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1.始まりの地
じゅうろく、飲み物を確保しよう
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水信玄餅もどきを手のひらに乗せて荷物を見せてあげる。
「急に首筋に飛んでくるのは今度からやめてほしいかな、びっくりして死んじゃいそうだから。手とかに乗ってきてね。さ、どれがいいかな」
目があるのか分からないけど、全部が見えるように荷物の上を手のひらでかざしていく。すると、ひらたくなってジャンプをした。
「なるほど、こんな風に移動をするのか。結構な勢いで飛ぶのね。弾力があるわね。で、これが気に入ったの?」
水信玄餅もどきが気に入ったのは、家の鍵のようだ。
「んんー、鍵は流石に渡せないかな、あ、このついてる鈴はどうかな。はい、どうぞ」
鈴でも良さそうだったので、キーホルダーを外して目の前に置いてどうするのか眺めていると、取り込んだ。取り込みましたよ、今、そんな動きできるの。透明な水信玄餅もどきから真ん中に鈴がある水信玄餅もどきに変わりました。
「ぷるぷる動いていても鈴の音はならないのね。たまに動く、ああ、好きに動かせるのね。気に入ってくれてるようで何よりよ。あ、濾過したペットボトルの水は飲めなかったようなんだけど、あなた、いるかしら?君は元々そこから生まれたんだけど、覚えてるかなあ」
そのへんに捨ててもいいかな、とも思ったけど一応水信玄餅もどきに聞いてみる。手の上に乗せて濾過したペットボトルの前まで運んであげる。
「どう?これなんだけど」
相変わらず、ペットボトルの水はちゃぽちゃぽ動いている。水信玄餅もどきのように意思があるのかしら。
二人を見比べていると水信玄餅もどきが飛んでペットボトルのゆるんでいる蓋から中に入っていく。
「ああ、そんな無理に入ろうとすると鈴が落ちちゃうわよ。ほら、蓋を開けてあげるから待って。こっちにきて」
蓋を開けてあげたらすんなりと中に入っていった。
「蓋は閉じない方がいいかしら。とりあえず開けておくわね。なんだかせっかちね」
・・・・・
お昼も食べ終え、隣に水信玄餅もどきの入っているペットボトルを置き、パサランと話していると急に思い出した。
「あ、パサラン。朝起きたらね、これがあったのだけどなんだかわかる?」
朝起きたらあったガラスの石をポケットからだして、パサランに見せる。
すると、パサランが一度膨張したかと思ったら急に強い光をだしはじめた。
「うわ、ちょっと眩し、えっ、ごめん。駄目だったかな、背中に敷いて寝ちゃったんだけど」
パサランがチカチカしてすぐにケサランと綿毛の仲間たちがわらわらとやってきた。ガラスの石を持っている私の周りをぐるぐるまわりだす。
「うわあ、まだ目がぼやけるわ。え、これ、そんなやばいものなの…」
昨晩見た光景を思い出して私も何か痛い思いをするかもしれないと思いつつ、あまりにもいきなり囲まれてしまったので思考が停止してしまう。私、何かやってしまったのかしら。パサランがガラスの石を置くようにいっている気がするので、そっと地面に置く。置いたガラスを綿毛ちゃんが持ち去っていく。
「これ、背中にあったんだけどそんなにやばいものなの。私も退治されちゃったりするのかな」
言葉が通じないけれど思わず話しかけてしまう。
水分不足で死ぬのも今ここで死ぬのも嫌よ。もっと文明的な生活を送りたいし、何よりまだまだ死ぬわけにはいかないわ。
「ふふ、おかしいわね。まだ2日目なのにずっと泣いているわ、私」
死にたくない、と思いつつもどうにもできない状況に自然と涙がでてくる。ケサランが涙を拭ってくれ、パサランが慰めるように肩にとまった。
「ありがとね、2人とも。泣いててごめんなさいね」
しばらく泣いているといつの間にか綿毛ちゃんたちが解散をしていた。
「終わったのかしら。なんだったの一体…」
唖然としながらも助かったことがわかり、力が抜けてくる。
