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第5章 嫉妬編
第54話 プロポーズ/加奈子
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りょう君との帰り道、私は衝撃的な光景を見てしまった。
薄暗かったから分かりにくいとはいえ、どう見ても桜ちゃんと翔太がキスをしていたのは確かだ。前に桜ちゃんが言っていたことは嘘では無かったんだわ……
正直言えば、桜ちゃんは見栄を張って私に毎日、翔太とキスをしていると嘘をついていたのではと疑っていたけど間違いなく二人はキスをしていた。
はぁ……
思わずため息が出てしまう。
私も桜ちゃんみたいにりょう君と堂々とキスをしたいという衝動にかられてしまった。
チラッとりょう君の方を見たけど、どこか違う方向を見ている。もしかして二人のキスに気付かなかったのかな? それとも目のやり場に困って違う方向を見ているのかな?
いずれにしても私はりょう君との帰り道、心臓の鼓動が激しくなっていた。
まさか私……りょう君に何かを期待しているんじゃ?
そしてしばらく歩き、私達は家に到着した。
「カナちゃん、今日はお疲れ様。明日は学校もあるし今夜はゆっくり休んでね?」
「う、うん……ありがとう……りょう君はこれからまたお店に戻るの?」
「いや、さすがに俺も疲れたし家に帰るよ。それにお店も本当なら今日は休みのところを無理言って開けてもらっているし、マスター達も早くお店を閉めたいんじゃないかな? 俺が戻ると長引きそうな感じもするしね」
「でも桜ちゃんのお母さん達が来たから長引くんじゃ……それにりょう君も二人のお話は気になるんじゃない?」私も気になるけどね……
「ハハハ、そうだね。その可能性もあるよね? 二人の結婚話は気になるけど、俺は明日のバイトの時に詳しい話はマスター達に聞こうと思っているから今日は帰るよ」
「そ、そっかぁ……」
このままりょう君を帰らせていいの、加奈子?
あなたも桜ちゃんと翔太みたいに……
「ん? どうかしたのかい?」
「え? いえ、何でも無いけど……」
「やはりカナちゃんもさっきの光景がショックだったのかな?」
「えっ!? やっぱり、りょう君も気付いていたんだ!?」
「ハハハ、まぁね。しかし、まさか中学生同士のキスを見せられるとは思わなかったから驚いたよ。でも翔太君達が幸せそうで良かったという思いもあるかな」
そうだね。りょう君には前に私と翔太の事を話しているもんね。翔太が桜ちゃんと幸せそうにしているのは私も安心なんだけど……
「私も二人が仲良くしてくれるのは嬉しいんだけど……」
「だけど?」
「嬉しいけど……羨ましい……」
「カナちゃん……」
私だって……私だってりょう君と……
「私だってりょう君とあんなキスがしたい!!」
「えっ!? い、いや、カナちゃん……そんな大きな声でなんてことを……ここはカナちゃんの家の前だしさ……」
「分かってる……りょう君は大学生で私は中学生だし、りょう君から私にキスはしづらいというのは分かってる。だから今回も私達が初めてキスした時と同じように私の方から……」
「いや、だからここは家の前だから……カナちゃん聞いてる?」
ガバツ
「か、カナちゃん!?」
私からりょう君に抱きつき、こう言った。
「もし、私の事が好きじゃないなら顔をそむけて……」
「カナちゃん……」
そして私から自分の唇をりょう君の唇に近づけていく。
でも、りょう君は顔を背けようとはしない。
「りょう君、大好き……」
私は自分の唇をりょう君の唇に重ねた。
私が意識しているからだけど、前よりも少しだけ深いキスだと思う。
りょう君がまた私とキスがしたいと思ってもらえるように願いながら、心を込めたつもりの長めのキス……
しばらくして、りょう君は両手を私の両肩に置き唇をゆっくりと離しこう言った。
「カナちゃん……俺の負けだ……」
「え? 負け?」
「うん……完敗だよ……お、俺はとっくの前からカナちゃんの事が好きで好きでたまらなくなっていたんだ。でも歳の差のことを考えてしまうと何もできなかったんだ……」
「りょう君……」
「でも、もう無理だ。カナちゃんの事が大好きなこの気持ちを抑えることなんてできない……だから今度こそ俺から……」
「え?」
そう言うとりょう君から私にキスをしてきた。
りょう君の柔らかい唇、とても愛を感じる優しいキス……
私は嬉しくて幸せ過ぎて涙が溢れ出す。
そしてキスの後、りょう君から思いもよらない言葉が出てくる。
「カナちゃん、前にカナちゃんが18歳になった時にお互いに彼氏彼女がいなければ付き合おうって言ったけど、俺はあと5年も待てなくなってしまったよ……」
「え、待てないって……?」
「うん……だから俺からのお願いだ。カナちゃんが高校生になった時、まだカナちゃんが俺の事を好きでいてくれるのなら正式に付き合ってほしい。勿論、その時はご両親の承諾もいただくし、誰にも変な目で見られないように、カナちゃんに迷惑をかけないように健全な付き合いをするって誓うよ。そしてカナちゃんが高校を卒業した時には……」
私が高校を卒業した時には……
「お、俺と結婚してくれないかい?」
結婚!!
