35 / 93
第4章 成長編
第35話 後輩達/亮二
しおりを挟む
「鎌田先輩って彼女はいるんですかぁ?」
「へっ!? な、な、何だよ急に!?」
突然、そんな事を聞いてきたのは大学の部活の後輩、大石明美という女の子だった。
俺が通っている『青葉学院大学』は中高大一貫の学校だが大学だけは外部受験があり、俺はその外部受験で奇跡的に合格したのだった。
そしてこの大学には『ボランティア部』があり、俺はそこに在籍している。
俺が『ボランティア部』に入ったのは噂で就活する時に有利だというところからだったし、就活の為に在籍しているだけでほとんどボランティア活動に参加しない幽霊部員も結構多いのが実情だったが、やってみれば意外と楽しくて俺は出来るだけボランティア活動に参加していた。
そんな中、今年入学した1年生の大石さんが部室で部員達と打ち合わせの休憩中に誰にも聞こえないくらいの小声で俺の耳元に近づきそんな質問をしてきたわけだ。
「鎌田先輩、彼女がいるのか、いないのか教えてくださいよぉ?」
大石さんのこの質問は俺にとってはあまり良い質問ではない。うちの部に入って来た時から彼女は俺にやたらと話かけてきていたから、俺に好意があるのは何となく分かっていたんだ。さすがに高校時代までの恋愛に鈍感な俺ではない。
だから俺が「彼女はいない」と本当の事を言えば、「私と付き合ってください」と言ってくる可能性が高いし、逆に「彼女はいる」と嘘をつけば、彼女について根掘り葉掘り聞かれる様な気がして非常に面倒だ。
大石さんは小柄で童顔だが胸だけはとても大きくて見た目、凄くギャップのある子で、性格は明るく誰とでも直ぐに打ち解ける様に見える。だから俺と同じ2年男子や先輩達の間では人気急上昇中の子である。
でも俺の目から見ると何だか自分を作っている様にも見えてしまい、あまり好きなタイプではない。どちらかと言えば苦手なタイプだ。
しかし困ったぞ。「私と付き合ってほしい」と言われて俺は直ぐに断れるのだろうか? 同じ部活仲間だから断ると顔を合わせ辛いし、マジでどう返事をしようか告白もされていないうちから俺は悩んでいた。
俺が返事を渋っていると大石さんが続けて話し出す。
「実は私の両親って19歳で結婚しているんですよぉ。凄いと思いません?」
「え? そ、それは凄いね……」
「ですよねぇ? でも二人共今でもラブラブで見ている私が恥ずかしいくらいなんですけどぉ……最近は何だか羨ましく見えてきて……それで私も今年で19歳になるじゃないですかぁ? 誕生日は12月なのでまだ日はありますけどぉ……」
この子は何が言いたいんだ? 何気に自分の誕生日を教えたのか?
「それでですねぇ、私も早く良い人を見つけて10代のうちに結婚したいなぁなんて思っている訳ですよぉ」
「へ、へぇ……そうなんだ。10代で結婚って、学生結婚になってしまうけど大変じゃないのかい?」
「ハハハ、そんなのは愛さえあれば大丈夫ですよ。何とかなります」
何とかなるのか? 俺はかなりキツイと思うけども……
身近にいる隆おじさんは18歳で結婚したけど奥さんは大人の女性だったし、周りの協力もたくさんもらえたから何とか幸せな結婚生活をおくれたんだって前に母さんが言っていたけど俺もそうだと思う。
「いずれにしても大石さんの夢が叶う為にも早く良い人が見つかるといいね」
「だから私の良い人は目の前にいるんですよ」
「へっ?」
この子は何を言っているんだ?
「だから私ってこう見えて人を見る目があるんですよ。鎌田先輩はきっと素敵な旦那様になるってピピピッと感じたんです。なのでもし彼女がいないのなら私と結婚を前提にお付き合いして頂けませんか?」
「はぁあ!?」
こんな話を大事な打ち合わせの休憩中にそれも部室で言うことか?
ダメだ。やはり俺はこの子が苦手だ……よしっ!!
「大石さん、そんな事を急に言われても困るよ。それに俺と君は出会ってまだ2週間くらいしか経っていないんだよ? そんな短い期間で俺の何が分かるんだよ? それに俺だって君の事を何も知らないしさ」
「だから、そこのところはピピピッと感じたわけで……」
「俺はピピピッと感じてないよ。そ、それに俺には好きな人がいるんだよ。その子に振り向いてもらう為に今は頑張っている時期だから、俺のことは諦めてもらえないかな? 俺何かよりももっと素敵な男性はいくらでもいるんだからさ……」
はぁ、遂に嘘をついてしまったぞ。いや、これはまたしても見栄になってしまうのか? 少しだけ大石さんに罪悪感が沸いてしまうけど今は気にしている場合じゃないしな。でも俺が言った事は本当に嘘なのか?
