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第4章 百獣の王の星 [森星]
第9話 虚像とAGRY
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【登場人物】
▼何でも屋
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[バリス・スピア]
元軍医で、毒の能力を持つ医者。
薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。
[水王 涙流華]
元名家・水王家の侍で、水の遺伝子能力者。
プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。
[ラルト・ローズ]
白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。
政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。
▼森星
[ドルニク・バリスタ]
森星の王。黄金のたてがみを生やしている上裸の大男。
[ザルダム・バリスタ]
ドルニク・バリスタの父で、宇宙船の代わりとなる宇宙亀を販売している。
元政府直轄治安維持機関の一員。
[ジョン・ロレンツ]
森星王選挙で現星王のバリスタと争った政治家。
今は反星王派に属している。
▼Masters
[Master MOONLIGHT]
本名はロイ・カレセフューレ。
元大元帥で、現Mastersの一人。
実業家としても成功を収めており人望もある。
森星での人攫い調査のため派遣された。
[Master THUNDER FLAME]
本名はガウディオ・ジア。
元四帝で、現Mastersの一人。
ジア家の長男で、アリス、メルツィア達の兄。
森星での人攫い調査のため派遣された。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
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~反星王側拠点北西側・荒野~
バリスとラルトがロレンツと対峙していると、森から爆発音が聞こえる。
「やってますねぇ。大丈夫ですか? 私なんぞに時間を割いていて」
「悔しいですが星王は強いですよ?」
「だろうな。だからあいつらに行ってもらったんだ」
「へぇ、星王と対峙しても勝てると思うほど彼ら強いんですか。ということは、そこまで強くないあなた達が私のところに来たということですか」
ロレンツは不機嫌そうにそう尋ねた。
バリスは“ご名答”と煽るように指を鳴らす。
「後悔させてあげますよ」
ロレンツはカッターシャツの袖のボタンを外すと袖を捲りあげた。
「私はね、特殊遺伝子能力の一つ、空気固形能力を持っているのですよ」
その言葉にバリスとラルトは眉を動かした。
空気固形能力とは、特殊遺伝子能力と位置付けられる準共通能力だった。
親から受け継がれる固有の能力が遺伝子能力。
人の遺伝子に元々備わっている全ての能力に通ずる共通の能力が煉術。固有の遺伝子能力には劣るが、誰もが火や水、風などのある程度の種類の能力を使うことができる。
そして遺伝によって一部の一族にのみ引き継がれる共通の能力。それが特殊遺伝子能力だった。
超速再生や空間移動。空気固形も特殊遺伝子能力の一つだった。
そしてロレンツはその珍しい遺伝子能力の一つを使えると言ったのだから、バリス達も反応を示したのだ。
「だからこうして……」
ロレンツは右手を振りかぶると、不慣れな殴打を繰り出した。
「空気で殴ることもできる!!」
宙に向かって殴ったロレンツだったが、当たってもいないバリスの腹を衝撃が襲った。バリスは腹を押さえて前のめりに崩れ落ちる。バリスの腹には赤黒い靄が纏わりついている。経験したことのない鈍痛、気だるさがバリスを襲う。
「バリス!」
ラルトがバリスに駆け寄った。
「あいつ…まじで空気固形能力を…?」
「いや…分からん……まだ確かめる必要がある…もし空気固形能力じゃなく俺の予想してる能力なら、なんてことはないはずだ…」
