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【これから】
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剣術大会も終わり、俺は残された課題をクリアするために動き出す。今俺が抱えているタスクは下記の通り。
1,ポリスの妹の治療
2,クーガの腕の治療
3,ホープ師匠の治療
4,IPS細胞の動物実験
5,図書館での勉強
まぁ、順番的にもこんな感じかな。道場の方も気になるので道場に向かう。この時間なら門下生もまだ来ていないだろう。道場に入ると、庭で深刻な顔をして正座しているクーガがいる。
「なんだ。また、因縁を付けに来たのか?」
「いや。そんなんじゃねーよ。」
道場に入ると、ホープとドミノが揃っている。
「おはようございます。クーガが来ていますよ。」
「うん。来て早々、あんな感じなんだよね。」
「正座?」
「うん。おじい様に詫びを入れに来たと言ってあのままずっと座っているの。」
「あのままにしておくのですか?」
「そうもいかんじゃろ。お主が来るのを待っていた。神明流の汚名はお主が返上してくれたからのう。それに、あの事件の解決まで…」
「それは、たまたま俺にとっても必要だったからですよ。気にしないでください。それよりもクーガをどうしますか?」
「兎に角、話を聞いてみる事にしようかの」
ホープは、クーガの所に行く。俺とドミノもついて行った。クーガは、ホープの姿を現すと頭を下げる。
「ホープ師匠。この度の失態及びご無礼、本当に申し訳ございませんでした。謝って済む問題では無い事は重々承知の上だけど、こうせずにはいられなかった。事情を知らなかったとはいえ、恩人に刃を向け、更に恩人の大切な物を傷つけた。俺は、一生かかってもお詫びしたいと思っています。こんな腕になってしまったけど、お役に立てることはあると思います。どうか、こんな俺だけど許してもらえませんか。」
「この怪我は己の未熟さからのものじゃ。お前は気にせんでもいい。」
「しかし、師匠はあの時、自分を切り捨てようと思えばいつでも出来た。そんな事ぐらい、自分でも分かっている。なぜ、あの時、自分を切り捨てなかったのですか?」
「儂は、この街に来た時、お前の両親には散々世話になってのう。お前は、そのご両親に頼まれ預かった子じゃ。それに、儂は、お前を息子のように思っておる。それに原因を作ったのは儂じゃ。お前だけを責められんよ。」
「し、師匠…俺は、俺は・・・」
クーガは拳を握りしめながらぼたぼたと涙を流す。
「しかし、なぜ、そんな事になってしまったの?いくら恨んでいたと言っても、今までは平気だったじゃない。」
ドミノは、怪訝そうにクーガに尋ねる。クーガは、顔を上げゆっくりと答え始めた。
「あの日、俺は北辰流の”顧問”って言う奴に絡まれて・・・、神明流は弱小流派だと言われ、それを払拭したかったら勝負しろと・・・、俺は、自分の誇りである神明流を貶された事で頭にきて奴らについて行ったんだ。そして、そこに居た北辰流の連中はすべて撃破した。すると、神明流の事を悪く言った詫びの印だと言って、”力が増す”というブレスレットを渡してきた。それを付けたとたん、怒りと憎悪が爆発して俺を見下したすべての人を屈服させてやるという感情に支配されてしまった。更に、なぜ、そこまで実力があるのにあんなところに居るんだと言われ、復讐心が爆発してしてしまい、あんな狂気に走ったのだと思う。」
そういうクーガの顔には明らかに後悔と困惑が見られた。
「ん?もしかして・・・」
俺は空間収納からクーガの腕を取り出す。するとそこには、何かしらの彫刻の入ったブレスレットがまかれている。俺は、それを取り、再度、クーガの腕を空間収納に戻す。そして、そのブレスレットを鑑定する。
《鑑定》
すると、確かに力がプラスされる効果が付与されている。しかし、更に憎悪もプラスされるようになっていた。狂戦士(バーサーカー)が使うようなブレスレットだ。
「これって、確かに付けると力はかなり増える効果があるけど、同時に怒りや憎悪もプラスされてしまう魔道具だね。それを俺が腕ごと落としたから、その効果が消え今まで行ったことに対しての罪悪感が込み上げてきたと考えられるね。」
「この腕は、そんな物に頼った俺の未熟さが招いた結果だ。それは、仕方が無いと思っている。しかし、俺が行った行為は決して許せない行為だった。俺は、その贖罪を背負って生きて行く覚悟を決めた。これからは罪滅ぼしをしてくと・・・」
師匠を見つめるクーガの顔から”険”が取れた様に感じられた。
「儂も、ドミノをあんな風にされていたらどうなったか分からん。人の事は言えんよ。理由はどうあれ、お前は強い男になった。儂に牙を向ける事は仕方のない事じゃ。しかし、お前は、他人にまで牙を向けてしまった。その報いがその腕じゃ。お主は、これからその事をよく噛みしめ、これからは、心身ともに鍛えるが良い。」
「本当にすみませんでした。この償いは必ず致します。」
クーガは、深々と頭を下げ、道場を出ようとする。
「お主、何をしている。償いをするんじゃろ。そっちは出口じゃ。とっとと、支度せい。これから門下生がわんさかとくるぞ!」
「し、師匠・・・、こんな俺をもう一度信頼して下さるのですか?」
「ふん、信頼などしておらん。貴様の性根を叩き直してやるだけじゃ」
クーガはその場に立ちすくみ、涙を流している。俺とドミノは奥に入って稽古の準備を始めた。暫くして、新たな門下生達がやって来る。俺は、師匠の許しを貰い、今日一日休みをもらった。ポリスの妹の診察に行くためだ。俺は、ポリスが滞在している街外れの宿に向かった。
”ここかな?”