カナちゃん……
イヤイヤイヤッ、それは違う。カナちゃんと約束したのは彼女が18歳になった時、お互いに相手がいない場合だ。その時まで俺は無理をして彼女を作らないわけではない。ただ、目の前にいる大石さんはたまたま俺の好きなタイプじゃないだけなんだ……
「そうなんですね……鎌田先輩には好きな人がおられるんですね……はぁ、残念だなぁ……せっかく良い人が見つかったと思ったのに……何で私がピピピッと感じた人って彼女がいたり、好きな人がいたりする人達ばかりなんだろう……はぁ……」
思った以上に落ち込んでいるな? 何かとても申し訳ない気持ちになってしまう。
でも最初が肝心だからな。これはこれで良いとは思うけど……
「まだ19歳の誕生日まで日はあるんだから、それまでに良い人が見つかるかもしれないんだから、そんなに落ち込むことは無いんじゃないかい?」
「うーん、そうですね。落ち込む必要な無いですよね? もしかしたらそれまでに鎌田先輩が好きな人にフラれて私になびく可能性だってあるかもしれませんしね!?」
はぁ……やっぱり俺はこの子、苦手だ……
ボランティア部の打ち合わせと大石さんからの突然の告白に疲れ果てた俺は大学内のロビーに設置している自動販売機でジュースを買い、同じくロビーに設置しているベンチに腰をかけてジュースを飲んでいた。
すると後ろの方から弱々しい声で俺に声をかけてくる男性が……
「か、鎌田先輩……少しよろしいでしょうか……?」
「ん? ああ、橋本君かぁ……どうしたんだい?」
彼の名前は橋本雅也といって大石さんと同じ1年生でボランティア部の後輩だ。性格は大人しく人と話すのがあまり得意そうではないように思う。
でも、まだうちの大学に入学してから日は浅いけどボランティア活動には積極的に参加してくれている貴重な戦力でもある。
「そ、相談がありまして……」
「どんな相談なんだい?」
「は、はい……じ、実は……凄く恥ずかしい相談なんですけど……」
恥ずかしい相談? 一体どんな相談なんだろうか?
「ハハハ、まぁ、遠慮せずに言ってみてよ?」
「は、はい……じ、実は僕……ど、ど、ど……」
ど?
「童貞なんです……」
ドキッ!!
俺も童貞だよ。文句あるのかよ!? って言いたいところだけど……
「ふ、ふーん……童貞ねぇ……それで童貞がどうかしたのかい?」
「その童貞をですねぇ……何とか10代のうちに卒業したいのですが……未だに彼女なんてできたこともありませんし……」
まぁその気持ちはよく分かる。俺も同じだからな。でも俺はその卒業できる唯一のチャンスを断った経歴があるけども……こ、後悔はしていないけどな!!
「そ、そんなに卒業したいんならお金はかかるけど風俗に行けばいいんじゃないのかい?」
「そうなんです。最近、僕もそう思いだしたんです。もう大学生だし、行きやすくはなっているので、こうなったら風俗で卒業でもいいかなって。でも……」
「でも、何だい?」
「風俗だって行くのは初めてですし、一人で行くのは凄く不安なので……できれば鎌田先輩、僕と一緒に風俗に行ってもらえないでしょうか?」
「へっ?」
「お願いします、鎌田先輩!!」
「えーっ!? お、俺が一緒にだって~!?」
「先輩の分のお金も僕が払いますから」
「お、お金の問題じゃないんだよ!!」
はぁ……カナちゃんには今日一日にあった出来事のメールは絶対にできないな……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
大学で後輩ができた亮二
これから悩み事が増えそうな予感……
どうぞ次回もお楽しみに。
「へっ!? な、な、何だよ急に!?」
突然、そんな事を聞いてきたのは大学の部活の後輩、大石明美という女の子だった。
俺が通っている『青葉学院大学』は中高大一貫の学校だが大学だけは外部受験があり、俺はその外部受験で奇跡的に合格したのだった。
そしてこの大学には『ボランティア部』があり、俺はそこに在籍している。