ラルトの問いにバリスが答えながら立ち上がる。その荒い息遣いから先ほどの衝撃のダメージが残っているようだ。
「ラルト、全身に火を纏えるか?」
ラルトが“あぁ”と答えると、服から少し離れたところから炎がゆらゆらと上がる。
「俺の考えが正しければ、おそらくこれからは俺にしか攻撃してこないはずだ」
ロレンツは宙に蹴りを繰り出すと、土を蹴った音とともにバリスの左足が蹴られた。
やはりバリスの言うとおり、再度彼に攻撃が繰り出された。
バリスは間合いを取ると、頭上に蓬色の毒を生成した。すると彼はその毒を自身の頭に流した。それによって彼の全身は毒に塗れる。
「俺も毒を纏った! 触れた瞬間即死だ!!」
彼の浴びた毒は1万分の1に希釈した麻痺毒だった。効果はなく、ただの色のついた粘液性の液体だった。
それにバリスの毒に即死の効力もなければ、プラズマやラルトのように能力を身に纏うこともできず、毒はただ体を流れ落ちているだけだった。
「これでやつは、煉術も使えないはずだ。能力をばらしたくないだろうからな」
バリスは何かを仕掛けたように笑みを浮かべている。
「もしやあいつ私の能力に気づいているのか……?」
「ラルト! 火球だ!」
「おぉ!」
バリスの指示に従い、ラルトがロレンツに向かって火球を放つ。
ラルトが火球を放った直後、ロレンツは遥か先で火球の動線から外れるように横に飛んでいた。
「何してやがんだ、あいつ? まだ攻撃来てないのにもう避けてやがる」
ラルトが不自然な行動に目を丸くしている。
「これが、あいつが空気固形能力の使い手じゃないって証明だ」
「ラルト、俺達とあいつの間の線に炎を出せるか? 壁みたいな炎だ」
ラルトはバリスの意図を理解しようと考えを巡らせながら炎の壁を作り上げた。
バリス達とロレンツの間にできた一直線に伸びる炎の壁。
「がっ……熱っ……あぁぁぁ!」
その壁の先に立っているロレンツは熱さに苦しみ手で体を払う素振りをしながら走って後退していく。
その姿を見たラルトが“なるほど”と何度も軽く頷いている。
「よく気付いたな。バリス」
必死に逃げるロレンツを、バリスは腕組みをしながら見つめていた。
「本当に空気固形能力なら均等に衝撃が来るはずなのに、固い部分と比較的柔らかい部分があった」
「それにお前が体に炎を纏って、俺も毒を纏ってからあいつは攻撃ができなくなった。空気を固形すれば殴れるはずなのに、そうしないのは奴の直接攻撃だからだ」
「それに煉術も出さなかった。まぁ本当の居場所がバレるから出せなかったんだが」
もし煉術を躊躇なく出していれば、攻撃の発動場所を操作できる能力である可能性もあったのだが、バリスの予想通りロレンツは煉術を出せなかった。
「まぁつまりは自分の後ろに虚像を作り出す能力ってことだ。空気固形能力でもなんでもねぇ」
ロレンツの能力は自身の遥か後方に虚像を生成し、自身を透明にするものだった。
それを利用し、あたかも遠距離から空気を操作して攻撃をしているように見せていただけだったのだ。
「クソっ! 気づかれたか…!!」
ロレンツは炎の壁から逃れると、熱を帯びた肌をさすりながらバリスの方を振り向き唾を吐いた。
ロレンツの姿…彼の虚像が一瞬にして姿を消す。すると彼の前方に姿が現れた。能力を解いたのだ。
彼は再度懐からケースに入った注射器を取り出した。
その様子を見てバリスは呆れたように笑った。
「あいつ…また打つつもりだ」
バリスの言った通り、ロレンツは注射器を取り出すとケースを投げ捨てる。
そして徐に腕に打ち込んだ。
ロレンツは遺伝子能力を強制的に向上させ、自身の遺伝子能力と同調する。
しかし、それはバリスやラルトが知っているAGISとは違っていた。
赤黒い靄が体から上がりながら、ロレンツは掠れた声で遺伝子の同調を宣言した。
「殷性…AGIS……虚像連生」
「おい、あいつAGISって…! しかも殷性って…!」
ラルトが声を上げる。
殷獣という獣の力を利用した殷獣化。その副作用から違法として規制される殷獣化は、使用すれば非常に凶暴な性格になり遺伝子能力、身体能力が大きく向上される。その上、相手に鈍痛と脱力を与える赤黒い靄を発することができる。戦闘においては驚異的な力だった。