ちょっと、古めかしい、お世辞にも奇麗と言えるような宿ではない。中に入ると、駆け出しであろう冒険者が大勢いる。2Fが部屋になったおり、共同だ。広めの部屋に15人ほどが雑魚寝している。その一角にポリスがいた。
「こんにちわー。ポリスさん。」
「あぁ、君か。本当に来たんだね。こんな所に呼びつけてすまない。」
「いえ。全く気にならないので気にしないでください。それで、いつ妹さんの所に行きますか?」
「うん。今日、荷物を纏めたら出ようと思っている。君の荷物は?ここからだとサイドビーチまでは馬車で2日はかかるが。」
「いや、一気に行きましょう。僕が連れて行きます。荷物の準備が出来たら教えてください。」
一瞬、ポリスは不思議そうな顔をしたが、帰省の準備を始めた。俺は、宿の外に出てドミノの荷造りを待つ。少しすると、大きな荷物を抱えてドミノが出てきた。
「ここだと目立つので、どこか目立たない所に行きましょう。」
俺は、人通りの少ない場所にドミノと移動する。
「一気に行くって言っていたが、どうやって一気に行くんだ?」
「飛んで行きます(笑)」
「え?飛空艇はこっちでは無いし、そんな費用無いよ。」
「大丈夫です。”生身”で行きますから。」
「??」
ポリスの頭の上には”?”がいくつも浮いているようだ。
「この辺でいいかな?とりあえず、荷物を貸してください。」
ドミノは、大きな荷物を俺に渡す。俺は、ドミノの荷物を預かると空間収納にしまった。
「君、凄いな。アイテム袋を持っているのか?」
「いえ、これは、俺のスキルです。アイテム袋より性能いいですよ。さて、それでは、行きますよ。」
「え?行くって??」
俺は、ドミノを重力魔法で重さを0にする。そして、がっつり自分に縛り上げる。
「ちょ、ちょっと、何しているの?」
「いいからしっかりと固定しないと逆に怖いですよ。あと、しっかりと掴まっていてください。」
「え?え?」
「行きます!!」
レビテーションの魔法を使う。
《マップ》
《モニター》
《プロテクション》
≪レビテーション≫
「飛びます!!」
「えええええぇぇぇーーー!!」
俺は、勢いよく上空へと飛び立つ。まっすぐ上空へ約5000フィートほど上昇する。そこから、真っすぐにサイドビーチ目指して150ノット程度の速度で飛ぶ。マップにサイドビーチまでの道のりを映し出し。障害物を確認しながら15分ほど飛行する。サイドビーチの上空までたどり着いたのでポリスに詳しい場所を聞く。
「サイドビーチの上空ですが、家はどの辺ですか?」
ポリスは真っ青になりながら指を指した。とりあえず、指で指された場所まで行き、地上に降りる。
「到着です。言われた所におりましたがどうですか?」
ポリスとの固定を解くと、俺をジーと見て、詰め寄ってきた。
「君は一体何者なんだ!空を飛ぶなんてあり得ないだろう!」
「そんな事言われても、こっちの方が早く着くから…、取り合えず、ポリスさんの家に行きましょう。」
俺は、頬をポリポリ掻き答える。
「剣術大会で優勝するほどの剣技に魔法か。君みたいな人は初めて会ったよ。しかも、回復師。どうなっているんだ?」
「”どうなっているんだ。”と言われまして・・・、もともと、魔法の方が得意なんだけどね。」
「そんな君に剣技で負けたのか。自信なくすよ。でも、あのクーガを手玉に取ったほどだ。まぁ、私にはレベルが高すぎたのか・・・」
俺は、何かブツブツ言っているポリスに案内され家へと向かう。ポリスの家はサイドビーチの外れにあった。
「ただいま帰ったよ。」
「おかえりなさい。随分、早かったのね。大会どうだった?」
俺たちをポリスの母親が出迎えてくれる。親子だけあってポリスに似たスラっとした30後半くらいの女性だ。俺的には、こっちのほうがストライクゾーンである。
「うん。まぁ、中々厳しかったよ。それより、お客さんを連れて来た。どうぞ入って。」
「初めまして。お邪魔します。」
「あら、ポリスが男の子を連れてくるなんて珍しいわね。」
「剣術大会で知り合たんだよ。妹を診てくれるって言うから連れて来た。」
「ええ!シェルビーの足を!!シェルビーの足は治るの!!」
ポリスの母親は、目を見開いてポリスを見る。
「分からない。でも、凄腕の回復師だと思う。」
木造の質素な平屋の家で、部屋は4つほどある。俺の自宅の家によく似ている。
「妹は奥の部屋で寝ているよ。足が悪くなってからはずっとベッドの上に居る。」
ポリスは妹の部屋をノックする。
”コンコン”
「私だ。入るぞ。」
「うん。どうぞ。」
ポリスと俺はシェルビーの部屋に入る。質素だが可愛らしい部屋だ。シェルビーはティナと同じくらいの女の子だ。こちらも姉妹だけあってポリスによく似ている。ぬいぐるみを抱きかかえているせいか、ポリスより女の子っぽい。って、ポリスに聞かれたら怒られるな。
「おねーちゃん、剣術大会どうだった?」
「うん。残念だったよ。2回戦まで行ったんだけどね。このタカミに負けたよ。」
シェルビーは俺をじーっと見つめ、