俺が『ボランティア部』に入ったのは噂で就活する時に有利だというところからだったし、就活の為に在籍しているだけでほとんどボランティア活動に参加しない幽霊部員も結構多いのが実情だったが、やってみれば意外と楽しくて俺は出来るだけボランティア活動に参加していた。
そんな中、今年入学した1年生の大石さんが部室で部員達と打ち合わせの休憩中に誰にも聞こえないくらいの小声で俺の耳元に近づきそんな質問をしてきたわけだ。
「鎌田先輩、彼女がいるのか、いないのか教えてくださいよぉ?」
大石さんのこの質問は俺にとってはあまり良い質問ではない。うちの部に入って来た時から彼女は俺にやたらと話かけてきていたから、俺に好意があるのは何となく分かっていたんだ。さすがに高校時代までの恋愛に鈍感な俺ではない。
だから俺が「彼女はいない」と本当の事を言えば、「私と付き合ってください」と言ってくる可能性が高いし、逆に「彼女はいる」と嘘をつけば、彼女について根掘り葉掘り聞かれる様な気がして非常に面倒だ。
大石さんは小柄で童顔だが胸だけはとても大きくて見た目、凄くギャップのある子で、性格は明るく誰とでも直ぐに打ち解ける様に見える。だから俺と同じ2年男子や先輩達の間では人気急上昇中の子である。
でも俺の目から見ると何だか自分を作っている様にも見えてしまい、あまり好きなタイプではない。どちらかと言えば苦手なタイプだ。
しかし困ったぞ。「私と付き合ってほしい」と言われて俺は直ぐに断れるのだろうか? 同じ部活仲間だから断ると顔を合わせ辛いし、マジでどう返事をしようか告白もされていないうちから俺は悩んでいた。
俺が返事を渋っていると大石さんが続けて話し出す。
「実は私の両親って19歳で結婚しているんですよぉ。凄いと思いません?」
「え? そ、それは凄いね……」
「ですよねぇ? でも二人共今でもラブラブで見ている私が恥ずかしいくらいなんですけどぉ……最近は何だか羨ましく見えてきて……それで私も今年で19歳になるじゃないですかぁ? 誕生日は12月なのでまだ日はありますけどぉ……」
この子は何が言いたいんだ? 何気に自分の誕生日を教えたのか?
「それでですねぇ、私も早く良い人を見つけて10代のうちに結婚したいなぁなんて思っている訳ですよぉ」
「へ、へぇ……そうなんだ。10代で結婚って、学生結婚になってしまうけど大変じゃないのかい?」
「ハハハ、そんなのは愛さえあれば大丈夫ですよ。何とかなります」
何とかなるのか? 俺はかなりキツイと思うけども……
身近にいる隆おじさんは18歳で結婚したけど奥さんは大人の女性だったし、周りの協力もたくさんもらえたから何とか幸せな結婚生活をおくれたんだって前に母さんが言っていたけど俺もそうだと思う。
「いずれにしても大石さんの夢が叶う為にも早く良い人が見つかるといいね」
「だから私の良い人は目の前にいるんですよ」
「へっ?」
この子は何を言っているんだ?
「だから私ってこう見えて人を見る目があるんですよ。鎌田先輩はきっと素敵な旦那様になるってピピピッと感じたんです。なのでもし彼女がいないのなら私と結婚を前提にお付き合いして頂けませんか?」
「はぁあ!?」
こんな話を大事な打ち合わせの休憩中にそれも部室で言うことか?
ダメだ。やはり俺はこの子が苦手だ……よしっ!!
「大石さん、そんな事を急に言われても困るよ。それに俺と君は出会ってまだ2週間くらいしか経っていないんだよ? そんな短い期間で俺の何が分かるんだよ? それに俺だって君の事を何も知らないしさ」
「だから、そこのところはピピピッと感じたわけで……」
「俺はピピピッと感じてないよ。そ、それに俺には好きな人がいるんだよ。その子に振り向いてもらう為に今は頑張っている時期だから、俺のことは諦めてもらえないかな? 俺何かよりももっと素敵な男性はいくらでもいるんだからさ……」
はぁ、遂に嘘をついてしまったぞ。いや、これはまたしても見栄になってしまうのか? 少しだけ大石さんに罪悪感が沸いてしまうけど今は気にしている場合じゃないしな。でも俺が言った事は本当に嘘なのか?