「殷獣化AGISか…!」
バリスは“チッ”と舌打ちをするとロレンツに対して構えた。
「どんな能力になってるか分かんねぇから気抜くなよ!」
「分かってる」
次の瞬間、赤黒い煙とともにロレンツが宙に霧散した。
すると、バリス達の前に百人を裕に超える人数のロレンツが姿を現す。
「なるほど…どこに本物がいるか分かりにくくしたってわけか」
バリスろラルトがその迫力からか、間合いを取った。
「消えろ……!」
目の前に乱立するロレンツは赤黒い靄を放ちながら、バリス達に突進を繰り出した。
「大丈夫だ! 本物以外は虚像のはずだ!!」
ラルトがそう言いながら前方に炎を放つが、炎はロレンツを貫通していく。
「どこだ!?」
ラルトがロレンツの群れを注意深く観察していると、右半身に衝撃が走った。彼が右腹部を確認すると赤黒い靄が蠢いている。
「このっ!」
ラルトが右側に向けて広範囲に炎を放つが、ロレンツの反応は見られない。
ラルトの左に立つバリスは左側に毒を放つが、やはりロレンツの気配は感じられなかった。
「中々面倒だぞ……! これで煉術でも撃たれたら…!」
バリスのその言葉に反応するように、彼らの周りを数百のロレンツが囲んだ。
「針唱」
両手を突き出したロレンツの前に約30センチメートル程の針が現れる。
本来なら針唱は大した速度もなく、軌道も読まれやすい上に接触面積も非常に少ないため戦闘で使われるのは近接戦のみだった。
しかし、どれが本物か分からないこの状況での発動は効果的だった。
本体のロレンツが連続で移動しながら撃てば、虚像の針に紛れて高確率でバリス達を串刺しにできる。
「轟唱・岩壁楼!」
ラルトが咄嗟に煉術で岩の壁を隆起させる。円状に隆起した岩壁を数百の針の虚像がすり抜け、バリス達を襲う。
ラルトがすぐさま自身の左後方へと巨大な火球を放つ。
その後、虚像と分かってはいても迫りくる無数の針にバリス達は無意識に両手で自身を守る素振りをした。無数の針は彼らをすり抜けていく。
「分かっててもビビっちまうな。それでもよく撃ったなラルト」
バリスは火球を撃ったラルトを賞賛した。岩に当たった金属音。バリスとラルトはそれを聞き逃さなかったのだが、怯まずに攻撃したのはラルトだった。
「元政府軍中佐を舐めてもらっちゃ困る。さて、今ので仕留められたかどうかだな」
「土唱」
ラルトは両手を地面に当てると、煉術によって地面が盛り上がった。
「おいっ! ラルト」
ラルトは岩壁の外を見回すが、ロレンツは確認できない。
そもそも気絶したからといって能力が解除されるとも限らない。ラルトは舌打ちをして頭を掻いた。
次の瞬間、彼の右肩を針が掠める。
体勢を崩したラルトは隆起した地面から落ちた。それをバリスが受け止めるが、少しクッションとなっただけで地面に打ち付けられた。
「何やってんだ! 元政府軍中佐なんだろ!? あいつに攻撃が当たってなかった場合のことも考えろよ!」
至極真っ当なバリスの意見に、ラルトは再度舌打ちをした。
ラルトは心のどこかでロレンツのことを侮っていた。所詮は非戦闘者。戦いには慣れておらず、簡単に倒せると思っていたのだ。
そうした慢心が彼を負傷させたのだった。
「ラルト、お前は俺たちの中ではルルカと同じくらい戦闘には慣れてるのは分かるが、油断しすぎだ。こうしてる間にもあいつがこの壁の中に…」
バリスの予想に応えるかのように、壁の中に無数のロレンツが現れた。そして再度針を射出する。
「ラルト! もう一回壁だ!!」
ラルトはバリスの言う通り、再度円状の岩壁を隆起させた。
「その場から避けろっ!」
ラルトもバリスに呼び掛ける。もし仮にロレンツがすでに岩壁の中にいた場合、攻撃は防がれないからだ。
二人はその場から飛んで位置をずらすが、バリスの右の二の腕を掠めた。彼の腕を鈍痛を帯びた赤黒い霧が追撃する。
「くっ…危ねぇ……あいつもう中にいる…!」
今張った岩壁は直径約10メートル。これ以上の岩壁を張れば、見えない相手と逃げ場のない場所で近接戦を強いられることになる。そのためこれ以上の壁を張ることはできなかった。
戦闘経験が豊富なはずだった二人だが、戦闘経験のないロレンツに全てが後手に回っていた。
「ラルト、悪いが耐えてくれ……毒霧を撒く。すぐに解毒する」
バリスが手のひらから毒の霧を発生させ始めるが、壁の中を埋め尽くすようにロレンツが現れる。
無数のロレンツは針唱で針を手に持つと、一斉にバリス達に襲い掛かってきた。
バリスとラルトは背中合わせに立つと、それぞれ広範囲に毒と炎を放つ。
しかし、ロレンツの虚像は自身を守る様子はない。
「ラルト! 左だ!」
バリスはそう言ってラルトに指示した方向と逆、バリスの左側に毒を放った。
「がぁぁぁ! 熱いぃぃぃ!!」
ラルトの左側でのた打ち回るロレンツ。彼ら二人の左右、そのわずかな隙間にロレンツの本体がいたのだ。それと同時にロレンツの虚像は全て消え去った。
「危なかったな…」
バリスも倒れるロレンツに対して構えなおす。
「くそっ、くそがっ!! くそっ!」
二度も焼かれ黒く焦げたロレンツは地面を叩いている。
「殺す……コロ……」
地面を叩く手が止まる。ロレンツの体からは蒸気のように赤黒い靄が発せられ始めた。
色濃く、それでいて邪悪さが感じ取れるほどだった。
すると、一瞬にして発せられていた靄が彼の体の中に吸い込まれた。
静寂とともに、彼は制止した。
「殷性……AGRY……」
「……実像連生」
諸刃の剣である能力の解放…AGRY。AGISのさらに上の段階。
解放すれば自分の身をも滅ぼしかねないほどの更なる力を得る。
解放を宣言した途端、膝をつくロレンツの周りには、再度無数の彼が出現する。
「おいおい…AGRYってマジかよ……」
ラルトは無意識に後ずさっている。彼にとってAGRYは大元帥などの上級将校が強敵相手に使う、いわば切り札のようなものだった。
そのため、個人差はあれどAGRYというだけで大幅な能力の上昇が予想される。
「嘘だろ……?」
バリスも明らかに動揺していた。
AGRYの解放に加えてその殷獣化。それも驚異的なものだったが、それよりも非戦闘員のロレンツがAGRYを使用できることに驚いていた。
もちろん、遺伝子能力を引き出し強化する薬によるものだということは分かっていた。
しかしここまでの強化は予想を遥かに超えるものだった。
バリスとともに医者をしていた幼馴染のヴィスタ、医星で彼女も使用していた遺伝子能力強化薬…それと同じ物、もしくはそれ以上の物を使用しているのは明白だった。
「死ね……! 針唱」「岩唱!」
ロレンツが針唱を発動させたと同時に、ラルトが煉術で地面を高く隆起させた。
ラルト達が下を見ると無数の針が隆起した岩にぶつかり地面に落ちていた。
「AGRYになってあれ全部実体があんのかよ…!」
その時、ラルトの肩に誰かが優しく手を置いた。
そして手が離れたと同時に発生する巨大な電撃。その電撃は盛り上がった岩付近に落ちていた針に引き寄せられると、そこから周りにいる無数のロレンツに波及した。その間も大きな光の点滅が数秒間続いている。
「いい判断だ」
ラルトの横にはもう誰もいないはずなのに、耳元で低い声が響いた。
ラルト達の眼前、岩の壁の上に一縷の電撃が着地する。
白い半袖のシャツに軍服のようなズボンを履く筋骨隆々の男。彼は薄い金髪の短い髪をかき上げると、ラルト達に笑顔を向けた。
「俺の妹も【追言】なんて呼ばれちゃいるが、一応俺だってできるんだぜ?」
その男はMastersで【瞬炎】と呼ばれるガウディオ・ジアだった。
To be continued.....
【EXTRA STORY】
数年前
「兄貴! あたしも二つ名貰ったぜ!」
「よかったじゃねぇかアリス!! で、なんて二つ名なんだ?」
「【追言】だってよ!」
「なんだそりゃ。どういう意味だ?」
「あたしが速すぎて、言葉だけが後で聞こえる、言葉が追ってくるって意味だってよ!」
「かっこいいだろ!! 兄貴の【瞬炎】よりも一ひねりあって渋いだろ!? あたしだけにしかできないって感じで!」
「待てアリス。今なんて言いやがった? そりゃつまり、俺にはできねぇって言いてえのか?」
「兄貴には威力では負けるけど、速さならあたしの方が上だろ?」
「どっちが上かは関係ねぇ! 要はできるかどうかだろ!!」
「分かったって、そんなにムキになんなって……」
To be continued to next EXTRA STORY.....?