「あ、おねーちゃんが男の人を連れて来た!彼氏?」
まぁ、お約束の反応だよね。
「違う違う。この人は、凄い魔法を使うんだ。しかも、回復師としても一流だと思う。それに剣術も凄いんだぞ!」
「ふーん。お兄ちゃんは、回復師様なの?」
「お兄ちゃんって、多分、同じ年か年下だけどね。俺、9歳だけど?」
「えええ!!シェルビーより年下!?おねーちゃん、本当なの?」
シェルビーはびっくりした様子でポリスに問いかけた。
「あぁ、多分な。剣術大会で総登録されていたから、嘘じゃないと思う。嘘の登録は出来ないからな。」
「まぁ、驚くよね。俺、ある事情で見た目が大きくなっちゃったんだ。」
「へー、いいなー。シェルビーも早く大きくなりたい!でも、この身体じゃ・・・」
さっきまで元気な様子だったが急に落ち込み始める。しかし、俺は、力強くシェルビーに話しかけた。
「うん、俺はその体を治しに来たんだよ。きっと良くなる。これから、治すための診察をするからね。」
俺は、シェルビーノ近くまで行き話を聞く。
「どこが、どういう風に痛いのか説明してもらっていい?」
「うん。身体を動かすとここから、足にかけて痛くなるの。たくさん歩くと、足が痛くて歩けない。でも、少し休憩すると歩けるようにはなるけど、また痛くなっちゃうんだ。」
患部を擦りながら俺に説明してくれる。
「痛くなる前、何か運動していた?」
「うん、近くに住んでいる剣士様が定期的にみんなに剣術を教えてくれるんだ。私もおねーちゃんみたいになりたいから、剣術をやっていたんだけど・・・。稽古が無い時も毎日、庭で稽古するのを日課にしてたんだ。」
シェルビーは、日常的に結構激しい運動をしていたみたいだ。
「そっか。じゃあ、診察を始めるね。」
俺は、足から順番に見ていく。
「ここは痛い?」
「ううん。でも、動かすとちょっと痛い。」
「じゃあ、今度は横向きになってみようか?なれる?」
「うん、なれるけど、ここを捻るとすごく痛い。」
「ここは?」
俺は、腰椎を押してみる。」
「きゃぁーー!、痛い痛い!」
「ちょっと、魔法をかけるね。」
《アネスシージャ》
「あれ、痛くなくなった。」
「うん、一時的だから、魔法を解くと痛くなっちゃう。ちょっと、診察するね。」
《スキャン》
”やはり、椎間関節の基部の骨が分離する状態が見られるな。これが坐骨神経を圧迫して、腰から足にかけて痛みやしびれが起越していると考えられる。“
俺は、お母さんとポリスを呼び、状況を説明する。
「シェルビーの病気は、脊椎分離症と言います。脊椎には、運動を司る神経・・・紐みたいなものがあります。シェルビーは、この紐をここの骨で圧し潰している状態です。ほっとけば、悪化する一方ですね。治すには、ここの腰椎を正常な形に治す必要があります。通常たと、ここに金具を入れて補強するのですが、俺は魔法で治せます。どうしますか?」
「治せるなら治して欲しいです。費用はどれくらいかかりますか?」
「本来は、大金貨1枚に金貨4枚ほどですね。でも、治せる人は俺以外いないと思います。」
「大金貨1枚と金貨6枚!!とてもじゃないけど、そんなお金…」
「そんな!!治せると言ったから連れて来たのに!!初めからそう言ってくれれば頼まないよ!!」
ポリスの母親は落ち込み、ポリスは俺にくってかかる。
「ちょ、ちょっと待ってください。”本来は”って言ったじゃないですか。俺は、ポリスさんと戦い、ポリスさん負かしてしまいました。しかし、そんなポリスさんが妹さんのためにボロボロになりながらでも戦っている姿に感銘を受けたからここに来たんですよ。ですから今回に限り費用は要りません。ただ、もし、俺以外に治せる人がいたとしたらそれくらいかかると言う事です。それぐらい、重い病気なんですよ。そこを分かってください。いいですか。この病気は、成長途中に無理な運動やストレスで引き起こされる病気です。今後もまだ引き起こされる可能性があるから気をつけて頂きたい。そう言うつもりで言ったのです。また、ポリスさんは、回復師に任せとけばいいと思っていたらしいけど、回復師にヒールやキュアをかけてもらっているだけでは治りません。一生、その回復師に費用を支払い、ずっと完治しないままです。それでもいいですか?それも理解してください。きちんと、病気を理解し、それに適した治療を行える回復師を探すことが大切なのです。今回は、たまたま俺と知合えたから治せるのです。軌跡だと思ってください。」
「取り乱してすまん。」
「俺も、今、シェルビーと話をしました。素直な可愛い子じゃないですか。この子の将来をダメにしたくないから治療します。いいですか。これからは、安易に回復師に任せるだけじゃなくて、きちんと病気を理解し、治せる回復師を探し、お願いしてください。それを約束していただけるなら今回は費用無しで治療します。」
この病気は、再発する恐れがある。俺は、少しきつめにポリスに話をした。
「分かった。約束する。」
「わかりました。それでは治療を開始します。」
俺は、シェルビーの部屋に行き、病気の説明をした。
俺は、白衣を空間収納から取り出し、バサッと着、オペ室を作り出す。
<クリーンルーム>
服を脱いでもらい、麻酔をかける。
《アネスシージャ》
体位を側臥位にする。
《ベール》
≪リカバリー≫(ウィルス、細菌を除去し、体の一部を修復、回復させる効果)
「それでは、オペを始める。」
脊柱管を開き、神経、硬膜を傷つけないように脊柱自体を露出させる。
《ウォーターメス》
患部を元に位置に戻し、骨を創作と再生で本来ある形に成型する。
《創作》
《リジェネレイト》
骨はあるべき形に成型され、神経の圧迫も見られなくなった。
《アンチウィルス》
《アンチバクテリア》
《アナライズ》
感染症を起こさない様に、処置し、リカバリーにて傷口を塞ぐ
≪リカバリー≫
《ヒール》
《キュア》
「術式終了!」
俺は、シェルビーを自分のベッドに移し、布団をかける。
「終わりましたよ。これで普通に体を動かせるようになると思います。」
ポリスと母親は、シェルビーの所に行く。暫くして、シェルビーが目を覚ました。
「シェルビー、どうだ?身体はちゃんと動くか?」
「シェルビーは、体を捻ったり曲げたりしている。そして、立ち上がり、歩く。
「お母さん、おねーちゃん、全然痛くないよ!治ったみたい。」
シェルビーは嬉しいのか、くるくる回る。症状は、まったくでない。
「シェルビー・・・良かった。良かったよーーー!!」
「あぁ、シェルビー!」
二人は、シェルビーを抱きしめ、喜びの涙を流す。
「おにーちゃん・・・じゃない、タカミ、ありがとう!」
「うん。どういたしまして。治って良かったね。これで、おねーちゃんを目指してまた、剣の鍛錬が出来るね。でも、無理しちゃだめだよ。」
「うん。分かった。ありがと!」
俺は、部屋を出ようとすると後ろからポリスに呼び止められる。
「タカミ!!本当にありがとう。この奇跡、大切にする。」
「うん。ポリスの家族を思う気持ちがこの奇跡を生んだんだよ。これからも家族を大切つにね。」
「うん。うん。ありがとう・・・」
俺は、ポリスの家を出て転移で帝都に戻った。
=============タカミのワンポイント=============
脊椎分離症は椎間関節の基部の骨が分離する状態です。腰のひねり運動や曲げ伸ばしを繰り返すことで少しずつ骨の分離が起こる場合や、腰椎の一部が成長期にくっつかずにずれてしまい起こる場合があります。また、骨が成熟していない成長期のこどもに多く発症する傾向にあります。腰から足にかけて伸びる「坐骨神経」を圧迫・刺激するため、腰から足にかけて痛みやしびれが起こります(坐骨神経痛)。薬物治療や神経ブロックなどでも症状が抑えられない場合、患者さんの日常生活への影響や今後どれほどずれが大きくなるかを予測したうえで、手術を選択する場合があります。
脊椎分離症の手術では、ぐらついて不安定な骨をスクリューで固定します。コンピュータ支援手術を用いると、あらかじめ患者さんに合わせたスクリューのサイズを決めることができるという利点があります。しかし、腰骨は首の骨よりも大きいため、コンピュータ支援手術が必須とは限りません。使わずに手術を行っている施設もあるので、医者と相談して手術を選択されるとよいでしょう。
もっとも注意しなければならない合併症は感染症です。体内に金属片が入っている場合は感染症が治りにくいため、金具を使用する手術の大敵といってもよいでしょう。一度入れた金属片を取り外さなければならないケースも出てくるため、細心の注意を払う必要があります。ほかにも、手術で挿入したスクリューが半年~2年後に折れてしまう場合や、スクリューで固定した腰椎の隣の腰椎がずれてしまうということが起こる可能性があります。これらの場合、再手術が必要になります。
また、スクリューを挿入する位置がずれて神経や血管を損傷してしまう危険性もあります。この合併症を防ぐために、これまでに述べたコンピュータ支援手術は有用なのです。
骨がくっついて安定するまでの約半年間はコルセットを装着し、ひどい猫背の姿勢や腰に負担がかかるような動きは控えてもらいます。ウォーキングは推奨されますが、激しい運動やゴルフは控えたほうがよいでしょう。半年後、再度CTで撮影し骨の状態を確認します。問題がない場合、金属片は基本的に取り除かずに経過をみます。また術後に患者さんが気にされることとして、空港の保安検査場での金属探知機が挙げられます。ひっかかる場合はほとんどありませんが、不安な方は医者に診断書を書いてもらうなど、事前に相談されることをお勧めします。
1,ポリスの妹の治療
2,クーガの腕の治療
3,ホープ師匠の治療
4,IPS細胞の動物実験
5,図書館での勉強
まぁ、順番的にもこんな感じかな。道場の方も気になるので道場に向かう。この時間なら門下生もまだ来ていないだろう。道場に入ると、庭で深刻な顔をして正座しているクーガがいる。
「なんだ。また、因縁を付けに来たのか?」
「いや。そんなんじゃねーよ。」
道場に入ると、ホープとドミノが揃っている。
「おはようございます。クーガが来ていますよ。」
「うん。来て早々、あんな感じなんだよね。」
「正座?」
「うん。おじい様に詫びを入れに来たと言ってあのままずっと座っているの。」
「あのままにしておくのですか?」
「そうもいかんじゃろ。お主が来るのを待っていた。神明流の汚名はお主が返上してくれたからのう。それに、あの事件の解決まで…」
「それは、たまたま俺にとっても必要だったからですよ。気にしないでください。それよりもクーガをどうしますか?」
「兎に角、話を聞いてみる事にしようかの」
ホープは、クーガの所に行く。俺とドミノもついて行った。クーガは、ホープの姿を現すと頭を下げる。
「ホープ師匠。この度の失態及びご無礼、本当に申し訳ございませんでした。謝って済む問題では無い事は重々承知の上だけど、こうせずにはいられなかった。事情を知らなかったとはいえ、恩人に刃を向け、更に恩人の大切な物を傷つけた。俺は、一生かかってもお詫びしたいと思っています。こんな腕になってしまったけど、お役に立てることはあると思います。どうか、こんな俺だけど許してもらえませんか。」
「この怪我は己の未熟さからのものじゃ。お前は気にせんでもいい。」
「しかし、師匠はあの時、自分を切り捨てようと思えばいつでも出来た。そんな事ぐらい、自分でも分かっている。なぜ、あの時、自分を切り捨てなかったのですか?」
「儂は、この街に来た時、お前の両親には散々世話になってのう。お前は、そのご両親に頼まれ預かった子じゃ。それに、儂は、お前を息子のように思っておる。それに原因を作ったのは儂じゃ。お前だけを責められんよ。」
「し、師匠…俺は、俺は・・・」
クーガは拳を握りしめながらぼたぼたと涙を流す。
「しかし、なぜ、そんな事になってしまったの?いくら恨んでいたと言っても、今までは平気だったじゃない。」
ドミノは、怪訝そうにクーガに尋ねる。クーガは、顔を上げゆっくりと答え始めた。
「あの日、俺は北辰流の”顧問”って言う奴に絡まれて・・・、神明流は弱小流派だと言われ、それを払拭したかったら勝負しろと・・・、俺は、自分の誇りである神明流を貶された事で頭にきて奴らについて行ったんだ。そして、そこに居た北辰流の連中はすべて撃破した。すると、神明流の事を悪く言った詫びの印だと言って、”力が増す”というブレスレットを渡してきた。それを付けたとたん、怒りと憎悪が爆発して俺を見下したすべての人を屈服させてやるという感情に支配されてしまった。更に、なぜ、そこまで実力があるのにあんなところに居るんだと言われ、復讐心が爆発してしてしまい、あんな狂気に走ったのだと思う。」
そういうクーガの顔には明らかに後悔と困惑が見られた。
「ん?もしかして・・・」
俺は空間収納からクーガの腕を取り出す。するとそこには、何かしらの彫刻の入ったブレスレットがまかれている。俺は、それを取り、再度、クーガの腕を空間収納に戻す。そして、そのブレスレットを鑑定する。
《鑑定》
すると、確かに力がプラスされる効果が付与されている。しかし、更に憎悪もプラスされるようになっていた。狂戦士(バーサーカー)が使うようなブレスレットだ。
「これって、確かに付けると力はかなり増える効果があるけど、同時に怒りや憎悪もプラスされてしまう魔道具だね。それを俺が腕ごと落としたから、その効果が消え今まで行ったことに対しての罪悪感が込み上げてきたと考えられるね。」
「この腕は、そんな物に頼った俺の未熟さが招いた結果だ。それは、仕方が無いと思っている。しかし、俺が行った行為は決して許せない行為だった。俺は、その贖罪を背負って生きて行く覚悟を決めた。これからは罪滅ぼしをしてくと・・・」
師匠を見つめるクーガの顔から”険”が取れた様に感じられた。
「儂も、ドミノをあんな風にされていたらどうなったか分からん。人の事は言えんよ。理由はどうあれ、お前は強い男になった。儂に牙を向ける事は仕方のない事じゃ。しかし、お前は、他人にまで牙を向けてしまった。その報いがその腕じゃ。お主は、これからその事をよく噛みしめ、これからは、心身ともに鍛えるが良い。」
「本当にすみませんでした。この償いは必ず致します。」
クーガは、深々と頭を下げ、道場を出ようとする。
「お主、何をしている。償いをするんじゃろ。そっちは出口じゃ。とっとと、支度せい。これから門下生がわんさかとくるぞ!」
「し、師匠・・・、こんな俺をもう一度信頼して下さるのですか?」
「ふん、信頼などしておらん。貴様の性根を叩き直してやるだけじゃ」
クーガはその場に立ちすくみ、涙を流している。俺とドミノは奥に入って稽古の準備を始めた。暫くして、新たな門下生達がやって来る。俺は、師匠の許しを貰い、今日一日休みをもらった。ポリスの妹の診察に行くためだ。俺は、ポリスが滞在している街外れの宿に向かった。
”ここかな?”
ちょっと、古めかしい、お世辞にも奇麗と言えるような宿ではない。中に入ると、駆け出しであろう冒険者が大勢いる。2Fが部屋になったおり、共同だ。広めの部屋に15人ほどが雑魚寝している。その一角にポリスがいた。
「こんにちわー。ポリスさん。」
「あぁ、君か。本当に来たんだね。こんな所に呼びつけてすまない。」
「いえ。全く気にならないので気にしないでください。それで、いつ妹さんの所に行きますか?」
「うん。今日、荷物を纏めたら出ようと思っている。君の荷物は?ここからだとサイドビーチまでは馬車で2日はかかるが。」
「いや、一気に行きましょう。僕が連れて行きます。荷物の準備が出来たら教えてください。」
一瞬、ポリスは不思議そうな顔をしたが、帰省の準備を始めた。俺は、宿の外に出てドミノの荷造りを待つ。少しすると、大きな荷物を抱えてドミノが出てきた。
「ここだと目立つので、どこか目立たない所に行きましょう。」
俺は、人通りの少ない場所にドミノと移動する。
「一気に行くって言っていたが、どうやって一気に行くんだ?」
「飛んで行きます(笑)」
「え?飛空艇はこっちでは無いし、そんな費用無いよ。」
「大丈夫です。”生身”で行きますから。」
「??」
ポリスの頭の上には”?”がいくつも浮いているようだ。
「この辺でいいかな?とりあえず、荷物を貸してください。」
ドミノは、大きな荷物を俺に渡す。俺は、ドミノの荷物を預かると空間収納にしまった。
「君、凄いな。アイテム袋を持っているのか?」
「いえ、これは、俺のスキルです。アイテム袋より性能いいですよ。さて、それでは、行きますよ。」
「え?行くって??」
俺は、ドミノを重力魔法で重さを0にする。そして、がっつり自分に縛り上げる。
「ちょ、ちょっと、何しているの?」
「いいからしっかりと固定しないと逆に怖いですよ。あと、しっかりと掴まっていてください。」
「え?え?」
「行きます!!」
レビテーションの魔法を使う。
《マップ》
《モニター》
《プロテクション》
≪レビテーション≫
「飛びます!!」
「えええええぇぇぇーーー!!」
俺は、勢いよく上空へと飛び立つ。まっすぐ上空へ約5000フィートほど上昇する。そこから、真っすぐにサイドビーチ目指して150ノット程度の速度で飛ぶ。マップにサイドビーチまでの道のりを映し出し。障害物を確認しながら15分ほど飛行する。サイドビーチの上空までたどり着いたのでポリスに詳しい場所を聞く。
「サイドビーチの上空ですが、家はどの辺ですか?」
ポリスは真っ青になりながら指を指した。とりあえず、指で指された場所まで行き、地上に降りる。
「到着です。言われた所におりましたがどうですか?」
ポリスとの固定を解くと、俺をジーと見て、詰め寄ってきた。
「君は一体何者なんだ!空を飛ぶなんてあり得ないだろう!」
「そんな事言われても、こっちの方が早く着くから…、取り合えず、ポリスさんの家に行きましょう。」
俺は、頬をポリポリ掻き答える。
「剣術大会で優勝するほどの剣技に魔法か。君みたいな人は初めて会ったよ。しかも、回復師。どうなっているんだ?」
「”どうなっているんだ。”と言われまして・・・、もともと、魔法の方が得意なんだけどね。」
「そんな君に剣技で負けたのか。自信なくすよ。でも、あのクーガを手玉に取ったほどだ。まぁ、私にはレベルが高すぎたのか・・・」
俺は、何かブツブツ言っているポリスに案内され家へと向かう。ポリスの家はサイドビーチの外れにあった。
「ただいま帰ったよ。」
「おかえりなさい。随分、早かったのね。大会どうだった?」
俺たちをポリスの母親が出迎えてくれる。親子だけあってポリスに似たスラっとした30後半くらいの女性だ。俺的には、こっちのほうがストライクゾーンである。
「うん。まぁ、中々厳しかったよ。それより、お客さんを連れて来た。どうぞ入って。」
「初めまして。お邪魔します。」
「あら、ポリスが男の子を連れてくるなんて珍しいわね。」
「剣術大会で知り合たんだよ。妹を診てくれるって言うから連れて来た。」
「ええ!シェルビーの足を!!シェルビーの足は治るの!!」
ポリスの母親は、目を見開いてポリスを見る。
「分からない。でも、凄腕の回復師だと思う。」
木造の質素な平屋の家で、部屋は4つほどある。俺の自宅の家によく似ている。
「妹は奥の部屋で寝ているよ。足が悪くなってからはずっとベッドの上に居る。」
ポリスは妹の部屋をノックする。
”コンコン”
「私だ。入るぞ。」
「うん。どうぞ。」
ポリスと俺はシェルビーの部屋に入る。質素だが可愛らしい部屋だ。シェルビーはティナと同じくらいの女の子だ。こちらも姉妹だけあってポリスによく似ている。ぬいぐるみを抱きかかえているせいか、ポリスより女の子っぽい。って、ポリスに聞かれたら怒られるな。
「おねーちゃん、剣術大会どうだった?」
「うん。残念だったよ。2回戦まで行ったんだけどね。このタカミに負けたよ。」
シェルビーは俺をじーっと見つめ、
「あ、おねーちゃんが男の人を連れて来た!彼氏?」
まぁ、お約束の反応だよね。
「違う違う。この人は、凄い魔法を使うんだ。しかも、回復師としても一流だと思う。それに剣術も凄いんだぞ!」
「ふーん。お兄ちゃんは、回復師様なの?」
「お兄ちゃんって、多分、同じ年か年下だけどね。俺、9歳だけど?」
「えええ!!シェルビーより年下!?おねーちゃん、本当なの?」
シェルビーはびっくりした様子でポリスに問いかけた。
「あぁ、多分な。剣術大会で総登録されていたから、嘘じゃないと思う。嘘の登録は出来ないからな。」
「まぁ、驚くよね。俺、ある事情で見た目が大きくなっちゃったんだ。」
「へー、いいなー。シェルビーも早く大きくなりたい!でも、この身体じゃ・・・」
さっきまで元気な様子だったが急に落ち込み始める。しかし、俺は、力強くシェルビーに話しかけた。
「うん、俺はその体を治しに来たんだよ。きっと良くなる。これから、治すための診察をするからね。」
俺は、シェルビーノ近くまで行き話を聞く。
「どこが、どういう風に痛いのか説明してもらっていい?」
「うん。身体を動かすとここから、足にかけて痛くなるの。たくさん歩くと、足が痛くて歩けない。でも、少し休憩すると歩けるようにはなるけど、また痛くなっちゃうんだ。」
患部を擦りながら俺に説明してくれる。
「痛くなる前、何か運動していた?」
「うん、近くに住んでいる剣士様が定期的にみんなに剣術を教えてくれるんだ。私もおねーちゃんみたいになりたいから、剣術をやっていたんだけど・・・。稽古が無い時も毎日、庭で稽古するのを日課にしてたんだ。」
シェルビーは、日常的に結構激しい運動をしていたみたいだ。
「そっか。じゃあ、診察を始めるね。」
俺は、足から順番に見ていく。
「ここは痛い?」
「ううん。でも、動かすとちょっと痛い。」
「じゃあ、今度は横向きになってみようか?なれる?」
「うん、なれるけど、ここを捻るとすごく痛い。」
「ここは?」
俺は、腰椎を押してみる。」
「きゃぁーー!、痛い痛い!」
「ちょっと、魔法をかけるね。」
《アネスシージャ》
「あれ、痛くなくなった。」
「うん、一時的だから、魔法を解くと痛くなっちゃう。ちょっと、診察するね。」
《スキャン》
”やはり、椎間関節の基部の骨が分離する状態が見られるな。これが坐骨神経を圧迫して、腰から足にかけて痛みやしびれが起越していると考えられる。“
俺は、お母さんとポリスを呼び、状況を説明する。
「シェルビーの病気は、脊椎分離症と言います。脊椎には、運動を司る神経・・・紐みたいなものがあります。シェルビーは、この紐をここの骨で圧し潰している状態です。ほっとけば、悪化する一方ですね。治すには、ここの腰椎を正常な形に治す必要があります。通常たと、ここに金具を入れて補強するのですが、俺は魔法で治せます。どうしますか?」
「治せるなら治して欲しいです。費用はどれくらいかかりますか?」
「本来は、大金貨1枚に金貨4枚ほどですね。でも、治せる人は俺以外いないと思います。」
「大金貨1枚と金貨6枚!!とてもじゃないけど、そんなお金…」
「そんな!!治せると言ったから連れて来たのに!!初めからそう言ってくれれば頼まないよ!!」
ポリスの母親は落ち込み、ポリスは俺にくってかかる。
「ちょ、ちょっと待ってください。”本来は”って言ったじゃないですか。俺は、ポリスさんと戦い、ポリスさん負かしてしまいました。しかし、そんなポリスさんが妹さんのためにボロボロになりながらでも戦っている姿に感銘を受けたからここに来たんですよ。ですから今回に限り費用は要りません。ただ、もし、俺以外に治せる人がいたとしたらそれくらいかかると言う事です。それぐらい、重い病気なんですよ。そこを分かってください。いいですか。この病気は、成長途中に無理な運動やストレスで引き起こされる病気です。今後もまだ引き起こされる可能性があるから気をつけて頂きたい。そう言うつもりで言ったのです。また、ポリスさんは、回復師に任せとけばいいと思っていたらしいけど、回復師にヒールやキュアをかけてもらっているだけでは治りません。一生、その回復師に費用を支払い、ずっと完治しないままです。それでもいいですか?それも理解してください。きちんと、病気を理解し、それに適した治療を行える回復師を探すことが大切なのです。今回は、たまたま俺と知合えたから治せるのです。軌跡だと思ってください。」
「取り乱してすまん。」
「俺も、今、シェルビーと話をしました。素直な可愛い子じゃないですか。この子の将来をダメにしたくないから治療します。いいですか。これからは、安易に回復師に任せるだけじゃなくて、きちんと病気を理解し、治せる回復師を探し、お願いしてください。それを約束していただけるなら今回は費用無しで治療します。」