カナちゃん……
イヤイヤイヤッ、それは違う。カナちゃんと約束したのは彼女が18歳になった時、お互いに相手がいない場合だ。その時まで俺は無理をして彼女を作らないわけではない。ただ、目の前にいる大石さんはたまたま俺の好きなタイプじゃないだけなんだ……
「そうなんですね……鎌田先輩には好きな人がおられるんですね……はぁ、残念だなぁ……せっかく良い人が見つかったと思ったのに……何で私がピピピッと感じた人って彼女がいたり、好きな人がいたりする人達ばかりなんだろう……はぁ……」
思った以上に落ち込んでいるな? 何かとても申し訳ない気持ちになってしまう。
でも最初が肝心だからな。これはこれで良いとは思うけど……
「まだ19歳の誕生日まで日はあるんだから、それまでに良い人が見つかるかもしれないんだから、そんなに落ち込むことは無いんじゃないかい?」
「うーん、そうですね。落ち込む必要な無いですよね? もしかしたらそれまでに鎌田先輩が好きな人にフラれて私になびく可能性だってあるかもしれませんしね!?」
はぁ……やっぱり俺はこの子、苦手だ……
ボランティア部の打ち合わせと大石さんからの突然の告白に疲れ果てた俺は大学内のロビーに設置している自動販売機でジュースを買い、同じくロビーに設置しているベンチに腰をかけてジュースを飲んでいた。
すると後ろの方から弱々しい声で俺に声をかけてくる男性が……
「か、鎌田先輩……少しよろしいでしょうか……?」
「ん? ああ、橋本君かぁ……どうしたんだい?」
彼の名前は橋本雅也といって大石さんと同じ1年生でボランティア部の後輩だ。性格は大人しく人と話すのがあまり得意そうではないように思う。
でも、まだうちの大学に入学してから日は浅いけどボランティア活動には積極的に参加してくれている貴重な戦力でもある。
「そ、相談がありまして……」
「どんな相談なんだい?」
「は、はい……じ、実は……凄く恥ずかしい相談なんですけど……」
恥ずかしい相談? 一体どんな相談なんだろうか?
「ハハハ、まぁ、遠慮せずに言ってみてよ?」
「は、はい……じ、実は僕……ど、ど、ど……」
ど?
「童貞なんです……」
ドキッ!!
俺も童貞だよ。文句あるのかよ!? って言いたいところだけど……
「ふ、ふーん……童貞ねぇ……それで童貞がどうかしたのかい?」
「その童貞をですねぇ……何とか10代のうちに卒業したいのですが……未だに彼女なんてできたこともありませんし……」
まぁその気持ちはよく分かる。俺も同じだからな。でも俺はその卒業できる唯一のチャンスを断った経歴があるけども……こ、後悔はしていないけどな!!
「そ、そんなに卒業したいんならお金はかかるけど風俗に行けばいいんじゃないのかい?」
「そうなんです。最近、僕もそう思いだしたんです。もう大学生だし、行きやすくはなっているので、こうなったら風俗で卒業でもいいかなって。でも……」
「でも、何だい?」
「風俗だって行くのは初めてですし、一人で行くのは凄く不安なので……できれば鎌田先輩、僕と一緒に風俗に行ってもらえないでしょうか?」
「へっ?」
「お願いします、鎌田先輩!!」
「えーっ!? お、俺が一緒にだって~!?」
「先輩の分のお金も僕が払いますから」
「お、お金の問題じゃないんだよ!!」
はぁ……カナちゃんには今日一日にあった出来事のメールは絶対にできないな……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
大学で後輩ができた亮二
これから悩み事が増えそうな予感……
どうぞ次回もお楽しみに。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説

両親や妹に我慢を強いられ、心が疲弊しきっていましたが、前世で結ばれることが叶わなかった運命の人にやっと巡り会えたので幸せです
珠宮さくら
恋愛
ジスカールという国で、雑草の中の雑草と呼ばれる花が咲いていた。その国でしか咲くことがない花として有名だが、他国の者たちはその花を世界で一番美しい花と呼んでいた。それすらジスカールの多くの者は馬鹿にし続けていた。
その花にまつわる話がまことしやかに囁かれるようになったが、その真実を知っている者は殆どいなかった。
そんな花に囲まれながら、家族に冷遇されて育った女の子がいた。彼女の名前はリュシエンヌ・エヴル。伯爵家に生まれながらも、妹のわがままに振り回され、そんな妹ばかりを甘やかす両親。更には、婚約者や周りに誤解され、勘違いされ、味方になってくれる人が側にいなくなってしまったことで、散々な目にあい続けて心が壊れてしまう。
その頃には、花のことも、自分の好きな色も、何もかも思い出せなくなってしまっていたが、それに気づいた時には、リュシエンヌは養子先にいた。
そこからリュシエンヌの運命が大きく回り出すことになるとは、本人は思ってもみなかった。


悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。


婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました
Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい…
ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。
忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。
だから私は婚約者を尾行した。
するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。
まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!!
※誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる