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第3章 銀河の中枢 [央星]
第6話 涙流華の異変
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≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
【登場人物】
▼何でも屋(IMIC)
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[バリス・スピア]
元軍医で、毒の能力を持つ医者。
薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。
[水王 涙流華]
元名家・水王家の侍で、水の遺伝子能力者。
プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。
▼政府軍
[ラルト・ローズ]
白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
口が悪く、目つきももれなく悪い。
炎の遺伝子能力者。
[ブラスト・オール]
政府軍大元帥。政府軍のトップ。
[ラバブル・ラバーズ]
政府軍元帥。政府軍のナンバー2。
[デーモン]
政府軍上級大将。政府軍のナンバー3。
ラルトが駆け出しのころに教官を務めていた。
[ボルボン]
政府軍大将。政府軍のナンバー4。
ラルトに現場でのいろはを叩き込んだ。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
~政府軍本部・上級大将執務室内~
轟音と衝撃の後、徐々に煙が晴れる。
そこには赤黒い肌をした何十人もの涙流華が立っていた。
「これは……何が起きている……?」
デーモンが困惑していると、彼女達のどこからか声が響く。
「久々に出てきたと思ったら、思いっきり戦闘中じゃねえかよ。しかもこれじゃ力出しにくいしよお」
さらに彼女達はまるで誰かと話をするように独り言を始めた。
「てめえ、三代目。あんたさっき出ただろ! ………ああ! 分かったよ、変わりゃいいんだろ」
すると彼女達は蒸発していくように空中へと溶けていく。
ただ一人の涙流華を残して。
「まったく……年長者への気遣いが足りとらんのだ。くっ……」
涙流華は苦しむように、自身の額に手を当てると一瞬ふらついた。
「老いぼれはすっこんでろ。行くぜそこのおっさん……!」
涙流華が勢いよく手を前に突き出した。
次の瞬間デーモンの右手が干からびていく。
「なんなんだ! 一体!!」
デーモンは予想外の攻撃に動揺するが、なんとか間合いを取る。
しかし彼女は追い打ちをかけるわけでもなく、余裕といった様子で『やれやれ』というジェスチャーをしている。
「せっかく久々に出たんだ。もう少しくらいこいつの体も耐えるだろ」
「やめてください。これ以上は体がもちません」
突然先ほどとは違う穏やかな口調で涙流華はそう言った。
彼女はデーモンを真っ直ぐに見据えしばらくそのまま動かない。
すると涙流華は体の力が抜けるようにその場に倒れこんだ。
何が起こったのか理解できないデーモン。
しかし途中から涙流華本人ではなかったのは明らかだった。
「なんだったのだ、今のは………まぁいい。悪いがウラズマリーをおびき出す餌となってもらう」
デーモンは涙流華の方へと向かっていく。
「涙流華!」
炎の壁が涙流華とデーモンを遮った。
「ラルト……お姫様を助けにきたか?」
「デーモンさん、あんた道を踏み外したのか!!」
炎を手に纏ったラルトがデーモンに言い放つ。
「それは違うな。道に戻ったのだ」
デーモンは不気味な笑みとともに鋭い眼光をラルトに向けた。
その余裕ともとれる笑みから、自身よりも遥かに高い階級の軍人、上級大将と戦う恐怖をラルトはひしひしと感じていた。
その時だった。
「ということは最初から君は悪の道を歩いていたということか」
大元帥であるブラスト・オールが扉から現れ、デーモンと対峙する。
「オール…! 大元帥では流石に分が悪いか」
さすがの上級大将でも大元帥には敵わないと判断したのか、デーモンは近くの壁を殴りつけ穴を開けた。
「私が逃すと思うか?」
オールがそう言った瞬間、デーモンは突如地面に叩きつけられた。
「く……流石だな……」
デーモンは息苦しそうに立ち上がろうと地面を押すが、目に見えない何かに押しつぶされている。
オールは背後からの攻撃を察知し、その攻撃を目に見えない何かで地面に叩き落とす。
叩き落としたのは、鎌のような刃物。オールが振り向くとそこには大将のボルボンが立っていた。
「御機嫌よう、大元帥殿。今日付けで私とデーモンは退官させて頂く」
「逃げることができたらな。封唱!」
オールは煉術でデーモンを地面に張り付けにし、ボルボンとの戦闘に入る。
「封印系煉術を使用したまま、私とやり合おうというのか!?」
ボルボンは嘲笑しながらすぐさま大鎌を出しオールに投げつける。
「甘いわっ! ……!?」
オールは大鎌を地面に叩きつけるが、その時地面から生えた小さい鎌が自分の両足を貫いていた。
ボルボンは再度巨大な鎌を生成し、オールへと射出する。対するオールは右手を突き出すと、支えるように左手を当てがった。
雄叫びとともに、オールは見えない何かでボルボンの鎌を地に叩き落とした。
しかし大きな力を使ったことにより封印系煉術に割いていた力が弱まり、デーモンは力によって封印を打ち破る。
「もう手一杯かオール! 轟唱・焔填火球!」
デーモンが立ち上がりオールに向かって煉術を放つ。
オールがデーモンの攻撃を地面に叩きつけると、その衝撃によって土煙が一面に広がった。
土煙が立ち込める中、デーモンはラルトに語りかける。
「ラルト、こっちにこい。政府軍に正義がないことはわかったはずだ。お前のような者がそちらにいるなど私は耐えられない」
「耳を貸すな。ラルト君。なんと言おうとも奴らはテロリストの一派だ」
オールがラルトを制す。
「いいか、ラルト。今おれたちがいる組織こそが今の曲がった現状を正すことができる。お前も一緒に世界を正そう」
「これでは埒があかんな。」
ブラストが手をかざすとデーモンに向かって行くように床が凹んでいく。
「この威力はまずい……!」
デーモンは冷や汗をかきながら、諦めに近い苦笑いを浮かべる。
その時、オールの右横の壁が吹き飛んだ。
土煙の中、人影が1つ揺らめいている。
「ブラスト・オール、そこまでだ」
短い黒髪に筋骨隆々でありながらスラッとした体型の男。
吹き飛ばされた壁の破片がオールの目の前で宙に浮かんでいる。
そしてオールは立ち込める土煙を手で払いながらその名前を呼んだ。
「ヴァンガルド・キル……!」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~央星・政府軍本部付近~
――ウラズマリー、現在政府軍本部にあり
オール、ラルトに気付かれた
「タイミングがいいのか悪いのか。ウラズマリーがちょうど央星にいるとは」
「あいつらと合流するつもりが、とんだラッキーだな」
「脱獄までに時間かかっちまったし、パイカやらウィンドに先越されてるかヒヤヒヤしたが、こりゃツイてるな」
「さて、ブラストさんとラルトに挨拶でもしにいくか」
To be continued to next EXTRA STORY.....?
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▼何でも屋(IMIC)
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[バリス・スピア]
元軍医で、毒の能力を持つ医者。
薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。
[水王 涙流華]
元名家・水王家の侍で、水の遺伝子能力者。
プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。
▼政府軍
[ラルト・ローズ]
白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
口が悪く、目つきももれなく悪い。
炎の遺伝子能力者。
[ブラスト・オール]
政府軍大元帥。政府軍のトップ。
[ラバブル・ラバーズ]
政府軍元帥。政府軍のナンバー2。
[デーモン]
政府軍上級大将。政府軍のナンバー3。
ラルトが駆け出しのころに教官を務めていた。
[ボルボン]
政府軍大将。政府軍のナンバー4。
ラルトに現場でのいろはを叩き込んだ。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
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~政府軍本部・上級大将執務室内~
轟音と衝撃の後、徐々に煙が晴れる。
そこには赤黒い肌をした何十人もの涙流華が立っていた。
「これは……何が起きている……?」
デーモンが困惑していると、彼女達のどこからか声が響く。
「久々に出てきたと思ったら、思いっきり戦闘中じゃねえかよ。しかもこれじゃ力出しにくいしよお」
さらに彼女達はまるで誰かと話をするように独り言を始めた。
「てめえ、三代目。あんたさっき出ただろ! ………ああ! 分かったよ、変わりゃいいんだろ」
すると彼女達は蒸発していくように空中へと溶けていく。
ただ一人の涙流華を残して。
「まったく……年長者への気遣いが足りとらんのだ。くっ……」
涙流華は苦しむように、自身の額に手を当てると一瞬ふらついた。
「老いぼれはすっこんでろ。行くぜそこのおっさん……!」
涙流華が勢いよく手を前に突き出した。
次の瞬間デーモンの右手が干からびていく。
「なんなんだ! 一体!!」
デーモンは予想外の攻撃に動揺するが、なんとか間合いを取る。
しかし彼女は追い打ちをかけるわけでもなく、余裕といった様子で『やれやれ』というジェスチャーをしている。
「せっかく久々に出たんだ。もう少しくらいこいつの体も耐えるだろ」
「やめてください。これ以上は体がもちません」
突然先ほどとは違う穏やかな口調で涙流華はそう言った。
彼女はデーモンを真っ直ぐに見据えしばらくそのまま動かない。
すると涙流華は体の力が抜けるようにその場に倒れこんだ。
何が起こったのか理解できないデーモン。
しかし途中から涙流華本人ではなかったのは明らかだった。
「なんだったのだ、今のは………まぁいい。悪いがウラズマリーをおびき出す餌となってもらう」
デーモンは涙流華の方へと向かっていく。
「涙流華!」
炎の壁が涙流華とデーモンを遮った。
「ラルト……お姫様を助けにきたか?」
「デーモンさん、あんた道を踏み外したのか!!」
炎を手に纏ったラルトがデーモンに言い放つ。
「それは違うな。道に戻ったのだ」
デーモンは不気味な笑みとともに鋭い眼光をラルトに向けた。
その余裕ともとれる笑みから、自身よりも遥かに高い階級の軍人、上級大将と戦う恐怖をラルトはひしひしと感じていた。
その時だった。
「ということは最初から君は悪の道を歩いていたということか」
大元帥であるブラスト・オールが扉から現れ、デーモンと対峙する。
「オール…! 大元帥では流石に分が悪いか」
さすがの上級大将でも大元帥には敵わないと判断したのか、デーモンは近くの壁を殴りつけ穴を開けた。
「私が逃すと思うか?」
オールがそう言った瞬間、デーモンは突如地面に叩きつけられた。
「く……流石だな……」
デーモンは息苦しそうに立ち上がろうと地面を押すが、目に見えない何かに押しつぶされている。
オールは背後からの攻撃を察知し、その攻撃を目に見えない何かで地面に叩き落とす。
叩き落としたのは、鎌のような刃物。オールが振り向くとそこには大将のボルボンが立っていた。
「御機嫌よう、大元帥殿。今日付けで私とデーモンは退官させて頂く」
「逃げることができたらな。封唱!」
オールは煉術でデーモンを地面に張り付けにし、ボルボンとの戦闘に入る。
「封印系煉術を使用したまま、私とやり合おうというのか!?」
ボルボンは嘲笑しながらすぐさま大鎌を出しオールに投げつける。
「甘いわっ! ……!?」
オールは大鎌を地面に叩きつけるが、その時地面から生えた小さい鎌が自分の両足を貫いていた。
ボルボンは再度巨大な鎌を生成し、オールへと射出する。対するオールは右手を突き出すと、支えるように左手を当てがった。
雄叫びとともに、オールは見えない何かでボルボンの鎌を地に叩き落とした。
しかし大きな力を使ったことにより封印系煉術に割いていた力が弱まり、デーモンは力によって封印を打ち破る。
「もう手一杯かオール! 轟唱・焔填火球!」
デーモンが立ち上がりオールに向かって煉術を放つ。
オールがデーモンの攻撃を地面に叩きつけると、その衝撃によって土煙が一面に広がった。
土煙が立ち込める中、デーモンはラルトに語りかける。
「ラルト、こっちにこい。政府軍に正義がないことはわかったはずだ。お前のような者がそちらにいるなど私は耐えられない」
「耳を貸すな。ラルト君。なんと言おうとも奴らはテロリストの一派だ」
オールがラルトを制す。
「いいか、ラルト。今おれたちがいる組織こそが今の曲がった現状を正すことができる。お前も一緒に世界を正そう」
「これでは埒があかんな。」
ブラストが手をかざすとデーモンに向かって行くように床が凹んでいく。
「この威力はまずい……!」
デーモンは冷や汗をかきながら、諦めに近い苦笑いを浮かべる。
その時、オールの右横の壁が吹き飛んだ。
土煙の中、人影が1つ揺らめいている。
「ブラスト・オール、そこまでだ」
短い黒髪に筋骨隆々でありながらスラッとした体型の男。
吹き飛ばされた壁の破片がオールの目の前で宙に浮かんでいる。
そしてオールは立ち込める土煙を手で払いながらその名前を呼んだ。
「ヴァンガルド・キル……!」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~央星・政府軍本部付近~
――ウラズマリー、現在政府軍本部にあり
オール、ラルトに気付かれた
「タイミングがいいのか悪いのか。ウラズマリーがちょうど央星にいるとは」
「あいつらと合流するつもりが、とんだラッキーだな」
「脱獄までに時間かかっちまったし、パイカやらウィンドに先越されてるかヒヤヒヤしたが、こりゃツイてるな」
「さて、ブラストさんとラルトに挨拶でもしにいくか」
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