【登場人物】
▼何でも屋
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[バリス・スピア]
元軍医で、毒の能力を持つ医者。
薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。
[水王 涙流華]
元名家・水王家の侍で、水の遺伝子能力者。
プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。
[ラルト・ローズ]
白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。
政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。
▼森星
[ドルニク・バリスタ]
森星の王。黄金のたてがみを生やしている上裸の大男。
[ザルダム・バリスタ]
ドルニク・バリスタの父で、宇宙船の代わりとなる宇宙亀を販売している。
元政府直轄治安維持機関の一員。
[ジョン・ロレンツ]
森星王選挙で現星王のバリスタと争った政治家。
今は反星王派に属している。
▼Masters
[Master MOONLIGHT]
本名はロイ・カレセフューレ。
元大元帥で、現Mastersの一人。
実業家としても成功を収めており人望もある。
森星での人攫い調査のため派遣された。
[Master THUNDER FLAME]
本名はガウディオ・ジア。
元四帝で、現Mastersの一人。
ジア家の長男で、アリス、メルツィア達の兄。
森星での人攫い調査のため派遣された。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
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【お知らせ】
いつも見てくれている人、本当にありがとう!!
ブックマークしてくれてもいいんやで?(圧力)
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~反星王側拠点北西側・荒野~
バリスとラルトがロレンツと対峙していると、森から爆発音が聞こえる。
「やってますねぇ。大丈夫ですか? 私なんぞに時間を割いていて」
「悔しいですが星王は強いですよ?」
「だろうな。だからあいつらに行ってもらったんだ」
「へぇ、星王と対峙しても勝てると思うほど彼ら強いんですか。ということは、そこまで強くないあなた達が私のところに来たということですか」
ロレンツは不機嫌そうにそう尋ねた。
バリスは“ご名答”と煽るように指を鳴らす。
「後悔させてあげますよ」
ロレンツはカッターシャツの袖のボタンを外すと袖を捲りあげた。
「私はね、特殊遺伝子能力の一つ、空気固形能力を持っているのですよ」
その言葉にバリスとラルトは眉を動かした。
空気固形能力とは、特殊遺伝子能力と位置付けられる準共通能力だった。
親から受け継がれる固有の能力が遺伝子能力。
人の遺伝子に元々備わっている全ての能力に通ずる共通の能力が煉術。固有の遺伝子能力には劣るが、誰もが火や水、風などのある程度の種類の能力を使うことができる。
そして遺伝によって一部の一族にのみ引き継がれる共通の能力。それが特殊遺伝子能力だった。
超速再生や空間移動。空気固形も特殊遺伝子能力の一つだった。
そしてロレンツはその珍しい遺伝子能力の一つを使えると言ったのだから、バリス達も反応を示したのだ。
「だからこうして……」
ロレンツは右手を振りかぶると、不慣れな殴打を繰り出した。
「空気で殴ることもできる!!」
宙に向かって殴ったロレンツだったが、当たってもいないバリスの腹を衝撃が襲った。バリスは腹を押さえて前のめりに崩れ落ちる。バリスの腹には赤黒い靄が纏わりついている。経験したことのない鈍痛、気だるさがバリスを襲う。
「バリス!」
ラルトがバリスに駆け寄った。
「あいつ…まじで空気固形能力を…?」
「いや…分からん……まだ確かめる必要がある…もし空気固形能力じゃなく俺の予想してる能力なら、なんてことはないはずだ…」
ラルトの問いにバリスが答えながら立ち上がる。その荒い息遣いから先ほどの衝撃のダメージが残っているようだ。
「ラルト、全身に火を纏えるか?」
ラルトが“あぁ”と答えると、服から少し離れたところから炎がゆらゆらと上がる。
「俺の考えが正しければ、おそらくこれからは俺にしか攻撃してこないはずだ」
ロレンツは宙に蹴りを繰り出すと、土を蹴った音とともにバリスの左足が蹴られた。
やはりバリスの言うとおり、再度彼に攻撃が繰り出された。
バリスは間合いを取ると、頭上に蓬色の毒を生成した。すると彼はその毒を自身の頭に流した。それによって彼の全身は毒に塗れる。
「俺も毒を纏った! 触れた瞬間即死だ!!」
彼の浴びた毒は1万分の1に希釈した麻痺毒だった。効果はなく、ただの色のついた粘液性の液体だった。
それにバリスの毒に即死の効力もなければ、プラズマやラルトのように能力を身に纏うこともできず、毒はただ体を流れ落ちているだけだった。
「これでやつは、煉術も使えないはずだ。能力をばらしたくないだろうからな」
バリスは何かを仕掛けたように笑みを浮かべている。
「もしやあいつ私の能力に気づいているのか……?」
「ラルト! 火球だ!」
「おぉ!」
バリスの指示に従い、ラルトがロレンツに向かって火球を放つ。
ラルトが火球を放った直後、ロレンツは遥か先で火球の動線から外れるように横に飛んでいた。
「何してやがんだ、あいつ? まだ攻撃来てないのにもう避けてやがる」
ラルトが不自然な行動に目を丸くしている。
「これが、あいつが空気固形能力の使い手じゃないって証明だ」
「ラルト、俺達とあいつの間の線に炎を出せるか? 壁みたいな炎だ」
ラルトはバリスの意図を理解しようと考えを巡らせながら炎の壁を作り上げた。
バリス達とロレンツの間にできた一直線に伸びる炎の壁。
「がっ……熱っ……あぁぁぁ!」
その壁の先に立っているロレンツは熱さに苦しみ手で体を払う素振りをしながら走って後退していく。
その姿を見たラルトが“なるほど”と何度も軽く頷いている。
「よく気付いたな。バリス」
必死に逃げるロレンツを、バリスは腕組みをしながら見つめていた。
「本当に空気固形能力なら均等に衝撃が来るはずなのに、固い部分と比較的柔らかい部分があった」
「それにお前が体に炎を纏って、俺も毒を纏ってからあいつは攻撃ができなくなった。空気を固形すれば殴れるはずなのに、そうしないのは奴の直接攻撃だからだ」
「それに煉術も出さなかった。まぁ本当の居場所がバレるから出せなかったんだが」
もし煉術を躊躇なく出していれば、攻撃の発動場所を操作できる能力である可能性もあったのだが、バリスの予想通りロレンツは煉術を出せなかった。
「まぁつまりは自分の後ろに虚像を作り出す能力ってことだ。空気固形能力でもなんでもねぇ」
ロレンツの能力は自身の遥か後方に虚像を生成し、自身を透明にするものだった。
それを利用し、あたかも遠距離から空気を操作して攻撃をしているように見せていただけだったのだ。
「クソっ! 気づかれたか…!!」
ロレンツは炎の壁から逃れると、熱を帯びた肌をさすりながらバリスの方を振り向き唾を吐いた。
ロレンツの姿…彼の虚像が一瞬にして姿を消す。すると彼の前方に姿が現れた。能力を解いたのだ。
彼は再度懐からケースに入った注射器を取り出した。
その様子を見てバリスは呆れたように笑った。
「あいつ…また打つつもりだ」
バリスの言った通り、ロレンツは注射器を取り出すとケースを投げ捨てる。
そして徐に腕に打ち込んだ。
ロレンツは遺伝子能力を強制的に向上させ、自身の遺伝子能力と同調する。
しかし、それはバリスやラルトが知っているAGISとは違っていた。
赤黒い靄が体から上がりながら、ロレンツは掠れた声で遺伝子の同調を宣言した。
「殷性…AGIS……虚像連生」
「おい、あいつAGISって…! しかも殷性って…!」
ラルトが声を上げる。
殷獣という獣の力を利用した殷獣化。その副作用から違法として規制される殷獣化は、使用すれば非常に凶暴な性格になり遺伝子能力、身体能力が大きく向上される。その上、相手に鈍痛と脱力を与える赤黒い靄を発することができる。戦闘においては驚異的な力だった。
「殷獣化AGISか…!」
バリスは“チッ”と舌打ちをするとロレンツに対して構えた。
「どんな能力になってるか分かんねぇから気抜くなよ!」
「分かってる」
次の瞬間、赤黒い煙とともにロレンツが宙に霧散した。
すると、バリス達の前に百人を裕に超える人数のロレンツが姿を現す。
「なるほど…どこに本物がいるか分かりにくくしたってわけか」
バリスろラルトがその迫力からか、間合いを取った。
「消えろ……!」
目の前に乱立するロレンツは赤黒い靄を放ちながら、バリス達に突進を繰り出した。
「大丈夫だ! 本物以外は虚像のはずだ!!」
ラルトがそう言いながら前方に炎を放つが、炎はロレンツを貫通していく。
「どこだ!?」
ラルトがロレンツの群れを注意深く観察していると、右半身に衝撃が走った。彼が右腹部を確認すると赤黒い靄が蠢いている。
「このっ!」
ラルトが右側に向けて広範囲に炎を放つが、ロレンツの反応は見られない。
ラルトの左に立つバリスは左側に毒を放つが、やはりロレンツの気配は感じられなかった。
「中々面倒だぞ……! これで煉術でも撃たれたら…!」
バリスのその言葉に反応するように、彼らの周りを数百のロレンツが囲んだ。
「針唱」
両手を突き出したロレンツの前に約30センチメートル程の針が現れる。
本来なら針唱は大した速度もなく、軌道も読まれやすい上に接触面積も非常に少ないため戦闘で使われるのは近接戦のみだった。
しかし、どれが本物か分からないこの状況での発動は効果的だった。
本体のロレンツが連続で移動しながら撃てば、虚像の針に紛れて高確率でバリス達を串刺しにできる。
「轟唱・岩壁楼!」
ラルトが咄嗟に煉術で岩の壁を隆起させる。円状に隆起した岩壁を数百の針の虚像がすり抜け、バリス達を襲う。
ラルトがすぐさま自身の左後方へと巨大な火球を放つ。
その後、虚像と分かってはいても迫りくる無数の針にバリス達は無意識に両手で自身を守る素振りをした。無数の針は彼らをすり抜けていく。
「分かっててもビビっちまうな。それでもよく撃ったなラルト」
バリスは火球を撃ったラルトを賞賛した。岩に当たった金属音。バリスとラルトはそれを聞き逃さなかったのだが、怯まずに攻撃したのはラルトだった。
「元政府軍中佐を舐めてもらっちゃ困る。さて、今ので仕留められたかどうかだな」
「土唱」
ラルトは両手を地面に当てると、煉術によって地面が盛り上がった。
「おいっ! ラルト」
ラルトは岩壁の外を見回すが、ロレンツは確認できない。
そもそも気絶したからといって能力が解除されるとも限らない。ラルトは舌打ちをして頭を掻いた。
次の瞬間、彼の右肩を針が掠める。
体勢を崩したラルトは隆起した地面から落ちた。それをバリスが受け止めるが、少しクッションとなっただけで地面に打ち付けられた。
「何やってんだ! 元政府軍中佐なんだろ!? あいつに攻撃が当たってなかった場合のことも考えろよ!」
至極真っ当なバリスの意見に、ラルトは再度舌打ちをした。
ラルトは心のどこかでロレンツのことを侮っていた。所詮は非戦闘者。戦いには慣れておらず、簡単に倒せると思っていたのだ。
そうした慢心が彼を負傷させたのだった。
「ラルト、お前は俺たちの中ではルルカと同じくらい戦闘には慣れてるのは分かるが、油断しすぎだ。こうしてる間にもあいつがこの壁の中に…」
バリスの予想に応えるかのように、壁の中に無数のロレンツが現れた。そして再度針を射出する。
「ラルト! もう一回壁だ!!」
ラルトはバリスの言う通り、再度円状の岩壁を隆起させた。
「その場から避けろっ!」
ラルトもバリスに呼び掛ける。もし仮にロレンツがすでに岩壁の中にいた場合、攻撃は防がれないからだ。
二人はその場から飛んで位置をずらすが、バリスの右の二の腕を掠めた。彼の腕を鈍痛を帯びた赤黒い霧が追撃する。
「くっ…危ねぇ……あいつもう中にいる…!」
今張った岩壁は直径約10メートル。これ以上の岩壁を張れば、見えない相手と逃げ場のない場所で近接戦を強いられることになる。そのためこれ以上の壁を張ることはできなかった。
戦闘経験が豊富なはずだった二人だが、戦闘経験のないロレンツに全てが後手に回っていた。
「ラルト、悪いが耐えてくれ……毒霧を撒く。すぐに解毒する」
バリスが手のひらから毒の霧を発生させ始めるが、壁の中を埋め尽くすようにロレンツが現れる。
無数のロレンツは針唱で針を手に持つと、一斉にバリス達に襲い掛かってきた。
