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1.始まりの地
じゅうに、水を飲みたい
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水浴びをして少し興奮になりつつ、スキップしながら川をあとにする。
「なーんて気持ちのいい朝なのかしら。素敵だわ。輝かしい未来へ乾杯!」
水も手に入れたしこのまま一度拠点まで戻ろうと来た道を一直線に進んでいたはずなのに、どうやら迷ったらしい。
「えーっと、方角はこっちの方かしら。水音から遠ざからないといけないものね」
少し気持ちを落ち着かせつつ、足を進めるがなかなか砂利道に戻らない。
「おかしいわね、何で戻れなくなっちゃったのかしら。方向はこっちで間違いないと思うのに。もしかして、迷ってしまったなんて…」
浮かれてしまった気持ちが急速にしぼんでいくのが分かる。しまった、清められたからってはしゃぎ過ぎたわ。いえ、なんであんなにもはしゃいでいたのかしら。水の成分に問題があったりするのかもしれないわ。しかしどうしましょう。
まさか、遭難…?いえ、まだそう決めつけるのは早いわ。
うろうろと彷徨っていると切り株を見つけた。
「こんなところに切り株だなんて怪しすぎるわね。近くに穴があったり、生き物が住んでいる、なんてことはないでしょうね。う、動き出すとか…」
切り株をじっと観察してみるものの、よく分からないので、手元にあった小さな石を投げてみる。
「反応はなし、か…もう少し近寄っても大丈夫かしらね」
じりじりと近寄っても特になんともなさそうだ。
「ふぅ、ただの切り株のようね。こんなところにあるのもおかしいのだけれども。他に木は見つからないし、うーん、この切り株でツリーハウスができたら助かるのに。ま、あるわけないわね」
切り株に座って一休みをすることにした。
川を背にまっすぐ進んできたと思ったけれど、いくら経っても花畑はみえないし、逸れちゃったのかしら。そしたら、ここは北か南のどちらかでしょうけど、湿った土があるし、南かしら。
喉が渇いたけれど、川の生水は見えない細菌がいたりするから絶対に飲んではいけないのよね、濾過してから煮沸するといいんだっけ。あやふやだわ。
こんなことならちゃんとアウトドア製品やサバイバルを、いえ、こんなことになるのがおかしいのよね。危なく毒されるところだったわ。
とりあえず濾過をしましょう。2本のペットボトルがあってよかったわ。
極力あるがままで再利用をしたいから、そうね、穴あきペットボトルに水をいれて、よし、ここにハンカチを入れましょう。そしてからまたハンカチで包みつつ、逆さにしてペットボトルに水を戻す、とかどうかしら。
…分からないけど、やってみるしかなさそうね。
「切り株を台にして…、穴あきペットボトルに水を、よしよし、その後はハンカチで包んで水を入れる。ハンカチたくさん持っていて良かったわ!私、よくやったわ!」
自画自賛をしつつ、作業をしてみる。ペットボトルの口切りいっぱいまであった水はこぼしたりして1/3まで減ってしまったがなんとかできた。
「ふう、こんなものね。初めてにしてはうまくいったんじゃないかしら。あとはケサランに頼んで煮沸を…火にかけられるもの、何かあったかしら。ランチボックスでいける、溶ける…ステンレスは溶けちゃうかしら。分からないわね、まあ、いいわ。ケサランに相談してみましょう」
方針が決まったところで…、そうだったわ、私は迷子だったのよ。困っちゃったわね。
「とりあえず焦ってもどうしようもならないものね、切り株の写真でも撮っておきましょう」
切り株の上にペットボトルを置いた写真を撮り、アルバムにあげておく。
「誠さんが見たらなんだろうって思うかしら。動画も共有したいけど、無課金だからできないし、そうだ!誠さんにお願いして課金しておいてもらいましょう。紙に書いてっと、よし、これでいいわね。メールが届かなかったときのためにね!オフラインでも共有できるなんて優れものね。見れてるといいのだけれども」
-------------------------------------------
誠さん、子どもたちへ
みんな元気かな?こちら、問題なし、です。
今、異世界にいます。異世界転移ってやつ。
2日目になりました。時間経過は同じかな?
子どもたちへ
お母さんは元気でやってます。お土産を持って帰るから、お父さんのいうことしっかり聞いて待っててね!ちょっと会うには時間がかかるかもだけど、いつもお母さんはあなた達のことを想ってます。
誠さんへ
役に立ちそうなサバイバル系の本をダウンロードして共有してください。
あと、このアプリの課金をお願いします。
動画もアップロードしたいです。
子どもたちのこと、頼みます。
みんなに会えるように頑張るからね。
そちらも体調には気をつけてね。
大好きだよ。
るみより
-------------------------------------------
よし、こんなもんね。
写真を撮って、と。うん、いい感じに撮れたわね。
今日も一瞬繋がることがあればいいのだけれども。短すぎて新しく何かをダウンロードは難しそうね。
色々とやった気がしてもまだ8時じゃない。はぁ、先は長そうね。
「なーんて気持ちのいい朝なのかしら。素敵だわ。輝かしい未来へ乾杯!」
水も手に入れたしこのまま一度拠点まで戻ろうと来た道を一直線に進んでいたはずなのに、どうやら迷ったらしい。
「えーっと、方角はこっちの方かしら。水音から遠ざからないといけないものね」
少し気持ちを落ち着かせつつ、足を進めるがなかなか砂利道に戻らない。
「おかしいわね、何で戻れなくなっちゃったのかしら。方向はこっちで間違いないと思うのに。もしかして、迷ってしまったなんて…」
浮かれてしまった気持ちが急速にしぼんでいくのが分かる。しまった、清められたからってはしゃぎ過ぎたわ。いえ、なんであんなにもはしゃいでいたのかしら。水の成分に問題があったりするのかもしれないわ。しかしどうしましょう。
まさか、遭難…?いえ、まだそう決めつけるのは早いわ。
うろうろと彷徨っていると切り株を見つけた。
「こんなところに切り株だなんて怪しすぎるわね。近くに穴があったり、生き物が住んでいる、なんてことはないでしょうね。う、動き出すとか…」
切り株をじっと観察してみるものの、よく分からないので、手元にあった小さな石を投げてみる。
「反応はなし、か…もう少し近寄っても大丈夫かしらね」
じりじりと近寄っても特になんともなさそうだ。
「ふぅ、ただの切り株のようね。こんなところにあるのもおかしいのだけれども。他に木は見つからないし、うーん、この切り株でツリーハウスができたら助かるのに。ま、あるわけないわね」
切り株に座って一休みをすることにした。
川を背にまっすぐ進んできたと思ったけれど、いくら経っても花畑はみえないし、逸れちゃったのかしら。そしたら、ここは北か南のどちらかでしょうけど、湿った土があるし、南かしら。
喉が渇いたけれど、川の生水は見えない細菌がいたりするから絶対に飲んではいけないのよね、濾過してから煮沸するといいんだっけ。あやふやだわ。
こんなことならちゃんとアウトドア製品やサバイバルを、いえ、こんなことになるのがおかしいのよね。危なく毒されるところだったわ。
とりあえず濾過をしましょう。2本のペットボトルがあってよかったわ。
極力あるがままで再利用をしたいから、そうね、穴あきペットボトルに水をいれて、よし、ここにハンカチを入れましょう。そしてからまたハンカチで包みつつ、逆さにしてペットボトルに水を戻す、とかどうかしら。
…分からないけど、やってみるしかなさそうね。
「切り株を台にして…、穴あきペットボトルに水を、よしよし、その後はハンカチで包んで水を入れる。ハンカチたくさん持っていて良かったわ!私、よくやったわ!」
自画自賛をしつつ、作業をしてみる。ペットボトルの口切りいっぱいまであった水はこぼしたりして1/3まで減ってしまったがなんとかできた。
「ふう、こんなものね。初めてにしてはうまくいったんじゃないかしら。あとはケサランに頼んで煮沸を…火にかけられるもの、何かあったかしら。ランチボックスでいける、溶ける…ステンレスは溶けちゃうかしら。分からないわね、まあ、いいわ。ケサランに相談してみましょう」
方針が決まったところで…、そうだったわ、私は迷子だったのよ。困っちゃったわね。
「とりあえず焦ってもどうしようもならないものね、切り株の写真でも撮っておきましょう」
切り株の上にペットボトルを置いた写真を撮り、アルバムにあげておく。
「誠さんが見たらなんだろうって思うかしら。動画も共有したいけど、無課金だからできないし、そうだ!誠さんにお願いして課金しておいてもらいましょう。紙に書いてっと、よし、これでいいわね。メールが届かなかったときのためにね!オフラインでも共有できるなんて優れものね。見れてるといいのだけれども」
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誠さん、子どもたちへ
みんな元気かな?こちら、問題なし、です。
今、異世界にいます。異世界転移ってやつ。
2日目になりました。時間経過は同じかな?
子どもたちへ
お母さんは元気でやってます。お土産を持って帰るから、お父さんのいうことしっかり聞いて待っててね!ちょっと会うには時間がかかるかもだけど、いつもお母さんはあなた達のことを想ってます。
誠さんへ
役に立ちそうなサバイバル系の本をダウンロードして共有してください。
あと、このアプリの課金をお願いします。
動画もアップロードしたいです。
子どもたちのこと、頼みます。
みんなに会えるように頑張るからね。
そちらも体調には気をつけてね。
大好きだよ。
るみより
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よし、こんなもんね。
写真を撮って、と。うん、いい感じに撮れたわね。
今日も一瞬繋がることがあればいいのだけれども。短すぎて新しく何かをダウンロードは難しそうね。
色々とやった気がしてもまだ8時じゃない。はぁ、先は長そうね。
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