぁ……そんな話を信じるのは俺くらいだろうし……
いずれにしてもカナちゃん達は明日、ボランティアサークルで地域のゴミ拾いをするって言っていたよな? 本当は俺も参加する予定だったけど急遽、ボランティア部の活動が入ってしまったから始めからの参加出来なくなってしまったけど、何とか調整して遅れても少しだけは顔を出せるようにしよう。
俺がそう思っていると下の階から母さんが大きな声で俺を呼んでいる。
「亮二!! ちょっと下に降りて来なさい!! ひ、広美ちゃんがテレビに出ているわよ!!」
「えっ!?」
もしかしてさっき香織おばさんが隆おじさんを慌てて呼んでいたってのは……
俺は急いで下の階に降り、そして両親がいるリビングへと向かう。
テレビの画面には女優の岸本ひろみがアップで写っていた。
「見て見て、亮二!! 今は写っていないけど、この岸本ひろみの横に広美ちゃんが座っているのよ!!」
母さんが興奮した口調で言っている。
「しばらく見ないうちに広美ちゃんも大人の顔になっていたなぁ……」
父さんはしみじみと言っている。
テレビの内容は記者会見の様子をライブ中継で放映しているようだった。
「岸本さん、いよいよ来年上映予定の映画『姉妹』のクランクインという事ですが、主演ということで今のお気持ちを率直にお話いただけますでしょうか?」
「はい、分かりました。皆様、今日はお忙しいところ私達の為にこういった場を設けてくださり誠にありがとうございます。主演ということで大変光栄に思っておりますし、久しぶりに緊張もしております。この『姉妹』という作品は年の離れた姉妹の絆がメインとなったお話で前から私が大好きな作品でしたので、その姉の役をさせて頂けるのは夢のようです。それに今回の作品には私の愛弟子とも言える新人女優を妹役として抜擢させて頂けたという事で監督や制作会社の方々には大変感謝しております」
岸本ひろみの愛弟子? も、もしかしてそれが……
「それでは、その岸本さんの愛弟子であり、今回、妹役に大抜擢されました五十鈴広美さんにもお話をお聞きしたいと思います。五十鈴さん、今のお気持ちをお聞かせください」
「は、ひゃい……あ……す、すみません。とても緊張していまして……」
広美……
まさか久しぶりに広美の顔を見たのがテレビになるとは……
ってか、『ひゃい』って何だよ? 緊張し過ぎだろ?
広美らしくないぞ。
「み、皆さん、初めまして。私は五十鈴広美と申します。この度は岸本さん主演の映画にこんな新人の私を妹役としてお声がかかるなんて夢にも思っていませんでしたので実は今でもドッキリではないかと疑っているくらいです。でもまだ名前も売れていない私をドッキリしても視聴率は稼げないでしょうし、やはり本当の話なんだと思っているところです」
ハハハハハ
お? 広美らしくなってきたみたいだな。会場の雰囲気が和らいだぞ。さすが広美だよだな。
「ところで五十鈴広美さんと岸本ひろみさんということですので、これから世間では『ダブルひろみ』なんて言われるかもしれませんね?」
「そ、そうですね。そう言って頂ける様に精一杯頑張りたいと思っていたのですが……」
ん? 急に広美の表情が硬くなったぞ。どうしたんだろう?
「それについて私からお話があります」
広美に続いて岸本さんも真剣な表情で口を開いた。
「皆さん、今日から私は本名の岸本順子で女優業を行います。なので、これからはここにいる新人女優の五十鈴広美が『ひろみ』の名を継ぐことになりますのでどうぞ宜しくお願い致します」
「 「 「えーーーっ!!!???」 」 」
会見場がどよめいた。当然、鎌田家もどよめいた。
恐らく五十鈴家も……特に隆おじさんは驚いているだろう。
「き、き、岸本さん? どういうことなんでしょうか? 出来れば詳しくそうされる経緯を教えて頂きたいのですが」
「皆さんもご存じの通り、私の『ひろみ』という名は学生時代に女優になる事を夢見ながら若くして亡くなった親友の名前からきています。そして私は彼女の夢を受け継ぐ思いでここまで頑張り、主演をさせて頂けるところまで来ました。私としてはある程度、目標を達成できたと思っています。なのでこれからはここにいる新人女優である五十鈴広美ちゃんに『ひろみ』の意思を受け継いでもらいたいと思い今回の決断をさせていただきました」
「岸本さんのお気持ちはよく分かりましたが、でも、親友のひろみさんと五十鈴広美さんとは名前が同じなだけで関係は無いと思うのですが、いきなり意思を継いでもらいたいと言われても五十鈴さんからすればかなりのプレッシャーになるのではないでしょうか?」
いや、広美にそんなプレッシャーなんて無いぞ。だって広美の名前も……
「いえ、大丈夫です。というか、広美ちゃんは親友の浩美と関係が無い訳ではありません。逆に私以上に関係があります。彼女の父親は私の同級生で亡くなった親友とも親しく、小学生の頃は演劇部として一緒に頑張っていました。なのでこの子の『広美』という名前も親友の『浩美』からきています。余談ですが私に浩美の女優になる夢を代わりに目指さないかと言ってくれたのは広美ちゃんの父親なんです」
「 「 「おーーーっ!!!!」 」 」
またしても会場中がどよめいた。
きっと五十鈴家では……隆おじさんは自分の事まで言われて顔を赤くして照れているんだろうなぁ……
いずれにしても遂に広美が女優としてデビューすることになった。
それも中身は石田浩美として……
幼馴染の俺としても、広美や隆おじさんから話を聞いて事情を知っている俺としてもこんなにも嬉しいことはない。
それに増々、俺だって広美に負けないくらいに頑張らなくてはという思いになった。広美、これからお互いに頑張ろうな。
俺も頑張って将来、必ずカナちゃんと……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
あと数話で衝撃の事実編は終わりとなり、あと2章程で完結となる予定ですので、どうぞ最後まで応援宜しくお願い致します。
「広美ちゃん、少しお話があるんだけど構わないかしら?」
「え? あ、はい……」
私が事務所にある別室で発声練習をしていると順子がそう言ってきたので練習を止めて順子に近づく。
「ゴメンなさいね? 練習中だったのに。でも大事な話が二つもあるから……」
「二つもあるんですか?」
「フフフ……そうなのよ。それでね、一つ目の大事な話なんだけど、あなたのデビュー作が遂に決まったのよ」
「えーっ!? で、デビュー作!?」
「そう、広美ちゃんのデビュー作よ。秋にクランクインされる私が主演の映画にあなたも出演してもらうことになったの。それも私の『年の離れた妹役』としてね」
40歳を目前にした順子の妹役と聞いてそれは無理があるんじゃない? と言いたい気持ちになったけど、さすがに天下の名女優、岸本ひろみには言えなかった。
「あ? もしかして今、姉妹っていうのは無理があるんじゃないかって思ったでしょ?」
「い、いえ、そんなことは……岸本さんは年齢よりもお若く見えますし……私と姉妹でも問題は無いと思いますよ……」
「ハハ、ありがとね。でも正直、私は無理があると思っているから今日から今よりも5歳程、若く見えるように頑張るつもりよ。それと広美ちゃんは今年で20歳だけど、妹役は23歳だから逆にあなたは今よりも少し大人感を出せるような演技を求められるからしっかり頑張ってほしいの」
「は、はい!! 私、頑張ります!!」
遂に親友の順子と一緒に共演……死んだ私、石田浩美の代わりに女優になってここまで頑張ってきた順子に恩返しができる時が来たんだ。絶対に足を引っ張らないように頑張らなくては……
「それでね、もう一つの大事な話なんだけど……」
「な、何でしょうか……?」
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「ゴメン、亮二君。なんか香織が慌てた様子で呼んでいるから、電話切るね? とりあえず今、話した内容は頭の片隅に置いていてくれると嬉しいんだが……」
「分かりました。知らせてくれてありがとうございました」
ピッ
俺は隆おじさんとの電話を終え携帯電話を机の上に置き、今聞いた内容を考えていた。
山本次郎か……
隆おじさんの言う通り、直接俺達には関係の無い人物だけど、隆おじさんが心配している『反動』によって周りの人間に何らかの影響が出る可能性があるかもしれないというのは俺も気にはしている。
だから俺としては山本次郎という男が逮捕されるまでは少しは意識しておこうと思った。それに、まぁ俺以上に関係無いとは思うがカナちゃんにも注意を促しておこうかな……でも、カナちゃんにどう説明をすればいいんだ?
まさか隆おじさんが実は違う世界から来たタイムリープ者だって言ってもなぁ……そんな話を信じるのは俺くらいだろうし……
いずれにしてもカナちゃん達は明日、ボランティアサークルで地域のゴミ拾いをするって言っていたよな? 本当は俺も参加する予定だったけど急遽、ボランティア部の活動が入ってしまったから始めからの参加出来なくなってしまったけど、何とか調整して遅れても少しだけは顔を出せるようにしよう。
俺がそう思っていると下の階から母さんが大きな声で俺を呼んでいる。
「亮二!! ちょっと下に降りて来なさい!! ひ、広美ちゃんがテレビに出ているわよ!!」
「えっ!?」
もしかしてさっき香織おばさんが隆おじさんを慌てて呼んでいたってのは……
俺は急いで下の階に降り、そして両親がいるリビングへと向かう。
テレビの画面には女優の岸本ひろみがアップで写っていた。
「見て見て、亮二!! 今は写っていないけど、この岸本ひろみの横に広美ちゃんが座っているのよ!!」
母さんが興奮した口調で言っている。
「しばらく見ないうちに広美ちゃんも大人の顔になっていたなぁ……」
父さんはしみじみと言っている。
テレビの内容は記者会見の様子をライブ中継で放映しているようだった。
「岸本さん、いよいよ来年上映予定の映画『姉妹』のクランクインという事ですが、主演ということで今のお気持ちを率直にお話いただけますでしょうか?」
「はい、分かりました。皆様、今日はお忙しいところ私達の為にこういった場を設けてくださり誠にありがとうございます。主演ということで大変光栄に思っておりますし、久しぶりに緊張もしております。この『姉妹』という作品は年の離れた姉妹の絆がメインとなったお話で前から私が大好きな作品でしたので、その姉の役をさせて頂けるのは夢のようです。それに今回の作品には私の愛弟子とも言える新人女優を妹役として抜擢させて頂けたという事で監督や制作会社の方々には大変感謝しております」
岸本ひろみの愛弟子? も、もしかしてそれが……
「それでは、その岸本さんの愛弟子であり、今回、妹役に大抜擢されました五十鈴広美さんにもお話をお聞きしたいと思います。五十鈴さん、今のお気持ちをお聞かせください」
「は、ひゃい……あ……す、すみません。とても緊張していまして……」
広美……
まさか久しぶりに広美の顔を見たのがテレビになるとは……
ってか、『ひゃい』って何だよ? 緊張し過ぎだろ?
広美らしくないぞ。
「み、皆さん、初めまして。私は五十鈴広美と申します。この度は岸本さん主演の映画にこんな新人の私を妹役としてお声がかかるなんて夢にも思っていませんでしたので実は今でもドッキリではないかと疑っているくらいです。でもまだ名前も売れていない私をドッキリしても視聴率は稼げないでしょうし、やはり本当の話なんだと思っているところです」
ハハハハハ
お? 広美らしくなってきたみたいだな。会場の雰囲気が和らいだぞ。さすが広美だよだな。
「ところで五十鈴広美さんと岸本ひろみさんということですので、これから世間では『ダブルひろみ』なんて言われるかもしれませんね?」
「そ、そうですね。そう言って頂ける様に精一杯頑張りたいと思っていたのですが……」
ん? 急に広美の表情が硬くなったぞ。どうしたんだろう?
「それについて私からお話があります」
広美に続いて岸本さんも真剣な表情で口を開いた。
「皆さん、今日から私は本名の岸本順子で女優業を行います。なので、これからはここにいる新人女優の五十鈴広美が『ひろみ』の名を継ぐことになりますのでどうぞ宜しくお願い致します」
「 「 「えーーーっ!!!???」 」 」
会見場がどよめいた。当然、鎌田家もどよめいた。
恐らく五十鈴家も……特に隆おじさんは驚いているだろう。
「き、き、岸本さん? どういうことなんでしょうか? 出来れば詳しくそうされる経緯を教えて頂きたいのですが」
「皆さんもご存じの通り、私の『ひろみ』という名は学生時代に女優になる事を夢見ながら若くして亡くなった親友の名前からきています。そして私は彼女の夢を受け継ぐ思いでここまで頑張り、主演をさせて頂けるところまで来ました。私としてはある程度、目標を達成できたと思っています。なのでこれからはここにいる新人女優である五十鈴広美ちゃんに『ひろみ』の意思を受け継いでもらいたいと思い今回の決断をさせていただきました」
「岸本さんのお気持ちはよく分かりましたが、でも、親友のひろみさんと五十鈴広美さんとは名前が同じなだけで関係は無いと思うのですが、いきなり意思を継いでもらいたいと言われても五十鈴さんからすればかなりのプレッシャーになるのではないでしょうか?」
いや、広美にそんなプレッシャーなんて無いぞ。だって広美の名前も……
「いえ、大丈夫です。というか、広美ちゃんは親友の浩美と関係が無い訳ではありません。逆に私以上に関係があります。彼女の父親は私の同級生で亡くなった親友とも親しく、小学生の頃は演劇部として一緒に頑張っていました。なのでこの子の『広美』という名前も親友の『浩美』からきています。余談ですが私に浩美の女優になる夢を代わりに目指さないかと言ってくれたのは広美ちゃんの父親なんです」
「 「 「おーーーっ!!!!」 」 」
またしても会場中がどよめいた。
きっと五十鈴家では……隆おじさんは自分の事まで言われて顔を赤くして照れているんだろうなぁ……
いずれにしても遂に広美が女優としてデビューすることになった。
それも中身は石田浩美として……
幼馴染の俺としても、広美や隆おじさんから話を聞いて事情を知っている俺としてもこんなにも嬉しいことはない。
それに増々、俺だって広美に負けないくらいに頑張らなくてはという思いになった。広美、これからお互いに頑張ろうな。
俺も頑張って将来、必ずカナちゃんと……
――――――――――――――――――――――――
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※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
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