バリスとラルトは背中合わせに立つと、それぞれ広範囲に毒と炎を放つ。
しかし、ロレンツの虚像は自身を守る様子はない。
「ラルト! 左だ!」
バリスはそう言ってラルトに指示した方向と逆、バリスの左側に毒を放った。
「がぁぁぁ! 熱いぃぃぃ!!」
ラルトの左側でのた打ち回るロレンツ。彼ら二人の左右、そのわずかな隙間にロレンツの本体がいたのだ。それと同時にロレンツの虚像は全て消え去った。
「危なかったな…」
バリスも倒れるロレンツに対して構えなおす。
「くそっ、くそがっ!! くそっ!」
二度も焼かれ黒く焦げたロレンツは地面を叩いている。
「殺す……コロ……」
地面を叩く手が止まる。ロレンツの体からは蒸気のように赤黒い靄が発せられ始めた。
色濃く、それでいて邪悪さが感じ取れるほどだった。
すると、一瞬にして発せられていた靄が彼の体の中に吸い込まれた。
静寂とともに、彼は制止した。
「殷性……AGRY……」
「……実像連生」
諸刃の剣である能力の解放…AGRY。AGISのさらに上の段階。
解放すれば自分の身をも滅ぼしかねないほどの更なる力を得る。
解放を宣言した途端、膝をつくロレンツの周りには、再度無数の彼が出現する。
「おいおい…AGRYってマジかよ……」
ラルトは無意識に後ずさっている。彼にとってAGRYは大元帥などの上級将校が強敵相手に使う、いわば切り札のようなものだった。
そのため、個人差はあれどAGRYというだけで大幅な能力の上昇が予想される。
「嘘だろ……?」
バリスも明らかに動揺していた。
AGRYの解放に加えてその殷獣化。それも驚異的なものだったが、それよりも非戦闘員のロレンツがAGRYを使用できることに驚いていた。
もちろん、遺伝子能力を引き出し強化する薬によるものだということは分かっていた。
しかしここまでの強化は予想を遥かに超えるものだった。
バリスとともに医者をしていた幼馴染のヴィスタ、医星で彼女も使用していた遺伝子能力強化薬…それと同じ物、もしくはそれ以上の物を使用しているのは明白だった。
「死ね……! 針唱」「岩唱!」
ロレンツが針唱を発動させたと同時に、ラルトが煉術で地面を高く隆起させた。
ラルト達が下を見ると無数の針が隆起した岩にぶつかり地面に落ちていた。
「AGRYになってあれ全部実体があんのかよ…!」
その時、ラルトの肩に誰かが優しく手を置いた。
そして手が離れたと同時に発生する巨大な電撃。その電撃は盛り上がった岩付近に落ちていた針に引き寄せられると、そこから周りにいる無数のロレンツに波及した。その間も大きな光の点滅が数秒間続いている。
「いい判断だ」
ラルトの横にはもう誰もいないはずなのに、耳元で低い声が響いた。
ラルト達の眼前、岩の壁の上に一縷の電撃が着地する。
白い半袖のシャツに軍服のようなズボンを履く筋骨隆々の男。彼は薄い金髪の短い髪をかき上げると、ラルト達に笑顔を向けた。
「俺の妹も【追言】なんて呼ばれちゃいるが、一応俺だってできるんだぜ?」
その男はMastersで【瞬炎】と呼ばれるガウディオ・ジアだった。
To be continued.....
【EXTRA STORY】
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「【追言】だってよ!」
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「あたしが速すぎて、言葉だけが後で聞こえる、言葉が追ってくるって意味だってよ!」
「かっこいいだろ!! 兄貴の【瞬炎】よりも一ひねりあって渋いだろ!? あたしだけにしかできないって感じで!」
「待てアリス。今なんて言いやがった? そりゃつまり、俺にはできねぇって言いてえのか?」
「兄貴には威力では負けるけど、速さならあたしの方が上だろ?」
「どっちが上かは関係ねぇ! 要はできるかどうかだろ!!」
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To be continued to next EXTRA STORY.....?
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