こ、これは夢なの? お願い、夢なら覚めないで!!
まさか、りょう君から私にプロポーズをしてくれるだなんて……
「りょ、りょう君……私、凄く嬉しい……」
「それじゃぁ、俺と結婚してくれるんだね?」
「うん……こんな私ですけどよろしくお願いします……」
「ありがとう、カナちゃん!!」
ガバッ
りょう君はそう言うと私を力強く抱きしめ、そして再びキスをしてくれた。
恐らくこれから数年間は二人の間でキス以上のことは起こらないだろうけど、私はそれでもいい。それだけでも幸せだわ。
あと2年半くらい頑張れば晴れてりょう君と付き合える。そして高校を卒業したらりょう君のお嫁さんになれる。私が幼稚園児の頃から想い描いていた夢が叶うんだわ……
ああ、今日は最後の最後にこんなにも素敵なことが起こるなんて……
ガチャ ギー
「なんか騒がしいわねぇ? 誰かいるの? もしかして加奈ちゃん帰ってるの?」
「 「うわっ!?」 」
突然、家のドアが開きお母さんが外に出て来たので私達は直ぐにお互いの身体を離し、急いで何事も無い様な表情を作った。
「あら、お帰りなさい。やっぱり帰っていたのね?」
「お、お母さん、ただいま!! 今、りょう君に送ってもらって帰ってきたところなの」
「そうだったのね? 今日は暑かったし、疲れたんじゃない? それに鎌田君もお疲れのところ、わざわざ娘を家まで送ってくれて申し訳ないわねぇ」
「いえ、そんな事は無いです。それに今日は一日中、カナちゃんを引っ張りまわしてしまい申し訳ありませんでした」
「いえいえ、娘も良い経験が出来て良かったと思っているわ。またこんな機会があればいつでも誘ってあげてちょうだいね?」
あ、何だかお母さん、嬉しいことを言ってくれているわ。
「はい、分かりました。そ、それじゃぁ僕はそろそろ帰ります……」
「りょ、りょう君、今日はありがとう。気を付けて帰ってね?」
「ああ、帰ったらメールするよ」
「うん、待ってる」
「フフフ……」
「お母さん、何を笑っているのよ?」
「いえ、二人の会話がなんだか恋人同士みたいだったから、つい……」
ドキッ!!
「なっ!?」
「そ、それじゃぁ失礼します!!」
「はーい、気を付けてねぇ?」
りょう君はお母さんに大きく頭を下げ、そして私に笑顔で軽く手を振りながら帰って行った。
きっとりょう君もお母さんが言った言葉にドキッとしたんだろうなと思うと何だかクスッと笑ってしまう。
「加奈ちゃん、早くお風呂に入って今日は早く寝ないとダメよ。明日は学校があるんだからね」
「分かってるわよ。でもお母さんに早く教えたいこともあるんだけどなぁ……さっき知ったばかりの情報なんだけどね……」
「教えたいこと? ああ、チーチュ、いえ大塚さんと根津さんが結婚するってことかしら? あの二人、今夜、山田さんのお店に顔を出すって言っていたから」
「えーっ!? お母さん、その事を知っていたの!?」
「当たり前じゃないの。私と大塚さんは親友同士、根津さんは私がエキサイトランドでバイトをしていた時にお世話になった社員さんなんだからね。真っ先に私に報告してくれたわよ。でも驚いたわねぇ……まさかあの二人がねぇ……」
お母さんは私とりょう君が結婚の約束をしているっていう事を知ればどんな反応をするのかな? やっぱり驚くんだろうなぁ……
早く驚かせたいなぁ……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
遂に亮二が加奈子にプロポーズ!!
