3 / 8
五臓六腑に染み渡る
しおりを挟む
起きたら初めての場所のとき、貴方ならどうするだろう。そんな想像したことない?私はよくあった。けど現実には起きてほしくないことだよね。これは、ない。
お姫様仕様?この世界ではこれが普通?天蓋があるのだけれども、宿泊施設にはなかったけど、庶民よりもワンランク下だったし、分からない。分からないけど、落ち着かない。そこそこ大きな清潔なベッドに水差し。まだ自分の服をみてないけどサラサラの生地。ブラジャーとかはこの世界似たようなのがあってそれね、あとは、パンツは履いてる。寝てしまったのね、それも爆睡。下着を着せてもらったりしてるときに起きなかったなんて相当なものでしょ。一服盛られたのか。流石にこの世界でそこまで警戒心を持たずには生きてないのだけれど。どうした私の警戒心。危機管理さん、お仕事は…。
しっかりしなさい、私。まだ何も話してない、そうよ、待たせたままじゃない。ああ、もういっか。向こうがすすめてきたんだし、クルリさん優秀そうだったから連絡いってるでしょ。
どうしようかな、勝手に起きてもいいのか。…喉の乾きを覚えたので花を出して一応水差しに毒がないかの確認をして飲む。もう寝ちゃってるしやっても意味ないとは思いつつも…ね。
「フラワーちゃん、ありがと。そうだよね。あ、コップとってくれるのね」
自分のだした花にお世話をされつつ、談話する。傍から見たらヤバいやつだけど、人がいないし平気平気。
コンコンコンコン
ノックの音が聞こえた。一人で喋ってたもんね、そりゃ、起きたのわかるか。水差しの近くにあるベルで呼んだほうがよかったか。いや、でもこうしてまったりしてるのも久しぶり…この世界に来てからは初めてだったな。
「クルリです、失礼します」
まだ、まだどうぞっていってないのに入ってきてしまった。フラワーちゃんを隠そうか迷ってたところで入ってきた。私はお客様だったはずでは?もっと丁重に?いや、勝手に寝てしまった私が悪い。どのくらい寝てしまっていたんだろう。来たのがお昼すぎだったからそろそろ夜になっちゃったか?そういえば、お昼を食べ忘れてた。
ギュルルル~
お腹鳴った。恥ずかしい。クルリさんとは裸の付き合いしてしまったわけだし、恥ずかしくはない?私だけ裸ではあったな。というよりお風呂で着る浴衣?みたいなやつ、あったのでは!?着替えまでしてもらっちゃっただろうし、もういいか。
「起きてるならベル鳴らしてください。…よく眠れましたか」
呆れられてるような気がする。私の歳の半分くらい下の子にその表情、心にちょっとくるものがある。
「いつの間にか寝てしまっていてすみません。ありがとうございました。お陰様で日頃の疲れもとれたようです。リンはどうなってますか。あとここに連れてきてくださった金髪の青年をお待たせしてしまっているかと思うのですが」
「いえ、仕事ですから。レネお坊ちゃまでしたら、貴女を私に託したあと自分のお仕事に戻られました。まだ呼ばれていないのでそのままこちらの部屋でお待ち下さい。お客様のお連れ様のこともお坊ちゃまにお聞きくださいますよう。では、起きましたのでこれから私は厨房に行き、お客様の夕食を貰ってきます。何か食べられないもの等はございますか」
「何から何までありがとうございます。食べられないものはないです」
「かしこまりました。この部屋にあるものでしたら、好きに使ってよい、この部屋からは許可なく出ることのないように、とのことです。では、また後ほどお伺いいたします」
クルリさん、仕事のできる人だな。花は結局隠さずに隣においていたけどちらりと目線を送ってくるのみで他は何もなかった。
夕飯までは何もすることはないし、とりあえず部屋の探検でもしてみるか!
フラワーちゃんをいくつかだし、好きにさせる。私のマジック道具や宿から持ってきたものも一式きちんと置いてあったので安心。
「リンのことは心配してても仕方ないか。もう多分死にはしないはず、多分。ということで、分かるまでは少し羽根を伸ばすことにしましょう。わ、こっちはレストルームね。で、こっちはちょっとしたキッチン!まあでも包丁や食材はないから持ってきてもらうのかな。スイートルームのようだね?フラワーちゃん?こっちにきてみろって?」
フラワーちゃんについていった先は衣装がたくさんはいったクローゼットがあった。
「このケース?気になったの?装飾品はいってる、はい、どうぞ。へえ、ここに来る人はお洋服お好きなものをどうぞってこと?保存状態がいいから、手入れしてるんだろうね。さあ、もう全体的にざっと見終わったかな」
フラワーちゃんは装飾品が気に入ったようで自分の花びらを宝石にしようとにらめっこしている。花びら、宝石にしたいのか、この子。最初は動く花ってなんだろうって思っていたけど5年以上一緒にいるとそれはもう我が子のようで、とても可愛い。表情豊かだし、言いたいことが伝わってくる。これが異能か。
あれ以来あまり攻撃として使うことはないんだけど、いやでも最初はお金なくて山とかに野宿したとき魔物退治したか。あれはひもじかったな。フラワーちゃんたちは頼もしかった。
回想に浸りつつ、フラワーちゃんと戯れているとまたノックの音が聞こえた。
コンコンコンコン
「どうぞ」
ドアの前からとてもいい香りがしてくる。屋台や冷めたものしか食べてきてなかったのでとても胃が刺激される匂いだ。脳は食べたいっていってるけど果たして胃は受け付けるだろうか。
あの異能が開花した一件から今まであまりご飯を口に出来なくなってるんだよね。子どもたちを守れなかった自分の弱さを責めたり、悪夢をみたり散々だし。私が間に合ってたら死ななかったかもしれないじゃん?マジックの種明かししても練習もしないでできるはずがないし。質の悪い連中だったから強請ってきそうだけど。今ようやくこうやって持ち直してきてるけど。リンのことはただの自己満。
「お食事をお持ちしました」
見るからに美味しそうなご飯が並んでいる。色彩豊かだ。美しい。この世界では初めてのきちんとしたご飯だ。…果たして、胃は受け付けるかな。
「ありがとうございます」
机に並べてくれるのでそっと席につく。机も無駄に広い。どうなってるんだ、ここは。
「こちら、本来ならばシェフからの説明があるのですが…僭越ながら私が。手前にありますのは、、、」
ご飯の説明をしてくれる。食べやすそう。うーん、食べれるかな。お腹が鳴っても食べたい気持ちになっても受け付けてくれないんだよね。今まで何を食べてたかって?フラワーちゃんの花びらとか蜜だよ、自給自足できそう。ガリガリに痩せて栄養失調で死ぬのでは、とも思ったんだけど転移してきたときからあまり姿が変わらない。使いの者ってもしかして何か人とは違う体質なのかもしれない。詳しくは知らないけど。文字は未だに読めないから。本買ってる余裕はないし、ごはん屋とかメニューくらいしか分からない。
「以上になります。後ほどデザートをお持ちいたします。では、どうぞお召し上がりください」
知らない野菜や料理名が並んでいた。魔獣でも食べられるやついたのかな。動物も似てるようで違うから、家畜とかはどうなってるのだろう。
「…いただきます」
一番食べやすそうなスープを飲んでみる。大根ポタージュ?みたいな味がする。が、二口くらいで胃液が込み上げてくる。ここで吐くわけにもいかない。
「わ、美味しい。…クルリさん、これ、残したら破棄になりますか?」
なにを当たり前な、というような顔でみてくる。怪訝そうな顔のお手本だ。
「ええ、勿論そうですが。いかがなさいましたか」
食べられると思ったけど駄目だった。最初から量は少なめとかで言えばよかったな。
「あの、食欲がないのでギュルルル~いや、あるにはあるんですが、諸事情により、こちら、あの、このお花たち見えてますよね?この子たちにあげてもいいですか。とても勝手で申し訳ないのですが」
「…ええ、いいでしょう」
許可を貰ったので今だしているフラワーちゃんたちにご飯を譲る。とはいってもとても綺麗に食べるので何も心配はいらないのだけど。この子たちいつも出すとき何も考えてないんだけどどのくらいの種類があるのだろう。
宝石になろうとしてたのはヒスイカズラ。私の周りをちょこちょこしてるのは鈴蘭と福寿草。シュロソウもいる。あとはご飯食べていいよといったら、ちらほらとでてきたのは薔薇、ガーネット、パンジー。名前の知らないお花もたまにでてくる。10種類くらいはあるよな…20種類まではいかない?
「クルリさん、用意をしてなくてこれからだったらデザートはいらないです。食べられそうもないので…すみません」
フラワーちゃんたちの食事の光景をなんとも言えない顔でみていたクルリさんに話しかける。表情が豊かで可愛いな、この子。
デザートいらないというとフラワーちゃんたち数輪が抗議してるけど、勿体ないでしょ、君たちは食事を必要としてないでしょう。
「その方たちはデザートを欲してるみたいですが、いえ、差し出がましいことを申しました。確認してきます。失礼します」
クルリさん、ちょっと砕けてきたのかな?この子たちの姿みたらもうどうでも良くなるよね。カラフルで素敵。あら不思議、こちらからもあちらからもお花が出てきます。花を消したり増やしたりしてマジック、いや、もうこれは異能とマジックを組み合わせて楽しんでいると退室したクルリさんがデザートを持って帰ってきた。
「シェフから、お客様が食べられるものを教えてほしい、とのことでした。それと皆様にデザートです」
お花をイメージしたんだろうな、と思わしきデザート皿がでてきた。すごい、プロの仕事だ。
この世界のお花の名前はまったく分からないけれど、パンジーに近いお花が近くに飾ってあり、本人、いや、本輪が喜んでいる。あ、食べた。
「ありがとうございます。シェフの方にもお礼をお伝え下さい。こら、みんなもお礼をいって」
一斉にぺこりとお辞儀をした。うん、大事だからね。お辞儀をしながら食べてるものもいるけど見逃してもらおう。行儀がなってなくてすみません。
「い、いえ。彼も職務を全うしているだけですから」
ここの人たち、仕事人すぎない?というよりも全員が異能持ちってことなのもすごい。異能持ちは気が付かなかっただけで案外いたりするのか。使いの者もそれなりにいるはずだし。貧困層あたりにはあまりみられないだけかもしれない。
「それで、食べられないものはないと伺ったのですが、食べられてないですよね」
濁したけどバレてる。食べられないものは、ないのよ、今のところ。食べられるはずなんだけど胃が受け付けないのよ。
「…食べられるはずなんですけど、すみません。ちょっと色々あって数年ほどあまりきちんとしたものを食べてきてないので「数年?」…はい」
クルリさんからの圧が強い。なんなんだ、というよりもこんなにも良い待遇をうけるとあとが怖い。
「レネお坊ちゃまに報告をいたします。お客様はごゆっくり。食べ終わりましたらそこに並べておいておいてくださいね。失礼します」
クルリさんが血相を変えてでていった。食べてないくらいでそんな慌てることがあるのか。数年ほど食べてないけど、健康で生きてる意味もよく分からないけど異能持ちの人は身体が丈夫になるとかそういう世界じゃないのか。謎だ。
お姫様仕様?この世界ではこれが普通?天蓋があるのだけれども、宿泊施設にはなかったけど、庶民よりもワンランク下だったし、分からない。分からないけど、落ち着かない。そこそこ大きな清潔なベッドに水差し。まだ自分の服をみてないけどサラサラの生地。ブラジャーとかはこの世界似たようなのがあってそれね、あとは、パンツは履いてる。寝てしまったのね、それも爆睡。下着を着せてもらったりしてるときに起きなかったなんて相当なものでしょ。一服盛られたのか。流石にこの世界でそこまで警戒心を持たずには生きてないのだけれど。どうした私の警戒心。危機管理さん、お仕事は…。
しっかりしなさい、私。まだ何も話してない、そうよ、待たせたままじゃない。ああ、もういっか。向こうがすすめてきたんだし、クルリさん優秀そうだったから連絡いってるでしょ。
どうしようかな、勝手に起きてもいいのか。…喉の乾きを覚えたので花を出して一応水差しに毒がないかの確認をして飲む。もう寝ちゃってるしやっても意味ないとは思いつつも…ね。
「フラワーちゃん、ありがと。そうだよね。あ、コップとってくれるのね」
自分のだした花にお世話をされつつ、談話する。傍から見たらヤバいやつだけど、人がいないし平気平気。
コンコンコンコン
ノックの音が聞こえた。一人で喋ってたもんね、そりゃ、起きたのわかるか。水差しの近くにあるベルで呼んだほうがよかったか。いや、でもこうしてまったりしてるのも久しぶり…この世界に来てからは初めてだったな。
「クルリです、失礼します」
まだ、まだどうぞっていってないのに入ってきてしまった。フラワーちゃんを隠そうか迷ってたところで入ってきた。私はお客様だったはずでは?もっと丁重に?いや、勝手に寝てしまった私が悪い。どのくらい寝てしまっていたんだろう。来たのがお昼すぎだったからそろそろ夜になっちゃったか?そういえば、お昼を食べ忘れてた。
ギュルルル~
お腹鳴った。恥ずかしい。クルリさんとは裸の付き合いしてしまったわけだし、恥ずかしくはない?私だけ裸ではあったな。というよりお風呂で着る浴衣?みたいなやつ、あったのでは!?着替えまでしてもらっちゃっただろうし、もういいか。
「起きてるならベル鳴らしてください。…よく眠れましたか」
呆れられてるような気がする。私の歳の半分くらい下の子にその表情、心にちょっとくるものがある。
「いつの間にか寝てしまっていてすみません。ありがとうございました。お陰様で日頃の疲れもとれたようです。リンはどうなってますか。あとここに連れてきてくださった金髪の青年をお待たせしてしまっているかと思うのですが」
「いえ、仕事ですから。レネお坊ちゃまでしたら、貴女を私に託したあと自分のお仕事に戻られました。まだ呼ばれていないのでそのままこちらの部屋でお待ち下さい。お客様のお連れ様のこともお坊ちゃまにお聞きくださいますよう。では、起きましたのでこれから私は厨房に行き、お客様の夕食を貰ってきます。何か食べられないもの等はございますか」
「何から何までありがとうございます。食べられないものはないです」
「かしこまりました。この部屋にあるものでしたら、好きに使ってよい、この部屋からは許可なく出ることのないように、とのことです。では、また後ほどお伺いいたします」
クルリさん、仕事のできる人だな。花は結局隠さずに隣においていたけどちらりと目線を送ってくるのみで他は何もなかった。
夕飯までは何もすることはないし、とりあえず部屋の探検でもしてみるか!