この病気は、再発する恐れがある。俺は、少しきつめにポリスに話をした。
「分かった。約束する。」
「わかりました。それでは治療を開始します。」
俺は、シェルビーの部屋に行き、病気の説明をした。
俺は、白衣を空間収納から取り出し、バサッと着、オペ室を作り出す。
<クリーンルーム>
服を脱いでもらい、麻酔をかける。
《アネスシージャ》
体位を側臥位にする。
《ベール》
≪リカバリー≫(ウィルス、細菌を除去し、体の一部を修復、回復させる効果)
「それでは、オペを始める。」
脊柱管を開き、神経、硬膜を傷つけないように脊柱自体を露出させる。
《ウォーターメス》
患部を元に位置に戻し、骨を創作と再生で本来ある形に成型する。
《創作》
《リジェネレイト》
骨はあるべき形に成型され、神経の圧迫も見られなくなった。
《アンチウィルス》
《アンチバクテリア》
《アナライズ》
感染症を起こさない様に、処置し、リカバリーにて傷口を塞ぐ
≪リカバリー≫
《ヒール》
《キュア》
「術式終了!」
俺は、シェルビーを自分のベッドに移し、布団をかける。
「終わりましたよ。これで普通に体を動かせるようになると思います。」
ポリスと母親は、シェルビーの所に行く。暫くして、シェルビーが目を覚ました。
「シェルビー、どうだ?身体はちゃんと動くか?」
「シェルビーは、体を捻ったり曲げたりしている。そして、立ち上がり、歩く。
「お母さん、おねーちゃん、全然痛くないよ!治ったみたい。」
シェルビーは嬉しいのか、くるくる回る。症状は、まったくでない。
「シェルビー・・・良かった。良かったよーーー!!」
「あぁ、シェルビー!」
二人は、シェルビーを抱きしめ、喜びの涙を流す。
「おにーちゃん・・・じゃない、タカミ、ありがとう!」
「うん。どういたしまして。治って良かったね。これで、おねーちゃんを目指してまた、剣の鍛錬が出来るね。でも、無理しちゃだめだよ。」
「うん。分かった。ありがと!」
俺は、部屋を出ようとすると後ろからポリスに呼び止められる。
「タカミ!!本当にありがとう。この奇跡、大切にする。」
「うん。ポリスの家族を思う気持ちがこの奇跡を生んだんだよ。これからも家族を大切つにね。」
「うん。うん。ありがとう・・・」
俺は、ポリスの家を出て転移で帝都に戻った。
=============タカミのワンポイント=============
脊椎分離症は椎間関節の基部の骨が分離する状態です。腰のひねり運動や曲げ伸ばしを繰り返すことで少しずつ骨の分離が起こる場合や、腰椎の一部が成長期にくっつかずにずれてしまい起こる場合があります。また、骨が成熟していない成長期のこどもに多く発症する傾向にあります。腰から足にかけて伸びる「坐骨神経」を圧迫・刺激するため、腰から足にかけて痛みやしびれが起こります(坐骨神経痛)。薬物治療や神経ブロックなどでも症状が抑えられない場合、患者さんの日常生活への影響や今後どれほどずれが大きくなるかを予測したうえで、手術を選択する場合があります。
脊椎分離症の手術では、ぐらついて不安定な骨をスクリューで固定します。コンピュータ支援手術を用いると、あらかじめ患者さんに合わせたスクリューのサイズを決めることができるという利点があります。しかし、腰骨は首の骨よりも大きいため、コンピュータ支援手術が必須とは限りません。使わずに手術を行っている施設もあるので、医者と相談して手術を選択されるとよいでしょう。
もっとも注意しなければならない合併症は感染症です。体内に金属片が入っている場合は感染症が治りにくいため、金具を使用する手術の大敵といってもよいでしょう。一度入れた金属片を取り外さなければならないケースも出てくるため、細心の注意を払う必要があります。ほかにも、手術で挿入したスクリューが半年~2年後に折れてしまう場合や、スクリューで固定した腰椎の隣の腰椎がずれてしまうということが起こる可能性があります。これらの場合、再手術が必要になります。
また、スクリューを挿入する位置がずれて神経や血管を損傷してしまう危険性もあります。この合併症を防ぐために、これまでに述べたコンピュータ支援手術は有用なのです。
骨がくっついて安定するまでの約半年間はコルセットを装着し、ひどい猫背の姿勢や腰に負担がかかるような動きは控えてもらいます。ウォーキングは推奨されますが、激しい運動やゴルフは控えたほうがよいでしょう。半年後、再度CTで撮影し骨の状態を確認します。問題がない場合、金属片は基本的に取り除かずに経過をみます。また術後に患者さんが気にされることとして、空港の保安検査場での金属探知機が挙げられます。ひっかかる場合はほとんどありませんが、不安な方は医者に診断書を書いてもらうなど、事前に相談されることをお勧めします。
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