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
薄暗かったから分かりにくいとはいえ、どう見ても桜ちゃんと翔太がキスをしていたのは確かだ。前に桜ちゃんが言っていたことは嘘では無かったんだわ……
正直言えば、桜ちゃんは見栄を張って私に毎日、翔太とキスをしていると嘘をついていたのではと疑っていたけど間違いなく二人はキスをしていた。
はぁ……
思わずため息が出てしまう。
私も桜ちゃんみたいにりょう君と堂々とキスをしたいという衝動にかられてしまった。
チラッとりょう君の方を見たけど、どこか違う方向を見ている。もしかして二人のキスに気付かなかったのかな? それとも目のやり場に困って違う方向を見ているのかな?
いずれにしても私はりょう君との帰り道、心臓の鼓動が激しくなっていた。
まさか私……りょう君に何かを期待しているんじゃ?
そしてしばらく歩き、私達は家に到着した。
「カナちゃん、今日はお疲れ様。明日は学校もあるし今夜はゆっくり休んでね?」
「う、うん……ありがとう……りょう君はこれからまたお店に戻るの?」
「いや、さすがに俺も疲れたし家に帰るよ。それにお店も本当なら今日は休みのところを無理言って開けてもらっているし、マスター達も早くお店を閉めたいんじゃないかな? 俺が戻ると長引きそうな感じもするしね」
「でも桜ちゃんのお母さん達が来たから長引くんじゃ……それにりょう君も二人のお話は気になるんじゃない?」私も気になるけどね……
「ハハハ、そうだね。その可能性もあるよね? 二人の結婚話は気になるけど、俺は明日のバイトの時に詳しい話はマスター達に聞こうと思っているから今日は帰るよ」
「そ、そっかぁ……」
このままりょう君を帰らせていいの、加奈子?
あなたも桜ちゃんと翔太みたいに……
「ん? どうかしたのかい?」
「え? いえ、何でも無いけど……」
「やはりカナちゃんもさっきの光景がショックだったのかな?」
「えっ!? やっぱり、りょう君も気付いていたんだ!?」
「ハハハ、まぁね。しかし、まさか中学生同士のキスを見せられるとは思わなかったから驚いたよ。でも翔太君達が幸せそうで良かったという思いもあるかな」
そうだね。りょう君には前に私と翔太の事を話しているもんね。翔太が桜ちゃんと幸せそうにしているのは私も安心なんだけど……
「私も二人が仲良くしてくれるのは嬉しいんだけど……」
「だけど?」
「嬉しいけど……羨ましい……」
「カナちゃん……」
私だって……私だってりょう君と……
「私だってりょう君とあんなキスがしたい!!」
「えっ!? い、いや、カナちゃん……そんな大きな声でなんてことを……ここはカナちゃんの家の前だしさ……」
「分かってる……りょう君は大学生で私は中学生だし、りょう君から私にキスはしづらいというのは分かってる。だから今回も私達が初めてキスした時と同じように私の方から……」
「いや、だからここは家の前だから……カナちゃん聞いてる?」
ガバツ
「か、カナちゃん!?」
私からりょう君に抱きつき、こう言った。
「もし、私の事が好きじゃないなら顔をそむけて……」
「カナちゃん……」
そして私から自分の唇をりょう君の唇に近づけていく。
でも、りょう君は顔を背けようとはしない。
「りょう君、大好き……」
私は自分の唇をりょう君の唇に重ねた。
私が意識しているからだけど、前よりも少しだけ深いキスだと思う。
りょう君がまた私とキスがしたいと思ってもらえるように願いながら、心を込めたつもりの長めのキス……
しばらくして、りょう君は両手を私の両肩に置き唇をゆっくりと離しこう言った。
「カナちゃん……俺の負けだ……」
「え? 負け?」
「うん……完敗だよ……お、俺はとっくの前からカナちゃんの事が好きで好きでたまらなくなっていたんだ。でも歳の差のことを考えてしまうと何もできなかったんだ……」
「りょう君……」
「でも、もう無理だ。カナちゃんの事が大好きなこの気持ちを抑えることなんてできない……だから今度こそ俺から……」
「え?」
そう言うとりょう君から私にキスをしてきた。
りょう君の柔らかい唇、とても愛を感じる優しいキス……
私は嬉しくて幸せ過ぎて涙が溢れ出す。
そしてキスの後、りょう君から思いもよらない言葉が出てくる。
「カナちゃん、前にカナちゃんが18歳になった時にお互いに彼氏彼女がいなければ付き合おうって言ったけど、俺はあと5年も待てなくなってしまったよ……」
「え、待てないって……?」
「うん……だから俺からのお願いだ。カナちゃんが高校生になった時、まだカナちゃんが俺の事を好きでいてくれるのなら正式に付き合ってほしい。勿論、その時はご両親の承諾もいただくし、誰にも変な目で見られないように、カナちゃんに迷惑をかけないように健全な付き合いをするって誓うよ。そしてカナちゃんが高校を卒業した時には……」
私が高校を卒業した時には……
「お、俺と結婚してくれないかい?」
結婚!!
こ、これは夢なの? お願い、夢なら覚めないで!!
まさか、りょう君から私にプロポーズをしてくれるだなんて……
「りょ、りょう君……私、凄く嬉しい……」
「それじゃぁ、俺と結婚してくれるんだね?」
「うん……こんな私ですけどよろしくお願いします……」
「ありがとう、カナちゃん!!」
ガバッ
りょう君はそう言うと私を力強く抱きしめ、そして再びキスをしてくれた。
恐らくこれから数年間は二人の間でキス以上のことは起こらないだろうけど、私はそれでもいい。それだけでも幸せだわ。
あと2年半くらい頑張れば晴れてりょう君と付き合える。そして高校を卒業したらりょう君のお嫁さんになれる。私が幼稚園児の頃から想い描いていた夢が叶うんだわ……
ああ、今日は最後の最後にこんなにも素敵なことが起こるなんて……
ガチャ ギー
「なんか騒がしいわねぇ? 誰かいるの? もしかして加奈ちゃん帰ってるの?」
「 「うわっ!?」 」
突然、家のドアが開きお母さんが外に出て来たので私達は直ぐにお互いの身体を離し、急いで何事も無い様な表情を作った。
「あら、お帰りなさい。やっぱり帰っていたのね?」
「お、お母さん、ただいま!! 今、りょう君に送ってもらって帰ってきたところなの」
「そうだったのね? 今日は暑かったし、疲れたんじゃない? それに鎌田君もお疲れのところ、わざわざ娘を家まで送ってくれて申し訳ないわねぇ」
「いえ、そんな事は無いです。それに今日は一日中、カナちゃんを引っ張りまわしてしまい申し訳ありませんでした」
「いえいえ、娘も良い経験が出来て良かったと思っているわ。またこんな機会があればいつでも誘ってあげてちょうだいね?」
あ、何だかお母さん、嬉しいことを言ってくれているわ。
「はい、分かりました。そ、それじゃぁ僕はそろそろ帰ります……」
「りょ、りょう君、今日はありがとう。気を付けて帰ってね?」
「ああ、帰ったらメールするよ」
「うん、待ってる」
「フフフ……」
「お母さん、何を笑っているのよ?」
「いえ、二人の会話がなんだか恋人同士みたいだったから、つい……」
ドキッ!!
「なっ!?」
「そ、それじゃぁ失礼します!!」
「はーい、気を付けてねぇ?」
りょう君はお母さんに大きく頭を下げ、そして私に笑顔で軽く手を振りながら帰って行った。
きっとりょう君もお母さんが言った言葉にドキッとしたんだろうなと思うと何だかクスッと笑ってしまう。
「加奈ちゃん、早くお風呂に入って今日は早く寝ないとダメよ。明日は学校があるんだからね」
「分かってるわよ。でもお母さんに早く教えたいこともあるんだけどなぁ……さっき知ったばかりの情報なんだけどね……」
「教えたいこと? ああ、チーチュ、いえ大塚さんと根津さんが結婚するってことかしら? あの二人、今夜、山田さんのお店に顔を出すって言っていたから」
「えーっ!? お母さん、その事を知っていたの!?」
「当たり前じゃないの。私と大塚さんは親友同士、根津さんは私がエキサイトランドでバイトをしていた時にお世話になった社員さんなんだからね。真っ先に私に報告してくれたわよ。でも驚いたわねぇ……まさかあの二人がねぇ……」
お母さんは私とりょう君が結婚の約束をしているっていう事を知ればどんな反応をするのかな? やっぱり驚くんだろうなぁ……
早く驚かせたいなぁ……
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