フラワーちゃんをいくつかだし、好きにさせる。私のマジック道具や宿から持ってきたものも一式きちんと置いてあったので安心。
「リンのことは心配してても仕方ないか。もう多分死にはしないはず、多分。ということで、分かるまでは少し羽根を伸ばすことにしましょう。わ、こっちはレストルームね。で、こっちはちょっとしたキッチン!まあでも包丁や食材はないから持ってきてもらうのかな。スイートルームのようだね?フラワーちゃん?こっちにきてみろって?」
フラワーちゃんについていった先は衣装がたくさんはいったクローゼットがあった。
「このケース?気になったの?装飾品はいってる、はい、どうぞ。へえ、ここに来る人はお洋服お好きなものをどうぞってこと?保存状態がいいから、手入れしてるんだろうね。さあ、もう全体的にざっと見終わったかな」
フラワーちゃんは装飾品が気に入ったようで自分の花びらを宝石にしようとにらめっこしている。花びら、宝石にしたいのか、この子。最初は動く花ってなんだろうって思っていたけど5年以上一緒にいるとそれはもう我が子のようで、とても可愛い。表情豊かだし、言いたいことが伝わってくる。これが異能か。
あれ以来あまり攻撃として使うことはないんだけど、いやでも最初はお金なくて山とかに野宿したとき魔物退治したか。あれはひもじかったな。フラワーちゃんたちは頼もしかった。
回想に浸りつつ、フラワーちゃんと戯れているとまたノックの音が聞こえた。
コンコンコンコン
「どうぞ」
ドアの前からとてもいい香りがしてくる。屋台や冷めたものしか食べてきてなかったのでとても胃が刺激される匂いだ。脳は食べたいっていってるけど果たして胃は受け付けるだろうか。
あの異能が開花した一件から今まであまりご飯を口に出来なくなってるんだよね。子どもたちを守れなかった自分の弱さを責めたり、悪夢をみたり散々だし。私が間に合ってたら死ななかったかもしれないじゃん?マジックの種明かししても練習もしないでできるはずがないし。質の悪い連中だったから強請ってきそうだけど。今ようやくこうやって持ち直してきてるけど。リンのことはただの自己満。
「お食事をお持ちしました」
見るからに美味しそうなご飯が並んでいる。色彩豊かだ。美しい。この世界では初めてのきちんとしたご飯だ。…果たして、胃は受け付けるかな。
「ありがとうございます」
机に並べてくれるのでそっと席につく。机も無駄に広い。どうなってるんだ、ここは。
「こちら、本来ならばシェフからの説明があるのですが…僭越ながら私が。手前にありますのは、、、」
ご飯の説明をしてくれる。食べやすそう。うーん、食べれるかな。お腹が鳴っても食べたい気持ちになっても受け付けてくれないんだよね。今まで何を食べてたかって?フラワーちゃんの花びらとか蜜だよ、自給自足できそう。ガリガリに痩せて栄養失調で死ぬのでは、とも思ったんだけど転移してきたときからあまり姿が変わらない。使いの者ってもしかして何か人とは違う体質なのかもしれない。詳しくは知らないけど。文字は未だに読めないから。本買ってる余裕はないし、ごはん屋とかメニューくらいしか分からない。
「以上になります。後ほどデザートをお持ちいたします。では、どうぞお召し上がりください」
知らない野菜や料理名が並んでいた。魔獣でも食べられるやついたのかな。動物も似てるようで違うから、家畜とかはどうなってるのだろう。
「…いただきます」
一番食べやすそうなスープを飲んでみる。大根ポタージュ?みたいな味がする。が、二口くらいで胃液が込み上げてくる。ここで吐くわけにもいかない。
「わ、美味しい。…クルリさん、これ、残したら破棄になりますか?」
なにを当たり前な、というような顔でみてくる。怪訝そうな顔のお手本だ。
「ええ、勿論そうですが。いかがなさいましたか」
食べられると思ったけど駄目だった。最初から量は少なめとかで言えばよかったな。
「あの、食欲がないのでギュルルル~いや、あるにはあるんですが、諸事情により、こちら、あの、このお花たち見えてますよね?この子たちにあげてもいいですか。とても勝手で申し訳ないのですが」
「…ええ、いいでしょう」
許可を貰ったので今だしているフラワーちゃんたちにご飯を譲る。とはいってもとても綺麗に食べるので何も心配はいらないのだけど。この子たちいつも出すとき何も考えてないんだけどどのくらいの種類があるのだろう。
宝石になろうとしてたのはヒスイカズラ。私の周りをちょこちょこしてるのは鈴蘭と福寿草。シュロソウもいる。あとはご飯食べていいよといったら、ちらほらとでてきたのは薔薇、ガーネット、パンジー。名前の知らないお花もたまにでてくる。10種類くらいはあるよな…20種類まではいかない?