「つ、疲れたわ~!あー、もう疲れた。今日はおしまいにしたいわ!いえ、ここまた夜も危険だったらいけないし、お引越しもしないとよね、ケサラン、パサランいいとこ知ってる?ここだと毎晩あの変なのがやってくるの?」
2人と会話しつつもせっせと手を動かして穴を掘る。花が近くに咲いているし、もう少し深く掘ったらもっと水が得られるかもしれない、と思ったのだ。
毎晩ではなく不定期で変なナニカが落ちてくるそうなので、やはりここは危険だけど、花畑の中で暮らすには獣道はあまりにも狭く花を潰すのも心苦しい…あ、切り株のところはどうかしら。ケサランとパサランに聞いてみましょ。場所、わかるかしら。
「ねえねえ、切り株のここなんかはどうかな?拠点を変えてみようと思うんだけど…寝るときに切り株の場所に行くのはどうかしら。危なかったりする?」
拠点を変えると行ったときに2人ともが首を勢いよく振っていたので寝るときだけというので聞いてみたら、2人は話し合ってるみたい。この世界の危険度、よく分からないけど、2人を信じるしかないのよね。
話はまとまり、寝るときだけ移動、ということになったようだ。
「パサラン、毎晩ここから私と一緒に荷物を運んでもらえるかしら。対価の歌はこれにしましょ!」
~♪~~♪♪~~~♪♪♪
お花が題名の歌よ。車のラジオでよく流れてて覚えちゃったのよね。流行曲もおさえておかないと会社の人たちとの打ち上げ困るのよね。最近は行ってないけど。
「どうかしら?この歌で今晩運んでもらえるかしら」
どうやら運んでもらえるらしい。よかった、これで一安心ね。…いえ、一安心でもなかったわ。衣食住の住が辛うじてってところよ。
「ケサラン、パサラン、水が得られる場所とかってわかるかしら。ケサランが水を出せるのも分かるんだけど対価の目はちょっと…」
ケサランが水筒に近づいていったので中身はないよ、と見せてあげると水を入れてくれた。
「え、いきなり?ありがとう。だけど対価を払えてないと思うんだけど、契約違反とかそういうのは平気?私はとっても嬉しいし助かるのだけど、目はあげられないのよ?」
水を飲んだら目が見えなくなるとかノーセンキューよ!
「急に首筋に飛んでくるのは今度からやめてほしいかな、びっくりして死んじゃいそうだから。手とかに乗ってきてね。さ、どれがいいかな」
目があるのか分からないけど、全部が見えるように荷物の上を手のひらでかざしていく。すると、ひらたくなってジャンプをした。
「なるほど、こんな風に移動をするのか。結構な勢いで飛ぶのね。弾力があるわね。で、これが気に入ったの?」
水信玄餅もどきが気に入ったのは、家の鍵のようだ。
「んんー、鍵は流石に渡せないかな、あ、このついてる鈴はどうかな。はい、どうぞ」
鈴でも良さそうだったので、キーホルダーを外して目の前に置いてどうするのか眺めていると、取り込んだ。取り込みましたよ、今、そんな動きできるの。透明な水信玄餅もどきから真ん中に鈴がある水信玄餅もどきに変わりました。
「ぷるぷる動いていても鈴の音はならないのね。たまに動く、ああ、好きに動かせるのね。気に入ってくれてるようで何よりよ。あ、濾過したペットボトルの水は飲めなかったようなんだけど、あなた、いるかしら?君は元々そこから生まれたんだけど、覚えてるかなあ」
そのへんに捨ててもいいかな、とも思ったけど一応水信玄餅もどきに聞いてみる。手の上に乗せて濾過したペットボトルの前まで運んであげる。
「どう?これなんだけど」
相変わらず、ペットボトルの水はちゃぽちゃぽ動いている。水信玄餅もどきのように意思があるのかしら。
二人を見比べていると水信玄餅もどきが飛んでペットボトルのゆるんでいる蓋から中に入っていく。
「ああ、そんな無理に入ろうとすると鈴が落ちちゃうわよ。ほら、蓋を開けてあげるから待って。こっちにきて」
蓋を開けてあげたらすんなりと中に入っていった。
「蓋は閉じない方がいいかしら。とりあえず開けておくわね。なんだかせっかちね」
・・・・・
お昼も食べ終え、隣に水信玄餅もどきの入っているペットボトルを置き、パサランと話していると急に思い出した。
「あ、パサラン。朝起きたらね、これがあったのだけどなんだかわかる?」
朝起きたらあったガラスの石をポケットからだして、パサランに見せる。
すると、パサランが一度膨張したかと思ったら急に強い光をだしはじめた。
「うわ、ちょっと眩し、えっ、ごめん。駄目だったかな、背中に敷いて寝ちゃったんだけど」
パサランがチカチカしてすぐにケサランと綿毛の仲間たちがわらわらとやってきた。ガラスの石を持っている私の周りをぐるぐるまわりだす。
「うわあ、まだ目がぼやけるわ。え、これ、そんなやばいものなの…」
昨晩見た光景を思い出して私も何か痛い思いをするかもしれないと思いつつ、あまりにもいきなり囲まれてしまったので思考が停止してしまう。私、何かやってしまったのかしら。パサランがガラスの石を置くようにいっている気がするので、そっと地面に置く。置いたガラスを綿毛ちゃんが持ち去っていく。
「これ、背中にあったんだけどそんなにやばいものなの。私も退治されちゃったりするのかな」
言葉が通じないけれど思わず話しかけてしまう。
水分不足で死ぬのも今ここで死ぬのも嫌よ。もっと文明的な生活を送りたいし、何よりまだまだ死ぬわけにはいかないわ。
「ふふ、おかしいわね。まだ2日目なのにずっと泣いているわ、私」
死にたくない、と思いつつもどうにもできない状況に自然と涙がでてくる。ケサランが涙を拭ってくれ、パサランが慰めるように肩にとまった。
「ありがとね、2人とも。泣いててごめんなさいね」
しばらく泣いているといつの間にか綿毛ちゃんたちが解散をしていた。
「終わったのかしら。なんだったの一体…」
唖然としながらも助かったことがわかり、力が抜けてくる。
「つ、疲れたわ~!あー、もう疲れた。今日はおしまいにしたいわ!いえ、ここまた夜も危険だったらいけないし、お引越しもしないとよね、ケサラン、パサランいいとこ知ってる?ここだと毎晩あの変なのがやってくるの?」
2人と会話しつつもせっせと手を動かして穴を掘る。花が近くに咲いているし、もう少し深く掘ったらもっと水が得られるかもしれない、と思ったのだ。
毎晩ではなく不定期で変なナニカが落ちてくるそうなので、やはりここは危険だけど、花畑の中で暮らすには獣道はあまりにも狭く花を潰すのも心苦しい…あ、切り株のところはどうかしら。ケサランとパサランに聞いてみましょ。場所、わかるかしら。
「ねえねえ、切り株のここなんかはどうかな?拠点を変えてみようと思うんだけど…寝るときに切り株の場所に行くのはどうかしら。危なかったりする?」
拠点を変えると行ったときに2人ともが首を勢いよく振っていたので寝るときだけというので聞いてみたら、2人は話し合ってるみたい。この世界の危険度、よく分からないけど、2人を信じるしかないのよね。
話はまとまり、寝るときだけ移動、ということになったようだ。
「パサラン、毎晩ここから私と一緒に荷物を運んでもらえるかしら。対価の歌はこれにしましょ!」
~♪~~♪♪~~~♪♪♪
お花が題名の歌よ。車のラジオでよく流れてて覚えちゃったのよね。流行曲もおさえておかないと会社の人たちとの打ち上げ困るのよね。最近は行ってないけど。
「どうかしら?この歌で今晩運んでもらえるかしら」
どうやら運んでもらえるらしい。よかった、これで一安心ね。…いえ、一安心でもなかったわ。衣食住の住が辛うじてってところよ。
「ケサラン、パサラン、水が得られる場所とかってわかるかしら。ケサランが水を出せるのも分かるんだけど対価の目はちょっと…」
ケサランが水筒に近づいていったので中身はないよ、と見せてあげると水を入れてくれた。
「え、いきなり?ありがとう。だけど対価を払えてないと思うんだけど、契約違反とかそういうのは平気?私はとっても嬉しいし助かるのだけど、目はあげられないのよ?」
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