「クルリさん、用意をしてなくてこれからだったらデザートはいらないです。食べられそうもないので…すみません」
フラワーちゃんたちの食事の光景をなんとも言えない顔でみていたクルリさんに話しかける。表情が豊かで可愛いな、この子。
デザートいらないというとフラワーちゃんたち数輪が抗議してるけど、勿体ないでしょ、君たちは食事を必要としてないでしょう。
「その方たちはデザートを欲してるみたいですが、いえ、差し出がましいことを申しました。確認してきます。失礼します」
クルリさん、ちょっと砕けてきたのかな?この子たちの姿みたらもうどうでも良くなるよね。カラフルで素敵。あら不思議、こちらからもあちらからもお花が出てきます。花を消したり増やしたりしてマジック、いや、もうこれは異能とマジックを組み合わせて楽しんでいると退室したクルリさんがデザートを持って帰ってきた。
「シェフから、お客様が食べられるものを教えてほしい、とのことでした。それと皆様にデザートです」
お花をイメージしたんだろうな、と思わしきデザート皿がでてきた。すごい、プロの仕事だ。
この世界のお花の名前はまったく分からないけれど、パンジーに近いお花が近くに飾ってあり、本人、いや、本輪が喜んでいる。あ、食べた。
「ありがとうございます。シェフの方にもお礼をお伝え下さい。こら、みんなもお礼をいって」
一斉にぺこりとお辞儀をした。うん、大事だからね。お辞儀をしながら食べてるものもいるけど見逃してもらおう。行儀がなってなくてすみません。
「い、いえ。彼も職務を全うしているだけですから」
ここの人たち、仕事人すぎない?というよりも全員が異能持ちってことなのもすごい。異能持ちは気が付かなかっただけで案外いたりするのか。使いの者もそれなりにいるはずだし。貧困層あたりにはあまりみられないだけかもしれない。
「それで、食べられないものはないと伺ったのですが、食べられてないですよね」
濁したけどバレてる。食べられないものは、ないのよ、今のところ。食べられるはずなんだけど胃が受け付けないのよ。
「…食べられるはずなんですけど、すみません。ちょっと色々あって数年ほどあまりきちんとしたものを食べてきてないので「数年?」…はい」
クルリさんからの圧が強い。なんなんだ、というよりもこんなにも良い待遇をうけるとあとが怖い。
「レネお坊ちゃまに報告をいたします。お客様はごゆっくり。食べ終わりましたらそこに並べておいておいてくださいね。失礼します」
クルリさんが血相を変えてでていった。食べてないくらいでそんな慌てることがあるのか。数年ほど食べてないけど、健康で生きてる意味もよく分からないけど異能持ちの人は身体が丈夫になるとかそういう世界じゃないのか。謎だ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
異世界転移の……説明なし!
サイカ
ファンタジー
神木冬華(かみきとうか)28才OL。動物大好き、ネコ大好き。
仕事帰りいつもの道を歩いているといつの間にか周りが真っ暗闇。
しばらくすると突然視界が開け辺りを見渡すとそこはお城の屋根の上!? 無慈悲にも頭からまっ逆さまに落ちていく。
落ちていく途中で王子っぽいイケメンと目が合ったけれど落ちていく。そして…………
聞いたことのない国の名前に見たこともない草花。そして魔獣化してしまう動物達。
ここは異世界かな? 異世界だと思うけれど……どうやってここにきたのかわからない。
召喚されたわけでもないみたいだし、神様にも会っていない。元の世界で私がどうなっているのかもわからない。
私も異世界モノは好きでいろいろ読んできたから多少の知識はあると思い目立たないように慎重に行動していたつもりなのに……王族やら騎士団長やら関わらない方がよさそうな人達とばかりそうとは知らずに知り合ってしまう。
ピンチになったら大剣の勇者が現れ…………ない!
教会に行って祈ると神様と話せたり…………しない!
森で一緒になった相棒の三毛猫さんと共に、何の説明もなく異世界での生活を始めることになったお話。
※小説家になろうでも投稿しています。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ
トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!?
自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。
果たして雅は独りで生きていけるのか!?
実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる